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大和ライフネクスト・マンション事業部事業開発部の丸山肇部長
マンション、間違った地震対策&発生時の対応は危険!「近所力」が被害を大きく左右
http://biz-journal.jp/2016/09/post_16534.html
2016.09.01 構成=編集部 Business Journal
マンションで被災したときに住民は何をすべきか。日本は東日本大震災、熊本地震などを経験し、さらに将来は首都直下型地震や南海トラフ地震などの発生リスクが懸念されている。地震対策は一戸建て、マンションと居住形態によってそれぞれ異なり、固有の防災対策が注目されている。そうしたなか、マンション管理大手・大和ライフネクストは、マンションを取り巻く防災上の課題やリスクなどについて取り組んでいる。
地震に強いコミュニティづくりの大切さをテーマに講演活動を行っている同社マンション事業部事業開発部の丸山肇部長に聞いた。
――マンション居住者の防災対策を訴えていらっしゃいますね。
丸山肇部長(以下、丸山) 世の中にある防災マニュアルはほとんど一戸建ての住宅向けにつくられていますが、日本には分譲マンションだけでも約630万戸あり、これに賃貸マンションを加えると相当の数になります。住宅に占めるマンションの比率は東京では実に26%を超えています。当社はマンション管理事業を行っておりますが、その経験を生かしてマンションのための防災対策についての情報発信に取り組んでいます。
――マンションにおける防災とは具体的にはどんなことでしょうか。
丸山 マンションは高さがあり、鉄筋コンクリートの共同住宅という特徴を持っています。多くが木造である一戸建ての住宅とは条件がまったく異なります。ですから、建物の崩壊で人が亡くなるというのはマンションでは少ないと考えられます。建物が健在であれば自宅での避難となりますが、水や物資を運ぶにあたって階段があってとても大変、といった事情があります。そうした課題も含めて事前に対策を考えておくことは極めて重要です。
――マンション住民の方々の関心は高まっていますか。
丸山 関心は高くなっていると思いますが、何をどう準備すればいいのか迷っていらっしゃるのも事実です。自宅での避難となる以上、住民同士による「共助」が不可欠です。マンションのコミュニティは災害時の強みになるものです。このため、日頃からマンションの住民同士のつながりをもとにした「近所力」を強めてゆくことが大切です。
■震災発生時の備えで大事なこと
――その指針となる机上防災訓練ワークショップテキスト『マンションだから地震に強くなれる本』(大和ライフネクスト)をこの春、丸山さんらがまとめられました。
丸山 防災に関して何かやろうとすると、「自分は大丈夫」とリスクを過小評価する「正常化バイアス」や、「誰も防災の準備をしていないのだから、自分もやらなくてもいい」という「リスキーシフト」という心理も働きがちです。それを克服して行動に移すことが大切です。そうしたことのヒントにしていただけるように、同テキストをまとめました。
備えには「想定」が必要です。まずは家庭内で結構ですので、「いつ、どこで、だれが、何をしているとき」震災がやってきたらどうなるかなどを考えてみてください。そしてどうやって身を守るかを話し合ってみる。それが「机上防災訓練」です。また、マンション内に広げてやってみるのもいいでしょう。その際に明確な結論が出なくてもいいのです。
まずは、どんな被害が想定され、その際にはどう対処すべきか。それにはどんな準備をしておくかを考える。これをマンション内に広げてワークショップ(研修会)を行えば、住民同士の「近所力」という考え方にたどりつくことになります。
――個人でできる震災発生時の備えとして大事なことは、具体的にどんなことでしょうか。
丸山 まずは身を守ることです。地震が起きると「すぐ火を消せ」と言われますが、ガスコンロには煮えたぎったお湯の入った鍋がのっている場合、無理して消そうとするとお湯がこぼれて大やけどをすることがあるかもしれません。ガスコンロは震度5程度でガスが自動的に遮断され火は消えます。ですから危険を冒して無理にガスを止めるのではなく、まず身の安全の確保が大切です。
食料を気にされる方も多いですが、一般家庭なら、1年程度の賞味期限がある食材を使いながら順次買い足すことで、現状に少しのプラスアルファの備蓄で被災生活期を乗り越えることも可能です。いわゆる「ローリングストック方式」です。賞味期限の近いものを日常的に使用し、なくなる前に補充する仕組みです。カセット式のガスボンベと飲料水を確保しておくこと。そして凝固剤付きの簡易トイレなどを用意しておくことなどが大事です。
――今後の課題はどんなことでしょうか。
丸山 人口が減少し、日本人の約3人に1人が65歳以上になるいわゆる「2025年問題」が指摘されていますが、分譲マンションの世帯主の年齢はすでに60歳以上が50%を超えています。さらに全国のマンション約630万戸の平均築年数は21年を超えています。老朽化する建物だけでなく、住民の高齢化も進行する「2つの老い」の問題が発生しているのです。防災対策とも相まって、マンションコミュニティを活性化させる提案や、住民への啓発活動が今後ますます重要になってくると思います。
(構成=編集部)
●丸山肇(まるやま・はじめ)氏(58歳)
大和ライフネクストで新築分譲マンションの管理設計・規約作成・管理立ちあげ担当部門の責任者や東京支社長などを歴任。阪神・淡路大震災では復興に向けた管理組合のアクションプランを作成し、東日本大震災ではマンションのコミュニティ力や共助のあり方、住民の生活環境などを研究。共同住宅での共助や防災ノウハウなどについての講演はこれまで全国各地で100回以上に及んでいる。
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