http://www.asyura2.com/16/hasan113/msg/488.html
Tweet |
昨年7月、「不正会計」を受けて謝罪をする東芝首脳陣【PHOTO】gettyimages
東芝の元社長らを刑事告発に追い込む、ある男の「意地と執念」 検察が動かないなら…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49776
2016.9.22 伊藤 博敏 ジャーナリスト 現代ビジネス
■否認しても立件は可能、と判断
佐渡賢一・証券監視委員会委員長の「本気度」は、いくら検察が東芝3元社長の刑事告発を門前払いにしようと、揺るがなかった。
東芝の不正会計問題を調査している証券監視委は、西田厚聰、佐々木則夫、田中久雄の3元社長が、粉飾を認識していた疑いが濃厚だとする調査結果をまとめ、検察に伝えた。今後、3元社長の事情聴取を始め、検察との間で告発協議会を開き、刑事告発する。
検察は今年7月8日までに、「歴代社長の刑事責任を問うことは困難」とする見解を証券監視委に伝えた。普通ならそれで折れるところだが、「東芝粉飾決算を見逃せば、日本の企業社会は粉飾天国と見なされ、国際的な信用失墜につながる」という佐渡委員長の強い意志のもと、調査は継続してきた。
両者の水面下の争いを、私は本コラムで「『なぜ東芝不正会計を立件しないのか』証券監視委トップが検察に激怒でバトル勃発!」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49296・7月28日配信)と題してお伝えした。
その後の粘り強い調査の結果、財務担当者などへの聴取を繰り返したことで、3元社長が主導して四半期ごとの決算期末に多額の利益をあらかじめ計上していたことが、会議を記録した音声データや証言から裏付けられた。つまり、証拠も証言もある。
それをもとに3元社長から聴取。たとえ3元社長が否認しても立件は可能というのが証券監視委の見解である。
検察協議会は、事件化へ向け、刑事告発を前提に事前にすり合わせたうえで開くから、本来は形式的なものに過ぎない。今回のように見解が分かれたまま、ぶつかり合いの協議をするのは異例。
しかし佐渡委員長は、検察が受理せざるを得ない材料は整っているとしており、「(今年12月の)任期中までには受理させる!」と、豪語している。
ここまで佐渡委員長が意地になったのは、証券監視という職務以外に、捜査もせず受理もしない検察への根深い不信がある。
■「腰抜け集団」
それは証券監視委だけでなく、「受理して起訴」してもらう立場の警察、国税、公正取引委員会などにも共通しており、そうした捜査・調査機関の動向を追うメディアの記者も同じ思いだ。
そんな気分を表したのが、会員制総合月刊誌『選択』(9月号)が報じた「無駄飯喰らいの『東京地検特捜部』 巨悪は『叩かない』腰抜け集団」という記事だろう。
この記事は、2010年の大阪地検特捜部の証拠改竄事件を機に「特捜改革」に踏み切った検察が、甘利明・元経済再生担当相の事務所が移転補償金増額目的のブローカーから現金を授受していた問題など、立件が当然と思える事件も不起訴にしてしまう末期症状を過不足なく描いていた。
そうした不満と不信は、検察当局にも伝わっている。
折りしも9月5日付け人事で、法務・検察の中枢は入れ替わった。トップの最高検検事総長には西川克行氏、東京高検検事長には田内正宏氏、東京地検検事正には堺徹氏が、それぞれ就いた。8月5日付けで東京地検特捜部長に吉田安志氏が就任しており、検察捜査を担う縦ラインは一新した。
記者会見に応じた西川、田内、境の3氏が、検察改革の必要性にふれ、成果はあがっていると自賛しながらも、「悪い犯罪者をのさばらせないことが必要。特捜部が本来の仕事を遂行し、成果を上げなければ検察改革は実現したとはいえない」という田内検事長の発言は、内外の厳しい目を意識してのことだろう。
■問われる検察の存在意義
福岡高検検事長を最後に検事を退官、証券監視委委員長となった佐渡氏は、3期9年、委員長を務め、東芝事件を「最後の仕事」と考えている。
もっとも、最初から刑事事件化を考慮していたわけではない。
内部告発から始めた調査で、有価証券虚偽記載を問題視、過去最高の73億円の課徴金納付を命じたところで一件落着のハズだった。粉飾金額は2000億円を超えるが、東芝の年商6兆円の規模から考えると、それほど大きな数字とはいえない。
しかし、継続調査の結果判明したのは、社長の関わりの深さである。
3元社長が「あらかじめ計上していた利益」とは、コンパル社など台湾の製造受託メーカーへの外部委託の過程で捻出していた利益である。東芝のパソコン部門では、パソコン部品を自社で調達、これを受託メーカーに四半期の期末ごとに高値で売却し、原価との差額を利益計上していた。
この部品をもとに受託メーカーは完成品を製造。「バイセル取引」と呼ばれるが、完成品の価格は「部品代+組立代」なので、捻出した利益は翌月には消えてしまう。そんな恒常的な粉飾を、社長自ら主導していたことを佐渡委員長は問題視。証言と証拠が揃ったことで、3元社長の本格聴取に入る。
検察を見限ったような前代未聞の手法を取ったのは、起訴しない検察への対抗手段が、これしかないからだ。
警察は犯罪者を逮捕、国税は脱税を見逃さず、証券監視委は金融犯罪を防ぎ、公取委は談合などを許さないのが仕事である。
そうした捜査・調査機関の監視と摘発が、国家秩序と国民生活を守るという合意事項が国民との間にはある。ただ、それを法廷の場で犯罪として裁くのには起訴しなければならず、起訴権(公訴権)を持つ唯一の役所が検察である。
その検察が、正しく機能していないことは誰の目にも明らか。そこをOBの佐渡氏が突いた。検察新体制が、その抗議の告発にどう応えるのか。
鼎の軽重を問われる段階は過ぎた。検察の存在意義が問われている。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民113掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。