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妊娠報告直後に解雇の超「ひとでなし」企業!どんなに無能でも妊娠中の女性解雇は違法?
http://biz-journal.jp/2016/08/post_16368.html
2016.08.19 文=Legal Edition Business Journal
2014年、「女性が活躍できる社会を目指す」という指針が政府によって定められ、その後も社会のなかで女性に働きやすい社会について議論されることが多くなった。
かねてから、男女雇用機会均等法などによって法整備はされてきていたものの、一度産前産後休業や育児休業をとってしまうと、それまでと同じ環境で働くことができなくなってしまうことが多い。そのような状態を、法改正や指針などで改善しようという機運が高まっている。
しかし、現実にはいまだ女性が働きやすい環境を整備できていない企業も多い。最近も、妊娠の事実を会社に伝えた2カ月後に解雇を通告されたとして、解雇の無効を求める訴訟があった。その裁判では3月22日、東京地方裁判所が女性に対する解雇を無効とし、解雇期間中の未払い賃金の支払いを命じている。
この訴訟のように近年、マタニティハラスメント、いわゆるマタハラが問題となっている。マタハラとは、会社で働く女性が、妊娠、出産、育児という出来事をきっかけとして、社内で嫌がらせを受けるなど労働環境が悪化したり、解雇、異動、減給、降格などの不利益な処分を受けたりすることをさす。
上記訴訟を受けた企業は、「協調性がないこと」「注意指導をしても改善の余地がないこと」「社員としての適格性がないこと」という妊娠以外の理由によって女性を解雇したと主張している。
この事案について、労働問題に詳しい浅野英之弁護士は、次のように話す。
「男女雇用機会均等法には、妊娠中の解雇は原則として無効であるという規定があり、妊娠を理由とした解雇でないことを会社側が積極的に証明した場合のみ、例外的に解雇が認められるにすぎません。妊娠中の女性を適法に解雇することは、どんな理由であれ非常に困難なのです」
仮に、妊娠中の女性社員を妊娠以外の理由で解雇できると広く認めてしまえば、表向きは能力不足や協調性の欠如といったもっともらしい理由をつけて、簡単に解雇することができてしまう。そして、そんな解雇を許せば、いつまでたっても女性が働きやすい環境をつくる社会全体の雰囲気は醸成されない。その結果、どんなに国が指針などをまとめようとも、その実効性は得られず国全体にとって損失になる。
■妊娠している女性社員の解雇は違法?
したがって、妊娠中の女性の解雇に対して、強力な法律上の保護を与えることは当然だといえる。女性たちも、「妊娠したら会社に迷惑をかけてしまうから、辞めるのは当然」などと考えるのではなく、仮に解雇された場合には、堂々とマタハラによる違法解雇が行われたと主張してほしい。
もっとも、企業にとっては怖い落とし穴もある。能力不足などが明らかで、本来解雇する正当な理由がある場合でも、労働者が妊娠していると解雇することは非常に困難だ。企業側はどうすればいいのか。
「妊娠中や出産直後の女性に対して、妊娠・出産・育児等以外の理由によって解雇を決断することは非常に困難です。できる限り、そうした事態になる前に解雇の決断をすべきでしょう。また、能力不足、勤務態度不良といった問題社員がいる場合には、労働問題に詳しい弁護士に日頃から相談しながら、長期的な視野をもって進めることが重要であるといえます」(同)
日本では、仕事に生活の大半を捧げることが当然という風潮はまだ根強い。妊娠、出産という大きなライフイベントがある女性は、正確な知識を持っていないと簡単に不利な立場に立たされてしまう。会社側も制度を正確に理解した上で、性別によるあらゆる不公平が起きないように、普段から方針について明確にしておくべきだろう。
(文=Legal Edition)
【取材協力】
浅野英之(あさの・ひでゆき)弁護士
浅野総合法律事務所 代表弁護士
労働問題・人事労務を専門的に扱う法律事務所での勤務を経て、四谷にて現在の浅野総合法律事務所(東京都新宿区)を設立、代表弁護士として活躍中。労働問題を中心に多数の企業の顧問を務めるほか、離婚・交通事故・刑事事件といった個人のお客様のお悩み解決も得意とする。労働事件は、労働者・使用者問わず、労働審判・団体交渉等の解決実績を豊富に有する。
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