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コラム:
総括検証で見える日銀の新たな約束
岩下真理SMBCフレンド証券 チーフマーケットエコノミスト
[東京 16日] - いよいよ21日、日銀は「総括的な検証」をまとめ、政策運営の見直しを発表する。8月中に事務方の検証作業はほぼ終わり、5日の黒田東彦総裁講演で、その概略は明らかにされた。
筆者はこの講演を直に聞いたが、総裁自らがマイナス金利の副作用(金融機関の収益減少、保険や年金の運用利回り低下)を丁寧に説明し、効果のみを強調する語りから新たな一歩を踏み出したと感じた。これが検証による最初の成果だ。
その後、ボードメンバーと事務方の調整が進められる状況下、直近1週間に政策運営見直しの方向性も多く報じられた。その内容の大枠は「マイナス金利の深掘りが主軸」「国債買い入れ方法の見直し」と概ね同じだ。
なかでも、当局者が政策に関する発言を控えるブラックアウト期間入り(15日)直前の14日付・日本経済新聞朝刊では総括検証の主なポイントが5つ、わかりやすく表示されており、まるで事務方の対外説明資料のようだ。
筆者は前回コラムで、「検証結果の発表は、これまでチグハグ感のあった日銀と市場とのコミュニケーションを改善できる数少ない機会」と指摘した。従来のサプライズな決定方法を転換し、メディアを通じて事前に政策の方向性を示すことで、不透明感の払拭(ふっしょく)を試みたように思われる。
7月会合時に検証発表を予告したのに始まり、足元の日銀関連報道も市場との対話を改善すべく努力した結果だろう。それでも、方向性の叩き台のもと、最終的にはボードメンバー9人の採決により、政策運営は決まる。焦点は、具体的な枠組み見直しにどこまで踏み込めるかだ。
<マイナス金利の「フォワードガイダンス」>
7月会合の主な意見を読み返せば、日銀ボードメンバーの意見にはバラつきが大きい。メンバーはマイナス金利支持、リフレ派、追加緩和反対派と大きく3つに分かれており(4対3対2)、各々の中でもやや距離感がある。これまでの会合で十分に意見を擦り合わせてこなかったツケが回り、簡単に歩み寄れない溝ができてしまったようだ。
先述した日経新聞記事で挙げられていた総括検証の主なポイントは、以下の5つである。
1)金融緩和強化を継続し、縮小はしない
2)マイナス金利政策を緩和策の軸に。一段の深掘りも検討
3)国債購入では長短の金利差拡大を促す。マイナス金利の副作用に配慮
4)物価2%目標を堅持。期間の2年は事実上撤回
5)外債の購入は対象としない
以下、順に筆者の見解を示したい。
まず1点目については、黒田総裁、岩田規久男副総裁、中曽宏副総裁の執行部3人が、今回の検証は物価安定目標2%の早期実現のために行うものであり、市場の一部にある緩和縮小という方向の議論はないと繰り返し発言してきた。
これだけ強調されると、例えば国債買い入れの柔軟化として、買い入れ額のレンジ表示(70―90兆円)は、下限が縮小した誤解を与えるとの理由から実現は難しい。また近い将来、買い入れ額減少という単発策も選択しにくいだろう。
2点目は、黒田総裁と中曽副総裁が、マイナス金利の副作用に言及しつつも、深掘りはまだ十分可能との認識を示し、必要な状況となれば深掘りの可能性があると発言した。この2人が主体的なマイナス金利支持派だ。
1月の導入決定時から反対票を投じ続けている佐藤健裕委員、木内登英委員の2人は反対。よって、マイナス金利を緩和策の主軸にするとの方針は、賛成多数(7対2)の決定が見込まれる。ただし方針を打ち出すのと、実際のマイナス金利深掘りのタイミングは別次元の話だ。
3点目は、超長期債の購入を減らし、中短期債を増やして全体の額を維持したいとの考えがあるようだ。しかし、昨年12月の補完措置で買い入れ年限の長期化を決定した経緯から、年限の短期化は自己矛盾となり、単発の施策では打ち出しにくい。将来的にマイナス金利の深掘りとの合わせ技なら、その可能性は残る。
伝統的金融政策では、中央銀行がコントロールするのは短期金利だった。イールドカーブが想定以上にフラット化した事実を認めるのは良いが、非伝統的措置で長期金利がコントロールできると考えるのは危険だ。中央銀行の本来の職務ではない。筆者はテクニカルな問題が生じる「長期金利ターゲット」よりは、マイナス金利の「フォワードガイダンス」の修正の方が緩和強化の手法としては好ましいと考える。
4点目は、日本の場合、「適合的な予想形成」の影響が大きく、人々の予想物価上昇率を2%の物価安定目標にアンカーできていない状況に課題がある。アンカーさせるために、2%の物価安定目標を、できるだけ早期に実現するというコミットメントの堅持が重要だとはいえ、様々な逆風のもと2%は遠く、足元の弱い消費者物価(CPI)動向を見れば、適合的な予想形成により、当面は予想物価上昇率が上昇していくパスは描けない。
この機会に、黒田総裁の任期中を意味する2017年度中の物価目標達成は難しいと素直に認める。その上で、目標達成時期を示すのを止める方が良いだろう。そうしなければ、市場予想よりもかなり強い物価見通しを示し続け、毎回の会合で緩和予測が高まるという呪縛から逃れられない。その代わり、2%への本気度を示す手段として、マイナス金利政策の時間軸を強化するのが妙案かもしれない。これは日銀の新しい約束となる。
5点目は、これが事実ならば、円高阻止が目的と捉えられかねない外債購入については、この機会に明確に否定し、憶測を払拭させたい意向があるということだろう。
以上まとめれば、マイナス金利を緩和策の主軸にする方針は賛成多数で決定と見込まれるが、国債買い入れの見直しは具体的な数値での合意は難しく、柔軟な対応という曖昧さが落とし所になるのではないか。筆者は物価目標達成時期を明示せず、マイナス金利のフォワードガイダンスを修正することをお勧めしたい。
<待ち構える円高リスク、緩和カードは温存が得策か>
筆者は前回コラムで、「下振れリスク対応の追加緩和を(7月に)実施してからわずか7週間後にさらなる緩和措置を講じるのは、経済情勢の悪化などの明確な理由がなければ、普通は考えにくい」と指摘したが、現在もその見方に変わりはない。むしろ円高が一服して製造業のマインド下振れも落ち着く方向にある。足元のコアCPIがマイナス幅を拡大するのは既定路線だ。
中曽副総裁は8日の講演で、7月会合時に決定した上場投資信託(ETF)購入増額について、「メインディッシュ前の前菜という位置づけではない」と言い切っていた。この講演会主催者は在日米国商工会議所だが、英語講演では随分、気の利いた言い回しをするものだ。日銀が海外向けの発信に気を使っていることがうかがえる。この表現を素直に読めば、この時点で追加緩和は念頭になかったはずだ。
ところが、14日夜の共同通信、15日の読売新聞朝刊では、9月会合時にマイナス金利の幅についてマイナス0.1%からマイナス0.2%への拡大を検討と報じられた。市場がこの話を織り込み、その通りの結果でなければ失望するとの声もある。
しかし、今後の円高リスクを考えると、限られた緩和手段を残しておく方が得策だ。具体的には、10月1日の国際通貨基金(IMF)特別引出権(SDR)正式採用後の人民元動向(元安容認)に連動したリスク回避の円買い再来、11月8日の米大統領選挙でのトランプ共和党候補の選出などが想定される。それらを熟考したボードメンバーの判断を期待する。
*岩下真理氏は、SMBCフレンド証券のチーフマーケットエコノミスト。三井住友銀行の市場部門で15年間、日本経済、円金利担当のエコノミストを経験。2006年1月から証券会社に出向。大和証券SMBC、SMBC日興証券を経て、13年10月より現職。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-mari-iwashita-idJPKCN11M05E?sp=true
「総括検証」で社債駆け込み発行、過去最大−緩和観測も金利上昇
呉太淳、Finbarr Flynn
2016年9月16日 04:00 JST更新日時 2016年9月16日 10:54 JST
• 7月からの起債額は4.5兆円、第2四半期としては99年以降最大
• 決定会合後は「結果次第で起債の後ろ倒しも」と大和証の成毛氏
国内の社債発行額が急増し、今年度第2四半期(7−9月)は過去最大となる見通しだ。日本銀行による金融緩和の「総括的検証」をめぐる市場の思惑から、7月末以降、超長期国債利回りが上昇。一部企業が資金調達の前倒しに動いているからだ。
ブルームバーグのデータによると、7月1日から今月15日までの社債発行額は前年同期の2.8倍の4兆5415億円。7−9月期としては、ブルームバーグのデータがさかのぼれる1999年以降で既に最大となっている。9月はパナソニックやソニー、三菱商事、ソフトバンクグループなどの大型起債が目立つ。
マイナス金利政策で一段と低下していた国債利回りは、7月末の日銀の政策決定会合を契機に上昇傾向に転じた。この会合では9月20、21日の次回会合で総括的検証の実施が決まった。黒田東彦総裁が最近の講演で、金融機関の収益減や保険・年金の運用難などマイナス金利の弊害に触れたこともあり、日銀は年限の長い国債利回り低下を是正するとの見方も出ている。半面、マイナス金利幅の拡大など追加緩和観測も浮上。年限の短い国債利回りは低下し、長短金利差は拡大している。
日銀の黒田総裁
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
大和証券デット・キャピタルマーケット部シンジケート課長の黒川栄光氏は、総括的検証に対する不透明感から「9月21日よりも前倒しで調達しておこうという考えも一部の発行体にあり、例年以上に起債が重なった」と話す。同部部長の成毛豊文氏は、10月はある程度発行体は起債したいのではと想定しているものの、「日銀の決定会合の結果次第では一部の起債が後ろ倒しになることもありえる」と言う。
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決定会合後
一方で、超長期金利の上昇に伴い起債を見送った企業もある。東邦ガスの広報担当者は、30年債の発行を検討しているが、「足元の金利状況を勘案して現時点では発行に至っていない」と語った。15日付の日本経済新聞によると、Jパワーも30年物社債の発行を見送ったという。
SMBC日興証券の伴豊チーフクレジットアナリストは、事前報道のように日銀が決定会合で利回り曲線の傾斜化を促すような決定をすれば「超長期金利は高い水準になっていき、低下はしないという見通しがマーケットに広まってくる」とし、「超長期社債の発行は減っていき、年限も短期化する可能性が高い」との見方を示した。投資家サイドから見ても「超長期金利は下がらないという見通しが強まると、投資対象として慎重になる」と話した。
「総括的検証」の実施を決めた7月の政策決定会合直前と比べると、20年、30年、40年の超長期国債の利回りが今月15日までに30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上上昇したのが目立つ。2年債と30年債の利回り格差(終値ベース)は7月会合前の58bpから15日には81bpに拡大し、利回り曲線が傾斜化している。
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直前予想
ブルームバーグが実施した調査(エコノミスト43人対象、7−12日実施)によると、21日の政策決定会合で、追加緩和を予想する人が54%を占めている。緩和手段としてはマイナス金利の深掘りが引き続き有力となっており、長期国債買い入れについては、持続可能性への懸念などから7人がレンジ化の可能性を指摘している。
ソシエテ・ジェネラル証券の会田卓司チーフエコノミストは、国債買い入れ額を現行の年80兆円程度から「70兆−90兆円程度といった幅を持たせる形に変更し、買い入れオペをより柔軟にし、持続性を高めようとする可能性はある」とみる。
三菱東京UFJ銀行の小山田隆頭取は15日、訪問先のシンガポールで、日銀が来週の政策決定会合で、マイナス金利の副作用について考慮してほしいと述べ、同政策が融資の利ざやを圧迫し続けると訴えた。また日本損害保険協会の北沢利文会長も同日の記者会見で、「超長期金利が下がりすぎている副作用に十分配慮してほしい」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-15/ODFQTK6JIJV901
三菱UFJ銀頭取、日銀にマイナス金利の副作用検証を要望
Chanyaporn Chanjaroen、山崎朝子
2016年9月16日 07:54 JST
• マイナス金利政策は融資の利ざやを圧迫し続ける−インタビュー
• 海外での成長でアジア、特にインドネシアを重視
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱東京UFJ銀行の小山田隆頭取は、日本銀行が来週の政策決定会合で、マイナス金利の副作用について考慮してほしいと述べ、同政策が融資の利ざやを圧迫し続けると訴えた。
同頭取はインタビューで、マイナス金利と厳しい競争環境によって利ざやが圧縮される状態が続いているとし、従って全体としての純金利収入が増える公算は小さく、増加するとは考えにくいと語った。
日銀がマイナス金利導入方針を打ち出した1月以降、日本の銀行は融資事業で利益を上げるのに苦戦。成長とインフレ押し上げへのマイナス金利の効果があまり見られない中で、銀行幹部や議員から政策への批判が出ている。日銀は20、21日の会合後に総括的検証の結果を発表するが、一部エコノミストはマイナス金利深掘りを予想している。
小山田頭取は15日、訪問中のシンガポールで、日銀と対立したり日銀に反対したりするわけではないとした上で、マイナス金利は長期的には実需を生み出したりポートフォリオの再配分を促すという意図した効果を生むかもしれないが、副作用もあると指摘。さらに、日銀がその副作用と実際に表れる様子を詳細かつ綿密に検証することを望むとの考えを示した。
同頭取はまた、日本経済の低成長にもかかわらず融資の伸びペースは2−3%と底堅いとも述べた。
黒田東彦日銀総裁は今月、マイナス金利が金融機関の収益に打撃を与えると認めたものの、融資への悪影響は出ていないと述べていた。
日銀の総括的検証にはイールドカーブのフラット化の利点と問題点の検討が含まれると事情に詳しい関係者が明らかにした。
小山田頭取は、イールドカーブがスティープ化すれば、投資機会と投資からの利益が増えるとして、従って比較的望ましい展開だと語った。マイナス金利深掘りはスティープ化の効果を打ち消すとも指摘した。
中銀のマイナス金利政策への対応として個人や企業顧客の預金に金利を課すのは難しいとして、預金者の理解を得る必要があると述べた。
日本の銀行は高成長で利ざやも大きいアジアでの事業を拡大している。小山田頭取はアジアを引き続き海外での成長の柱に据え、中でもインドネシアでの業務拡大を優先課題とするとも語った。
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原題:Japan’s Biggest Bank Urges BOJ to Weigh Side Effects of Policy(抜粋)
みずほ:日本版401k導入支援、運用難の年金に照準−マイナス金利で
河元伸吾、Gareth Allan
2016年9月16日 05:05 JST 更新日時 2016年9月16日 12:22 JST
銀行、信託が連携する「カンパニー制」で推進−グループ提案力強化
契約は3年で現在の3割増目指す:現在加入は107万人、1.7兆円
みずほフィナンシャルグループは、取引先企業に対し確定拠出年金(DC=日本版401k)の導入支援業務を強化する。日銀によるマイナス金利政策の下で年金の運用環境が厳しくなる中、傘下の銀行と信託が連携し企業に適した制度案を提示するなどして売り込みを図る。手数料ビジネスを拡大する狙いだ。
みずほ銀行アセットマネジメント推進部の伊牟田浩司参事役は、マイナス金利を背景に「年金運営の見直し機運が高まってきている」なか、年金の積み立て不足を危惧する企業などに「提案を強化している」と述べた。現在の企業型DC加入者数約107万人、1兆6600億円を今後3年で3割増やす計画。
野村証券の調査では、上場企業の退職給付債務の不足額は拡大傾向にあり、3月末で約25兆6000億円。株価低迷などによる積み立て不足で財務が悪化する企業では、確定給付型から従業員自身がリスクを負うDC型に移行する動きがある。野村では2016年度も国債利回り低下で年金の運用環境はより厳しくなると予測している。
みずほはグループ連携強化に向け今期から銀行、証券、信託を横断する「カンパニー制」を導入。年金では制度設計から運用、口座管理まで総合力の高い商品を提案できる体制とした。厚生労働省の統計によると、6月末のDC加入者は企業型が約580万人、自営業者など個人型が約27万人。みずほは既に一定のシェアを握る。
カンパニー制
年金DC導入支援を強化するのは「アセットマネジメント・カンパニー」。これまで銀行と信託が個別に担ってきた営業推進、制度見直しや運用、取引先企業の管理など、企業年金に関する業務を一本化。顧客ニーズに細かく応じた商品の提案力をアップした。現在の年金営業は銀行・信託の約250人体制で運営している。
年金法は5月に一部改正され、来年1月からは公務員や専業主婦などを含め、ほぼすべての国民がDC型に加入できるようになる。みずほは取引先企業へのアプローチ強化に加え、個人型DCを推進する専門チームを立ち上げ、公務員などの加入促進にも力を入れていく方針だ。
厚生労働省によると、7月末のDC導入企業は5052社。パナソニックやすかいらーくなどが含まれる。
(第2副見出しの表現を3割増に訂正済みです)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-15/OD2DMT6S972E01
債券売りは「テーパー・タントラム2」の様相−JPモルガン
Tracy Alloway
2016年9月16日 06:48 JST
• 最近の国債売りは2013年をほうふつとさせる
• 中銀めぐる思惑と投資家のポジションが原因
見たことのある映画のようだ。最近の国債売りと利回り上昇は米当局が債券購入を減らす懸念が市場を飲み込んだ2013年の「テーパー・タントラム」をほうふつとさせると、ジェイ・バリー氏らJPモルガン・チェースのアナリストが指摘する。
JPモルガンによれば、今回のソブリン債利回り上昇は欧州中央銀行(ECB)と日本銀行が非伝統的金融政策を継続する能力と意思に関する疑問が一因だ。しかしこうした懸念が点火剤になったとしても、炎が燃え上がったのは投資家の全体的なポジションという燃料があったからだという。
アナリストらは「最近の米国債利回り上昇の少なくとも一部は、他の先進国・地域の中銀の政策に関する市場の認識の変化が原因だ」とし、「依然ロングに傾いているポジションやバリュエーションの高さなど、13年のテーパー・タントラムや15年のユーロ・タントラムに状況が似ている」と分析した。
米財務省ビル
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
JPモルガンの顧客調査は最近の売りの前に投資家が国債に異例なほどのロングポジションをとっていたことを示した。ポートフォリオは中期平均からほぼ2標準偏差、ロングに傾いていたという。また10年物米国債のバリュエーションは4年余りで最も適正水準から遠かった。
これら全ては、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀を含め今後の中銀会合に投資家が注目するにつれて、利回りが上昇する舞台を整える。
日銀は銀行や年金基金、保険会社への打撃を減らすため、国債をさらに多く購入するのではなく社債や地方債に目を向けるかもしれないとJPモルガンのエコノミストらは指摘してきた。国債購入が減ればいわゆるイールドカーブのスティープ化をもたらし、国債は一段と売られる可能性がある。
アナリストらは「当行の日本のエコノミストらは引き続き日銀の0.2ポイント追加利下げを見込んでいるが、今ではそれに加えて日銀がイールドカーブのスティープ化を図るなどで(マイナス金利の)影響を和らげようとするだろうと考えている」と説明。日銀が来週の会合でイールドカーブをスティープ化させる措置を打ち出せば、「米国債利回りを現水準からいっそう上昇させる可能性がある」と予想した。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iF_ky470yj_0/v0/-1x-1.png
原題:This Bond Market Sell-off Looks a Lot Like ’Taper Tantrum,’ the Sequel(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-15/ODJK4X6JIJUU01
ヘッジファンドは下手な言い訳、原因は分析ミス−ランズドーン会長
Nishant Kumar
2016年9月16日 12:12 JST
運用不振はETFやクオンツファンドの増加が原因ではないと発言
ヘッジファンドの運用資産拡大が問題ではないとも指摘
ヘッジファンドの運用成績が悪いのは投資分析がうまくいっていないからであり、上場投資信託(ETF)やクオンツファンドが増えた結果ではない。ロンドンに本拠を置くヘッジファンド運用会社ランズドーン・パートナーズのスチュアート・ローデン会長が指摘した。
同会長はアムステルダムで15日開催されたレジェンズ・フォー・レジェンズ代替投資会議で、ヘッジファンドが自らのさえないパフォーマンスをパッシブ運用戦略やボラティリティ(変動性)のせいにするのは「下手な言い訳」だと発言。「これら商品の買い手としては、異なったことを言う者は誰であれ買い手をばかにしているように感じる」と述べた。ランズドーンの運用資産は190億ドル(約1兆9400億円)。
ローデン氏は2014年に会長に就く前、ランズドーンの旗艦ファンド「ディベロップト・マーケッツ」の共同責任者を務めていた。同氏はまた、ヘッジファンドの成績低迷の理由に、ファンドの運用資産拡大を挙げるべきではないとも語った。
雨のウォール街
雨のウォール街 Photographer: Michael Nagle/Bloomberg
高い手数料を支払って低いリターンしか得られないことに不満を募らせる投資家は今年、ポールソンやペリー・キャピタル、ブレバン・ハワード・アセット・マネジメントなどのヘッジファンドから資金を引き揚げた。ヘッジファンド・リサーチのデータによれば、1−6月(上期)にヘッジファンドから流出した資金は233億ドルと、金融危機以降で最も多かった。
ランズドーンの「ディベロップト・マーケッツ」の年初から8月末までのリターンはマイナス12.8%。投資家向け資料によると、同ファンドは01年の運用開始以降、年率プラス13.6%のリターンを計上してきた。ランズドーンの広報担当者はコメントを控えている。
原題:Lansdowne’s Roden Says Hedge-Fund Woes Not the Fault of ETFs (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-16/ODKREO6S972B01
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