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世界の債券市場、強気相場が終わった理由 中央銀行は無力 日銀金利曲線のスティープ化 米家計所得回復、次期大統領は政策転換
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 9 月 15 日 16:51:59: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

世界の債券市場、強気相場が終わった理由

日銀が7月末の金融政策決定会合で国債買い入れ策を据え置いたことへの失望感から、日本国債が売り込まれた

By RICHARD BARLEY
2016 年 9 月 15 日 13:55 JST

 中央銀行がしっかり固定していたいかりが外れ、世界の債券市場が漂流し始めた。月を追うごとに債券利回りが低下していくように見えた楽園のような日々はひとまず終わった。

 9月までは万事が債券投資家の思い通りに進んだ。世界のどこを見てもインフレ率は低く、経済成長に勢いはない。日本銀行やイングランド銀行を筆頭に、主要中銀はこれまでにないほど独創的な金融政策を展開している。そして英国が6月の国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めると、混乱を恐れる市場に追加緩和期待が広がる中、債券利回りは一段と低下した。

 日本とドイツの国債市場では10年物利回りがマイナスに沈んだ。連邦準備制度理事会(FRB)が利上げのタイミングをうかがっている米国においてさえ、国債利回りは年初からの8カ月で大幅に低下している。長期債は驚異的な収益率をたたき出した。バンクオブアメリカ・メリルリンチの指数によると、8月12日時点で年限が25年を超える英国債の年初来収益率は39%近くに達した。

 だが上昇相場が続いた末、債券価格は異常な水準まで押し上げられた。そしていま、潮目が変わった。長期債利回りが急騰しているのだ。30年物米国債利回りは1週間で23ベーシスポイント(bp)上昇した。

 こうした相場動向の震源は日本だった。日銀が7月末の金融政策決定会合で国債買い入れ策を据え置いたことへの失望感から、日本国債が売り込まれた。そして先週、欧州中央銀行(ECB)による追加措置見送りを受け、市場には再び落胆が広がった。ECBと日銀は目下、ポリシーミックスを変更すべきか検討中だが、どちらについても投資家は長期債の買い入れが減ると懸念している。そうなれば世界に影響が及ぶ。米国債相場の上昇は世界的な流れの一環だった。中銀による買い支えについても全く同じだ。FRBの政策動向を巡る懸念が市場を動かしているのだとすれば、短期債や中期債が大きく売られるだろう。

 他のさまざまな支援材料も消えてしまった。ブレグジット(英国のEU離脱)決定は、これから広範囲で長期的な影響をもたらす可能性はあるものの、まだ新たな危機を引き起こしてはいない。原油価格が現在の範囲にとどまっていれば、インフレ率は今後数カ月で再び上昇するはずだ。銀行が信用供与の中心的役割を担っている経済では、利回り曲線のスティープ化は融資促進、ひいては成長見通しの改善につながり得る好材料と言えるかもしれない。13日に公表された米所得データからは、家計の消費余力が十分大きいことがうかがえる。

10年物国債利回り

折れ線上から米国、英国、ドイツ、日本

 債券利回りの上昇を抑える大きな制約要因はまだ幾つかある。世界の経済成長は依然としてパッとしない。銀行や保険会社は規制上の理由から引き続き安全と考えられる資産に資金を投じるだろう。中銀が市場に背を向けることはなさそうだ。つまり、ポリシーミックスを変えたとしても緩和政策を継続し、短期債利回りは低水準に維持されると予想されるということだ。

 財政出動への懸念は行き過ぎかもしれない。大胆な政治家でない限り、正説に異議を唱えて大幅に借り入れを増やすことはないだろう。地政学的リスクは高く、英国の国民投票は市場が政治要因を大きく読み違う可能性があることを浮き彫りにした。債券利回りが低いために投資家は株式、社債、新興国資産などのリスク資産に殺到したものの、これらの資産が売り込まれれば国債への需要が生まれるかもしれない。

 とはいえ、債券市場にはこれまでのような順風が吹いているわけではない。結果的に利回り曲線はスティープ化している。債券利回りは過去の平均から見れば低い水準にとどまるだろう。ただ、これまでほど低くくはないということだ。

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長期債投資にご用心−投資フロー頼りの危うさ
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フランクフルトのECB本部 PHOTO: MARTIN LEISSL/BLOOMBERG NEWS
By
JAMES MACKINTOSH
2016 年 9 月 15 日 16:05 JST
 債券バブルがはじけつつあるのだろうか。この数日は安全とされる国債が大量に売られ、伸びきった相場に典型的な調整が入ったかのようだ。投資家は中央銀行の一挙一動に注目しているが、債券市場が経済に無関心になっていることは気がかりだ。
 まず、バブルがはじけたような動きを見てみよう。最も下げがきついのは超長期債だ。50年物英国債は価格が10日間で11%下落(利回りは上昇)した。かくも短期間の損失という意味では、2008年にロイヤルバンク・オブ・スコットランド・グループとリーマン・ブラザーズが破綻し、相場が混乱した以来の大きさだった。ただ今回はこれといったきっかけもなく相場が崩れた。主要国の国債市場では、まず30年物日本国債が下げ始めた。7月初めに付けた高値から12%下げ、50日間の下落率は国債相場が暴落した03年以来の大きさとなった。その時点でも材料らしい材料はなかった。
 下げに転じるまでの各国国債相場は、いつもならば何か異常な事態ではないかと思わせるほどのリターンを上げていた。長期英国債は今年に入り55%も急騰した後、下げに転じた。日本の長期国債も似たような動きをしている。30年物ドイツ国債は1月から7月末までの間に30%上昇したが、その後は下げ始めた。確かに異常事態は起きている。英国では国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まったことで、リセッション(景気後退)入りする可能性や長期的な成長への不安が高まった。日本では日銀の実力が疑問視されている。また、欧州中央銀行(ECB)の1兆ユーロ規模の債券買い入れは、少なくとも08年より前の基準からすれば明らかに異常だ。
 最近の米国はずっとまともだが、利回りが低い諸外国から逃げ出した投資資金が米国債の利回りを押し下げている。
 だが、満期が30年以上の債券利回りでさえ中央銀行のインフレ目標よりも低い状況を正当化するには、次の三つのいずれかが実現する必要がある。中央銀行がインフレの押し上げに失敗するか、景気がいつまでも不振で長期停滞に陥るか、債券投資の実質的な損失の方が他の投資対象よりもはるかに妙味があると思えるかの三つだ。
 この三つはどれも起こり得るが、この夏に米国株を過去最高値まで押し上げた投資家は、株価についてはそうした懸念は無用と考えているはずだ。
 だが、金融政策は機能するのか、金融政策はどう機能するのか、今後の金利水準はどの程度で落ち着くべきか、とった問題について経済学者が議論しているのをよそに、投資家は中央銀行が債券買い入れにどれほどの資金をつぎ込む構えなのかに注目している。
 JPモルガン・アセット・マネジメントの債券部門グローバル責任者、ボブ・ミシェル氏は「(量的緩和が)すでに高すぎる資産クラスの価格を上げ続けている」とし、「その結末はひどいものになるだろう。ただ、いまから年末までで言えば、今は買うときだ」と述べた。
 英国の偉大な経済学者ジョン・メイナード・ケインズが80年前に嘆いたように、プロの投資家はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)よりも資金フローに注目することが多い。ただ、現在実施中の量的緩和という壮大な実験でも、利回りを長期にわたり低く抑えるのが精いっぱいというのが現状だ。中央銀行があらゆる債券を買い尽くすとでも予想されない限り、債券利回りはいずれ経済に対する期待を反映するはずだ。

30年物国債のトータルリターン【単位:パーセント、黄:英国債、緑:日本国債、青:米国債】
https://si.wsj.net/public/resources/images/MI-CR701_STREET_16U_20160914163306.jpg

 こうした期待は当然抑えられている。これまで先進国の成長を促してきたのは、債務拡大やグローバル化、労働者の裾野拡大だった。高齢化や反移民感情、貿易縮小、借金漬けという要素はいずれも、今後は経済の拡大速度がずっと遅くなることを意味している。
 状況はあまり良くはならないと考えるだけでは不十分だ。債券価格が織り込んでいるのは、暗いだけでなく危機以前のようなかたちのインフレを永遠に生み出せない経済情勢だ。債券相場が不安定なのは、低金利がずっと続く「新たな常態(ニューノーマル)」を心の奥では否定し、もっと愚かな中央銀行に転売して利益を上げることだけに期待して債券を買っている投資家があまりにも多いからだ。
 資金フローに基づく相場は全く不安定なものだ。9日や12日のように、材料がほとんどなくても反転しやすい。インフレに上昇の兆しが見られるなどしてファンダメンタルズが再び注目されるようになれば、債券には致命傷となる。それは世界的な利回り追求の動きによって価格が押し上げられた他の資産も同じだ。
 筆者は経済が好調だとは思わないし、インフレがいずれ確実に大きく上昇するとも考えていない。それでも債券価格が織り込んでいるのは、不愉快でインフレがいつまでの期待はずれな経済状況だ。しかも、そのように織り込んでいるのは、資金フローに原因があり、状況がそれだけ悪くなると債券投資家が信じているからではない。長期債と債券並みに扱われる株式(ディフェンシブ銘柄)は暴落するリスクが高いので、十分に距離を置くべきだろう。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjHj5ag75DPAhUUR2MKHQwOCcQQqQIIHzAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12617220903726724586904582315060093790418&usg=AFQjCNGtMZ3brwcea_XzoG3KxaWj_3tRJA 

 


中央銀行の無力さを痛烈に批判−元FRBエコノミスト

FRBの元エコノミスト、ジェーソン・カミンズ氏は、中央銀行の思い上がりや無力を痛烈に批判した(G7財務相・中央銀行総裁会議の集合写真、5月仙台)

By ADAM CREIGHTON
2016 年 9 月 15 日 13:32 JST

 【ワシントン】米連邦準備制度理事会(FRB)の元エコノミスト、ジェーソン・カミンズ氏は14日、中央銀行の思い上がりや無力を「フランス革命前のベルサイユ宮殿」になぞらえて批判した。

 現在はヘッジファンドのブレバン・ハワードで米国担当チーフエコノミスト兼調査責任者を務めるカミンズ氏は、現金の廃止やマイナス金利の深掘り、インフレ目標の微調整などの提案について、金融政策の専門家に「うんざりしている」一般大衆に拒絶されるだろうと指摘した。同氏はこれらの考え方を「フランケンシュタイン博士が創り出した(おぞましい)金融政策」だと述べた。

 ピーターソン国際経済研究所での会議においてカミンズ氏は、ハーバード大学のケネス・ロゴフ経済学教授が新著「The Curse of Cash(現金の大害)」で繰り広げた批判に言及し、「チェスの名人が他の学者らと一緒になって現金の廃止を論じて欲しくはない。胸が悪くなる」と語った。

 実際にチェスの名手でFRBでエコノミストを務めたこともあるロゴフ教授はその後ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、著書で論じたのは全ての現金ではなく高額紙幣の廃止についてだと述べた。カナダではすでに1000カナダドル紙幣の発行が取りやめられ、500ユーロ紙幣は段階的廃止に向かっていると指摘し、「明日どうなるかではなく、遠い将来に起きるだろうことを本にしているのだ」と話した。

 カミンズ氏は、量的緩和と呼ばれる資産買い入れやマイナス金利を通じて景気を刺激する取り組みを倍増させるよう中央銀行に提言する政策文書へのコメントを依頼されてきた。日本、欧州、米国はこうした政策を採っているが、成果はまちまちだ。

 FRBのシニアエコノミスト時代はマクロ経済予測を担当したカミンズ氏は、独立した中央銀行組織の失敗とそれが崩壊する可能性について、謝罪するとともに自ら言うところの「悪態」をついた。「このままの道をたどれば、今後10年で独立した中央銀行家などいなくなるだろう」と述べた。

 また、米カンザスシティー地区連銀が8月にワイオミング州ジャクソンホールで開いた年次経済シンポジウムに参加した金融政策の専門家らが愚かにみえたことに、一般市民は「がくぜん」としただろうと語った。

 さらに、経済成長や雇用などの実際の経済変数と中央銀行とのつながりは崩れているとし、中銀は自らのインフレ目標でさえ達成できていないと指摘した。

 「いまだかつてないほど緩和した金融環境において、経済は転覆し息を止めた。人々は消費しておらず、企業は投資していない。住宅ローン金利が3.5%でも家を買っていない」とした上で、「一般市民の憤り」はいずれ「(黒人奴隷農場を経営していた)アンドリュー・ジャクソン(第7代米大統領)を(奴隷解放を進めた)エイブラハム・リンカーン(第16代大統領)のように見せてしまう民衆扇動家」への投票につながる恐れがあると警告した。

 また、「FRBが9月に利上げするかどうか懸念するのは狂気の沙汰だ」とし、「利上げに関する議論は二の次にしてはどうか。インフレが実際に2%になるまで待ってみよう」と語った。

 その上で、一般大衆は中央銀行が結果的に大事だと思い込まされていると指摘した。「グリーンスパン(元FRB議長)が作り上げたマエストロの文化は、中央銀行の最悪な姿の一つだ」と断じた。

 経済の現状について政府に助言する米財務省借入諮問委員会の委員長でもあるカミンズ氏は、中央銀行が金融危機以前にインフレを低水準に維持できたのは運が良かったからだと語った。「われわれは最も賢い人であるかのように盛り上げたが、そうではない」とした。

 「私の一番の心配は、資本主義は単なる金持ちにとっての社会主義だと国民が結論付けることだ」と語った。

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日銀が金利曲線のスティープ化図る理由とは
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日銀は短期金利をマイナス水準に維持しつつ長期金利の押し上げを図る可能性がある PHOTO:KIYOSHI OTA/BLOOMBERG NEWS
By
ANJANI TRIVEDI
2016 年 9 月 15 日
 金利の上昇は結局のところ、それほど悪いことではないかもしれない。日本の場合は特にそうだろう。
 日本銀行の黒田東彦総裁が最近指摘したように、日本のマイナス金利政策は金利を押し下げる「大きな効果」をもたらしている。だが、景気を刺激するための金融緩和策を伝える役割を負わされている国内銀行の収益は過去最低に落ち込んでいる。マイナス金利政策に伴うこうした悪影響からみると、これは少しやりすぎの可能性が高い。
 日銀が長期金利を押し上げる一方で短期金利を抑え、利回り曲線をスティープ化させようとしている兆しもある。これは債券買い入れに表れており、日銀は短期国債の買い入れを増やしつつ、毎回の買い入れ額を減らしている。7月以降、10年物国債の利回りはおよそ50ベーシスポイント上昇した。それでも2年債と10年債の利回り差は、このところスティープ化したものの、マイナス金利導入前の半分でしかない。
 さらなる痛みを軽くするため、日銀は9月21日の金融政策決定会合で、銀行の調達金利にあたる短期金利の低下を約束する一方で貸出金利となる長期金利は上がるに任せ、利回り曲線の一段のスティープ化を促す可能性がある。
 この動きは国内銀行の収益改善につながるはずだ。銀行は資金調達の60%を預金に頼っているため、預金金利と貸出金利の差が狭まったことで、貸出の伸びが2013年以降最低に落ち込んだ。利益が上がらないならば、資産(貸し出し)を増やす意味はない。

日本国債利回り曲線の推移(上から1月、現在、7月)
https://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AP115_JBANKH_16U_20160914070609.jpg

 キャピタル・エコノミクスの推計によると、現行の貸出金利水準では、銀行の金利収入は今年20%近く減少し、16%の減益となる可能性がある。収益力の悪化はいずれリスク吸収力を低下させ、融資基準の厳格化につながる。黒田総裁は8月の講演でようやく、こうした金融政策の波及メカニズムの崩壊は問題になるとの認識を示した。
 市場は利回り曲線をスティープ化させる動きについて、日銀がインフレ率を2%の目標へ近づけるための大胆な行動だと受け止めるよりも、単なる調整だと見るだろう。これが奏功して預貸の金利差がマイナス金利導入前の水準に戻るとしても、最近失われた部分が回復するだけだ。マイナス金利導入前の段階で銀行には貸出意欲があったが、企業と消費者の借り入れ需要はいまと同じく低迷していた。
 日銀が進める可能性のある利回り曲線のスティープ化は、すでに米国の金利に影響を及ぼしている。日本の長期金利が上昇すれば、国内の年金と保険は、これまでのように国外に利回りを求めるよりも、少なくとも一部の資金を国内にとどめようとするだろう。これが米国債利回りの上昇に一役買っている。
 欧州中央銀行(ECB)は様子を見ており、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを年末まで先送りする可能性が高い中、少なくとも金利を動かす可能性があるのは日本銀行だ。
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【社説】米 家計所得が回復、次期大統領は政策転換で弾みを
2016 年 9 月 15 日 12:53 JST

 米国勢調査局が13日発表した所得と貧困に関する年次報告書で明らかになったように、米経済には人々に豊かな暮らしをもたらす意外な底力がある。国民は毎年のように新たな税制上・規制上の負担を強いられてきたが、昨年はオバマ政権下で初めて所得が上向いたのだ。

 最大のニュースは、2015年の実質家計所得の中央値が5万6516ドル(約565万円)と、前年比で5.2%(2798ドル)も増えたことだ。同所得が増加したのは、リセッション(景気後退)終了が正式に認定された09年6月以降の7年間で初めて。単年の伸び率としては1967年の調査開始以降で最大だった。特筆すべきは、所得別や年齢別でも総じてプラスとなり、低所得層の伸び率が最も高かったことだ。

 これは長年にわたり労働市場の需給が緩んでいた地域の大部分で需給が引き締まったおかげと言える。求職者数よりも求人数が多ければ企業間の人材争いは激しくなり、企業は賃金引き上げを余儀なくされる。09年以降、かなり多くの労働者が労働力人口から一斉に外れたが、それ以外の労働力人口の失業率は4.9%に低下し、高度な技術を必要とする職は埋まりにくくなっている。

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PHOTO: GETTY IMAGES/FSTOP
だが、万事順調というわけではない。15年に所得が伸びたといっても、平均的な労働者の暮らしは、ピークを付けた1999年はもとより、07年よりもまだ苦しい。実質家計所得中央値の伸び率は99年が2.6%、07年は1.6%だった。リセッション期には所得中央値が下がりやすい。驚くべきことに、オバマ政権下では景気回復期(13年?14年を含む)でもこの中央値は下がり続けていた。 

 15年に所得が上向き、これまでのおくれを取り戻し始めたのは、経済が力を蓄えてきていることの表れだ。だが、09年6月以降は3?4%の成長率を記録したことがまだ一度もない。特に深刻なリセッションを経験した後の回復期には成長率がこれぐらい伸びるのは当たり前なはずなのに、である。

 米当局が2000年代後半と2010年代にもっと建設的な財政・金融・規制政策を選んでいれば、平均的な労働者の暮らしぶりがどれだけ良くなっていたか考えてみてほしい。

 リベラルな経済学者らは2000年近辺から、オバマ政権下で低成長時代を迎えた理由を「長期停滞」のせいにしようと必死になっている。つまり、経済成長を加速させる方法を本当は誰も知らないと言っているのだ。長期停滞論が語られるときには必ず、ブッシュ前政権下での評価の低い景気拡大が引き合いに出される。そうは言っても、03年?06年は平均で3%を超える成長率を記録した。01年の軽度のリセッションで落ち込んでいた所得中央値も07年までには回復した。

 オバマ政権下で最も成長率が高かったのは、2010年の2.5%だ。このさえない数字は、政策の選択を誤った結果だ。そのため足元の回復期は第2次世界大戦以降で最悪の内容になってしまった。

 その影響は貧困率が高止まりという形で現れ、貧困率は15年にようやく1.2ポイント低下し、13.5%となった。人数に換算すると、約350万人が貧困層から脱したことになる。それでもまだ4310万人が貧困ライン(4人家族で2万4257ドル)以下の生活を続けている。貧困層が4000万人を上回ったのは8年連続で、07年の水準を330万人も上回る。

 昨年は心強い動きもみられたが、それによって経済も労働者も潜在能力を完全に発揮していないという現実が目立たなくなったわけではない。次の大統領は政策の方向を変えることで足元の回復に弾みを付けることができるだろう。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjT8ej_7ZDPAhUIy2MKHRq4AREQFggeMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12260954658240904189704582314791565748070&usg=AFQjCNH_CdYjRC4x6n3QQAyPUu3AUUnzpQ
 

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コメント
 
1. 2016年9月15日 17:25:37 : hKRNRNsg7U : ZKs9_WJa1ss[70]
去年の国勢調査でもって次期大統領がどうの言ってもなあ。現状を見ないと。
家計所得はもうボロボロだよ。店もつぶれまくり。

足元まったく回復していない。

FRB利上げは重病人にイチかバチかの劇薬を使う、という状況になってきた。


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