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横浜のタワーマンション群(画像=PIXTA)
日本の「地価上昇」は今後も続くのか 〜マンションの「買い時」 どう判断?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160830-00010000-nikkeisty-bus_all
NIKKEI STYLE 8月30日(火)10時30分配信
日本の地価が上昇しているそうですね。
地価が上昇しているらしいわね。今後も上昇し続けるのかな。マンションを買いたい人にとっては、買い時の判断も難しそうね。
地価について、大部祐子さん(54)と徳山沙季さん(29)が太田康夫編集委員の話を聞いた。
「土地の値段を示す地価には国土交通省が年に1回発表する公示地価など様々な種類があります。このうち国税庁が相続税などの税額を決める基準として毎年7月に評価額を公表しているのが『路線価』です。2016年分の路線価(1月1日時点)は全国平均で前年比0.2%上がり、8年ぶりの上昇になりました」
「日本ではかつて、地価が上がり続けるという『土地神話』が信じられていた時代もありましたが、1990年代初めにバブル経済が崩壊し、地価はその後15年にわたって下落が続きました。世界的に低金利で地価が高騰した07年にいったん上昇に転じたものの、09年以降は再び下落し、東京都心の商業地の地価はピーク時に比べて半値以下になっています」
なぜ、8年ぶりに上昇に転じたのですか。
「東京の都心など大都市部で住宅地や商業地の地価が上昇したためです。上昇は都市周辺にも広がって平均を取ると上昇しましたが、都道府県別に見るとなお33県で下落が続いています」
「2020年の東京五輪開催が決まり、大規模な都市開発が進むという見方から、地価の先高観が広がりました。海外のヘッジファンドや中国人の富裕層も日本の不動産に投資しています。郊外に一戸建て住宅を買っていた高齢者が生活に便利な都心のマンションに住み替える動きも広がっています。金利低下で住宅ローンも借りやすくなっています」
「もう一つ、中国人を中心に訪日外国人観光客が大幅に増えたことも影響したようです。訪日外国人需要を当て込んで、ホテルや商業施設の新規オープンも相次ぎ、大都市部の商業地の地価が上昇しています」
今後も地価上昇は続きますか。
「地価は様々な要因で変動します。地価を下支えするとみられるのは金利動向です。住宅ローン金利はすでにかなりの低水準に下がっており、これ以上下がる余地は小さそうですが、一方で上がる可能性も低いと考えられます。超長期国債が低い水準で推移していることは、金融市場の参加者が今後20〜30年は低金利が続くと予想していることを表しています」
「地価を押し上げる経済力の衰えも気になります。日本経済は潜在成長率が極めて低くなっていて、低成長が続く可能性が高そうです。そうした状況で商業地のオフィス需要が今後も増え続けるとは期待しにくいでしょう。東京五輪が終わればホテルの稼働率も下がると考えるのが自然です」
「家計所得が低迷しているのに加え、かつてのように長く勤務すれば賃金が上がる状況でもなくなりつつあり、住宅購入を見送る動きも広がっています。今後の地価に大きく影響しそうなのが日本の人口動態です。労働力人口は減少が続いています。単身者世帯の増加によって増えていた世帯数も近い将来、減少に転じる見通しで、住宅需要は確実に減ります。すでに日本全体でみると空き家の数も多く、今後も増えるでしょうから、住宅地の地価は中期的には下がる可能性が高いと考えられます」
マンションなど住宅の買い時を判断するのは難しそうですね。
「今年になって首都圏の新築マンションの契約率(不動産経済研究所調べ)が好不調の目安とされる70%を割る月が増えています。昨年発覚したマンションのくい打ちデータ偽装問題の影響との見方もあり、気になるところです。タワーマンションの高層階の相続税評価額が相対的に割安なことを利用した節税策にも、国税庁が歯止めをかけようとしており、これまでのような値上がりは続かないかもしれません。すでに大都市部のマンション価格はかなり高騰していて、若い世代が購入するのは難しくなっています」
マンションなど住宅の買い時を判断するのは難しそうですね。
「今年になって首都圏の新築マンションの契約率(不動産経済研究所調べ)が好不調の目安とされる70%を割る月が増えています。昨年発覚したマンションのくい打ちデータ偽装問題の影響との見方もあり、気になるところです。タワーマンションの高層階の相続税評価額が相対的に割安なことを利用した節税策にも、国税庁が歯止めをかけようとしており、これまでのような値上がりは続かないかもしれません。すでに大都市部のマンション価格はかなり高騰していて、若い世代が購入するのは難しくなっています」
「ただし、値下がりするところもあれば、今後も値上がりするところはある、ということになりそうです。高齢者の都心回帰は今後も続くでしょう。駅や病院から近いなど利便性が高い物件ならば、買った後で大きく値下がりするリスクは低いかもしれません」
■ちょっとウンチク 東京五輪に向け供給増見込む
超低金利政策には住宅ローン金利の低下を通して、個人に住宅購入を促し景気回復をめざす面がある。それが東京五輪をにらんだ開発ブームと相まって、不動産業界の地価上昇期待を強めている。
一方で銀行は住宅購入意欲をビジネスにつなげようと不動産融資を強化。3月末時点の融資の前年比の伸びは不動産業向けが6%、アパート融資など個人による賃貸業向けが3%。足元は貸家の住宅着工が伸びるなどの効果が出ている。
ただ2018年には東京23区の大型ビル供給が6年ぶりの高水準になるなど不動産供給の大幅増が見込まれる。住宅の空き家率やオフィス空室率が上がる恐れがある。人口減で不動産需要減少が見込まれるのに、供給が加速すれば不動産価格に下げ圧力がかかる。
1980年代後半、銀行が個人向けアパート融資を強化したことがある。個人をも巻き込む異常な融資拡大が不動産バブルを膨張させ、その後の崩壊を招いた不幸な歴史が繰り返されなければいいのだが。
(編集委員 太田康夫)
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