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京都大学名誉教授 西村和雄氏(写真=藤井さおり)
京大名誉教授が警鐘、「学力の低下が日本を貧しくする!」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160822-00013300-forbes-bus_all
Forbes JAPAN 8月22日(月)8時0分配信
英教育専門誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」が選ぶアジア地域の大学ランキングで、発表開始以来3年連続で首位を守ってきた東京大学が7位に陥落、昨年9位だった京都大学も11位と順位を落としたことで、教育界に衝撃が走ったことも記憶に新しい。
京都大学名誉教授で、神戸大学社会科学系教育研究府特命教授の西村和雄氏は、学力の低下は今に始まったことではないという。また、この状況が続けば、さらに日本経済は弱いものになっていくと指摘する。処方箋はあるのか? 西村氏に聞いた。
谷本有香(以下、谷本):西村先生は、日本がどんどん貧しくなっていると指摘されています。
西村和雄(以下、西村):経済学的な考え方が浸透していない結果だと考えています。一人当たりの国民所得も随分下がってきましたし、労働生産性が下がっている。
今、日本の大学ランキングが下がってきていることが話題になっていますが、論文数と被引用数、引用されている数で、中国にはあらゆる分野で圧倒されていて、日本の人口の半分ほどの韓国にも、分野別に見ていくと相当抜かれているんです。これが日本の技術力、それから競争力の低下になって、大学のランキングの低下になったのではと思っています。
その結果として、シンガポールと香港の大学の助手の給料、講師の給料、助教授の給料、教授の給料は日本の2倍なんですよ。アメリカの大学の助手の初任給は日本の教授、私の定年前の教授の給料より高い。日本はそれだけ貧しくなっています。
谷本:もはや日本は豊かな国とはいえなくなっているということなんですね。
西村:経済成長をしてないということが問題なんです。では、これから経済成長をするために何をしたらいいのか? 労働生産性を上げていくしかない。それは論文の数、論文の引用される数、それが影響するんです。
どうしてこうなっているのか、なぜ労働生産性が低くなっているのかというと、人が正しく評価されていない。正しい評価をしようとしていないということだと思います。仕事に対しても、学力に対してもそう。
たとえば、きちんと研究費を充てるにふさわしい研究だと評価できていないから、十分な資金がいかない。また、研究の重要性への認識不足から、雑事などをさせられ過ぎ、研究に没頭できない。そのような結果が論文数の減少につながり、研究や技術が進まず、生産性の低下となっていく。
私は99年に『分数ができない大学生』(東洋経済新報社)を出版しましたが、有名大学の学生が小学校の算数ができなくなっているのは、きちんと評価をしてこなかったからだと、この当時から警鐘を鳴らしているのです。
谷本:文系の学生対象の調査だから、算数や数学といった計算ができなかったということなのですか?
西村:違います。確かに当時、最初に調査をしたのは文化系の学生だったのですが、次の年には理科系の学生に実施しました。すると、理科系の学生も惨憺たる結果だったんです。
日本で最も偏差値が高い国立の難関校、ノーベル賞を出している東と西の学校でもそうでした。当時のその難関校の先生方は「このままだとまずい」とおっしゃっていましたが、それが、今の40歳くらいの中堅の技術者になっている。
また、2年前に、日本の大企業に入ってきたばかりの技術者に調査をしたんです。50歳の技術者に解かせれば、みな満点を取れるような、小学生や中学生レベルの簡単な問題です。それが入ってきたばかりの若者は半分くらいしかできなかった。
■「経済学検定試験」を作ったワケとは
谷本:それは一般入試でなく、推薦などで大学に入ってきているということも関係しているかもしれません。
西村:いずれにせよ、これが日本の技術者の学力だとすれば、製品開発力はどうなんだ、ということになります。アジアなど、他国の企業に買収されるのも当たり前ですよね。つまり、やったこと、勉強の評価をきちんとしないということが、こういう結果をもたらすのだということなんです。
谷本:そういう事情もあって、西村先生は「経済学検定試験」を作られたのですか?
西村:そうです。自分たちで何をやるか、何ができるかとなったときに、できることは経済学の分野でやろうと。経済学を学んでいる学生が、きちんと自分たちの学力を確認でき、それを他の人に見せられるような客観的かつ統一されたテストがあれば、学生にとっても目標になるし、大学へも、企業へ行くのにも役立つと思ったのです。
そこで、2001年にみなで協力して作り上げたのが「経済学検定試験」です。いまや、色々な大学で使っていただいて、外国人学生も受けるようになり、非常に良い成績もおさめています。経済学生の目標にもなりますし、社会においても、経済学の素養というものが、仕事を評価していく上で実際に役に立つと思います。
谷本:沢山の教育分野がある中で、経済への学びが日本の豊かさにつながるのですね。
西村:一番重要なのは考え方なんです。経済学を学ぶということは、結局は自分たち、さらには自分の子供たちの世代が豊かになることにつながるわけです。そのために知らなくてはいけない、知っている方が有利になるような分野であると信じているので、これを広めていく必要があると考えています。
西村和雄◎京都大学名誉教授、神戸大学社会システムイノベーションセンター特命教授。1946年、札幌生まれ。東京大学卒、ロチェスター大学Ph.D。日本、カナダ、アメリカの大学で教鞭をとった後に、1987年より京都大学経済研究所教授。2006年より同研究所所長。2010年より京都大学名誉教授・京都大学経済研究所特任教授。2013年より神戸大学経済経営研究所特命教授。2012年紫綬褒章、学士院会員。
谷本 有香
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