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「ワンルームマンション投資を年金代わりに」甘い言葉の落とし穴
http://diamond.jp/articles/-/102454
2016年9月21日 深田晶恵 ダイヤモンド・オンライン
■購入意欲をかき立てる
セールストークに信憑性はあるか
首都圏でワンルームマンションの分譲が急増している。そのため最近、知人・友人の男性から「新築ワンルームマンション投資の営業を受けているのだが…」と相談を持ちかけられることが多くなった。
勧誘を受けている人は「営業マンのセールストークは購入意欲をかき立てるもので、説明資料も一見“おトク感満載”に見える。でも、どこかに落とし穴があるような気がするけど、どう思う?」と私に尋ねる。購入意欲をかき立てるセールストークとはどういうものか、みなさんも気になるはず。さっそく見てみよう。
セールストーク(1)
「利回りは4.2%と高利回り!預貯金はゼロ金利ですから、今こそ、不動産投資です!」
セールストーク(2)
「35年の家賃保証があるので、空き室があっても家賃収入が途切れることはありません!」
セールストーク(3)
「ローンを組んで購入したとしても、毎月の返済は家賃収入でほぼ賄えます」
セールストーク(4)
「ローン完済後は年間100万円の家賃収入が年金代わりになり、これで老後は安心!国の年金はアテになりませんからね〜」
セールストーク(5)
「マンション投資は節税効果がありますから、確定申告をすれば税金が戻ってきます」
上記5つのうち、「間違いではない」と言えるのは、最後の「マンション投資は節税効果があり、確定申告をすれば税金が戻る」のひとつだけ。その他の4つは、正確な説明とは言えず、突っ込みどころ満載のセールストークである。
■表面利回りは4.2%でも、
経費を考慮した実質利回りは2.9%!
手元に投資用新築ワンルームマンションの説明資料がある。これを使ってセールストークを検証してみよう。浅草に近い場所にある物件で、専有面積は25m2、販売価格は2640万円。一部屋で2500万円を超えるとは、バブル時代の価格水準である。
家賃収入は、月額9万2500円(年間111万円)を想定している。セールストーク(1)の「利回り4.2%」は、年間家賃収入(111万円)÷物件価格(2640万円)×100=4.2%が根拠となっている。
不動産投資の勉強をしたことがない人なら「利回り4.2%は預貯金よりも魅力的!」と思うかもしれないが、これは「表面利回り」といって、投資対象物件を比較するためのモノサシに過ぎない指標である。
不動産は取得にも保有にもコストがかかるので、それらのコストを考慮した「実質利回り」を知ることが肝心だ。
実質利回り=(年間家賃収入−諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100
この物件の場合、不動産購入時の諸経費と不動産取得税の合計が約70万円、保有中の諸経費が年約30万円かかるので、それらを考慮すると実質利回りは2.9%。ただし、上記の計算にはローンを組む際に発生する保証料や印紙代といった諸経費や、ローンの利息を考慮していない。支出をすべて含めて計算すると、実質利回りはさらに低くなる。
また、空き室の時期があると年間家賃収入は全額を見込めない。物件購入者の不安を解消するために投資用物件の場合、空き室があっても家賃保証会社が一定の割合の家賃をオーナーに支払う「サブリース契約」がセットになっているのがほとんどだ。
セールストーク(2)に「35年間の家賃保証」とあるが、サブリース契約はトラブルも多い。35年間の家賃保証をするとはいっても、契約書には「保証する家賃は相場の変動により変えることができる」などといった一文が明記されているため、空き室が続くとオーナーが受け取る家賃が減らされる可能性は十分にある。
そもそもサブリース契約を結ぶと、オーナーは入居者が支払う家賃を満額受け取ることはできない。家賃保証会社の手数料を差し引いた85〜90%程度の金額しか受け取れないのである。
過去には、契約途中で家賃保証を解除されたというトラブルも多く発生している。「35年の家賃保証=安心」ではない。
■毎月の収支赤字1万4000円は
年金保険料と思えって、どういうこと?
セールストーク(3)「ローンを組んで購入したとしても、毎月の返済は家賃収入でほぼ賄えます」は、どうだろう。
説明資料では、2640万円のワンルームマンションを、頭金わずか10万円、残り2630万円をローンで購入する試算となっている。ローンの前提条件と毎月の収支は次の通り。
【ローン】借入金:2630万円、金利1.95%、返済期間:35年
【毎月の収入】家賃保証8万3250円(家賃9万2500円−サブリースの手数料9250円)
【毎月の支出】ローン返済額8万6448円+管理費・修繕積立金1万600円
【毎月の収支】マイナス1万3798円
「毎月の返済は家賃収入でほぼ賄える」と言っているのに、実際は毎月の収支は1万4000円近くも赤字になる!これはいったいどういうことか。
勧誘された知人に「ここ、質問してみた?」と尋ねたところ、「もちろん聞いた。だって、投資なのに収支が赤字の見込みっておかしいよね」。
営業マンは「持ち出しとなる月約1万4000円は、老後に毎年100万円の家賃収入を得るための“年金保険料”だと思ってください」と答えたという。この「赤字分は老後の年金のための年金保険料」というセールストークは、この数年あちらこちらで聞くようになった。投資用物件を販売する業界で全国的に流行している売り文句なのだろう。
営業マンが「持ち出し」と言い換える「収支赤字」は、年間で約17万円。他に固定資産税が約6万円かかる。入居者の入れ替えがあれば、部屋のクリーニング代もかかるし、数年に一度のリフォーム代もオーナー持ちだ。これらを考慮すると、実際の収支赤字はさらに拡大する。数十年間も赤字を積み上げて、老後にどんなご褒美があるのだろうか。
セールストーク(4)は「ローン完済後は年間100万円の家賃収入が年金代わりになり、これで老後は安心!」である。これにも落とし穴がありそうだ。
説明資料には、ローンの借入残高の推移表がある。試算の前提は35歳で35年返済のローンを組んだ場合で、完済は70歳だ。2630万円を借りると、ローン残高は60歳時に約950万円、65歳時は約500万円の見込みである。
営業マンは、ローン残高の推移表を指さしながら「60歳か65歳でこのローンを全額繰り上げ返済すれば、毎年の家賃収入100万円は年金代わりになります」と言ったそうだ。
それまでの25年間ないし30年間、ずっと毎年の収支が赤字なのに、950万円とか、500万円の繰り上げ返済の原資は、どこから捻出するのだろうか。知人は不思議に思い、営業マンに尋ねてみた。
■税金のページだけが「3部屋買った場合」の
節税シミュレーションになっている不思議
「確定申告をすれば、税金が戻ってきますので、それを貯めて繰り上げ返済に充てるといいです」。セールストーク(5)である。
不動産投資は、建物部分の取得費が減価償却の対象となるため、それを必要経費とすると一定期間は不動産所得がマイナスになる。給与所得から不動産所得のマイナス分を引くと、所得が減るため所得税と住民税は少なくなる。確かに節税効果はある。
この資料には所得税の還付は、初年度年66万円とある。数字を見たときに違和感を持った。66万円も還付される?何だかおかしい。検算してみると、「ワンルームマンションを3部屋一度に購入した場合の還付金」であった。他のページはすべて「1部屋」を買った場合なのに、税金の還付のページだけ「3部屋購入」のシミュレーションとは、すごいトリックだ。
1部屋購入で試算してみると、所得税の還付は約20万円だった。ただし、購入者の年収は1000万円の想定なので、それより年収が低いと還付の金額は少なくなる。
「源泉徴収票の例」の記載もあるが、社会保険料も所得税の金額も私の計算とは異なる(還付額が多くなる計算になっている)。私はFPなので、仕事柄こうしたシミュレーションを読み解くことができるが、普通の人が計算のトリックを見つけるのはまず無理だろう。
■サラリーマン大家さんで成功するには、
不動産の目利きになるだけの勉強が必要
説明資料では、20年後、30年後でも新築時と同じ家賃収入が得られる前提となっているが、それは現実的ではない。新築マンションの値下がり率は高く、途中で売却しようにもローン残高を下回る価格にしかならず、売りたくても売れないというのが現状だ。
不動産投資全般を否定するわけではない。「サラリーマン大家さん」として成功している人もいるし、投資に値する優良物件もあるだろう。しかし、成功している人は、毎週末、実際にたくさんの物件を見て「見る目」を養い、リスクやデメリットを自分で見つけられるだけ勉強しているのだ。
「素人だからそこまで調べられない」と思うかもしれないが、不動産で収入を得ることは、たとえワンルームマンション1室であっても不動産事業を行うこと。不動産の目利きになるくらいの知識が必要だ。営業マンから渡された説明資料だけで物件を見ずに購入するのは、もってのほかなのである。
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