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国民の期待は物価より賃金上昇 いちご会長 スコット・キャロン
私は日銀の黒田東彦総裁が1月に発表したマイナス金利政策が政策として正しいと考える。邦銀の貸出残高は7月まで前年比2%増のペースで推移している。日本企業への融資は着実に増え、実体経済の活性化に寄与している。この政策が国民の支持をあまり得られていないのはなぜだろうか。
経済は言うまでもなく「人」で構成されている。十分な経済成長には日本経済の現状だけでなく、現状を解釈する人々の心理を大きく改善させる必要がある。日本国民はバブル崩壊以降、あまりに長い間、経済の停滞に苦しんできた。「失われた20年」で負の心理が植え付けられてしまったのだ。したがってまず国民の負の心理を払拭することが、日銀をはじめ政策当局の大きな役割だと考える。
日銀はインフレ目標を2%に設定し、物価を上昇させることを目指している。だが単に生活必需品の値段が上がるのであれば、国民には家計が圧迫されることへの懸念が高まるだけだ。デフレ脱却で国民の負の心理は払拭されるどころか、むしろ悪化する。消費や投資は抑えられ、成長促進への好循環は期待しにくくなる。残念なことに、日銀の極めて正しい政策は「言葉遣い」によって効果を落としているように見える。
解決策は広く国民が納得する政策目標を設定することだ。具体的には物価ではなく、賃金の上昇を目標にすべきだ。東京大学の渡辺努教授が7月25日の「経済教室」で賃金上昇率を日銀の政策目標にするよう提言しているが、私もかねてそう思っていた。
物価上昇目標だとインフレ懸念による負の心理で経済活動が鈍化するが、賃金上昇を目標にすれば人々の賃金増への期待が強くなり、将来への懸念が後退する。消費や投資が促進され、経済の活性化につながるのではないか。そのうえで金融政策によって需要を喚起すれば労働市場はタイトになり、賃金上昇に寄与すると思う。
日銀法第二条は「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」ことを「理念」としている。日銀は目標を「デフレ脱却」から「国民経済の健全な発展」に切り替え、数値目標も「物価上昇率・年2%」から「賃金上昇率・年3〜4%」に改めたらどうか。国民が納得しやすいコミュニケーション方法に改め、政策を遂行すべきだ。それにより日本の歴史的な経済転換が実現できよう。
[日経新聞9月7日朝刊P.28]
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