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「地方移住でのんびり幸せ生活」の落とし穴…意外な出費多く、都会より生活コスト高も
http://biz-journal.jp/2016/09/post_16553.html
2016.09.04 文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー Business Journal
毎年、夏休みを利用して実家に帰省するという人も多いだろう。私もそんなひとりだが、20〜30代の頃は、帰省するのが面倒くさくて仕方なかった。それが最近、40代も半ばを過ぎると、数カ月に一度、田舎の空気が吸いたくてたまらなくなるのだから驚きだ。これが年をとるということだろうか。
実は数年前に、家庭の事情で一時的に実家にUターンしていたことがある。その際の経験から、今の自分に田舎暮らしは向いていないと痛感。現役時代に再移住するつもりはまったくない。ただ最近、リタイア後の田舎暮らしもいいかな、と漠然と思ったりもする。
さて、今回は、そんな地方移住についてである。もし定年退職した夫が田舎暮らしに憧れて「地方移住したい」と言いだしたら、あなたは(妻)はどうするだろうか?
■「終の住み処」について、男性は田舎派、女性は都会派に分かれる
アサツーディ・ケイが2012年10月に実施した「全国一斉住み力調査」によると、「終の住み処」についての考え方を男女で比較した場合、中高年層において、それぞれ男性が“田舎派”、女性が“都会派”の志向が強いという。
とくに60代ではその差が顕著で、「最後は田舎で暮らしたい」と回答した人が、男性は43.5%なのに対し、女性は17.4%。「最後は都会で暮らしたい」と回答した人が、男性は53.6%なのに対し、女性は72.5%という結果になっている(図表参照)。
都会であくせく働き続けていると、「リタイアしたら、のんびり田舎で暮らしたい」と夢見る男性の気持ちはわからないではない。ただ、夫が田舎暮らしの夢を実現させるためには、まず妻の説得というハードルをクリアする必要がありそうだ。
■移住にあたってもっとも不安なのは「収入」や「移住費用」など
そして、やはり気になるのが移住にかかるお金だろう。
ネオマーケティングが、国内で移住をしたいと考えている、あるいは移住が決まっている20〜64歳の男女400人を対象に「移住」をテーマにした調査を実施したところ、移住にあたっての不安要素として、「収入」「移住費用」が上位にあがった(図表参照)。
さらに女性の場合、「収入」や「病院や公共施設が充実しているかどうか」「食事が合うかどうか」という項目以外は、男性よりも回答数が多いことがわかる。どうやら女性は、移住に関してさまざまな不安要素を抱えているようだ。
■大都市と小都市で生活費の差は毎月2.6万円
一般的に、地方は都会に比べて生活コストが割安なイメージがあり、それに惹かれて地方移住する人も少なくない。
確かに都心部に比べ不動産価格は断然安く、全国の自治体がインターネットで提供している「空き家バンク」などで検索すれば、戸建てが格安で賃貸できる物件なども多い。
また、地方は物々交換の文化がまだまだ根強い。畑で収穫できた野菜や果物、山で採ってきた山菜・きのこ、海や川で釣れた魚介類や鹿肉などなどをもらったり、あげたりすることが日常茶飯事。お金をかけずとも食べるものには困らないだろう。
しかし、地方が都会よりも生活費がかからないとは限らない。総務省の「家計調査年報(平成27年)」によると、都市階級別の2人以上の世帯の消費支出は、もっとも高い大都市が約29.8万円なのに対し、もっとも低い小都市B・町村(人口5万未満の市)は約27.2万円と、その差は約2.6万円である。年間では30万円以上の差があるのでおトク感はあるかもしれないが、給与水準など収入が低ければ、相殺されてしまう。
ちなみに、人口5万未満の地方都市というと、たとえば兵庫県南あわじ市や高知県南国市、千葉県館山市などといえば想像がつくかもしれない。
さらに、どの地方に移住するかで生活費も異なってくる。
同調査の地方別の消費支出(月額)を比較すると、もっとも高いのは関東だが、僅差で北陸となっており、いずれも30万円以上。もっとも低い沖縄と比べると約8.7万円の開きがある。
沖縄は移住先としても人気が高いが、利便性の高い関東を希望する人もいるだろう。どの移住先を選ぶかによっても、コストが変わることをお忘れなく。
■地方移住ではお付き合いにかかる費用に要注意!
移住した場合、想定以上にかかる費用としては、交通費や光熱費、冠婚葬祭費・交際費などが挙げられる。
交通の便の悪い地方ではクルマが必需品であり、駐車場代は必要ないものの、ガソリン代や自動車関係費などのコストはかかる。私の出身地方でも、一家に1台ではなく、家族一人ひとりがマイカーを持つ。ガソリン代などは、需要と供給の法則から都会のほうが安かったりする。
また、寒暖の激しい地方などは光熱費がかさむし、過疎化が進み、財政難に苦しむ地域では、公共料金や住民税、国民健康保険料・介護保険料など公共サービスに支払う料金の負担も重くなることも忘れてはならない。たとえば、国民健康保険料は、自治体によって約1.5〜2倍の差(年収によって異なる)があるのだ。
そして、地方移住でもっとも費用がかかると感じるのが、冠婚葬祭や交際費などご近所とのお付き合いにかかる費用である。
冠婚葬祭といっても、そのほとんどは葬儀や法要などの不祝儀。当然のことながら、地方は高齢者が多く、親戚や友人・知人などとの付き合いも多いので、年間に参列する葬式の数は、都会とはケタ違いだ。先日帰省した際には、講読している地方新聞で「来月からおくやみ情報をメールで有料配信する」というサービスの案内を発見した。地方ではそれだけ、ニーズがあるということだろう。
■お金以外のリスクにも注意しよう
地方移住には、お金以外にもさまざまなリスクが考えられる。
そのひとつが病院の数が少ないこと。専門の医師や医療設備の整った総合病院が少なく、あっても遠方で通院が難しいケースもある。健康な間は問題ないが、高齢になると心配だ。
またインターネット環境が整っているかも重要である。必要なものを通販で取り寄せたり、仕事をしたりする場合に欠かせないからだ。
いずれにせよ、地方移住にはメリットもデメリットもある。これらをどう考えるかは個々の価値観で異なるだろうが、ともかく、実行する前にお試し移住や自治体による補助金の有無、受け入れ体制などをきちんと確認すること。
くれぐれも、家族の反対を押し切ったうえ、無計画にコトを進めて「こんなハズではなかった」と後から後悔しないよう、行動は慎重にである。
(文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー)
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