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マニラTPP首脳会合でのオバマ米大統領(左端が安倍首相)/(C)AP
グローバリズム終焉 古い閉じた時代に逆戻りする世界経済 日本経済一歩先の真相
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/191714
2016年10月14日 日刊ゲンダイ
英週刊経済誌「エコノミスト」の先週号に、オバマ米大統領による長い寄稿文が載っていた。間もなく退任を控え、グローバル化に伴う不平等を認めた上で、それでも「古い閉じた経済」に戻るべきではないと訴えた。次期大統領候補2人がそろって「TPP反対」を唱え、米国で反グローバル化の傾向が強まっていることへの嘆きである。
オバマが危ぶむのは、反グローバル化の行き着く先だ。国家が閉ざされていけば、経済面では保護貿易とブロック経済化を招き、ひいては国家主義の台頭を許しかねない。また、ブロック経済は他国との権益争いを引き起こしやすい。
米国の外を見渡せば、中国は南シナ海における海洋権益の確保に躍起で、移民・難民の問題を抱えるEUも反グローバル化を強めている。まさに時間の軸が先の大戦前夜に逆戻り。太平洋の向こう側から、オバマの嘆息が聞こえてきそうだ
両大統領候補が反グローバル化に傾斜しているのは、ともに「雇用が失われるからだ」と理由を挙げている。米企業はグローバル化の波に乗り、中国や東南アジアに進出した。製造拠点をどんどん移し、米国内の雇用は細っていった。
同じくグローバル化に乗った日本で、米国ほどの弊害を感じられないのには、いくつかの要因がある。製造業だけでなく、サービス業が雇用の受け皿として発展していること。世界に例のない少子高齢化で、若年層の労働力が極端に少なく、むしろ人手不足に陥っていることなど、今の日本ならではの特殊事情によるものだ。
こうした状況にない米国はもちろん、欧州の先進国もグローバル化による雇用事情の悪化は免れない。今後も「古い閉じた経済」への傾斜はますます強まっていく。どうやらEUも英国の離脱にとどまらず、さらなる分裂は避けられないだろう。
それにしても2人の大統領候補がTPPに反対する中、なぜ安倍首相は今国会での批准を急ぐのか。TPPが当初の構想通りに機能しなくとも一向に構わない、と恐らく腹をくくっているに違いない。
米国抜きでも、TPPを批准した環太平洋の国々を取り込み、経済連携のイニシアチブを握って、日本の経済圏を拡大させる。反グローバル化の大波が押し寄せ、ブロック経済が息を吹き返す前に、ひと思いに権益を拡大させておこうという腹積もりである。
あくまでグローバル化に従ってTPP批准を急ぐ安倍首相にしては、珍しくしたたかな発想を感じさせる。いずれにしろ、長い冷戦時代の後に訪れた経済のグローバリズムが間もなく終焉を迎えるのは間違いなさそうだ。次なるステージで首相の判断が、日本経済にどのような影響を及ぼすのかは分からない。世界は先行きの見えない時代に突入し始めている。
高橋乗宣 エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
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