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混乱を覚悟した人民銀行
中国経済を観察している人の中には、ぎくりとした人も少なくないだろう。中国人民銀行(中央銀行)が四半期ごとに発表している金融政策執行報告の重要な部分が変わったのだ。「地域的な金融リスクを発生させない」。8月5日にまとめた報告からこの表現が抜け落ちていた。
これまでは冒頭の文章で、金融システムと地域金融の2つが危険にさらされることを防ぐと宣言していた。これは政府の一部門にすぎない人民銀行独自の見解ではなく、李克強首相が金融界との会合で強調してきたことでもある。報告の書きぶりの変化は、政府の姿勢が変わったことを示唆している可能性がある。
気になる動きはこれだけではない。人民銀の報告から数日後、中国の最高裁にあたる最高人民法院が主な地域の裁判所に対し、企業を清算し、破産させるための法廷を設けるように求め始めたのだ。法曹関係の地元メディアは「法に基づいてゾンビ企業を処理するためだ」と解説した。
利益が出ないのに生き残っているゾンビ企業は、地方政府とその関連企業の癒着の象徴。地方が金融機関に圧力をかけて融資させるなどマネーの配分を非効率にし、民間企業の台頭も妨げてきた。最高人民法院と人民銀行の最近の動きからは、たとえ地方の経済と金融が一時的に混乱しても「病根」を断つべきだという中央の思惑が透けて見える。
不採算企業の退出には、当然リスクも伴う。みずほ銀行(中国)の細川美穂子主任研究員は「人民銀行の報告は、国全体の金融システムは守るという意思表示でもある」と指摘する。そのためには公共投資や減税など打てる政策を総動員するだろう。
中国の経済成長率は減速してもなお6%台だが、消費者物価の上昇率が2%を切るなど景気の体温は成長率よりも低い。中国は国内外に混乱を飛び火させることなくゾンビ企業を取り除くことができるだろうか。中国の次の一手に世界が身構えるべき時がいよいよ近づいてきた。
(編集委員 吉田忠則)
[日経新聞8月29日朝刊P.16]
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