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日本の超高齢化を「見える化」したらやはりトンデモなかった
http://diamond.jp/articles/-/100361
2016年8月31日 本川 裕 [統計データ分析家] ダイヤモンド・オンライン
■世界のすべての国と比較
やはり日本の高齢化率は世界一
年齢別人口は大きく年少人口(0〜14歳)、生産年齢人口(15〜64歳)、高齢人口(65歳以上)に3区分される。生産年齢人口は働く世代を意味している。今は先進国では高卒年齢でないと働く者は少ないが、従来からの考え方で15歳が区切りとなっている。また高齢人口も定年も平均寿命も昔より伸びた今では65歳でなく70歳を区切りにした方が適切かもしれない。
しかし、この区分は、統計の継続性に加えて、共通に決めてあること自体が有用なので、国際的にもなお通用している。高齢化率は、特に断らない限り、総人口に占める65歳以上の高齢人口の割合を指すのが普通である。
日本の高齢化が世界一であることはしばしば言及されているので知っている人は多いだろう。しかし、どの程度、世界一なのかについては、すべての国の高齢化率が同時に図示されたことがことがないので、ピンとこないのではなかろうか。
そこで今回は、まず、高齢化率のデータが得られる世界の全部の国の高齢化率のグラフを示した。おそらく本邦初の試みだと思う。
◆図1 日本は世界一の高齢化国
──高齢化率の国際比較(2015年)
高齢化率は日本が26.7%で世界一高く、日本に次いで高いヨーロッパのイタリア、ギリシャ、ドイツのそれぞれ22.4%、21.4%、21.2%を大きく上回っている。
人口10万人そこそこの国まで含めて200ヵ国弱の国の中で人口1億人以上の国である日本が全体として紛れもなく世界一なのだから驚く。本格高齢社会という人類の未体験ゾーンに向かって、幸か不幸か、日本がまず真っ先に突き進んでいることがこの図から実感できるのではなかろうか。
日本が属する東アジア・太平洋では、香港、オーストラリア、ニュージーランドが15%前後で比較的高齢化しているが、日本と比べるとずいぶん低い。さらに、韓国、シンガポール、タイ、中国、北朝鮮と中国からは10%を切ってだんだんと高齢化率が低くなっていく。後段で見るとおり、今は若い韓国や中国もいずれは大きく高齢化率が高まってくると予測されている。東南アジア諸国はシンガポール、タイを除くと高齢化率は5%前後とかなり低い水準の国が多い。
米国の高齢化率は欧米の中では低い点など、そのほか、地域別、国別にいろいろな特徴が見て取れるがこれ以上の読み取りは読者に任せて、この図のコメントはこの辺で控えておこう。
ちなみに世界一高い日本に対して、世界で最も高齢化率が低いのは、アラブ首長国連邦であり、値は1.1%である。何と100人に1人しか65歳以上の国民がいないのである。
■若者の国のオリンピックから
老人の国のオリンピックへ
日本の高齢化の特徴は、現時点で世界一である点に加えて、主要国の中で極めて急速な高齢化のテンポをたどっている点にある。
この点を「見える化」するため、主要国における19世紀からの高齢化率の長期推移と今後の21世紀中の将来推計の数値をグラフにした(次ページ)。
日本が他の主要国、特に欧米諸国と比べて、非常に若い国だったのが、他国にないテンポで高齢化率を上昇させ、さらに21世紀を通して、世界一の高齢化の水準を維持する見込みだということが明確に示されていると思う。
象徴的なのは、1964年の東京オリンピックと2020年開催予定の東京オリンピックという二つの時点の高齢化率の世界の中での位置である。1964年の時点で主要先進国と比べて最も若い国としてオリンピックを開催した日本は、2020年には、ずば抜けて高い高齢化率の国、いわば紛れもない老人の国として世界から人びとを迎えることになるのである。
そういう意味では、いい悪いは別にして、79歳の森喜朗元首相が東京オリンピックの組織委員会会長なのは絵に描いたような人事だともいえる。
オリンピック競技を観戦するため日本を訪れる世界の人びとは、同時に、高齢化が抱える深刻な問題の数々をどのように日本は解決しているか、解決しようとしているかを自分の目で観察しようとしてやってくる。なぜなら日本の最先端の高齢化水準は自分たちの将来の姿だからである。深刻化する社会保障の財源問題、高齢者の社会参加や健康維持、ケアの必要な高齢者を支える人的体制、シルバー民主主義の弊害への対処などに対して日本は世界の参考となる解決法を提示できるのであろうか。
図2 若者の国から老人の国へ
──主要国における人口高齢化率の長期推移・将来推計
国内に日本とは年代がずれているが同じように大きな塊のベビーブーム世代を抱え、また現在は少子化している中国や韓国では、今は若い年齢構成であるが、将来、日本と同様、あるいは日本以上に急速な高齢化に見舞われることも図からうかがい知ることができる。
なお、日本の公式推計に比べて日本の高齢化率の国連推計値が低い水準になっているが、これは、将来人口推計に当たって、いずれの国でも出生率の水準がいずれは人口置換水準(2+α)に収束してくると仮定されているためである。つまり日本の場合は現在の水準からかなり上昇すると仮定されているからである。従って国連の将来推計は日本については推計値と言うより目標値に近い結果となっているのである。
■増える百歳以上の超高齢者
2015年には6万人超え
65歳以上の高齢者は、75歳未満の前期高齢者と75歳以上の後期高齢者に区分されることがある。健康上の問題や要介護の割合などから同じ高齢者でも両者を区分した方がよい場合も多いからである。高齢化比率が上昇する中、ケアの必要性がより高い後期高齢者の比率はそれ以上のテンポで上昇する点が指摘されている。ここでは、この点は省略し、高齢者の中でも以前なら本当に希な存在だった百歳以上のいわば「超」高齢者が最近は大きく増えている点を最後に視覚化しておこう。
図3 超高齢者の増加
──百歳以上高齢者数の年次推移
図4 超高齢者の国際比較
──百歳以上人口の多い上位5カ国(2015年)
百歳以上の高齢者数は、厚生労働省の資料によれば、1963年には153人に過ぎなかったのが、1981年には1000人を超え、1998年には1万人を超え、2012年には5万人を、2015年には6万人を越えた。男女別では女性が87.0%と圧倒的に多くなっている。
百歳以上の超高齢者を英語ではcentenarianと呼ぶが、国際比較のデータを見ると、世界で百歳以上の人数が最も多いのは、日本でなく米国である。しかし、人口の母数が13億人の中国よりは百歳以上に限ると日本の方がかなり多い。もちろん、人口当たりの比率では2位のイタリアを上回って日本が最も高い。
以上、日本はいずれの面から見ても世界一の高齢者大国であることが視覚的に明らかとなったのではなかろうか。
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