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コラム:
日銀緩和「修正」で円高加速の現実味
亀岡裕次大和証券 チーフ為替アナリスト
[東京 30日] - 9月20―21日に開催される日銀金融政策決定会合は、為替を左右する一大イベントとして注目される。2013年4月の「量的・質的金融緩和」導入以降の政策効果について、「総括的な検証」が行われるためである。
その内容次第では、日銀の金融緩和に対する市場の見方が変化し、為替相場にも影響が及ぶことが予想される。ここでは、現行の緩和策の問題点と修正方向、日銀の姿勢変化がもたらす為替相場への影響について考えてみたい。
<日銀の金融緩和に3つの問題点>
まず日銀の金融緩和政策の問題点として、主に次の3点が挙げられる。1)金融機関収益の圧迫、2)量的緩和の持続性、3)円安効果の喪失だ。以下、それぞれについて検証したい。
●金融機関収益の圧迫
日銀は長期の年限を中心に国債買い入れを増額してきたため、日銀当座預金の適用金利水準マイナス0.1%に近い短期金利に比べ、長期金利が大幅に低下し、イールドカーブはフラット化(期間によっては逆イールド化)した。
残存1―10年の国債利回りは7月27日にかけて低下し、7年物は最も低いマイナス0.405%を記録。残存15―40年の国債利回りは7月6日にかけて低下し、15年物はマイナス0.109%まで低下した。預金金利などの調達金利の低下が制約される一方で、国債や貸し出しなどの運用利回りの低下が進み、金融機関の利ざやが縮小した。
年金・保険などの長期運用にとっても、利回り確保が厳しい状況だ。住宅ローン金利低下を受けた個人の借り入れ増や、国債からリスク性資産への運用シフトなど、日銀が意図した金融緩和効果もあるが、経済へのプラス効果は限定的だ。長期金利の低下が過度となって金融機関の収益を圧迫しすぎると、資産・負債を圧縮するなどの金融引き締め効果が発生し、金融・経済が不安定化してしまうリスクがある。
また、日銀がマイナス金利での国債買い入れを拡大しすぎることも、長期的な日銀の収益圧迫要因となる。過度な長期金利の低下が金融機関収益を圧迫する点も、問題と言えるだろう。
●量的緩和の持続性
日銀の国債保有は増加の一途をたどり、16年6月時点で国債残高の35%に達している。年間に80兆円ペースで増加、保有比率は9%程度のペースで上昇しており、黒田東彦総裁の任期末(18年4月)には、50%に達するようなペースだ。民間金融機関が取引担保で保有しなければならない国債もあるので、実質的には50%を超えると国債買い入れの限界に近づくことになるだろう。
上場投資信託(ETF)買い入れによる株式の保有増もそうだが、日銀が長期的に資産買い入れを継続すると、市場の流動性や価格形成機能が低下してしまう。そうした問題を犠牲にして物価目標のために量的緩和を続けるには限界がある。国内総生産(GDP)に対するマネタリーベースの比率は欧米の約4倍だ。市場は日銀の量的緩和持続が困難と考え始めているだろうし、円高に振れた一因もそこにあるだろう。
●円安効果の喪失
日銀の金融緩和政策に前述したようなマイナス要素があっても、円安を招いているのであれば、景気や物価へのプラス効果が期待できるので、すぐに緩和政策を修正する必要はないだろう。
しかし、現実には金融緩和が円安を招かなくなっている。世界市場がリスクオフに傾いて円高圧力がかかっているわけではない。日銀が追加緩和をすると、市場が金融緩和の問題点をより強く意識し、緩和政策の限界を織り込んで円高が進むからだ。
金利低下による円安効果よりも、緩和期待後退による円高効果が大きい。金融緩和が円安を招かずにむしろ円高を招くようでは、追加緩和の必要性は低いだろうし、「量」「質」「金利」の3次元すべてで緩和政策を維持あるいは強化する必要性も低いだろう。
<緩和政策はいかに修正されるか>
こうした問題点を踏まえて、日銀は以下のような方向に金融緩和政策を修正していく可能性があるとみている。
まず、長期金利の安定化だ。長期金利が低下しすぎると、金融機関の利ざや縮小による収益マイナス効果が拡大し、年金・保険などの長期運用への弊害も大きくなる。また、日銀がイールドカーブ全体の金利低下を促す姿勢を続けると、市場に金利先安観が醸成され、金利がさらに低下するまで実物投資が抑制されてしまう弊害もある。
そこで、マイナス金利によって日銀当座預金の積み上がり(マネーの退蔵)を抑制しつつも、長期金利が過度に低下して長い年限まで幅広くイールドカーブがフラット化(あるいは逆イールド化)することを防ぐようにするのではないか。そのための方法としては、過度に低い金利水準で日銀が長期国債を買い入れないようにすることが考えられる。
次に、量的緩和の柔軟化だ。日銀の金融市場調節の操作目標はマネタリーベースにあり、マネタリーベースが年間に約80兆円ペースで増加するようにするため、長期国債の保有残高が約80兆円ペース増加するように国債を買い入れている。市場の国債金利が低下すれば日銀当座預金金利のマイナス0.1%を下回る水準でも国債を買い入れており、買い入れオペを円滑化するためか、市場実勢よりも低い金利(高い価格)で国債を買い入れるケースもある。
今後は、長期金利の安定化のために、日銀当座預金金利を下回る水準で長期国債を買い入れるケースを減らす(あるいはなくす)ことが考えられる。金融市場調節の操作目標に長期金利も加えることで、長期国債の保有残高およびマネタリーベースの増加ペースの目標を柔軟化し、幅を持ったものにするのではないか。
最後に、物価目標達成の柔軟化だ。日銀は2%の物価安定目標を2年程度の期間を念頭に早期に実現するとしている。しかし、金融緩和などによって円安基調となり、かつ国際商品市況が上昇基調とならない限り、消費者物価上昇率が2%に達するのは難しいだろう。
2%の物価安定目標を堅持しつつも、国際経済・金融情勢によって物価目標達成までの期間は変動するとして、2年程度を念頭に置くとしている目標達成期間を柔軟化するのではないか。
<追加緩和で円安に振れる可能性は>
おそらく、日銀は次回9月会合で新たな金融政策方針を示すことはないだろうが、総括的検証で何らかの問題点やそれに対する修正点を提起し、何が最も適切な緩和策かを示唆する可能性がある。
日銀は引き続き3次元すべてに追加緩和の余地があるとはするだろうが、量的緩和を柔軟化する姿勢をみせた場合、市場は量的緩和がペースダウンする布石と捉えるだろう。すでに日銀緩和の限界を意識し始めて円高に振れている為替市場は、緩和政策が拡大からの転換点を迎えたという認識を抱くことになり、円高が進む可能性が高い。
一方、総括的検証を受けて日銀の金融緩和に問題点はなく、これまで通り3次元の金融緩和を強化すべきとするならば、一時的にやや円安に振れるだろうが、そうなる可能性は低い。
確かに、市場が総括的検証を「量」の緩和縮小の布石と捉え、長期金利上昇と円高が進んだ場合、日銀は金融政策の修正を遅らせるか、政策修正に合わせて追加緩和をする可能性がある。その場合、マイナス金利の深掘りや、買い入れ対象に財投機関債や地方債を加えることで、長期金利上昇と円高を抑え込もうとするかもしれない。ただし、「金利」と「質」の緩和余地はそもそも小さいと考えられる。
日銀の追加緩和によって円安が進む可能性は低く、市場が「緩和拡大期待の後退」から「緩和縮小期待」へとシフトしていくなかで、円高が進みやすいとみるべきだろう。
*亀岡裕次氏は、大和証券の金融市場調査部部長・チーフ為替アナリスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yuji-kameoka-idJPKCN1150OH
日本の格付け「A1」で据え置き、見通しは安定的=ムーディーズ
[30日 ロイター] - ムーディーズ・インベスターズ・サービスは30日、日本政府の発行体格付け「A1」を確認し、安定的の見通しを維持すると発表した。
ムーディーズによると、今回の格付けの確認は、リフレーションと財政安定化に向けた過去2年の日本政府の取り組みが、当初の想定より遅く規模も小さいが、政府が目指す方向に進んでいるほか、政府の資金調達コストが今後も低水準で安定的に推移すると予想されるため。
ムーディーズは、物価上昇率は今後おおむね低水準で安定的に推移し、政府債務のGDP比もほぼ横ばいとなると予想。コアコア物価指数上昇率が安定的に推移する一方、総合物価指数上昇率は日銀の目標を大きく下回る水準にとどまるとみている。
将来の格付けについては、財政再建と債務削減が継続的に進ちょくすればプラスとなり、ポジティブな格付けアクションがとられる可能性があるとする一方で、政府が中期的に有意な財政再建と債務水準の安定化を達成できないことを示す証左が認められた場合、格下げにつながる可能性があるとしている。
http://jp.reuters.com/article/moodys-japan-idJPKCN1150IC
為替には最大の関心、過度な変動には断固対応できる体制=菅官房長官
[東京 30日 ロイター] - 菅義偉官房長官は30日、ロイター・ニュースメーカーで講演し、外為市場における過度な動きに対して「断固として対応できる体制を取っている」と述べた。財務省、金融庁、日銀による三者会合を自身が定例化したことを挙げ「常に為替には最大の関心を持っている。その時々によって必要なことを行う」とも語った。
菅長官は安倍晋三政権の経済政策を中心に講演。経済再生最優先で取り組んできた経緯を説明したうえで「強い経済は国力の源」と指摘した。
名目国内総生産(GDP)600兆円に向けては、経済成長を加速させる一方、同時に「財政健全化の旗も掲げる」と強調した。
政府は今月2日に事業規模28.1兆円の経済対策を決定した。菅長官は、個人消費や企業の設備投資に弱さがみられると指摘したうえで、政府の対策と日銀の金融政策を一体としてデフレ脱却に取り組む考えを表明した。
日銀は9月の金融政策決定会合で、マイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)政策の「総括的な検証」を行うが、菅長官は物価安定目標の達成に向け、政府としても「日銀の経済物価情勢を踏まえつつ、最大の努力をしていきたい」と語った。
また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、従来の国債中心の運用から株式投資を倍増させたことなどに触れ、機関投資家だけではなく個人の資産形成の重要性についても言及した。
金融機関と顧客との間に生じる情報の非対称性を解消することが必要とし、「民間の人たちが自信を持って消費、さらには投資を拡大することができるような環境を整備するのが政治の役割だ」と述べた。
*内容を追加しました。
(梅川崇 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/suga-reuters-idJPKCN1150DU
向こう10年の米利上げ、小幅にとどまる見通し−SF連銀エコノミスト
Jeanna Smialek
2016年8月30日 13:24 JST
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中国工商銀行:4−6月利益、前年同期比1%増
• 中立金利は「極めて緩やかに上昇」して26年に1%程度になると推計
• 米当局者の6月時点の実質FF金利見通し中央値は長期で1.15%
米国の金利が長期的にどの程度の水準まで上昇するかをめぐり、一部の米金融当局者の見通しは依然、楽観的過ぎるかもしれない。サンフランシスコ連銀のシニアエコノミスト、ケビン・ランシング氏がまとめた最新の小論文に基づけば、こうした結論となる。
ランシング氏はその中で、インフレ調整後の実質金利で景気を刺激も抑制もしない中立金利(r*)について、2016年のゼロ%近辺から「極めて緩やかに上昇」して、26年に1%程度となるとの予測を示した。
推計に当たって同氏は、議会予算局(CBO)が試算する国内総生産(GDP)の四半期潜在成長率に非常に沿った形で、中立金利が推移してきているとのシンプルな前提に立脚。CBOによる向こう10年間のGDP予想から、こうした中立金利見通しを導き出した。
ランシング氏は「中立金利の長期的な数値が実際に1%前後ないしそれを下回るなら、フェデラルファンド(FF)金利正常化のプロセスは予想中央値の軌道が示唆するよりも緩やかとなる可能性がある」と指摘。連邦公開市場委員会(FOMC)参加者による6月の経済予測では、実質FF金利の予想中央値が長期的にみて1.15%となる点に言及した。
長期の金利見通しが低水準にとどまるという事実は重要な意味を持つ。現行の引き締めサイクルの下での最終的な利上げ幅が小さなものにとどまり、米金融当局は今後、景気の落ち込みに見舞われた場合でも、過去のケースよりも成長押し上げのための利下げ余地に乏しいことになる。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/irMGNPekdiYE/v2/-1x-1.png
現時点の中立金利の推計を踏まえると、米国の金融政策は引き続き緩和的となる。現在のFF金利の誘導目標レンジは名目ベースで0.25−0.5%であり、これからコアインフレ率1.6%を差し引くと実質ベースでゼロを下回るためだ。9月20、21両日には次回FOMCが開かれるが、どの程度のペースと幅で利上げを進めるべきか熟慮を重ねる米金融当局にとって、金利がどの程度上昇し得るかは重要な検討事項だ。
原題:Fed Is Headed for Shallow Rate Path This Decade, Study Shows(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-30/OCPBRR6TTDS001
銀は8月に月間ベースで下落か、米金融当局の利上げ観測で−チャート
Ranjeetha Pakiam
2016年8月30日 11:52 JST
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iWerJ7cPL4Q0/v2/-1x-1.png
銀価格が8月に月間ベースで下落し、金の下落率を上回る可能性が高まっている。米金融当局が年内に利上げを実施するとの見方が強まったためだ。銀が今月に入って7.2%値下がりする一方、金は2%の下落にとどまっている。ファット・プロフェッツ(シドニー)の資源アナリスト、デービッド・レノックス氏は「金価格が維持されない局面では銀は金よりかなり速いペースで下落する傾向がある。銀は工業用金属としての要素が強いためだ」と指摘。「市場は12月末までの利上げを以前より若干明確に織り込み始めており、それは金と銀価格を下支えすることにはならないだろう」と述べた。
原題:Silver Heads for Monthly Drop After Fed Hike Bets Gain: Chart(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-30/OCP9YX6S972G01
アフリカの二大経済国が低迷−商品価格下落と政治的内紛で
David Malingha Doya、Arabile Gumede
2016年8月30日 11:50 JST
ナイジェリアは4−6月にマイナス成長となった可能性高い
南アは今年の経済成長見込めず:中銀が7月に見通し
アフリカの二大経済国が低迷している。商品価格下落に加え、政治的内紛で政策決定が阻害されているためだ。
ナイジェリア政府が31日に予定している発表では、同国経済が4−6月(第2四半期)に2四半期連続でマイナス成長になったと報告される可能性が高い。同国の主要な収入源である原油の価格と生産が落ち込んだためだ。一方、ブルームバーグがエコノミスト5人を対象に実施した調査の中央値によれば、南アフリカ共和国はリセッション(景気後退)入りを回避した可能性があるものの、南アフリカ準備銀行(中央銀行)は7月に今年は成長は見込めないとの見通しを示している。
世界的な商品価格下落とアフリカの主要輸出相手国の需要軟化が、アフリカ2位の産油国であるナイジェリアと鉱物が輸出収入の約半分を占める南アに打撃を与え、経済を圧迫している。
原題:Africa’s Biggest Economies Stall on Politics, Commodity Slump(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-30/OCP8CU6S972H01
英EU離脱決定で英企業に早くも打撃、為替デリバティブ焦げ付く
Liam Vaughan
2016年8月30日 16:12 JST
ポンド急落で複雑な為替デリバティブの焦げ付きが急増
難解な商品買わされたと主張する企業が弁護士の元に殺到
多様な金融サービスを提供する英TTTマネーコープは8年間、英国でポーランド製食品を輸入するベスト・フーズの財務責任者ダリウシュ・スフィツキ氏をディナーやサッカーの試合に定期的に招待し、複雑な為替デリバティブ商品を売り付けていた。
しかし、英ポンドがポーランド・ズロチに対して急落し始めたことから、これらの商品が焦げ付いている。スフィツキ氏の勤務するベスト・フーズは、1カ月当たり数万ポンドのコストが発生し始めたことを先月、裁判文書で明らかにした。英国が欧州連合(EU)離脱に備える中、この種の複雑な金融商品の焦げ付きが急増している。
ブローカーのエイフェックス・マーケッツが2015年に実施した調査では、英国の中小企業全体の約4分の1が為替リスク管理でヘッジ手段を日常的に利用していることが判明した。これらの商品の多くは高レバレッジで、大幅な為替変動に見舞われた企業の損失が拡大する恐れがある。
英国のEU離脱決定を受けてポンドが12%下落して以来、業者に言いくるめられて同様の難解な商品を買わされたと訴える企業からの問い合わせが弁護士の元に殺到しており、英企業は既に、将来のEU離脱で見込まれる逆風に身構えている。ベスト・フーズと同様、これらの企業の多くは、十分に理解しない商品を適切なリスク説明もないまま買うよう圧力を受けたと主張している。ベスト・フーズとマネーコープは今年、法廷外で和解しており、いずれもこの記事へのコメントを控えた。
原題:Brexit Blows Up Currency Derivatives Sold to U.K. Businesses(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-30/OCPLUI6K50YB01
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