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焦点:金融政策の限界鮮明、新たな現実に古い道具
[フランクフルト/東京 5日 ロイター] - 主要中央銀行の超低金利政策によって金利は無きに等しくなったにもかわらず、企業と家計の借り入れは一向に増えない。経済のサービス化、技術革新、高齢化といった新たな現実を前に、従来の金融政策は壁に直面している。
日本とユーロ圏はいずれも貸し出しの伸び率が約2%で低迷している。つまり金融政策の波及メカニズムは少なくとも部分的に壊れており、日銀と欧州中央銀行(ECB)は数兆ドルの資産を購入しても、思うような効果を得られないということだ。
インフレと成長に対する中銀の影響力が低下している様子は、現代の金融政策の土台であるインフレ・ターゲティングの有効性に疑問を投げかけている。
今週ワシントンで開かれる国際通貨基金(IMF)年次総会では、こうした新たな現実の持つ意味が主要議題の1つとなりそうだ。中銀は、金融政策に負荷が掛かり過ぎているとして政府に行動を求め続けるだろう。
先進国で見られるサービス業主体の経済成長への移行、技術革新、高齢化といった変化はどれも、企業と家計の投資を抑制し、貯蓄を増やし、成長とインフレ率を押し下げる要因になる。
<パラダイムシフト>
ECB理事会メンバーのヤズベツ・スロベニア中銀総裁は「中央銀行のパラダイムは変化している。波及メカニズムが変わり、道具も変わった。われわれの住む世界は大きく変化しており、中央銀行も対応する必要がある」と語る。
「生産性の低い伸び、人口増加率の鈍化、寿命の伸びといった問題が立ちはだかっており、これらの要因はすべて、中央銀行にとって重要な変数に影響を及ぼす」という。
日銀は先月、資産購入の量よりも金利を重視する政策に移行し、大規模な量的緩和が持続不可能になりつつあることを暗に自白した。政策が思うような効果を発揮しなかったと認めるのは珍しいことだ。
前日銀理事でみずほ総合研究所・エグゼクティブエコノミストの門間一夫氏は「3年半も大規模な緩和を続けたにもかかわらず、人々の予想物価上昇率がバックワードルッキングなのであれば、金融緩和の不足が問題の在りかではないということだ」とし、「マネーの量は既に潤沢だと思う」と語った。
多くの先進国では、平均寿命が過去半世紀で10─15年延びて80歳を超えた。中銀が生み出したマネーは、長い老後に備えた貯蓄へと流れている。
経済協力開発機構(OECD)のデータによると、可処分所得に占める貯蓄の割合は着実に増え、スイスでは過去最大の20%、スウェーデンでは16%、ドイツでは10%に達した。
この3カ国はいずれもマイナス金利政策を実施しているが、狙い通りに支出は増えず、家計はスズメの涙ほどの金利にもかかわらず貯蓄を増やしている。
クレディ・スイスのウェルスマネジメント戦略責任者、Nannette Hechler Fayd'Herbe氏は「インフレは貨幣的現象であり、中央銀行が直接左右できるという中銀の信念に疑問が投げかけられている」と指摘。「貨幣的現象には違いないが、それ以上に構造的現象であり、人口動態的現象でもあるかもしれないと(中銀は)気付き始めている」と続けた。
<生産性>
経済のサービス化に伴い、企業の設備投資も減っている。サービス業はヒトの生産能力という限界があるため、生産性の伸び率は低い。このため賃金も伸びにくく、物価と消費は自ずと抑えられる。
欧州では、ユーロ圏債務危機以降に生まれた新規雇用の5人に4人がサービス業で、生産性は危機前の水準で停滞している。米国はましだが、それでも生産性伸び率は2009年当時の半分以下に下がり、0.4%前後で推移している。
現在の支出トレンドは最長10─15年続くと見るエコノミストもいる。これに対し、金融政策が視野に入れるのは通常2、3年先までだ。
一方、中銀は短期的な物価目標を達成するため、不動産や株価のバブルに手を貸し、金融の安定を脅かすリスクもある。このためエコノミストの間では、中銀は政策の時間軸を延ばすか、物価ではなく金融安定の指標に的を絞るべきだとの声も出ている。
中銀はまた、非伝統的政策を拡大し過ぎたと認めてその利用を抑制し、成長と物価について政府により大きな責任を負わせる必要がある。
(Balazs Koranyi記者 木原麗花 記者)
http://jp.reuters.com/article/monetary-policy-idJPKCN12609T
量的緩和策進める日銀とECB、弾切れが心配で打開策模索
Enda Curran
2016年10月6日 15:07 JST
インフレ目標未達の下、施策の持続可能性が課題に
迷路からの「出口」確保、コミュニケーション方法も心配の種
世界で最も緩和的な金融政策を講じているといえる中央銀行のうち2つが、債券購入の「迷路」からいかにして活路を開くべきか、検討に入った。
量的緩和(QE)の下での資産購入を打ち切って久しい米連邦準備制度は、既に利上げに着手しているが、日本銀行と欧州中央銀行(ECB)の場合、消費者物価の伸び加速に向けた大規模なQEに引き続き頼っている。
黒田日銀総裁とドラギECB総裁
黒田日銀総裁とドラギECB総裁 Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg *** Haruhiko Kuroda; Mario Drahgi
だが、以前にうまく機能したからといって、それが永遠に続くわけではない。QEのかつての輝きはその副作用が顕著になるにつれて色あせつつある。副作用とは、金融の安定性をめぐる懸念や銀行収益の圧迫、そして特に、買い入れに適した十分な規模の資産を見つけるのが単に難しくなっているという事情だ。
日銀がQEを持続可能とするため政策枠組みを転換する一方、ECBは必要な限り活用し続けることができるようにするため、QEに関する規則を調整するための方策の考案をスタッフに指示した。日銀、ECBの双方ともインフレ目標達成には程遠く、QEをこれからも長く使えることが理想だが、できることには限界がある点を当局者自身が自覚しているとの兆候も濃厚となりつつある。
HSBCホールディングスのアジア経済担当共同調査責任者フレデリック・ニューマン氏(香港在勤)は「われわれが知っているようなQEは、のりしろが少なくなってきた」と指摘。「買い入れるための債券は無限ではなく、投資家は市場にまだある債券を中銀に譲渡したがらなくなっている」と語った。
軸足転換
ECBでは、QEを終了させる方法として、突然の打ち切りではなく、段階的に購入規模を縮小していく「テーパリング」が取り上げられている。これは、そのような措置のタイミングについて何かを示すものでなく、政策委員会の正式な議題にもこれまでのところ上っていない。それでも、出口戦略をめぐって非公式のコンセンサスが形成されつつあるという事実は、債券買い入れを進めることに一部の当局者が食傷気味であることを反映している。
発行済み国債の3分の1余りを保有する日銀の黒田東彦総裁は、債券の買い入れ増額からイールドカーブ(利回り曲線)の操作に金融政策の軸足を移した。この動きを一種のテーパリングと解釈することは可能だが、日銀の超緩和的な金融政策が近いうちに終わるとの予想はほとんどない。
日銀とECBにとって、刺激策を拙速な形で、もしくは全く引き揚げることはないと、神経質になっている投資家に納得させるのが、コミュニケーションに際しての課題だ。ECBのテーパリング案に関するブルームバーグ・ニュースの報道が伝わると、欧州市場で株価や債券相場が下落。2013年に米連邦準備制度が資産購入の規模縮小の用意を示唆して債券相場急落を招いた「テーパー・タントラム」と同様の展開となった。
ソシエテ・ジェネラルのアジア太平洋地域チーフエコノミスト、クラウス・バーダー氏(香港在勤)は「テーパリングは金融政策が引き締められることを意味するものではない」とし、「それは一段と緩やかなペースで緩和されるにすぎない」と指摘。
その上で同氏は「金利が低下すればするほど、経済への影響は小さくなると見受けられる」と述べ、「QE拡大の効果が時間の経過とともに弱まっていくことは極めて明確だ」とコメントした。
原題:Central Banks on QE Highway Worry About Running Out of Road (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-10-06/OEM1U46S972B01
2016年10-12月期金融政策:世界的に緩和、FRBは逆行できるか
10-12月期の各国中銀のかじ取りは?(写真は左から黒田日銀総裁、ドラギECB総裁、イエレンFRB議長)
By JON HILSENRATH
2016 年 10 月 6 日 11:49 JST
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がまとめた世界の中央銀行の四半期政策見通しによると、10-12月期は米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ志向をよそに、世界的な金融政策の流れは据え置きないし緩和に向かうと思われる。
日本、英国、ブラジル、インド、インドネシア、韓国、ニュージーランド、トルコの各中銀は一段の金融緩和に傾いているが、全てが年内に行動するかどうかは定かでない。一方、12の中銀は現状維持に備えているものと思われる。これに対し、利上げに向かっているのは米国、メキシコ、南アフリカの3カ国の中銀のみだ。
世界は依然として低成長・低インフレに見舞われており、多くの中銀が金融緩和への志向を維持している。
英中銀イングランド銀行は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)決定が消費や投資を阻むとの懸念から、ゼロ近辺へ利下げする可能性があると示唆している。欧州中央銀行(ECB)は政策金利を据え置くとみられるが、債券買い入れの期限は現行の3月から先に延長する可能性がある。中国では景気刺激策が実施されるかもしれないが、中国人民銀行(中央銀行)は利下げすれば住宅バブル(一部の大都市の住宅価格は前年比で40%上昇)がさらに膨張するのではないかと懸念している。日本銀行は10月31日・11月1日の金融政策決定会合で、一部の商業銀行の準備預金金利を引き下げる可能性がある。
FRBが12月の連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の引き上げを断行すれば、世界の金融政策の流れでの少数派に回る形となる。米国以外の大部分が反対方向へ向かっているため、利上げ再開までに時間をかけたとしても、FRBは圧力を受けることになるだろう。
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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjE5L7g_sXPAhWFlJQKHbyRCXAQqQIIHjAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12557326889379443597104582356920509649812&usg=AFQjCNGyIZ1RA5aeYPE65OOOe-fqS7W5Vw
FRB副議長、自然利子率の低下を懸念
By KATE DAVIDSON
2016 年 10 月 6 日 10:42 JST
米連邦準備制度理事会(FRB)のフィッシャー副議長は5日、政策担当者らはいわゆる自然利子率がここ数年で明らかに「大幅低下」していることを懸念すべきだと警告した。自然利子率が大きく下がると、経済は従来の金融政策を無効にする負のショックに一段と影響されやすくなる恐れがあるという。
自然利子率とは、経済がフル稼働でも過熱することなく拡大できるインフレ調整後の金利を指し、均衡金利や中立金利とも呼ばれる。
副議長はニューヨーク連銀での講演で、超低金利は単に景気循環の影響によるものではない可能性があり、経済のより深いところにある問題の兆しかもしれないとの見方を示した。
副議長はFRBの同僚らが執筆した研究論文を引き合いに出し、米国をはじめとする先進国では1990年代以降、自然利子率の推計値が低下していると指摘した。
さらに、自然利子率の低下は「経済の潜在成長率が大幅に低下した可能性を改めて示しているとも考えられる」とした上で、これは「非常に気掛かりな推測」だと述べた。
自然利子率が非常に低い世界では投資家がより大きなリスクを取る可能性もあり、一部の金融機関は利益確保に苦戦するかもしれないが、現時点で超低金利が金融安定リスクを生み出しているという証拠はないと副議長は言う。
また、自然利子率が大きく下がった原因は貯蓄増加と投資減少の両方にあるとし、経済の潜在成長率の低下も今後、自然利子率に下押し圧力をもたらす可能性があると指摘した。
副議長は将来の利上げ時期については言及しなかった。
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2016年10-12月期:英中銀は追加緩和へ−ブレグジット受け
By JASON DOUGLAS
2016 年 10 月 6 日 15:31 JST
英中銀イングランド銀行は8月の金融政策委員会(MPC)で、過去最低の政策金利をさらに引き下げた。国民投票で予想外に欧州連合(EU)離脱が決まったことを受け、英国経済を支えるために利下げのほかにも債券買い入れ拡大など幅広い措置を打ち出した。カーニー総裁をはじめ同行関係者らは追加利下げの可能性を示唆している。
中銀関係者らは、EU離脱決定を受けて国内の消費や投資が落ち込み、2016年と17年の経済成長の足を引っ張るのではないかと懸念している。イングランド銀行によれば、経済指標はこれまでのところ強弱まち...
http://jp.wsj.com/articles/SB12557326889379443597104582357253043876624?mod=wsj_nview_latest
2016年10-12月期金融政策:ブラジル中銀、インフレでも緩和期待
By PAULO TREVISANI
2016 年 10 月 6 日 17:41 JST
ブラジル中央銀行は根強いインフレと闘うため、7-9月期は政策金利を据え置いたが、市場は年内の緩和を見込んでいる。
政策金利(Selic基準金利)は現在14.25%。エコノミストの中心予想では、年末までに13.75%へ引き下げられる見込みだ。
専門家らは、利下げにつながるインフレの減速を待ちわびている。ただ、ブラジルがいまだにリセッション(景気後退)から抜け出せないにもかかわらず、インフレ率は8月も8.96%と目標を大幅に上回ったままだ。
ブラジルのインフレ目標は4.5...
http://jp.wsj.com/articles/SB12557326889379443597104582357433931155396?mod=wsj_nview_latest
2016年10-12月期金融政策:スイス中銀、様子見続ける公算
By BRIAN BLACKSTONE
2016 年 10 月 6 日 16:21 JST
スイス国立銀行(中央銀行)は2016年10-12月期も年初来の姿勢を維持する見通しだ。つまり、スイスフラン相場の動向を見据えつつ、欧州中央銀行(ECB)に用心深い目を向けながら、様子見を続けるだろう。
スイスフランは今年、ユーロに対して1.08〜1.10フランという狭い値幅にとどまっている。過去の標準からすると、これは極めてフラン高の水準だが、スイスの経済と産業はこうした水準でも何とか耐えている。
フラン高が大幅に進まない限り、追加利下げする可能性は低い。
その上、...
http://jp.wsj.com/articles/SB12557326889379443597104582357330321822716?mod=wsj_nview_latest
2016年10-12月期金融政策:ロシア中銀、インフレ落ち着き現状維持か
By LAURA MILLS
2016 年 10 月 6 日 18:09 JST
ロシア銀行(中央銀行)は、9月の政策会合で政策金利を10.5%から10%に引き下げたが、年内の追加利下げはないと明言し、インフレリスクが後退したので一段と大幅な利下げに動くとの期待を一蹴した。
ナビウリナ中銀総裁は、インフレは中銀の想定通りに減速しているが、2017年の1-3月期ないし4-6月期より前の追加利下げは予想していないと語った。同総裁は、長期的には実質金利(政策金利からインフレ率を差し引いた金利)は2.5%〜3%に収まるべきとの考えを示した。
中銀は、ここ数カ月でインフレ率...
http://jp.wsj.com/articles/SB12557326889379443597104582357481190991646?mod=wsj_nview_latest
2016年10-12月期金融政策:インド中銀、早期追加利下げか
By GABRIELE PARUSSINI
2016 年 10 月 6 日 15:48 JST
現在、世界経済の大半が景気減速の瀬戸際にあるが、インドは好景気を謳歌している。その中で、インド準備銀行(中央銀行)は4日に主要政策金利のレポ金利を約5年ぶり低水準の6.25%へ引き下げた。
アナリストの多くはさらに緩和策があると予想している。米連邦準備制度理事会(FRB)が今後数カ月の間に利上げに向かうのと同様、インド中銀の追加利下げは近いとみているのだ。
インドは、世界で最速の経済成長を続けており、海外投資家を魅了している。また、消費に基づいた(成長)モデルが安定していることで、中...
http://jp.wsj.com/articles/SB12557326889379443597104582357273305074052?mod=wsj_nview_latest
2016年10-12月期金融政策:中国人民銀、バブル懸念が緩和阻むか
By LINGLING WEI
2016 年 10 月 6 日 15:18 JST
中国が年内の経済成長を金融緩和で支えられるかどうかは、膨れ上がる不動産バブルに当局がどう対応するかによるところが大きい。
中国人民銀行(中央銀行)は今年これまで、利下げや他の積極的な信用緩和策による景気てこ入れは見送る一方、十分な流動性を確保するために他の手段を用いている。比較的緩和に控えめな姿勢の背景には、主要都市や一部の地方都市でも信用にあおられた住宅購入の狂騒がある。8月には一部の大都市で住宅価格が前年同月比40%も急騰した。
人民銀行のチーフエコノミスト、馬駿氏は先ごろ、中...
http://jp.wsj.com/articles/SB12557326889379443597104582357233368573856?mod=wsj_nview_latest
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