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「首相官邸 HP」より
有給取得したら反省文提出命令…国の「金曜一斉午後3時退社」構想でサービス残業増加も
http://biz-journal.jp/2016/08/post_16418.html
2016.08.23 文=編集部 Business Journal
政府や経済界は、個人消費を喚起するために月末の金曜日を午後3時に退庁・退社する「プレミアムフライデー」構想を明らかにした。金曜日の夕方を買い物や旅行などに充てるように促し、現在300兆円にとどまっている個人消費を360兆円規模に引き上げたい考えだ。日本経済団体連合会(経団連)は先陣を切って10月にもプレミアムフライデーを実施する方針だ。
だが、プレミアムフライデー構想には各方面から否定的な見解が相次いでいる。複数の世論調査によると、6〜7割は「経済効果はない」と考えているようだ。その主な理由としては、以下のようなものがある。
・収入が増えていないのに、消費が増えるわけない
・月末締めの仕事では、早く帰ることなど不可能
・ほかの日の残業が増えるだけ
・有給消化を促進するほうが先決
・時短が給料引き下げの口実にされるおそれがある
・時間ができれば金を使うだろうという発想は国民を馬鹿にしている
圧倒的に多かった意見は、「収入が増えていないから、消費に回せない」というものだ。政府はアベノミクス効果による好況感をアピールしているが、国民の大多数は収入が増えていない。どちらかといえば、「生活が苦しい」と感じている世帯が多い現状で、遊興費にお金を回すようになるとは考えにくい。「お金に余裕はあるが、使う時間がない」という人を対象にするような施策は非現実的といわざるを得ない。
■サービス残業増加のおそれ
また、そもそも実現可能性の低さを指摘する声も多い。一部の大企業ではすぐにでも導入されるだろうが、社会全体に根付くとは考えにくい。なぜならば、一時期毎週水曜日を「ノー残業デー」として定時で帰宅するよう促す機運が高まり、多くの企業がその制度を導入したことがあったが、社会全体に広まったとはいいがたい。住信SBIネット銀行が2010年に行った「アフター5に関するアンケート」によると、ノー残業デーがある企業に勤めている人は全体の42%で、そのうち定時に帰ることができている人は20代で50%にとどまっている。
日本は世界的にみても残業が多い。日本の正社員の1日平均残業時間は、韓国の2倍、フランスの3倍といわれている。これは、実際に勤怠管理表などで把握されているデータに基づく数値なので、サービス残業は考慮されていない。
これほど残業の多い社会では、月に一度早く帰社させようとすれば、ほかの日の残業や休日出勤が増える結果となる可能性も高い。さらに悪いことに、サービス残業を強いるおそれすらある。ノー残業デーを導入しているある企業では、ノー残業デーである水曜日には定時の午後6時に強制的に退社させられるため、喫茶店などで打ち合わせをしたり、自宅に仕事を持ち帰るのが当たり前になっているという。これらは、すべてサービス残業だ。
ノー残業デーによって会社側は、残業を減らしたと考えるかもしれないが、実際のところはこのようにサービス残業が増えているケースもあるのだ。
週に1回のノー残業デーすら実行できないのに、月末の忙しい時に午後3時退社など実際にできる企業はどれほどあるのだろうか。
■有給休暇取得率向上の施策を
さらに、有給休暇の取得率を上げるように促すのが先との声があるのも、至極もっともだ。2015年の調査によれば、世界の主要各国では有給休暇取得率がほぼ100%消化する流れになっているが、日本の有給休暇消化率は60%にとどまっている。インターネット上では、「有給休暇を取得したら、上司から反省文を書かされた」「有給休暇を取得するごとに信用をなくすと脅された」といった前時代的な実情を訴える投稿も少なくない。
日本の労働者全体のおよそ6割が、有給休暇を取得することにためらいを感じているとの調査結果もある。それは「休むとほかの人に迷惑がかかる」「休むと、その前後が忙しくなる」「ほかの人の目が気になる」「休みを取る理由を説明するのが面倒」といった理由があるようだ。だが、ほかの人に迷惑がかかるような会社は、経営者が悪い。本来、有給休暇は理由など説明する必要もなく、誰でも自由に取得できるべきだ。
こんな現実で、プレミアムフライデーなど実現できるはずもなく、政府が主導して中途半端に導入したところで消費は増えないだろう。
昨今、官民を挙げた働き方の見直しが叫ばれ、安倍晋三政権は「働き方改革担当大臣」を新設するなど、多様な働き方の提案に意欲的だ。働き方改革の最大の課題は、労働時間の削減だ。長時間労働が当たり前の日本は、残業がほとんどなく休暇日数も多いフランスより個人消費は少なく、生産性も低い。
皮肉にもプレミアムフライデー構想は、余暇を楽しむ心のゆとりもなく、金銭的にも厳しい状況にある国民の現実を、政府は理解していないことを炙り出す結果となっている。
(文=編集部)
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