http://www.asyura2.com/16/hasan113/msg/155.html
Tweet |
[私見卓見]農協は協同組合の原点に返ろう 全国農業協同組合中央会会長 奥野長衛
JAグループはいま、協同組合の原点に立ち返ることが求められている。組合員の農家が1円でも安く資材を仕入れられるようにし、1円でも多く所得が増えるよう努力することだ。農協の職員だけでなく、農家にも「共同購入・販売とは何か」を改めて問わないといけない。農協は農家が立ち上げた組織だ。「お客様」という立場ではなく、自分たちで運営する意識こそが所得向上の鍵となる。
JAグループは組織の拡大に伴い、職員と組合員が離れた存在になっていたのは事実だ。旧食糧管理法の時代、農協は「第2の役場」と呼ばれた。コメを独占的に集めて政府に売り渡すことに傾注した結果、農協職員と組合員の一体感が薄れてしまった。
1970年代にコメ生産が過剰になっても、農協は米価の引き上げ運動に躍起だった。私も三重県から東京に駆り出された経験がある。農協を統括して活動をくり広げる巨大な全国組織もしだいにできあがり、その過程でひずみも出てしまった。
農業の商社機能を持つ全国農業協同組合連合会(JA全農)はかつて、共同購入する全購連と、販売を担う全販連に分かれていた。合体して現在の形態となったが、目的を果たすためには改善を考えていく必要がある。全中も時代のニーズを捉えるべきだ。もともと経営破綻する地域農協を支えるために発足した。今後、地域農協の自立を促すために監査権限を見直すが、地域農協に助言する機能は引き続き重要だ。
注目を集めている農政改革では、まずJAグループが一丸で「自己改革」に当たる決意が重要だろう。政府・与党に言われているからといって、守りに入った組織に発展はない。かつて約1万3000あった地域農協は658まで集約が進み、いずれは1県1農協という状況も見えてくる。職員は危機感を持って原点に立ち返り、農家も甘えを持たずに自ら農協を運営する意識が必要だ。
一方、政府の農政改革では協同組合の意義も再確認してもらいたい。現在、国内には農協を含む協同組合に6250万人もの会員がいる。協同組合は決して資本主義と相対するものではなく、競争社会だけでは解決できない溝を埋めるのが役割だ。ドイツの信用組合ライフアイゼンが標語とした「1人は万人のため、万人は1人のため」という協同組合の相互扶助機能を尊重してほしい。
[日経新聞9月6日朝刊P.26]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民113掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。