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低率課税こそ「公平」? 巨額追徴課税のアップルがEUに反論
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160901-00013452-forbes-bus_all
Forbes JAPAN 9月1日(木)18時0分配信
欧州連合(EU)はアイルランド政府に対して8月30日、 米アップルは過去に同国に支払うべきだった法人税を納めていなかったとして、最大およそ130億ユーロ(約1兆4,970億円)を追徴課税するよう指示した。そして、これは世界に大きな衝撃を与えた。
EUの行政を担う欧州委員会はさらに、アップルとアイルランド税務当局との間には「取り決め」があったと指摘。これは「国家による補助」を禁じたEUの規則に違反するとの見解を示した。だが、これに対してアップルは、自社はアイルランドでも米国でも、世界でも最高額の税金を収めていると主張。次の2つの点について、欧州委の指摘に反論した。
1. アップルはアイルランド政府から課税に関する優遇措置を受けていない。そのため、違法な「国による補助」は行われていない。
2. アップルはアイルランドが定める全ての税法を順守しており、課された税額の全てを納めてきた。追徴課税されることがあれば、税法の変更が遡及的に適用されたと考えられる。
「取引」はあったのか?
アップルが主張する第一の点について、アイルランド政府の立場は明快だ。
「アップルは課された税額を全て納めている。そして、アイルランド政府は同社に対し、一切の補助を行っていない。アップルに対する税制優遇措置はない」
しかし、欧州委はこれに対し、文書による双方の合意がなかったとしても、アップルに適用された衝撃的ともいえる低税率(2014年は0.005%とされる)が示すのは、そうした合意が「事実上」存在したということだと主張している。
EUは秘かに基準を変えた?
アップルの第二の主張は、欧州委が示した「新たな租税原則」に関連するものだ。これまで企業は、生産的価値が引き出された結果として得た利益に課税されてきた。これが法人税法の原則だった訳だが、今回の欧州委の主張では、それが大きく変更されたことになる。
アイルランドは、欧州委は税法の基本が「公正な税率」に基づくものだと考えていると批判する。また、税額は通常、企業が活動の拠点とする特定の地域で決められるものだが、米国やその他の欧州各国もアップルに納税を求めることができるのだとすれば、アイルランドが受け取る税額は大幅に減ることになる。
■何が「公正」なのか?
米財務省もこの問題については、アイルランドと同様の見解だ。欧州委が(アイルランドの)課税に関して調査を行うことは「不公平だ」と明言している。
だが、EUはこれらに対し、アップルが欧州域内で得た「ほぼ全ての利益」がアイルランドの子会社に集められており、企業活動の拠点としている国に税金を納めるべきとの慣例に従えば、同国での税率が0.005%だというのはばかげた話だと述べている。
「公正な」税率こそが公平か?
アイルランドの国内総生産(GDP)は約2,380億ドル(約24兆5,770億円)。これに対し、アップルの時価総額は5,710億ドル(約58兆9,630億円)だ。
一企業が所在する国のおよそ2倍の経済的規模を持つ状況下で、その国が法人税率を決定する。この場合、立場の強い企業は小さく経済的にも影響を受けやすい国を脅すことができる──そう考えることもできる。
だが、仮にアイルランド政府が国内にあるアップルの「架空の本社」に集められた多額の利益に追徴課税を求めていたとすれば、アイルランド経済は壊滅的な影響を受けていた可能性がある。拠点を自由に移動することができるアップルは、より従順な別の国に移転していただろう。一方が大幅に有利になる形でのこうした「偏った」取り決めは、公正な合意になり得るのだろうか?
公正さの基本は、全ての法律が定める条件が満たされていることだ。その法律には、「国による補助」も含まれる。そして、公正さは法の精神を順守するという基礎の上に成り立つものでもある。
アップルに「妥当な」税率に基づく税額を収める義務があることは明らかだ。同社が過去にそれを回避してきたのだとすれば、それは不当な行為だ。欧州委は、その不当な行為を正そうとしているのだろう。
Jonathan Webb
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