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始動 トヨタ・スズキ提携
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投稿者 あっしら 日時 2016 年 10 月 18 日 04:02:58: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


始動 トヨタ・スズキ提携

(上)巨大連合、世界標準狙う
「1800万台」武器に環境・安全で先手

 トヨタ自動車とスズキが業務提携に向けた協議を進めることで正式合意した。独ダイムラー・ベンツと米クライスラーの合併からおよそ20年。規模の追求を目的としたかつての再編は下火となり、環境や安全技術などを軸とした緩やかな連携が主流だ。自動運転を巡る異業種との連携も相次ぐ。競争軸が変わるなか、トヨタとスズキは生き残りの絵をどう描こうとしているのか。


 「さすが鈴木修会長だ。トヨタの落とし方をよく知っている」(トヨタ幹部)。12日の両社の記者会見で配られたプレスリリースには「豊田章一郎名誉会長にまず相談した」との異例ともいえる文言が盛り込まれていた。

 車の販売現場ではトヨタはスズキとしのぎを削っている。年末の税制改正の時期に、トヨタが「軽自動車の優遇をやめるべきだ」と官邸に強く働きかける時期もあった。鈴木会長には「トヨタの現場ではスズキと組むことに抵抗がある」との思いもあった。


先代からの教え

 しかし、軽の販売低迷が長引き、稼ぎ頭のインドでもライバルが台頭。「伝統的な自動車技術を磨くだけでは将来が危うい」との思いは強くなる。途中、燃費データ測定の不正問題が発生、提携機運はしぼんだ。だが、環境や安全技術を巡る競争激化を前に単独での生き残りに限界を感じる。

 鈴木会長は「何かあったらトヨタに」と、1978年の社長就任時に先代から授かった言葉に従い、腹を決めた。

 トヨタは76年に排ガス規制への対応が遅れ経営危機に陥った際、エンジンを供給してくれた縁もある。同郷の創業で、日本の車産業を共に支えてきたという思いがある豊田家は鈴木会長の要請に応じた。

 提携発表から一夜明けた13日。前日比で一時5%上がったスズキ株とは対照的にトヨタ株は伸び悩んだ。しかし、その市場の評価をトヨタは意に介さない。スズキを陣営に取り込むことで大きなメリットが得られると踏む。そのカギがトヨタの新設計・開発手法「TNGA」の他社への展開だ。

 各社が力を入れる自動運転車では高精度のセンサーや情報を解析する半導体など、高価な電子部品が車の製造原価の過半を占める。部品を共通化し、さらに他社を陣営に組み込み量産効果を生かせば、コストを下げられる。浮いた費用は商品力の向上にあてることも可能だ。


利害調整が課題

 これからの競争の主軸となる電子化では、欧州勢が先行。産官学で通信や安全性評価などの規格をつくり、その規格に対応した製品を部品大手の独ボッシュや半導体メーカーがいち早く量産して市場を席巻しようとしている。トヨタが懸念するのはパソコンで米国勢が確立した「インテル・インサイド」の自動車版で後れを取ることだ。

 今回のスズキとの合意で「提携先の年間販売台数を合算すると約1800万台。技術開発で先行し、標準化で世界を制する可能性が高まる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一氏)。自らが規格づくりに深く関与し、提携先も含めて対応部品を量産する。年間300万台近くを販売するスズキと組めば、「トヨタ・インサイド」の実現が一歩近づく。

 だが、一方で新たな課題も浮上している。大きくなった陣営の利害調整だ。特に、スズキと軽で競ってきたダイハツ工業との役割分担は難しい判断を迫られる。

 豊田章男社長自身、「アライアンスは苦手」と認める。「トヨタの上から目線もダメだが、グループ会社の下から目線も改めなければ」。共通の利益を見つけ、目線をどう合わせるか、今まで以上に問われている。

[日経新聞10月14日朝刊P.11]


(中)欧米車大手、新たな仕掛け
「規模よりサービス」転換 AIに人も資金も

 トヨタ自動車と世界販売台数の首位を激しく競る独フォルクスワーゲン(VW)。同社はフェルディナント・ピエヒ元監査役会長時代の2009年にスズキと資本提携した。「資本の論理」をかざすVWの姿勢もあって両社の関係はこじれ、15年9月に提携を解消した。スズキから小型車づくりのノウハウを吸収し、インドなど新興国向けの戦略車開発に生かすVWの思惑は外れた。

危機感が原動力

 「規模だけを追うことはしない」。排ガス不正による経営陣の刷新で登場したマティアス・ミュラー社長の就任時からの口癖だ。25年までの経営戦略の柱は「モビリティーサービスの世界首位」。販売台数は9年後も1千万台規模からさほど増えない想定だ。

 5月に配車アプリのゲット(イスラエル)に出資し、米ウーバーテクノロジーズを仮想敵に据えた。「将来は多くの人が車を所有しなくなる」(ミュラー社長)との危機感が、ビジネスモデルの組み替えを促す。

 車ブランドの買い集めが“趣味”だったピエヒ時代とは異なり、9月のパリモーターショーのイベントでミュラー社長が発表した13番目のブランドは、カーシェアやオンデマンド配車など、車を持たない客層向けのものだった。VWはトヨタ・スズキ連合とは異なる土俵を自らつくり、新たなゲームを仕掛ける。

 米ゼネラル・モーターズ(GM)が追求するのも、規模ではなく技術だ。1月に配車仲介大手のリフトに5億ドルを出資、3月には自動運転システムの開発を手掛けるシリコンバレーのベンチャーを買収した。ソフトエンジニアなど自社では育てきれない人材を確保し、新技術を自社で応用する。年内にもリフトを介して無人運転タクシーの実験にも乗り出す。

 欧米ではトヨタやスズキが競争力の源泉として重視してきた原価低減や製造コストの削減といった取り組みは、台頭する受託製造会社に任せる動きが広がる。欧州ではエンジンの開発まで請け負う企業も急成長している。既存の完成車メーカーは製造部分に割いていた経営資源を自動運転技術や次世代動力源といった先端技術の開発にあてる傾向を強めている。


「消耗戦終わる」

 「ようやくこれで国内での消耗戦も終わる」(トヨタ幹部)。ダイハツ工業の完全子会社化に続き、トヨタはダイハツと軽自動車で激しく戦うスズキも陣営に取り込んだ。過熱した軽のシェア争いはトヨタの小型車の販売にも影響を及ぼしてきた。国内の限られたパイの争奪で体力をすり減らすことがなくなる分、今後は人工知能(AI)など先端技術への開発に資金や人材を振り向ける。

 1月には自動運転車の開発に必要な人材を求めてトヨタはAIなどの研究開発を手掛けるTRI(トヨタ・リサーチ・インスティチュート)を米シリコンバレーに設置。米国でAI研究の第一人者であるギル・プラット氏を引き抜き、トップに据えた。

 車の所有から「ライドシェア」への消費者の需要シフトをにらみ、ウーバーなどとも提携した。

 スズキとの提携でインドなど新興国の市場や、競争力のある小型車を補完することはできる。「新車の販売台数を競う従来の競争と異なる、新たな技術やサービスが生まれるかがポイントになる」(独ローランドベルガーの貝瀬斉パートナー)と指摘する。

 「生き抜くためには変化への対応が必要」(豊田章男社長)。新たな領域での競争に対する危機感が、あらゆる自動車メーカーを仲間づくりに駆り立てている。

[日経新聞10月15日朝刊P.12]


(下)IT交え「新・垂直統合」へ 「協調と競争」柔軟に

 スズキの鈴木修会長と会談し、提携交渉入りで合意する8日前。トヨタ自動車の豊田章男社長は仏パリにいた。9月29日に開幕したパリ国際モーターショーのステージに立ち、2017年に参戦する世界ラリー選手権(WRC)で米マイクロソフト(MS)と協力することを発表した。


 自動車レースでは、車載センサーから集めたデータを即時に分析し、過去のデータと照合して部品交換や調整の判断に活用する動きが広がる。「車はもはや単なる移動手段ではなく、デジタル機器の一部だ。両社共同で安全性や信頼性を高められる」。MSのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)はこう強調する。


ソフトが要

 環境対応や自動運転に代表される安全技術の発達に伴い、自動車は「ソフトの固まり」になってきた。自動運転車に使うソフトの行数は1億行に達する見通しだ。米航空宇宙局(NASA)がスペースシャトルの運航に使うソフトの量を大幅に上回るとの見方もあり、ソフトやデータを処理する半導体が競争を左右する時代に入りつつある。

 独ダイムラーは15年、ネットにつながるコネクテッドカーの開発で携帯電話向け半導体の最大手である米クアルコムと組んだ。欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)も今年5月、自動運転車で米グーグルと提携した。ソフト、半導体、クルマの「垂直統合」が新たな潮流だ。


影響力高める

 トヨタは昨年11月、米国に人工知能(AI)の研究開発子会社の設立を決めた。スズキも今年4月、米シリコンバレーにインド人を含む若手・中堅社員3人を派遣した。IT(情報技術)に強いベンチャーキャピタルに駐在させ、ソフトや半導体業界の動向に目を凝らす。産学連携の月面探査チーム「HAKUTO」に参加するなど変化をみせはじめている。

 トヨタ、スズキとも「良品廉価」のクルマ造りには強みを持つが、自動運転などの先端技術では先頭走者ではない。「今は、トヨタはグーグルなどから一目置かれているが、これが続く保証はない」(豊田章男社長)。自らAIの研究を強化し、マツダやスズキと組んで自動車業界のとりまとめ役になれば、IT業界への影響力は増す。

 「自動車メーカーが手を携えれば、ITなど異業種への抵抗力が高まる。今後も業界内の連携は進むだろう」。あるトヨタ幹部はこう予測する。だが、ライバル視するIT業界には技術やプレーヤーが目まぐるしく入れ替わるダイナミズムがあり、かつての常識は通用しない。

 先進的なイメージを持つグーグルの自動運転車プロジェクト。元責任者は独自に自動運転車の開発を始め、誰もが開発に参画できるオープンソースで「グーグル超え」をめざす。トヨタやスズキの課題は変化を検知するアンテナを高く張り、必要に応じて「協調と競争」を巧みに使い分けることだ。

 奥平和行、中山修志、加藤貴行、中西豊紀、杜師康佑、剣持泰宏が担当しました。

[日経新聞10月16日朝刊P.7]

 

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