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日銀、信認崩壊の兆候…理解不能な金融緩和で、企業の資金繰り悪化の恐れ(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan112/msg/168.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 8 月 18 日 00:48:55: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

                日本銀行(撮影=編集部)


日銀、信認崩壊の兆候…理解不能な金融緩和で、企業の資金繰り悪化の恐れ
http://biz-journal.jp/2016/08/post_16348.html
2016.08.18 文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授 Business Journal


 7月28、29日に開催された日本銀行の金融政策決定会合に対して、多くの投資家が「質・量・マイナス金利」の3次元の追加緩和に期待していた。ところが、日銀は思い切った追加策を温存した。それは、多くの市場参加者の失望につながった。特に、外国人投資家は追加緩和への期待を強め、積極的に日本国債を買い込んできた。それが、国内投資家の期待を高めることになった。

 しかし、日銀は期待を裏切る格好でETF(上場投資信託)の買入れ増額を軸とする追加緩和策を決定した。この決定は、投資家にとって大きな失望だった。そればかりか、投資家の多くは「この決定を日銀の限界を示すもの」と考え始めた。こうして、8月に入ってから国債が売り込まれ金利上昇が続いた。

 9月の決定会合で日銀は、経済や物価の情勢、これまでの金融政策の効果を総括的に検証するとしている。この検証が何を目指しているか、今のところ詳細はかわらない。日銀が金融政策の限界を認め修正を進めるか、さらなる緩和を志向するか、どちらの可能性もある。

 8月中旬に入ると、金利の上昇にはブレーキがかかりつつある。その背景には、今後の金融緩和が意識され、国債保有に対する安心感が広まったことがある。もっとも重要なポイントは、日銀と市場の信頼関係が再構築できるか否かだ。

■決定会合後の国内債券市場の動き
 
 7月下旬の日銀決定会合以降、日本国債市場では日銀の決定に失望した投資家が国債を売り、金利の上昇が急速に進んだ。特に顕著だったのが20年物、30年物、40年物の超長期の金利上昇だ。

 たとえば7月28日、0.150%だった20年物の金利は、8月8日には0.325%まで急上昇した。これは追加緩和を見込んでさらなる金利低下を見込んでいた多くの投資家が、期待を下回る日銀の決定に失望し、買い込んでいた国債を一斉に売る動きに出たことが重要な要素だ。

 これまで20年を超える年限物では、利回りがプラスで推移してきた。それだけに多くの投資家が、さらなる金融緩和が進む前に、少しでもプラスの利回りを確保しようと躍起になっていた。その結果、日銀の追加緩和に対する思惑が連鎖反応を起こし、決定会合直前には、「20年物の金利がマイナス水準に落ち込むのも時間の問題だろう」という見方さえあった。

 その分だけ、決定会合の結果に対する失望は大きかった。これまでの市場環境であれば、金利が上昇した後、数日程度で金利上昇後の安値を確保しようという押し目狙いの動きが金利上昇圧力を緩和させてきた。

 ただ、今回の状況は異なる。8月9日に30年物の入札が控えていたため、投資家が動きづらかったのは確かだ。この入札は多くの買い意欲を集め、市場の安心感を支えるものだった。それでも、入札後の30年物の金利には上昇圧力がかかった。

 入札が良好に消化され需給の良さを確認するだけでは、足許の市場は落ち着きづらくなっている。いってみれば「周囲が買うから自分も買う」という発想では相場は動きづらくなりつつある。8月中旬に入って30年物、40年物の金利にも買いが入り始めているが、それがどの程度続くかは慎重にみるべきだろう。

■急接近する財政・金融政策

 7月の決定会合後、投資家の失望から金利が急上昇するなかで、8月に入ると新しい要因が金利の上昇に作用し始めた。それは、政府が発行する国債を日銀が引き受け、引き換えに政府にお金を渡す「財政ファイナンス」への懸念だ。

 8月2日、日銀と財務省が政策の連携を重視する考えを出したことは無視できない。7月の決定会合で日銀は、現行の金融政策は政府の経済対策との親和性が高いとの見解を示した。その上で政策連携が示されたため、多くの市場参加者は日銀と政府がこれまで以上に近づくことを懸念し始めている。それは、財政政策と金融政策の境目が不明瞭になることだ。

 今日の金融政策の理論では、中央銀行は政府から独立した機関であることが重視され、それなりに尊重されてきた。仮に、政府が日銀に近づきすぎて通貨を供給する権能が備わると、政府(政治家)が望むままにお金の供給が制限なく進む恐れがある。それが行き過ぎると、急速な物価上昇など経済、社会にはマイナスの影響が出やすくなる。財政ファイナンスは法律で原則禁じられている。この点は、政府、日銀関係者からも指摘されてきたことだ。

 日銀の黒田東彦総裁は、「9月の総括的検証は金融緩和の修正や縮小を念頭に置いたものではない」と述べた。そして、今後の追加緩和は可能とも強調した。一方、政府は経済対策の資金を調達するために、40年国債の増発を考えているようだ。

 これらをつなぎ合わせると、増発された国債を日銀が買い取り、さらなる金融緩和が進むとの考え、警戒感が高まるのは自然だろう。市場は財政政策と金融政策が合体し、政府が発行した国債を日銀が引き受け、無制限に通貨を供給する政策が進まないか、懸念を強めている。

■日銀は市場との信頼関係を再構築すべき

 本来、中央銀行関係者が金融緩和を示唆すれば、金利低下圧力がかかるケースが多い。ところが、足元の金融市場ではそうした反応が見られていない。むしろ黒田総裁の強弁は、市場を警戒させ混乱を招いている。日銀は、そうした状況を真摯に受け止めるべきだ。

 日銀は信認を失いつつある。多くの投資家は、「日銀の政策運営を安心して見ていられない」と思い始めているかもしれない。この状況は、金融政策の限界、修正といった次元ではなく、金融政策と財政政策が接近し未知の経済政策が進むとの懸念、恐怖、警戒心に影響されているといえる。

 中央銀行が金融政策を進めるためには、市場からの信認が不可欠だ。国債の買入れオペレーションひとつをとっても、銀行などの市場参加者が日銀の金融政策を尊重し、理解することに支えられている。反対にいえば、信認される中央銀行でなければ市場を安定させることはできない。

 日本の国債市場の状況を概観すると、金利の動きは不安定だ。日銀の国債買入れによって流動性が低下し、マイナス金利政策が金融機関の収益を圧迫している。さらなる金融緩和は今以上に銀行の経営体力を削ぎ、企業の資金繰り悪化懸念を高める恐れがある。
 
 つまり、過度な金融緩和は経済を壊しかねない。このリスクを回避するためには、日銀が市場との信頼関係とは何かを再認識し、市場が安心できる正常な状況を整備しなければならない。反対に、日銀が政府との連携強化に傾き強弁を続ける限り、市場参加者は日銀への批判を強めるだろう。

 日銀が信認の回復をどう考えるかは、9月の総括的検証の内容を評価するポイントになるだろう。もし、日銀が2%の物価目標の達成に固執し、さらなる緩和を志向するなら、際限ない金融緩和への警戒から、国債市場が混乱する可能性もあるだろう。

(文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授)
 

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