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12日以降の日本株はどうなるのか。米国株の影響を受けるのだろうか(写真:AP/アフロ)
日本株は米ダウ394ドル安でどうなるのか 警戒が必要?それとも買いのチャンス?
http://toyokeizai.net/articles/-/135507
2016年09月10日 田代 昌之 :マーケットアナリスト 東洋経済
■FRB幹部と金利先物市場での「大きなズレ」
9日の米国株式市場で、NYダウは前日比394ドルの急落となった。FRB(米連邦準備理事会)幹部による、早期利上げを示唆する発言などを受けて、9月利上げ(20~21日のFOMC=米公開市場委員会)を意識するムードが高まったことが要因だ。
一方、為替市場では、主要通貨に対してドル高が進行した一方、金、原油などコモディティが下落した。ただ、米金利の見通しを示す「FedWatch」(シカゴ・マーカンタイル取引所が算出するFF金利先物)を確認すると、利上げを織り込むような動きは確認できない。金利先物市場とFRB幹部との利上げに対する認識のズレは大きくなっているようだ。
筆者は引き続き、9月利上げの可能性はないと考える。仮に利上げを実施した際は、市場がさほど利上げを織り込んでいないことからインパクトは大きいと考える。一方、日本株については、結論から言えば、日銀のETF(上場投資信託)買い入れが抑止的に働くことによって、一時的な下げに留まるなど、相対的に底堅い展開が見られそうだ。
もう一度、FRB関係者の発言を検証してみよう。市場関係者の間で「ハト派」(利上げに慎重)寄りとみられていたローゼングレン・米ボストン連銀総裁は「利上げを過剰に長く見送ることはリスク」「完全雇用を確実にするには、緩やかな利上げが必要」との見解を表明した。
また、タルーロFRB理事も慎重姿勢を見せつつ「年内の利上げの可能性を排除しない」「個人消費は比較的良好」とも指摘。さらに、米ダラス連銀のカプラン総裁は「現在の低金利は代償を伴う」との見方を伝えるなど、早期の金利引き上げを示唆するコメントが相次いだ。
8月末辺りから、すでにFRB幹部による「タカ派」(利上げに積極的)なコメントが相次いではいた。だが、従来ハト派だったローゼングレン総裁のタカ派発言はサプライズだったと言えよう。
ローゼングレン氏がFOMCでの投票権も有していることを考慮すると、9月利上げに向けて一歩前進した感はある。実際、株式市場、為替市場は、早期利上げが意識されて株安、ドル高の反応を見せた。
ただ、金利先物市場の反応は引き続き鈍い。東京時間10日9時時点のFedWatchでは、9月利上げの確率は24%、12月利上げの確率は54.9%に過ぎない。ブルームバーグが算出するFF金利先物でも、9月利上げの確率は30%だ。
ともに前日比では上昇しているが、とても9月利上げを織り込んでいる割合とは言えない。金利先物市場とFRB幹部とのズレは修正されないどころか、より乖離している。この低い利上げ確率を元に、マーケット関係者が株式、為替市場でポジションを構築しているとすれば、仮に利上げ実施となれば株安、ドル高が一気に進行するだろう。
■日本株の下げは限定的か
では米株安を受けて週明けの日本株はどうなるだろうか。まずは売りで反応するだろうが、ドル高と日銀によるETF(上場投資信託)買い入れが抑止的に働くことから、日本株の下げは、限定的なものに留まると考える。
流動性の低下など、足元の官製相場は中長期的にはマイナスと考えるが、短期的な下げに対しては下げを緩和する圧力として機能する可能性は非常に高いだろう。
実際、NYダウは2%超下落したものの、円建てでの日経平均のCME先物価格は1万6650円だ。また、この価格は9月の配当落ち分(約115円)を加味すると1万6765円辺りとなることから、9日の終値の1万6965円との比較では200円安、1.2%ほどの下落に留まっている。
テクニカル面でも底堅さが確認できる。日経平均は今年初めて重要な節目とされる200日移動平均線(1万6983円)を上抜く場面が見られたが、突破するには至らず、この水準でのもみ合いとなっている。
■日経平均は下げても1万6500円レベルまでか
買い材料に乏しいことから、上値は重い。だが上向いている25日移動平均線(1万6737円)が目先、下値を支えるラインとして意識され、機能しそうだ。仮に米利上げ実施となっても、6月24日の年初来安値1万4864円を起点としたサポートライン(1万6500円レベル)が意識されて、英EU離脱ショック時に見られた急落は回避されると見る。
また、日本株急落回避の要因として、ボラティリティ(変動率)の低下も挙げられる。日経VI(ボラティリティ・インデックス)は足元20p台で推移している。
米利上げによるサプライズで多少ボラティリティが上昇するだろうが、年前半との比較では日本市場のリスプレミアムは大幅に低下している。短期筋からすると日本株は売り込みにくい状況だ。まさにこの変化は日銀ETF買い入れ枠拡大による、最大のメリットと言えよう。
なお、8日に発表された今年4-6月期の実質国内総生産(GDP)2次速報値は、前年比年率+0.7%と市場予想(同+0.2%)を上振れる格好となった。
個人消費は引続き弱いが、民間企業設備投資は速報値-0.4%から-0.1%に上方修正されたことが影響した。こうした内容から、20-21日に開催される日銀金融政策決定会合では「統括的な検証」に終わり、次回(10月31日-11月1日)の会合で具体的な金融政策を打ち出すといった流れを予想する。
マイナス金利の深堀りなど、金融緩和実施を予想する声は多い。が、日銀会合に米FOMCの結果が伝わるスケジュールも考慮すると日銀は動きにくいとみる。さらにいえば、この10月末-11月に行われる会合も米大統領選挙の投開票(11月8日)前となることで動きにくいが、投開票の1週間前となれば、米大統領選挙の流れはある程度決まっている可能性はある。
いずれにせよ、この12日からは日米とも政府要人の発言に振り回される展開もありそうだが、相対的に日本株は底堅い展開となりそうだ。
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