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変なホテルの受付ロボット(AP/アフロ)
ハウステンボス、仕事の半分をロボット化?「変なホテル」、ディズニーRとUSJに殴り込み?
http://biz-journal.jp/2016/09/post_16684.html
2016.09.19 文=編集部 Business Journal
人間に代わってロボットが接客する「変なホテル」の世界展開が始まる。長崎県佐世保市にある大型リゾート施設、ハウステンボスの澤田秀雄社長は、「変なホテルの目標は100店舗。世界へ向けて展開していく」と宣言した。
変なホテルは2015年7月、ハウステンボス園内に1号店を開業した。フロントに置かれたヒト型や恐竜型のロボットが、到着した宿泊客のチェックイン業務を行う。クロークでの荷物の預かりや客室への荷物運びもロボットが担当。室内に入れば会話を楽しめるロボットが待っている。館内の清掃や窓拭き、庭の芝刈りなどもロボットがこなす。
ロボットが接客するユニークな趣向は、国内だけでなくアジアを中心とした海外客に評判になり、予約が取りづらい状況が続いている。客室は開業当初の72室から144室に倍増、82台だったロボットも182台に増えた。部屋を倍増させたにもかかわらず、客室稼働率は毎月100%近い高水準が続く。
客室は倍増させたが、従業員は30人から10人に大幅に減らした。通常のホテルなら20人のスタッフが必要な部屋数だという。
澤田氏は1年間の実証実験から、低コストでも十分に展開が可能だと判断した。世界展開を決断し、17年にもホテル事業を行う新会社を設立する。
変なホテルの2号店は17年3月、千葉県浦安市にオープンする。東京ディズニーリゾート最寄りのJR舞浜駅近くで、宿泊料は1室1万5000円前後の予定。
続いて、愛知県蒲郡市のグループ施設「ラグーナテンボス」や、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに近接する大阪府大阪市内にも出店を計画。テーマパークを訪れる家族客の取り込みを狙う。
1年以内をめどに海外にも進出する。ベトナムやタイなどアジアが候補地だ。第一段階として、世界100カ所体制を目指す。労働力の確保がままならない秘境や、名所旧跡でも運営するという。
■さまざまなロボットが結集
ハウステンボスは7月に、ロボットをテーマにした新施設、「ロボットの王国」を開業した。変なレストランでは、店長や料理長、バーテンダーをロボットが務める。料理長ロボはお好み焼きを焼いて味付けまでやる。子供や若い女性に大人気だ。
ハウステンボスは毎年「王国」と銘打った新施設を設け、集客の目玉としている。花、光、音楽とショー、ゲーム、健康と美に続く6つ目の王国がロボットだった。
昨年は変なホテル、今年は変なレストラン。澤田氏は「ハウステンボスの仕事の半分はロボット化できる。世界一生産性の高いテーマパークにする」と意気込む。
ロボットが主役の変なホテルのオープンには、ロボットの開発会社が主体的にかかわった。フロントで女性ロボットがチェックインや顔認証の方法を説明するが、この女性ロボットと隣にいる恐竜ロボットを開発したのは、ハローキティなどのキャラクター商品で知られるサンリオのグループ会社でロボットメーカーのココロだ。同社は、恐竜ロボを博物館に納めた実績もある。
フロントで手続きを終え手荷物をロボットに任せると、客を先導して部屋の前まで運んでくれる。チェックイン前やチェックアウト後に荷物を預けたいときは安川電機のロボットが対応する。預けた荷物は自動でロッカーに収納される。
部屋で迎えてくれるのは、シャープが開発した「ちゅーりーロボ」だ。「電気を消して」と言えば暗くなり、朝は希望した時間になると「起きてください」と起こしてくれる。
変なホテルが全国展開するとの報道を受けて、イベント支援会社の博展株が買われた。博展が昨年11月に子会社化したロボット開発会社のタケロボが、変なホテルにマスコットロボットの「ロボコット」と、サービスロボットの「サッチャン」を納入した。
ロボットと、ヒューマンなサービスを売り物としてきたホテルの組み合わせは、海外でも注目を集めている。シリコンバレーのベンチャー企業も接触してきているという。
変なホテルの宿泊客のさまざまな相談に応じるコンシェルジュの仕事が、人工知能(AI)を応用したロボットに置き替わる日も近いだろう。
ハウステンボスは8月1日、映画配給会社のギャガの第三者割当増資を、コンテンツ制作のクリーク・アンド・リバー社(C&R)と共同で引き受けた。ハウステンボスが発行済み株式の36%を持つ筆頭株主となり、C&Rは15%を保有する。3社は仮装現実(VR)などの最新技術を使って映像コンテンツを共同制作し、変なホテルに導入することを検討している。
■熊本地震の影響で入場者数は前年比8%減
ハウステンボスは変なホテルの世界展開に向けて一歩踏み出したが、4月14日に発生した熊本地震の影響が頭痛の種だ。地震の影響で、ハウステンボスの敷地内にある直営ホテル4カ所の予約のキャンセルが1万5000人に上った。団体予約の入場者のキャンセルも2万6000人分発生した。そこで、親会社の旅行大手エイチ・アイ・エスと連携し、九州に誘客する「がんばろう!九州」キャンペーンを展開している。
ハウステンボスの15年10月〜16年6月の入場者数は、前年同期比8%減の210万人。うち、海外からお客は14%減の15万人、宿泊者数は全体で9%減の22万人だった。熊本地震の影響で入場者数は2割以上減るとみられていたが、減少幅は想定よりも小さかったようだ。
7月には、入園者数は前年同月を上回る水準にまで回復。16年9月期(通期)の入場者数は、前年並みの310万人と強気の見方をしている。ハウステンボス単体の通期の取扱高(売上高)は前期並みの297億円、経常利益は2割減の75億円を見込む。
熊本地震の影響が7〜9月期に尾を引かないかどうかが、今後のハウステンボスの業績を占うポイントとなる。
(文=編集部)
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