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日銀検証への懸念「全て外れる」、ぶれない佐野氏が国債売りに警鐘
三浦和美、Chikako Mogi
2016年9月12日 00:00 JST 更新日時 2016年9月12日 10:06 JST
足元の金利上昇、単なる債券市場の勘違い−佐野氏
黒田総裁の任期中は技術的問題で縮小することは考えにくい−佐野氏
国債売りは「勘違い」ー。日本銀行の「総括的な検証」をめぐって市場が疑心暗鬼に陥っても、東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストの強気姿勢は全く揺るがない。国内の債券利回りは再び過去最低水準に向けて低下していくと見込む。
日銀は20、21日の金融政策決定会合で、黒田東彦総裁の下で進めてきた前例のない金融緩和政策について総括的検証を行う。過度な政策が金融機関の収益を圧迫する中で、債券市場では検証により緩和策の手綱を緩める方向に動くのではないかとの警戒感が浮上。長期金利は先週、マイナス0.01%と3月以来の水準まで上昇するなど、売り圧力が強まった。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によると、7−9月期の日本国債の収益率は過去13年で最悪となるペース。ブルームバーグの日本ソブリンボンドインデックスは、8月に2010年以降で最大の下げとなった。10年超の国債は5日まで7営業日続落し、過去3年間で最長を記録した。
長期金利のマイナス圏突入を今年2月に予想して的中させた佐野氏は、日銀検証を警戒して売られた足元の相場について、「単なる債券市場の勘違い」だと一蹴。「黒田総裁の任期中に現行緩和策がいろんな形で壁にぶつかって技術的な問題で縮小するようなことは考えにくい」とし、「債券市場が検証について持っている懸念は全て外れる」とみる。
黒田総裁は5日の講演で、総括的検証は「市場の一部で言われているような緩和の縮小という方向の議論ではない」と説明。これまでの政策効果に関しては、マイナス金利政策と国債買い入れの組み合わせにより「イールドカーブ全体にわたって国債金利の一段の低下に大きな効果をもたらした」との認識を示した。一方、「マイナス金利の深掘りも量の拡大もまだ十分可能であり、政策手段の面では幅広い選択肢がある」と述べ、限界説を否定した。
佐野氏は、今回の検証について、同日の黒田総裁の講演内容が「骨組み」になるとし、「量的・質的金融緩和にマイナス金利政策をセットすることによって実質金利を低下させた効果を評価した上で、現行緩和策の拡大余地も強調する」と予想。緩和縮小方向での市場の疑念が晴れれば、「利回り低下でイールドカーブはフラット化する」とし、利回りが「ほぼ今年度中のピーク」に達した長期・超長期ゾーンは押し目買いのスタンスだと言う。
日銀の総括的な検証に関する記事はこちらをクリックしてください
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iKPce2kF4W2o/v2/-1x-1.png
新発国債利回りは7月に、10年がマイナス0.3%、20年がマイナス0.005%、30年が0.015%、40年が0.045%といずれも過去最低を記録。しかし、日銀が同月末の決定会合で国債買い入れ増額やマイナス金利拡大による緩和強化に踏み込まず、9月会合での総括的検証を決めたことから上昇に転じた。今月2日には国債買い入れオペで超長期ゾーンを対象から外したため、検証後に超長期国債の買い入れが減額されるとの観測が広がり、10年債利回りがマイナス0.01%まで上昇したのをはじめ、軒並み3月以来の水準に戻す場面が見られた。
金利は再び過去最低へ
佐野氏は、金利は今後低下するとし、「イールドカーブとしては7月に一番低いところを付けたが、そこに十分行くと思っている」と指摘。来年3月まで展望した場合、「瞬間的には超える可能性あり」だとし、10年債利回りはマイナス0.4%まで低下するとの予想を維持した。その他、20年債利回り0.05%、30年債利回り0.025%、40年債利回りはゼロ%までの低下を見込んでいる。
2013年4月に導入された異次元緩和策の下、日銀の国債保有比率は発行残高の3割以上を占め、流動性の低下を背景に相場のボラティリティ(変動率)が高まりやすい状況を生み出している。償還期間が1年以上の国債相場の30日間ボラティリティは年初来の平均が4%と、少なくとも2000年以降の年率換算ベースで最高水準に達している。
佐野氏は、日銀が大量に国債を買い入れることで流動性が奪われているとし、「金利のトレンドラインが下向きではあっても、今回のような検証におびえた状況になると、ささいなことで利回りが上がってしまう」と説明。10年債利回りが0.05%まで戻す局面もあり得るとみる。その上で、「日銀が圧倒的な買い手で基本的に売らないとなれば、一緒になって買っていればいい」とのスタンスは変わらないと言う。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-11/OD865I6S973301
日銀:サプライズ戦術から軌道修正−情報発信で透明性を向上
Christopher Anstey
2016年9月12日 09:42 JST
黒田総裁や中曽副総裁の発言で市場関係者にヒント
金融政策の「総括的な検証」、来週の会合に向けて大詰め
金融政策の決定に当たって市場にサプライズを与えてきた日本銀行の戦術に軌道修正が起き始めている−−。
日銀ウォッチャーは、黒田東彦総裁や日銀幹部の最近の講演や報道陣への発言から、こうした変化を読み取っており、日銀の考えを探る手掛かりが従来よりはるかに多く提供されるようになっている。
黒田日銀総裁
黒田日銀総裁 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg *** Local Caption *** Haruhiko Kuroda
JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは黒田体制の初期の主な政策手段は資産の買い入れで、市場が予期しない政策決定は緩和効果を高めたかもしれないと指摘する。2013年4月の予想を上回る大規模緩和で株価は上昇し円相場は下落した。14年10月にも予想を覆して追加緩和に踏み切った。
しかし昨年12月、市場にガイダンスを与えないまま行動する日銀に市場は疑問を持ち始めた。金融政策決定会合の結果が発表された直後、市場には追加緩和かという受け止めが広がったが、実際には異次元緩和の「補完措置」だった。
今年1月には、黒田総裁が否定していたマイナス金利の導入を発表するという衝撃が走り、日銀にはアイデアが枯渇し始めているのではないか、という見方も出始めた。日銀当局者は市場にサプライズを与えようという意図は毛頭ないと否定するが、最近の日銀幹部の発言からはこれまでのアプローチの軌道修正がうかがえる。
率直な発言
黒田総裁と中曽宏副総裁はそれぞれ先週の講演で、似たような言い回しを使って金融政策のコストとベネフィットを取り上げた。2人はマイナス金利政策や、なぜ利回りが予想よりも低下したのかについて分析し、長期金利の低過ぎる金利が信認を損なう危険の認識にも言及した。
日銀OBでもある菅野氏は「ここ数週間で日銀のコミュニケーション戦略は完全に変わった」と指摘、「もう市場にサプライズを与えるようなことはしたくないはずだ」と述べた。
その答えが出るのは、21日に発表されるこれまでの金融政策の「総括的な検証」と金融政策決定まで待つ必要があるが、日銀がサプライズ戦術を放棄したという見方をする日銀ウォッチャーは増えている。UBS証券の青木大樹シニアエコノミストも黒田総裁の5日の講演のあと、この点を指摘した。
開かれた対話
野村証券の美和卓チーフエコノミストはリポートで、従来の黒田総裁の発言は現状の政策の強い肯定や、必要なら追加緩和をちゅうちょなく行うという原則的な表現で、何らかの示唆や分析の余地を与えるようなことはなかったが、今は市場との対話に焦点を当てようとコミュニケーション戦略を変えている、と指摘した。
黒田総裁も中曽副総裁も、「総括的な検証」の最終的な結果や金融政策決定についてほのめかすようなことはしなかった。しかし長期金利の行き過ぎた低下がもたらす弊害の可能性についての言及は、日銀がイールドカーブの長めの部分の利回りについてはっきりとしたプラスが望ましいと考えていることを示唆した。
これを受けて、日銀は望ましいイールドカーブを実現するため国債買い入れプログラムを調整するのではないか、との見方も浮上している。
日銀は「ツイスト・オペ」を仕掛けるのではないかとみる市場関係者もいる。詳細はこちら
市場では日銀幹部の発言を受けてイールドカーブのスティープ化がすでに始まっている。今年0%を割った20年国債の利回りはプラス0.4%の水準まで戻している。菅野氏は、日銀当局は必要があれば通常の国債買い入れを調整する余地があるため、イールドカーブについて政策的な示唆は行われない可能性を指摘している。
黒田総裁も中曽副総裁も、日銀当座預金の一部へのマイナス金利適用によって金融機関の貸し出し能力には影響が出なかったと指摘。企業は低金利の恩恵を受け期間が長い社債の発行を増やしていることにも触れた。
このことには、現在の政策金利のツールを放棄しようという示唆は含まれておらず、どちらかと言えば、マイナス金利の深掘りの可能性があるとアナリストらはみている。現行のマイナス0.1%よりマイナス幅を拡大すれば、円の魅力が薄れより競争力のある為替レートにつながるとともに、イールドカーブをスティープ化できる。これは銀行にもプラスになる可能性がある。
長期化
同時に、当初見込んでいた期待インフレ率の上昇を伴う消費者物価指数の押し上げが実現していないという当局者の認識は、日銀が緩和政策をより長期にわたって維持していく覚悟を示唆している。
黒田総裁は8月の産経新聞のインタビューで、年80兆円の国債購入量の柔軟化について「買い入れ額に幅を持たせるかとか、購入対象国債の平均年限基準をどうするかとか、具体的な話についてはあくまでも総括的な検証を踏まえて会合で議論し、今後やるべきことを決める」と述べている。
現行の枠組みの長所、短所両面を示すことで投資家は分析や解釈をよりできるようになるが、21日にはやはり失望したり驚いたりする人が出てくるかもしれない。それでも新しいアプローチは「非常に健全だ」と菅野氏は指摘する。
ただし大きなサプライズはないという結論には1つだけ警告が必要かもしれない。黒田総裁は5日の講演で、量、質、金利の各次元での拡大は「まだ十分可能だ」と述べるとこう付け加えた。「それ以外のアイデアも議論の俎上(そじょう)から外すべきではない」。
原文の英語記事はこちら
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-12/ODBKAG6K50XS01
きょうの国内市況(9月12日):株式、債券、為替市場
Bloomberg News
2016年9月12日 15:47 JST
国内市況の指標はここをクリックしてご覧下さい。過去の国内市況の記事はこちらです。
●日本株下落、利上げ警戒の米国株急落が波及−連鎖安様相で全業種下げ
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
東京株式相場は下落。早期利上げ観測の再燃で前週末の米国株が急落し、リスク資産回避の売り圧力が強まった。アジア株も軒並み下げ、世界的な連鎖安の様相となる中、電機など輸出株、鉄鋼など素材株、銀行など金融株、鉱業株を中心に東証1部33業種は全て安い。
TOPIXの終値は前週末比20.76ポイント(1.5%)安の1323.10、日経平均株価は292円84銭(1.7%)安の1万6672円92銭。TOPIXは4日続落、日経平均は反落。
三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは、米国の利上げ観測復活が日本株に打撃を与え、「為替が多少円安に動いたものの、肝心の米国株が崩れたことで日本株への売りインパクトが大きくなった」とみていた。
東証1部の売買高は16億1784万株、売買代金は1兆7914億円。代金は前週末から17%減り、活況の目安となる2兆円を4営業日ぶりに下回った。
東証1部33業種は全て安く、下落率上位は鉱業、鉄鋼、その他金融、非鉄金属、海運、電機、その他製品、パルプ・紙、銀行、機械など。鉄鋼は、原料炭のスポット価格上昇が続き、高炉メーカーのコスト増加が懸念された。
売買代金上位では、任天堂や三菱UFJフィナンシャル・グループ、ソフトバンクグループ、リクルートホールディングス、キヤノン、東芝、村田製作所、オリックス、信越化学工業、小野薬品工業、新日鉄住金、アルプス電気が安い。半面、韓国で新たにコーティングセパレーターの生産拠点を構築するダブルスコープが5日続伸。第一生命保険やディー・エヌ・エー、T&Dホールディングス、カルソニックカンセイも高い。
●長期金利上昇、超長期債ゾーン中心に売り優勢−ツイストスティープ化
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
債券市場では長期や超長期債相場が下落。日本銀行がイールドカーブのフラット化修正に動くとの観測に加え、20年債入札を翌日に控えて超長期ゾーンを中心に売りが優勢となり、利回り曲線はツイスト・スティープ(傾斜)化した。
現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の344回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.015%で開始し、一時マイナス0.03%に低下。午後は超長期債利回りの上昇に連れて一時マイナス0.01%まで水準を切り上げた。新発20年物の157回債利回りは4.5bp高い0.475%と3月16日以来の水準まで上昇。新発30年債利回りは0.565%、新発40年債利回りは0.615%と、ともに3月以来の高水準を付けている。
メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「20年債入札を明日に控えて、日銀の検証を前に超長期ゾーンのポジションは取りにくい」と話した。「今月は国債償還もあり、日銀検証で何もなければ反転してフラット化する可能性もある。ただ、日銀決定会合前は短いゾーンでロールダウンを図る方が良いのではないか」と述べた。
新発2年物国債の368回債利回りは一時5.5bp低いマイナス0.26%と7月29日以来の水準まで低下した。新発5年物の129回債利回りは4bp低いマイナス0.20%と8月2日以来の低水準まで達した。
長期国債先物市場で中心限月12月物は、前週末比3銭安の151円36銭で取引を開始した。151円30銭を付けた後は水準を切り上げ、一時は151円75銭まで上昇した。午後は伸び悩む展開となり、結局6銭高の151円45銭で引けた。
●円上昇、FRB理事講演控え米早期利上げを警戒−株安でリスク回避
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
東京外国為替市場では円が上昇。世界的な株安を背景にリスク回避に伴う円買いが優勢となった。海外時間に米連邦公開市場委員会(FOMC)前の最後となる米金融当局者の講演を控えて、米早期利上げの可能性が警戒された。
ドル・円相場は1ドル=102円台後半から一時102円31銭まで円買いが進行。その後、やや値を戻したが、午後にかけては日本株が一段安となり、円も底堅く推移した。午後3時19分現在のドル・円は前週末比0.2%安の102円50銭となっている。
三井住友信託銀行マーケット金融ビジネスユニットの細川陽介為替セールスチーム長は、「ドル・円は株安に連れやすい傾向もある一方で、米長期金利との相関だけをみていると、もう少し上がっても良い感じもする」と指摘。「最終的には金利を重視した動きになるとみられるが、今晩のブレイナード理事や米小売売上高などをこなす中で、株と金利との綱引きが続きそうな感じ」と話した。
この日は米国でアトランタ連銀総裁、ミネアポリス連銀総裁、ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事の講演が予定されている。FRB当局者は13日から公の場での発言を自粛するブラックアウト期間に入るため、FOMC前最後の発言の機会となる。中でもブレイナード理事はFOMCで最もハト派の一人であり、利上げに対してどのような姿勢を示すかが注目されている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-12/ODDM3H6JIJUR01
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