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私たちの意識は巧みにコントロールされている? (※写真はイメージ)
“アプリ中毒”にはワケがある ねらわれるアナタの「無意識」〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160915-00000205-sasahi-sci
AERA 2016年9月19日号
どうやってユーザーのスマホ画面で勝ち残るか。アプリ開発者たちは、ユーザーの「なんとなく」を誘うためにしのぎを削る。
着地点を探して、親指はゆらゆらとスマホの画面上を漂う。メールや通話など明確な目的がある場合のほうが少ないかもしれない。右フリック、左フリック、右フリック。数秒画面上を漂ったのち、着地するのはいつも決まって同じアプリ。フェイスブックにツイッター、インスタグラム、LINE……。ひとつアプリを閉じれば、また親指の旅が始まる。ほとんど無意識のうちに。そんな“スマホ中毒”は決して私だけではないだろう。
こちらが「なんとなく開いている」つもりでも、アプリを作る開発者にしてみれば、「なんとなく開かせる」ために日夜、あの手この手を講じている。
「ゲームやSNSアプリのほかに、近年では企業がCRM(顧客管理)の観点で展開するアプリが増えてきています。特に若年層は、スマホに接する時間が圧倒的に長い。お客さんとの接点を作るためには、アプリをチャネルとして押さえなければいけない時代になりました」
●画面上の“陣取り合戦”
インターネット広告会社オプトのマーケティングコンサル部部長、伴大二郎さんが説明する。
「さながら陣取り合戦です。まずはインストールしてもらうための努力が必要。次に、アンインストールされないための努力。マネタイズできるかどうかは、さらに先の話です」
MMD研究所の調査(2015年)によれば、スマホを所有する15歳以上60歳未満の男女がインストールしているアプリの数は平均22個。さらに、ニールセンの調査(14年)によれば、月に10回以上利用するアプリの数は9個とされている。第1関門の陣取り合戦に勝てるアプリが22個、そこからレギュラー争いに勝ち“スタメン”になれるのがたった9個、というわけだ。200万以上あるアプリの中から、だ。
「アプリを開いて30秒から1分。ここでストレスを感じさせないことと、アッと驚かせる体験をさせられるかが勝負です」
そう話すのは、音楽配信サービスAWAの取締役・小野哲太郎さんだ。サイバーエージェントとエイベックス・デジタルが共同出資している事業で、ダウンロード数は900万を超える。
「AWAは音楽を聴く場所です。まずは再生ボタンを押してから音楽が流れ始めるまでのスピードに徹底的にこだわりました」
さらに、シークと呼ばれる、指でなぞって早送りさせ、指定の地点まで一気に移動する動作へのレスポンス。いずれも0コンマ何秒という世界の話だ。その僅かな時間を縮めるために、開発者たちは技術を集結させる。
AWAは何度か利用していたが、そんな工夫があったとは。
「まったく気づきませんでした。すみません」
と言うと、小野さんは、
「いいんです、それで。気づかないことが大事なんです。気になったら、そこでストレスを感じたということですから」
さらにこんな気遣いもある。
通常、音楽のストリーミング再生では、プリフェッチ(先読み)と呼ばれる技術が使われることが多い。スムーズに再生するために、アルバムやプレイリストの次の曲のデータまで先に読み込んでおくことだ。
開発当初、AWAではあえてその技術を導入しない決断をした。先読みしてデータを読み込むとデバイスの通信量を消費するため、通信量に上限があるユーザーにとっては負担となる。通信量を最低限に抑えながら、ストレスなくスムーズな再生ができる技術を追求したという。
アプリ内でのユーザー行動は、すべてデータとして蓄積される。たとえばAWAでは1カ月の無料期間がある。無料期間にどういう使い方をしたユーザーの課金転換率(有料会員になる確率)が高いかを分析して快適な使い心地のヒントを探り、機能を改善、強化する。昨年5月のサービス開始以降、重ねた改善の数は1千にも上るという。
●わずかな変化でPV増
「音楽は欠かせない」という人にとって、音楽配信アプリが“スタメン入り”するのは、難しいことではないかもしれない。
だが、必ずしも生活に必須ではないアプリではどうだろうか。
東京・渋谷と独・ベルリンにオフィスを置くグッドパッチは、ウェブやモバイルアプリのUI(ユーザーインターフェース)、UX(ユーザーエクスペリエンス)の設計・デザインを専門に行うデザイン会社だ。
UIとは、私たちがアプリ上で接触する画面表示、ページデザイン、操作感などを指す。
グッドパッチが昨年から携わっている案件のひとつが、女性向けメディア「ガールズちゃんねる」のUI改善だ。「ガールズちゃんねる」はユーザーが投稿した話題に、コメントや投票ができる匿名掲示板で、ジェイスクエアードが運営する。
「『真田丸』見てる人、集まれ〜!」「この秋に買う予定の靴」「妊婦さん、語り合いませんか」
など、あらゆるトピックがあり、コメントが並ぶ。
●飽きる前に遷移させる
同メディアは広告収入をビジネスの大きな柱としているため、ページビュー(PV)増はクライアントに対する必達条件だ。いかにしてアプリ内での回遊率を上げ、滞在時間を増やすか。コメントに対して「+」「−」の投票ボタンを押す「アクション率」を上げられるか。それがヘビーユーザーを増やし、PV増につながる。
グッドパッチUXデザイナーの山口真朝さん、グロースデザイナーの右寺隆信さんが教えてくれた改善ポイントは、例えばこのようなものだ。
トピックが立てられてから1カ月を過ぎた過去トピックのページ。当初は、コメントを50件まで表示したその下に、他のトピックへのリンクを載せていた。これを10件に減らし、以降は次のページへと移した。すると、ほかのトピックが目に入るタイミングが早まる。ユーザーが延々と続くコメントをスクロールして飽きてしまう前に、興味あるトピックに移らせることができる。他にもさまざまな施策を重ねた結果、1セッションあたりのPV数は改善前から50%以上伸びた。
また、コメントへの支持・不支持を表す「+」「−」の投票ボタンのフィードバックも改善。それぞれの値を明確にし、バーの伸び幅もわかりやすくしたことで、自分のアクションが即座に反映されることがユーザーに見えやすくなった。ほんの小さな変更だが、結果としてアクション数(ボタンが押された数)は12%伸びたという。
「ウェブの場合は検索からたどり着く人が多いですが、アプリはなんとなく開く、という人が多い。そのためには期待感が大事です。おもしろい記事に出合ったとか、ボタンを押したら気持ちよかったとか、“このアプリを使ったときに何かいいことがあったな”という記憶が期待感につながる」(右寺さん)
●プッシュ通知は慎重に
山口さんが続ける。
「デバイス自体のお作法に合わせることも基本です」
たとえば、iPhoneとAndroidでは、そもそも操作性が異なる。iPhoneでは戻るボタンが機器本体についておらず、画面左上に配置することが多いが、Androidでは機器自体にある。その違いを踏まえた開発は基本だという。
最後に、AWAの小野さんと、グッドパッチの山口さんがともに指摘したのが「プッシュ通知」のリスク。アプリを起動していなくても強制的に画面に表示される、あの通知のことだ。
ガールズちゃんねるではプッシュ通知は採用しておらず、AWAでは「お気に入りアーティストの新譜が公開されたとき」など本当に有益と思える情報のみに限っている。
むやみな通知はかえって疎まれ、アンインストールの引き金になりかねないからだという。
ホーム画面レギュラーの座をめぐる熾烈なアプリ戦争。細やかな心遣いがその勝利の鍵だ。(編集部・高橋有紀)
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