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中国人観光客が沖縄のドンキで「東京土産」を買い漁る理由(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan112/msg/903.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 9 月 09 日 10:32:10: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


中国人観光客が沖縄のドンキで「東京土産」を買い漁る理由
http://diamond.jp/articles/-/101382
2016年9月9日 姫田小夏 [ジャーナリスト] ダイヤモンド・オンライン


 インバウンドツーリズムがもたらす経済効果を地方に波及させようという動きがある。外国人旅行者の大都市集中を地方に分散することは今後の課題、地方自治体も購買力のある中国人客の訪問に期待を寄せる。だが一方で、肝心の中国人客は「聞いたこともない都市」に関心を持ってくれるのだろうか。

訪日外国人消費動向調査(観光庁、2015年10月)によれば、中国からの旅行者の地方訪問率は高い割合を示している。特に「2大都市圏と地方訪問」の比率は55%と高い。


◆訪問地タイプ別比率


 訪日外国人消費動向調査(観光庁、2015年10月)


◆訪問地タイプと地方訪問率【2大都市圏と地方訪問者】


注)上記の数値は、平成26年1-3月期、4-6月期、7-9月期、10-12月期調査で得られた「観光・レジャー」目的客の回答による標本平均により算出した。
訪日外国人消費動向調査(観光庁、2015年10月)


 大阪から入国し、富士山への観光ルートでもある山梨県や静岡県を通過して、東京に抜けるコースは依然人気であり、これ以外には北海道や沖縄県への訪問が顕著だ。確かに地方訪問率は高いが、中国人客が訪れる地方都市には偏重が見られる。分散が進んでいないというのが特徴だ。

 しかし、その一方で地方都市を訪れようという動きも出てきている。

 近年、中国では社員の福利厚生として海外旅行に行く企業が増えている。上海市内でサービス業を営む中小企業A社も、毎年海外への社員旅行を企画するようになった。旅費の半額を会社が負担することから参加率も高く、社員は毎年夏の到来を楽しみにしている。

 社員旅行の目的地としては香港、タイ、シンガポールと、すでに東南アジアを一巡した。これらの国々を“卒業”すると、今度は日本に関心を向けるようになる。ビザが取りやすくなったことに円安が加わり、ここ数年は連続して日本を訪れているという。

 最初は定番の東京と大阪だったが、2回、3回と回数を重ねるにつれて、中部地方や九州を訪れるようになった。リピーターになるほど、訪問地は“上級者コース”志向になる。A社の社員のひとりはチャットで感想を送ってきた。

「今年も行先は日本でした。ただ、地方都市は城を見ても歴史はわからないし、神社に行っても写真を撮るだけ。温泉以外のよさは正直わからなかった」


■鳥取に寄港した中国のクルーズ船
眠そうにタラップを降りる観光客

第212回の本コラムで、2015年7月に鳥取県の境港に寄港したクルーズ船の顛末について触れた。釜山行きの大型クルーズ船が韓国で中東呼吸器症候群(MARS)が流行したため行先を変更し、鳥取県の境港に寄港したまではよかったが、チャーターしたバスで中国人客のほとんどが大手ショッピングモールに行ってしまったという話である。

 実はこのクルーズ船の寄港にはこんな裏話がある。寄港の当日、このクルーズ船の乗客の様子をじっと観察していた地元の企業経営者が語る。

「クルーズ船から出てくる人はなんだかだるそうにしており、眠い目をこすりながら嫌そうに出てきました」

 もとより旅行者の目的地は韓国の釜山だったので、突然の変更で名前も知らない日本の地方都市に寄港したとあれば、その落胆ぶりは想像がつく。

 他方、寄港地の鳥取県にバスのチャーターの依頼があったのは前日のことだった。ざっと4000人を乗せるクルーズ船だから、観光バスは最低でも110台はいるだろう――、こうソロバンを弾くと、鳥取県は不足台数を補おうと急きょ、県外にも応援を頼んだ。

「港にバス110台がならんだ光景は壮観だった」とこの経営者は語るが、その一方で、客を乗せないバスが相当数あることに気づく。

「午前中に出発したバスは半分程度にとどまりました」(同)

 乗客全員が喜々としてバスに乗り込んだわけではなかったのだ。

 110台のバスは3つのコースに分けられ、港を出発し、目的地に向かった。3つのコースにはすべて「イオンモール日吉津」が組み込まれており、それ以外に牡丹の花の名所である「由志園」、「夢みなとタワー」が加わるコースもあった。乗客はイオンモールでの買い物には大きな反応を示した。だが、「夢みなとタワーに設置された特設ブースでの地元特産品には関心を見せなかった」(現地の事情通)。

 1年前のこととはいえ、このクルーズ船の寄港は多くの教訓を生み、いまだ現地の語り草となっている。前出の地元経営者はこう語っている。

「中国人が地方都市の持ち味に関心を示し、街を自由に歩けるようになるにはまだまだ時間がかかるのかもしれません」


■沖縄で売れる「東京名物」
「地方ブランド」の確立はまだ先?

 クルーズ船は沖縄の那覇港にも寄港する。寄港はすでに400回というキャリアを持つ沖縄にとって、もはやクルーズ船なしには観光政策は語れない。

 船から降りた客が向かう先は、那覇市中心地の「国際通り」だ。港からタクシーで10分程度の距離とあり、国際通りでは楽しそうに闊歩する中国人客の姿がたくさん見られる。筆者が訪れた8月末はシーズン中とあって、日本人の家族連れや学生たちも、通り沿いの店の散策を楽しんでいた。


 ドン・キホーテ国際通り店では「東京名物」が爆買いの対象に


 観光客が散策の最後に財布のひもを緩めるのが「ドン・キホーテ国際通り店」だ。ここはいつ行ってもレジ前は長蛇の列、日本人も中国人も入り乱れての1階フロアは壮絶だ。略奪でもするかのように商品を買い漁る客が多いから、棚は欠品だらけである。

 だが、「欠品の棚」にも意外な法則があることに気づく。猛烈に売れているのは「沖縄土産」以上に、「東京名物」なのだ。

 同店には、なぜか「東京名物」「上野名物」などと銘打たれた箱菓子が売られている。同社広報によれば「各店舗に仕入れの裁量を与えており、意外な物が売れることがある」という。そのひとつが「東京名物」というわけだ。

 言うまでもなく「東京名物」爆買いの正体は、中国人客である可能性が非常に高い。沖縄に来てもなお東京のものを欲しがるのは、中国人にとって「東京」ブランドが絶対的価値を持っていることを意味する。「東京」と名の付くものを土産として配れば、自分も少しは鼻が高い思いができ、配った相手からも喜ばれるのだ。

 中国人客の買い物心理の中で「地方ブランド」が確立されるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

 地方への関心の薄さについては筆者自身も見聞した。九州で中国人団体の訪日ツアーに同行したとき、ある光景にショックを受けた。一行を乗せた貸し切りバスは雄大な阿蘇の山麓を通過しているのだが、彼らは車窓からの景色には見向きもせず、後部座席の雀卓で賭けマージャンに耽っていたのである。

 中国の国内旅行でもっと雄大な景色を見慣れているせいもあるだろう。「それに比べたら日本の観光地はミニチュアのようだ」と漏らす男性もいた。


■“日本嫌い”でも日本に行かなければ
話題についていけない


 地元の生活に関心を向ける中国人客はまだ少ない


 他方、中国人客が地方の名もない街を訪れていることも事実である。京都の実家に毎年帰国する中国駐在員の日本人女性は「過去2年、土地の人しか知らない田舎町でも中国人の団体さんと遭遇してきた」と語る。

 その一方で「今年は姿を消しました」とも。一時的に拡散していたかのように見えていた現象も2015年をピークに収縮した可能性がある。

 訪日旅行を選んだ動機は、円安による割安感とともに、「周囲の話題についていきたかっただけ」という“不純な動機”も見え隠れする。福建省出身で日中の民間交流にも関心を持つ中国人男性は次のように話している。

「みんなが日本だ、日本だというので、まだ行ったことのない中国人は焦りました。昨年、日本を訪れた中国人には“日本嫌い”もいましたが、当時はそういう人でも『日本に行かなければ話題についていけない』という焦りがあったと思います」(同)

 昨年の中国人客の急増にはこうした「ブームに乗り遅れたくない人々」もいたというわけだ。価値観の多様化が途上にある中国では、個人の行動も全体の空気に左右されることがままある。日本ではあそこがおいしい、日本でこれが人気だ、日本でみんな買っている、などとみんなが連呼するので、「じゃあ、私も」と乗り出したのが、昨年の爆買い中国人の実態ともいえよう。

「こうした人たちは一度行けば十分。それほどの興味を持って日本の地方都市を見て回りたいという人は、ごく一部ではないでしょうか」(同)

 さて、筆者は冒頭に紹介した上海企業の社員に来年の旅行の計画を尋ねてみた。するとこんな返事が来た。「さすがに日本はもういいかと。来年は日本でないところに行くことになりました」(同)

 毎年連続して3回も訪れた日本には飽きが来たようだ。ちなみに観光庁の調査(訪日外国人消費動向調査、1-4月期)も、東アジア、東南アジアからの訪日客の中で、3回目に日本を訪れる割合は中国が6.0%で最も低い割合を示している。

 購買力ある中国人客の地方分散が国の狙いだが、果たして「すごろくの駒」のように簡単に動かせるのかどうか。地方都市への拡散を見る前に日本ブームが収束してしまうことだってある。中国人客にとって訪日旅行は一過性かという点も含めて、今後が気になるところである。


 

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