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9月30日のNYダウは反発。だが「暴落のサイン」が出かかっているという。どういうことか(写真:UPI/アフロ)
NYダウ、「不吉な暴落のサイン」が点灯寸前
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161001-00138517-toyo-bus_all
東洋経済オンライン 10月1日(土)13時0分配信
まずは9月の日本株を振り返ってみよう。日経平均株価は月間ベースで2.6%安と3カ月ぶりの下落となった。
東証1部の1日の売買代金平均は、1兆9830億円と2014年8月以来の2兆円割れ。ザラ場ベースでの上下のレンジは僅か870円と、2014年11月の807円以来の狭い値幅となった。日米金融政策の発表や、石油輸出国機構(OPEC)による8年ぶりの減産合意などイベントは豊富だったにもかかわらず、投資家のセンチメントは一向に高まらなかった。
■ドイツ銀揺れても「欧州版恐怖指数」はさほど高まらず
3日から10月相場がスタートする。今月は週初の日銀短観発表以降、月末の日銀の金融政策決定会合(10月31-11月1日)まで、個別企業の決算発表ぐらいしか材料が見当たらない。
米国でも、連邦公開市場委員会(FOMC)は10月に開催されず、雇用統計など通常の経済指標発表を除くと米大統領候補者によるTV討論会(9日、19日)ぐらいしか材料はない。
また、欧州最大の銀行であるドイツ銀行が信用問題で揺れているが、「欧州版恐怖指数」であるVSTOXX指数は20を割り込んでおり、現段階ではさほど警戒感は高まっていない。日米欧ともにボラティリティ(変動率)は低下したままだ。
だが、このような低体温相場のなか、NYダウを対象としたテクニカル分析では、今年初の「売りサイン」が点灯する可能性が高まっている。「ヒンデンブルグ・オーメン」だ。
ヒンデンブルグ・オーメンとは?
まずはヒンデンブルグ・オーメンというテクニカル分析を紹介したい。ヒンデンブルグ・オーメン(Hindenburg Omen)は、株価暴落の前兆とされるシグナル(サイン)のことを指す。
ここでのサインとは、売りサインのことで、買いサインは存在しない。名前は、1937年5月に米国のニュージャージー州レイクハースト海軍飛行場で発生したドイツの飛行船「ヒンデンブルク号」の爆発事故に由来する。
また、オーメンとは「良くないことが起こる前兆」という意味がある。何やらオカルト的な要素が含まれているように見えるが、物理数学者が考案したNYダウ向けテクニカル分析と言われている。
■一度サインが出ると40営業日有効、過去は暴落も
株価がどういう状況になったら、ヒンデンブルグ・オーメンになったというのか(=発生条件)は後述するとして、一度サインが出ると「40営業日は有効」とされており、過去のデータでは、ヒンデンブルグ・オーメンが確認された後、以下のようなことが発生すると言われている。
・77%(80%とも)の確率で株価は5%以上下落
・パニック売りとなる可能性は41%と算出
・重大なクラッシュとなる可能性は24%と算出
実は、直近では最後にサインが点灯したのは昨年2015年の6月中旬だった。結局昨夏は、7~8月の中国株の大暴落をきっかけに、NYダウは1万8000ドル台から一気に1万5000ドル台に下落。重大なクラッシュとは言えないかもしれないが、2カ月間で15%の下落(実際は8月のごく短期間での急落)はパニック売りだったと言えるだろう。
さてヒンデンブルグ・オーメンの発生条件である。条件は諸説あるが、一般的には、同日に下記の3項目が起こった際に「サインが発生する」と言われている。
(1)NYダウの値が50営業日前を上回っている状態(10週移動平均線を用いる説も)
(2)NY証券取引所(NYSE)での52週高値更新銘柄と52週安値更新銘柄の数がともにその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.2%以上となる(つまり専門用語で言えば新高値・新安値比率が2.2%以上。2.8%以上との説もある)
(3)短期的な騰勢を示す指標である「マクレラン・オシレーター」(McClellan Oscillator、オシレーターは「振り子」の意味)の値がマイナス
いまのNYダウはどんな状態なのか?
いま挙げた3つのほかにも「52週高値更新銘柄数が52週安値更新銘柄数の2倍を超えない」という項目が加わることもあるようだが、今回は前出の3項目で、足元のNYダウの動向を検証してみよう。
■現在は「1項目のみのクリア」状態だが・・
まずは(1)のNYダウの水準だが、足元のNYダウは史上最高値水準でのモミ合い相場となっている。50営業日前は1万8200-1万8500ドルで推移していたことから、現在の水準を維持していればこの項目は容易にクリア(達成)できる。実際、クリアしたりしなかったりという状況が続いている。
(2)についてだが、新高値比率は2.9%とクリアしているが、新安値比率が0.7%に留まっている。ただ、足元のNYダウは高値圏で推移しているが、日経平均同様、一部の銘柄の上昇(NYダウではアップル株)が指数をけん引する格好となっていた。今後、NYダウ高止まりの一方、新安値銘柄が増加する可能性はある。
最後に(3)だが、マクレラン・オシレーターは現在マイナス圏で推移している。9月上旬にプラス圏をつける場面が見られたものの、夏以降はマイナス圏が継続。
上記の結果、現在、3項目中(3)の一つだけがクリアしている状況だが、(1)、(2)の項目についてもクリア間近な状況だ。
仮に昨年6月以来のサイン点灯となると、やはりNYダウの動向には要警戒となろう。NYダウが急落した場合は、日本株はほぼ連動する。
NYダウ下落で、リスク回避の円買いが加速すると、日銀によるETF買い入れ効果も焼け石に水となり、ボラティリティが上昇。先行き不透明感が一気に高まるとオーバーナイトのポジションを取る売買は手控えられ(今もだが)、短期的な投資がメインとなり荒い値動きとなろう。
現在、ヒンデンブルグ・オーメンのサインは点灯していないが、もし10月中にサイン点灯となれば、有効期限は40営業日なのでほぼ年内が対象期間となる。11月の米大統領選挙や、12月の米金利引き上げの可能性などが、急落相場のきっかけとなるのだろうか。オカルト的な名称のテクニカル分析だが、決して侮れない。何かあればもちろんこのコラムでも詳報するが、10月中は要注目と言えそうだ。
田代 昌之
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