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来年2月に閉店する西武筑波店 Photo by Hiroyuki Oya
高級ブランドが路頭に迷う!?百貨店大量閉鎖時代
http://diamond.jp/articles/-/103520
2016年10月4日 森山真二 ダイヤモンド・オンライン
百貨店の大量閉鎖時代の到来で、有名ブランドの淘汰は始まるのか――。化粧品や服飾雑貨、衣料品の有力ブランドといわれるブランドの多くは、流通のヒエラルキーの頂点に君臨した百貨店でコーポレートブランドの価値を高め、ショッピングセンター(SC)や商業ビルなどマス市場で「果実」をとるという戦略を展開してきた。しかし、郊外型の百貨店の相次ぐ閉鎖計画や都市型百貨店自体のブランド力低下、ネット通販の台頭で、そうした従来の販売戦略が機能しなくなる可能性が浮上している。(流通ジャーナリスト 森山真二)
■百貨店の大量閉鎖に頭を痛める
大手のアパレルや化粧品メーカー
「百貨店業界ではそごう・西武は池袋店のみ、三越伊勢丹は伊勢丹の新宿本店、日本橋三越、銀座三越があればいいといわれてきましたが、それが現実になるのではないかと危惧しています」。こう冗談めかして話すのはある百貨店に出入りする業者だ。
三越伊勢丹は三越千葉店、多摩センター三越の閉鎖を発表、そごう・西武はそごう柏店や西武筑波店(茨城県つくば市)や西武百貨店八尾店(八尾市)の閉鎖を決定した。
業界では「まだまだ、百貨店には閉鎖予備軍があるのではないか」と観測されており今後、東京都心からほど遠くない近郊の百貨店のさらなる閉鎖が予測されている。
しかし、こうした百貨店の大量閉鎖時代に頭を痛めているのは、当事者の百貨店のみならず、百貨店に納入していたり、出店していたりする衣料品や化粧品ブランドだろう。というのも、アパレルメーカーや化粧品メーカーは大手ほど百貨店と「運命共同体」だからだ。
百貨店の衣料品売り場。一見、いろんなブランドが並んでいるようにみえる。が、実は一つのアパレルメーカーのブランドが散りばめられている。しかも売り場に立っている店員もアパレルメーカーが派遣している人たちがほとんどだ。
インバウンド(訪日外国人)の旺盛な需要の陰に隠れて目立たなかったが、百貨店のアパレル製品はあまり需要が伸びておらず、アパレルメーカーは百貨店側の部門利益確保の目的から納入価格など条件面でのプレッシャーをかけ続けられている。いわゆる納入価格の引き下げの要請だ。
そうでなくてもアパレルメーカーは店員を派遣し、売れ残った在庫は引き取るという取引を前提にしてきたため、アパレル自身がすでに体力を消耗しており、もはや過度な納入価格の引き下げ要請や人材の派遣には応じきれなくなっているのだ。
■百貨店とアパレル側の関係は
ウィンウィンの関係を保てなくなっている
三越千葉店閉鎖発表の際、三越伊勢丹HDの役員はアパレル側からの人材の派遣が減り、自らが売り場運営をしなければならず、コスト増加になっていたほか、アパレル側からの商品供給の停滞などもあることを理由に挙げた。いわば百貨店とアパレル側の関係も、従来のようなウィンウィンの関係を保てなくなっている。
実際、アパレル大手の業績は不振が続く。オンワードホールディングスの営業利益は2014年2月期に102億円だったが、16年2月期には37億円まで目減りした。
三陽商会は15年12月期に営業利益が前期比35.6%減の大幅減益となった上、今期も第2四半期は55億円の営業赤字を計上した。三陽の場合は英国バーバリー社とのライセンス契約が切れ、「ドル箱」を失った影響もあるが、それだけではなさそうだ。大手アパレルメーカーは百貨店への依存度が高く、百貨店の店舗数が減ればそれだけ売上も減っていく。経営悪化の背景には、百貨店の閉店があるのは明らかだ。
百貨店に出店している企業も百貨店以外のチャネル、駅ビルやショッピングセンター(SC)などで収益を稼ぐ戦略もある。
ワールドは百貨店依存から脱却するため、SCへの出店をいち早く始めた。しかし早急な出店とブランド拡大戦略によりブランドマーケティングで自己矛盾を抱え、16年3月期に全体の15%程度にあたる400〜500店の店舗閉鎖に追い込まれている。
SCでは百貨店自体が持つブランド力によるブランドイメージの向上にはつながらないし、しかも駅ビルやSCには“先客”のアパレルメーカーがひしめいている。百貨店依存度の高いアパレルメーカーほど、百貨店大閉鎖時代のサバイバル戦で苦境に陥ることが予想されている。
■百貨店経由のブランド戦略に陰り?
大量閉鎖の影響大きい化粧品業界
化粧品業界も百貨店の大量閉鎖の影響を受けやすい業種といっていい。資生堂やコーセー、カネボウ化粧品といった大手化粧品メーカーはこれまで、百貨店に高級ブランドを導入しブランドイメージ、ブランドの価値を高め、契約している化粧品専門店や、ドラッグストアで値ごろ感のある商品を販売し利益をとる構造だった。
しかし、これも百貨店が減れば続けられない。すでに化粧品メーカーの有力チャネルは従来のメーカー系列の化粧品専門店などから、ドラッグストアやネット通販に移っている。一部調査機関によると、例えばドラッグストアはメーカー出荷額全体に占める割合は3割程度となっており、化粧品メーカーにとってメインのチャネルになっている。
百貨店を頂点としたマーケティングが通用しにくくなっている現状があるが、百貨店自体が減っていく今後は、こうした百貨店でイメージを確立し、他チャネルで果実を採る戦略がますます難しくなるのはまちがいない。
化粧品の場合も、これまではインバウンドの需要で百貨店売上高も増加していたとみられる。しかし、今後はインバウンド需要の縮小と販売先としての百貨店店舗の縮小で、国内の販売戦略の見直しを迫られる可能性が高まっている。
■百貨店から撤退を始める!?
海外の高級ブランドの戦略見直し
このまま、百貨店の閉鎖が進むと、海外のラグジュアリーブランド(高級ブランド)も日本国内の戦略を見直さざるを得なくなる。
百貨店というある程度高級感のある“器”で商品を販売すれば、ブランドの管理もしやすい。しかし、「ブランド側にとっても単独路面店はコストがかかりすぎるし、SCではブランドイメージが作れない。保てない」(ある百貨店の幹部)という事情があるからだ。
百貨店側でもブランドイメージの高い欧米のブランドについては、商品代金の5%の手数料、つまりブランド側は95%の掛け率で百貨店に納入するところもあるというから、一部の高級ブランドにとっては、まさに「百貨店さまさま」だった。だが、厚遇されているブランド側でも百貨店自体の集客力が弱まれば出店し続けることも困難になってくる。外資はドライに百貨店から撤退するという決断を下すだろう。
■なぜ大量閉鎖時代を迎えているのか
自助努力の欠如で凋落した百貨店
そもそも百貨店がなぜ大量閉鎖時代を迎えているのか。百貨店売上高(15年=6兆1700億円)の約3割を占める衣料品の不振にほかならない。ファーストリテイリングが展開する「ユニクロ」に代表されるような有力専門店やネット通販が市場を拡大するなどの外部要因もある。
しかし、それはあくまで一因であって、主因ではない。凋落は百貨店自体の自助努力の欠如が原因だろう。これまでもいわれてきたことだが、主力の衣料品はアパレルメーカー任せの商品政策、売り場運営であり、一部で自社開発商品や自主運営売り場作りに取り組んできたが、どれも成功しているとは言い難い状況だ。
どこに行っても同じアパレルメーカーの商品が並び、同じような売り方の百貨店に消費者は魅力を感じなくなった。それが大量閉鎖時代の百貨店の深淵だ。ブランド側はその影響をモロに受け、共に凋落しつつあるのが実情である。
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