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焦点:
日銀の金利目標復活、スティープ化でも銀行の苦境続く
[東京 21日 ロイター] - 日銀が新たに「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を発表し、イールドカーブを直接コントロールする方針を打ち出したことで、21日の銀行株は上昇に転じた。
市場では、イールドカーブのスティープ化により銀行収益の改善が見込まれるとの期待も出ているが、すでに極度のフラット化が進んだ後の修正であるため、銀行収益を大幅に押し上げる効果は望めないとの見通しが金融界で広がっている。
日銀は新たな金融政策の枠組みで、日銀当座預金に対してマイナス0.1%の金利を適用する現行政策を維持し、加えて長期金利がゼロ%程度で推移するよう長期国債を買い入れる方針を明らかにした。
10年長期国債利回りJP10YTN=JBTCは、日銀の政策発表後に一時0.005%に上昇。その後、マイナス圏に戻ったものの、この先はプラス圏で推移しそうだとの見方が浮上している。
一般的に銀行収益にとって、イールドカーブのスティープ化はポジティブだ。商業銀行のビジネスモデルは、短期調達/長期貸出が典型であるためだ。
ただ、実際は銀行の貸出金の半分以上が、短期金利をベースとした変動金利型。長期貸出金は3年や5年が中心となっており、7年程度までフラット化している現在のイールドカーブでは、10年金利が上がっても銀行収益へのメリットは小さいと分析する声が、金融界では圧倒的に多い。
しかも、足元の短期金利はマイナス金利政策の導入で、貸出の指標となるTibor(東京銀行間金利)もゼロ近辺に張り付いており、利ざやは縮小の一途だ。
このため日銀の新しい金融政策の枠組みでも「現在のカーブの形状では、収益にポジティブとは言い切れない」(大手行幹部)と悲観的な見通しが少なくない。
全国銀行協会の国部毅会長(三井住友銀行頭取)は15日の定例会見で、イールドカーブについて「10―20年物の国債の超長期が上がっている形のスティープ化は、かつマイナス金利が深掘りされて短期金利が低下するようなことになると、銀行収益にはネガティブのインパクトが大きい」と語った。
金利の上昇は、銀行が保有する国債の金利収益の増加につながるが、大手行の足元の残存期間は3年弱。地銀も4年程度となっている。「スティープ化によるプラス影響は、国債運用という観点からも余り大きくない」(国部会長)という。
一方、日銀がマイナス金利の深掘りを見送ったのは、収益的にプラス。クレディ・スイス証券の銀行担当アナリストの三浦毅司氏は、今回の政策について「深掘りがなかった点は、ポジティブサプライズ。Tiborが下がらず、貸出金利に影響が出ない」とコメントした。
ただ、黒田東彦総裁は会見で、マイナス金利の深掘りを否定せず、「今後の緩和策としてその選択肢は充分に残っている。量的緩和とマイナス金利の組み合わせは相当の効果がある」とも指摘。今後、大きなショックが発生した場合なども含め、この日の会見ではマイナス金利の深掘り余地に何度も言及した。
ある大手行の幹部は「さらに深掘りされると、Tiborがマイナス圏に入ってしまう可能性があり、預貸金収益には大きなダメージになる。厳しい状況であることには変わりない」と語っている。
(布施太郎 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/focus-bank-boj-idJPKCN11R0ZS?sp=true
焦点:
日銀新スキーム、超長期の適正水準不透明 振れ拡大の思惑
[東京 21日 ロイター] - 21日の円債市場で、10年最長期国債利回り(長期金利)JP10YTN=JBTCが半年ぶりのプラス圏に浮上した。日銀は、金融市場調節目標をこれまでのマネタリーベースからイールドカーブ(利回り曲線)に変更。金融政策の枠組みの大幅修正を決定したが、その実効性に対し、参加者の中には疑問を持つ声もある。
特に超長期ゾーンでは、日銀が適正と見る水準が不透明で、イールドカーブが振れやすくなるとの見通しが浮上している。
緩和強化ではなく、緩和後退ではないか──。国内金融機関の債券関係者は、日銀の政策枠組み修正について、こう感想を漏らす。
日銀は20─21日の金融政策決定会合で、金融緩和強化のための新しい枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を決定。長短金利操作で短期金利の操作対象となるマイナス金利幅は現行の0.1%を維持する一方、長期金利(10年国債金利)がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買い入れを行う方針を示した。
黒田東彦総裁は会合後の会見で、新しい政策の枠組みはテーパリングではない、と強調した。
しかし、市場では長期金利のターゲット水準を現在の実勢を上回るゼロ%に設定したことで、事実上、金利上昇による金融引き締めの側面を意識する声が広がっている。
また、金融機関から批判の声が相次いでいるマイナス金利の深掘りを見送ったことで「マイナス金利政策の限界さえ、意識され始めている」(国内金融機関)という。
市場は、日銀の決定に敏感に反応した。長期金利は一時前日比6.5bp高い0.005%と3月11日以来のプラス圏に浮上。
マイナス金利深掘りをある程度織り込んでいた2年債利回りJP2YTN=JBTCも一時同4.5bp高いマイナス0.225%に上昇した。
9月に入り、黒田総裁、中曽宏副総裁と講演が相次いだだけに「日銀はもっと丁寧に市場とコミュニケーションを取るべきだった」(外資系証券の債券関係者)と、日銀への苦言も聞かれる。
さらに円債市場が不安視するのは、日銀が許容する10年超の金利形成が見えない点だ。
日銀は新たに、指定利回りによる国債買い入れ(指値オペ)の導入を決定。「指値オペのオファー額は場合によっては無制限とされており、これは金利の上昇を強力に抑制する手段となる」(みずほ証券・シニア債券ストラテジストの丹治倫敦氏)とみられている。
一方で、金利低下の場合には、買い入れ頻度などを調整するとみられている。いわば、10年超の金利形成は、日銀オペのさじ加減に大きく影響されることになる。
外資系証券関係者は「10年超の利回りは、短期的に日銀の許容レンジの上限と下限を試しにいくとみられ、上下に振れるだろう。過度にフラット化が進んだ場合、日銀からはしごを外される可能性があるため、プラス利回りを求める投資家は恐る恐る買いを入れざるを得ない。時間がかかるかもしれないが、日銀の買い入れをこなしながら、徐々にボラティリティーが低下していくのではないか」とみている。
(星裕康 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/boj-rate-long-idJPKCN11R14K
日銀、量から金利に枠組み修正 黒田総裁「テーパリングでない」
[東京 21日 ロイター] - 日銀は、20─21日の金融政策決定会合で過去3年半の大規模な金融緩和の「総括的な検証」を行った結果、金融緩和の度合いをこれまでのマネタリーベース(資金供給量)から利回り曲線(イールドカーブ)に変更する大幅な枠組みの修正に踏み切った。
従来の年間80兆円もの巨額国債買い入れは、1−2年中の行き詰まりが必至なうえ、超長期金利の過度な低下が金融機関などの収益圧迫要因となったのを踏まえた苦渋の選択だ。ただし政策の持続性と柔軟性は確保されたため、市場は円安・株高で反応した。
新たな枠組みでは、日銀は毎回の決定会合で、景気を加速も冷やしもしない中立的な「均衡イールドカーブ」を試算。均衡イールドカーブと比べて適切に緩和的なイールドカーブの水準をイメージしながら、短期金利と長期金利を決めるスタイルだ。今会合では短期金利の操作対象となるマイナス金利幅は現行の0.1%を維持する一方、新たに長期金利(10年国債金利)がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買い入れを行う。長期国債の買い入れは、保有額が年間80兆円程度増加する現行ペースをめどとする。
<マネタリーベース目標は撤回、拡大方針は継続>
また 金融政策運営の枠組みの量から金利への変更に伴い、これまでのマネタリーベースを年間80兆円増加させる目標を撤回した。もっとも、目標とする物価が実績として2%を超えるまで「マネタリーベースの拡大方針を継続する」との新たなコミットメントを導入した。
もっとも、当面の国債買い入れ額は年間約80兆円の現行ペースをめどとするとの文言を追加し、枠組み修正が市場に急変をもたらさないよう配慮している。今後、必要な場合は、マイナス金利のさらなる深掘りとともに、 長期金利の操作目標を引き下げる追加緩和手段が軸になる。従来の資産買い入れやマネタリーベースの拡大も追加緩和手段として排除していない。
<増減することはあるが、大きく増減することはない>
会見した黒田東彦総裁は「今のところは(年間)80兆円のペースで国債を買っているが、今のイールドカーブ(の形)は適切」と指摘し、当面国債買い入れの量は変わらないとの見方を示した。一方、国債買い入れ額は「大きく増加したり減少したりするとは見込んでいないが、(買い入れ額は)今後もずっと固定するのでなく、上下、変動する」と述べ、目標金利を実現していれば、買い入れ量は減少しうることを説明した。
市場関係者や日銀OBの間では、金融緩和の目安を量から金利に変更すれば、必要な国債買い入れ量を相当量減らすことが可能との指摘もあった。このため会見では、テーパリング(緩和縮小)ではないか、との質問も出たが、黒田総裁は「テーパリングではない」と断言。日銀は、物価目標を達成した後にテーパリングに移行した米連邦準備理事会(FRB)とは状況が異なると説明した。
<金融機関への配慮、半分当たっている>
イールドカーブ目標導入の背景は、マイナス金利導入による金融機関の収益圧迫懸念などがあるか、との質問には「半分当たっていて半分当たっていない」と回答。マイナス金利導入で「貸出金利や社債金利の低下につながった」と成果を示すとともに、「イールドカーブの過度なフラット(平坦)化は広い意味で金融機能の持続性への不安感をもたらし、マインド面で悪影響がある」と、総括検証を引用する形で答えた。
<量とインフレ期待、密接にリンクしてない>
金利モードにシフトしたのは、「量」の政策が手詰まりだからか、との質問に対しては、「今後も量・質・金利で(追加緩和)対応できる」とし否定したものの、「短期的にマネタリーベースの増加と期待インフレ率が密接にリンクしているわけでない」と指摘。未曾有の国債買い入れが、人々の物価見通しを引き上げるとの所期の目的を十分には果たしえなかったことを暗に認めた。
期間10年以上の金利は景気や需給などの要因が絡み動くため、従来中央銀行が操作できないとされてきた。黒田総裁は「リーマン・ショック後は各国中銀が長期国債の買い入れで長期金利を直接に下げようとして、現に下げている」と指摘し、「イールドカーブ・コントロールは十分できる」と強調した。
<市場では円安につながらないとの指摘も>
日銀の政策決定を受けて金融市場は円安・株高で反応。長期金利は上昇した。野村証券のチーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏は「市場にテーパリングであるとの解釈を与えないように万全の注意を払いながら、80兆円の国債買い入れのペース目標を事実上、有名無実化した。金融市場で良好な初期反応を得ることは非常に重要だったはずで、株高、ドル高の反応には安堵したはずだ」と評価した。
三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチ・チーフアナリストの内田稔氏は「マイナス金利導入から、わずか半年での方針の大転換」と指摘。ただ「緩和姿勢の後退と受け止められなくもない。こうして見ると、持続的な円安につながる話ではない」と懸念を示した。
(竹本能文、伊藤純夫 編集:内田慎一)
http://jp.reuters.com/article/boj-easing-kuroda-idJPKCN11R133
日銀:長短金利を操作目標に、国債購入は増減へ−物価2%超まで継続
日高正裕、藤岡徹
2016年9月21日 13:47 JST 更新日時 2016年9月21日 18:09 JST
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日本銀行は金融政策の新しい枠組みである「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を21日開いた決定会合で決めた。短期政策金利のマイナス金利を維持すると同時に10年国債利回りを0%に誘導する。
記者会見した黒田東彦総裁は、長短金利差であるイールドカーブを操作目標とすることから、現在80兆円ペースで行っている長期国債買い入れについて「増減することはあり得る」と述べた。
日銀の発表文によると決定は、1)長短金利の操作を行う「イールド・カーブ・コントロール」、2)消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の物価目標を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」−−の導入が柱。
日銀は従来のマイナス金利付き量的・質的金融緩和の効果や副作用について「総括的な検証」を行った上で、今回の措置を決定した。黒田総裁は会見で、従来の政策が「手詰まりになったということはない」と説明。「必要ならちゅうちょなく政策の調整を行う」として、「量、質、金利で追加緩和の余地はある」と語った。物価が2%を超えるまで緩和継続する方針は「極めて強いコミットメント」と述べた。
「テーパリングではない」
短期金利は、当座預金の政策金利残高に従来通りマイナス0.1%を適用。長期金利については10年物国債金利がおおむね現状程度(0%程度)で推移するよう、長期国債の買い入れを行う。買い入れ額はおおむね現状の年間約80兆円ペースをめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。買い入れ対象は引き続き幅広い銘柄として、従来7ー12年としていた平均残存期間を廃止する。
長短金利操作のための新型オペも導入する。日銀が指定する利回りによる国債買い入れ(指し値オペ)で、金利が上昇した場合などには10年金利や20年金利を対象とした指し値オペを実施する用意があるとしている。さらに固定金利の資金供給オペを行うことができる期間を従来の1年から10年に延長する。
黒田総裁は国債買い入れについて会見で、現時点では年間増加ペース80兆円をめどとしているが、「将来、イールドカーブを実現するため必要な国債の額はその時々の経済、物価、金融情勢によって上下する」と述べ、状況によって買い入れを柔軟化する方針を示した。同時に新しい枠組みは「テーパリングではない」と述べ、国債買い入れの縮小との見方を否定した。
「オーバーシュート型コミットメント」としては、2%の物価安定の実現を目指し、これを安定的に実現するために必要な時点まで新しい枠組みを継続する。マネタリーベースは、イールド・カーブ・コントロールの下で短期的には変動し得るが、生鮮食品除く消費者物価の実績値の前年比上昇率が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続するとしている。
ETF2.7兆円はTOPIX連動に
年間約6兆円のETFと同900億円のJ−REITの買い入れ方針は維持する。ETFは年間買い入れ額5.7兆円のうち、3兆円は従来通り3指数連動型を対象に、残り2.7兆円はTOPIX連動型を対象に、いずれも銘柄ごとの時価総額におおむね比例するよう買い入れる。
今後の追加緩和手段については、マイナス金利の深掘りなど「短期政策金利の引き下げ」や「長期金利操作目標の引き下げ」のほか、量的・質的緩和以来実施してきた資産買い入れの拡大が考えられるという。状況に応じてマネタリーベースの拡大ペースの加速を手段とすることもあるとしている。
明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは、「マネタリーベースからイールドカーブにメーンターゲットを移したということ」と述べ、「今後緩和する場合は、マイナス金利の深掘りをしていくということだろう」との見方を示した。またこの日の決定について「追加緩和的な要素はない。今後円安が進むような材料ではない」と指摘した。
日銀決定を受けて、債券市場では新発10年物国債の利回りが一時プラス0.005%と3月11日以来の水準まで上昇した。東京株式相場は上昇、TOPIXは前日比2.7%高の1352.67で終了。円相場は東京外為市場で1ドル102円台後半まで下落したが、欧州時間に入ると101円台後半での取引となっている。
ブルームバーグがエコノミスト43人を対象に7−12日に実施した調査で、今会合の追加緩和予想が23人(54%)と過半数に達していた。緩和予想の23人は手段(複数回答)としてマイナス金利拡大(14人、61%)と長期国債買い入れ増(13人、57%)を挙げたが、後者については持続可能性への懸念などから、7人がレンジ化の可能性を指摘していた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-21/ODL22G6JIJUW01
米・日の10年物国債が下落−日銀は10年債利回り0%付近で維持目指す
Wes Goodman
2016年9月21日 14:44 JST 更新日時 2016年9月21日 18:43 JST
21日の債券市場で日本と米国の10年物国債価格が下落した。日本銀行は10年債の利回りが0%付近で推移するようコントロールすると発表し、マイナスに繰り返し落ち込む事態を日銀が阻止するとの観測が広がった。日銀の決定で世界的な長期金利低下の要因の一つが和らいだ。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーのデータによると、ロンドン時間午前8時17分現在、米国債の10年物利回りは1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して1.7%。日本国債の10年物利回りも一時3月以来のプラス圏を回復した後、前日比3 1/2bp上昇のマイナス0.03%。
原題:U.S., Japan Bonds Decline as BOJ Targets Benchmark Yield at Zero(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-21/ODU9QV6JIJVD01
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