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イトーヨーカドー店舗(「Wikipedia」より/ITA-ATU
近くにイオンモール開店でトドメ…百貨店、怒涛の閉店ラッシュで地方から消滅の危機
http://biz-journal.jp/2016/10/post_16857.html
2016.10.09 文=田村建雄/ジャーナリスト Business Journal
地方の文化も含め商業の要となってきた百貨店が、軒並み閉鎖に追い込まれている。
主だったところで、三越伊勢丹ホールディングス傘下の三越伊勢丹が運営する三越千葉店(千葉県千葉市)は、2017年3月20日に閉店予定。同じ千葉では今年11月に千葉パルコが閉店。セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のそごう・西武が運営する西武春日部店(埼玉県春日部市)は今年2月閉店。西武旭川店(北海道旭川市)、そごう柏店(千葉県柏市)が同9月30日で閉店、西武筑波店(茨城県つくば市)と西武八尾店(大阪府八尾市)は17年2月末で閉店。
これらはほんの一部だ。百貨店ではないがスーパーのイトーヨーカドーは来年2月までに20店舗近くを閉鎖する予定。
■西武旭川店
まずは西武旭川店の閉鎖。
「10数年前から年間100万人以上が訪れる旭山動物園の賑わいで観光客は増加しているのに、なぜなのか。40年以上にわたり市民から親しまれてきた西武の撤退は、市民や市商店街にも大きなショックです」(地元商店街関係者)
西武旭川駅前店はピーク時の年間売上が268億円あったが15年には107億4500万円にまで落ち込んだ。落ち込み理由は何か。
「人口減もあるが、駅前に昨年新たなイオンモール旭川店が出店したことが撤退の引き金になった」(同)
しかし、人口減といえど約2万人。駅周辺には“そこそこの人出”はあったという。それでも、売り上げが激減したとすれば、消費者の財布の紐が堅いのだ。
「一部の物価がジワジワ上がっているが、大企業を除き給与はほとんど上がらないのでおのずと消費に歯止めがかかる。新しくできたイオンに行く人は、西武には行かなくなる。それと、本当にいいものは札幌まで行って購入する」(旭川市民)
■西武筑波店
人口減の旭川市に対し、西武筑波店のあるつくば市は10年前より3.1万人も人口増。しかし、同店の売上はピーク時の約250億円(1991年)から、15年には半減し128億円。なぜか。
LALAガーデンつくば(04年)、イーアスつくば(08年)、コストコつくば倉庫店(13年)、イオンモールつくば(13年)と競合店が相次いで出店したという要因も大きい。
「決定打は05年、秋葉原まで45分でいけるつくばエクスプレスが開業、西武などに足を向けていたシニア富裕層が東京に流出した。加えてネット通販が普及し、それがつくばの百貨店を追い詰めたともいわれる」(市商業関係者)
同様の事態は、柏市のそごう柏店(73年)でも起きている。相次ぐライバル店の進出や交通網の発達で、ピーク時に590億円あった売上は115億円までダウンした。
■地方都市で百貨店の存続は困難か
各百貨店はインバウンド効果などで売上低迷を凌いできたが、ここへきて中国の経済失速や海外購入品に関する税制変更等による中国人消費の落ち込みで、先が見えなくなった。
「各百貨店や大手スーパーでは、小規模店の多角展開に活路をみいだそうとしているが決定的な打開策はない。10階建て規模の百貨店の運営には大都市で300億円、地方で250億円前後が必要という。地方は人口減と長引く景気の低迷に悩み、一部富裕層は大都会に集中し、ネット消費への移行も加速している。もう地方都市では百貨店の存続は厳しいのかもしれない」(経営コンサルタント)
そごう・西武を運営するセブン&アイHD広報担当は、相次ぐ閉店の理由について次のように語る。
「店舗閉店は残念ですが、やはり営業継続が厳しいということでの閉店です。閉店理由は地域によって多少差はありますが、店舗環境の変化、相次ぐ競合店の出店などもあり、店舗継続が難しくなったことによります。閉店は来年2月のつくばと八尾までで、それ以降は特に予定はございません。今後とも残りの店舗ががんばりますのでよろしくお願いします」
地方から百貨店が消える日が近づきつつあるのだろうか。
(文=田村建雄/ジャーナリスト)
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