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日本に巣食う「学歴病」の正体
【第31回】 2016年8月16日 吉田典史 [ジャーナリスト]
高学歴者は大企業に入るとなぜ「考える力」を奪われるのか?
高学歴者なのに会社に就職すると「考える力」を失ってしまう人々とは
今回は、企業に対して社員研修、講演、ビジネスセミナーなどを行う「株式会社新規開拓」の副社長・我満一成氏や、管理部長の阿部由里氏に取材を試みた。企業の、特に新卒採用と学歴の関係について話を聞いたが、その際のやりとりを紹介したい。
テーマは、「考える力」。仕事をする際に問題点や課題を見つけ、解決策を考え、実行に移していく力である。2人は、大企業はこうした力があるはずの社員を大量に採用していながら、入社後彼らを開花させるために、十分な教育訓練をしていないのではいかと見る。豊富な経験がある2人の目に映る「企業内の学歴」の意味を、ホンネで語ってもらった。
考える力がある人が
いい仕事をしているとは言えない
筆者 お2人は、人材の採用や育成などのコンサルティングに長年、携わっておられるようですが、企業は採用時に依然として学歴を重視していると思われますか。
我満 少なくとも、大企業などでは、特に新卒時にその傾向はあると思います。学歴だけで判断しているとは思えませんが、判断材料の1つにはしているはずです。
阿部 私も大企業にしろ中小企業にしろ、新卒の採用については学歴を判断材料の1つにはしていると思います。当社も採用時にエントリーシートなどで学歴は確認します。面接などでやりとりをすると、学歴が高いと思える人は物事を深く考えているという印象は受けます。
筆者 その「考える」ということを、今回はテーマとしてお聞きしたいのです。私の経験を言うと、学歴が高いとは言い難いと思える人を取材すると、会話をすることが苦しくなることがあるのです。
たとえば、「こういう質問に、なぜこんなことを答えるのだろうか」「なぜ、話の論理が滅茶苦茶になっていることに気がつかないのだろう」といった疑問が次々と湧いてきます。学歴の高い人と比べると、こちらの話を理解する力や考える力が、弱いように思えるのです。
我満 確かに、考える力は大切です。企業の採用を「考える力」という観点から見ると、まず私は、大卒にしろ、高卒にしろ、新卒の場合は採用する側がその人の学歴を確認したほうがいいと思います。学歴を身につけたということは、その時点まで一定の努力をしたということが言えるはずです。そのことは、採用する側として評価をすべきと思います。
株式会社新規開拓の副社長・我満一成氏(右)と管理部長の阿部由里氏
我満 高い学歴を身につけたことは、その人が考える場や機会が多かったことを意味します。たとえば、最終学歴が中卒よりは高卒、高卒よりは大卒である人のほうが、一般的には考える訓練をしてきた人が多いはずです。
大卒の中でも、入学難易度が高い大学の卒業者は、その訓練が豊富だったのだと思います。つまりは、考える力が強いということです。この捉え方は、あくまで1つの傾向を示したものであり、例外もあります。いずれにしろ、新卒採用の時点では学生たちが考える訓練をしてきたことは評価すべきと思うのです。
これらは新卒採用について言えることであり、中途採用になると話が変わってきます。しかも30代、40代になると、何よりもその人の仕事や実績などが大切になります。
阿部 私も当社の採用の面接試験に管理部門の責任者として参加しますが、新卒採用では、学生は学歴が高くなるほど考える力が強くなる傾向はあると思います。大学の入学難易度にある程度、比例しているように感じることもあります。ただし、考える力がある人が仕事ができるとは言えないとも思います。
我満 今の指摘は大切です。考える力がある人が、入社後いい仕事をしているとは言えないのです。そのことは、会社に入った後の環境がいかに大切であるかを意味しています。
筆者 そのあたりが多くの人に今なお、誤解されているように感じます。学歴が高い人はいい仕事をすると、真剣に信じ込んでいる人が依然としています。しかし本来なら、入社後に社員教育などの「訓練」がないと、能力は開花しないはずです。
我満 たとえば、社員教育に熱心とは言い難い、ぬるま湯の会社に入り、考える力を生かす場がないと、やがては伸び悩むと思います。最終学歴が中卒や高卒でも偉大な経営者がいますが、おそらく厳しい環境で生きてきて、考え抜くことをしてきたのでしょう。だから、学歴はその人を人材として判断する材料の1つにはなり得ても、それで十分な材料とは言えないのです。性格や気質などの人間性、携わる仕事への適性なども含めて考える必要があります。
管理職が深く考えるべきことを
考えていないことのリスク
我満 仕事をする際、精神論でがむしゃらにするときも必要ですが、たとえば「なぜ、こうなったのだろう」「今後どうしたら、もっと契約をとれるのか」などと深く考えることは大切なのです。常に考えていかないと、いい仕事はできないし、面白くもならないものです。
筆者 ベンチャー企業の中では、業績や知名度では指折りとも言える会社の人事担当役員も、私の数年前の取材で同じようなことを話していました。売上が数億円になると、最低限度の体制が整う。その頃から社内では、「考える力」がないと業務がスムーズに進まないと説明していました。だから学歴を重視するのだ、と答えていました。
我満 学歴云々とは別に、考える力は誰もが持っています。要は、その能力を高くする訓練の場が多いか、少ないかです。考える力が強いと、いい仕事をする傾向があるのです。私も、部下たちに考える力を身につけてほしいから、厳しく言うことがあります。
筆者 たとえば、どのようなものでしょうか。
我満 わかりやすいところで言えば、「もっと調べて考え抜いた上で報告をしてほしい」といったものです。
阿部 私も上司である我満からは、そのようなことをよく言われます。考える作業は手間がかかるし、エネルギーが必要なのです。たとえば、調べないといけないですね。色々な材料を見つけ、それらを基に考えるわけですが、単純作業をしているほうがはるかに楽なのです。
考え抜いた末に我満などに報告をすると、「これでは不十分。やり直し」と言われることがあります。ここでまた考え直すのですが、相当なエネルギーが必要です。
筆者 私も会社員の、特に20代の頃、上司に散々言われました。腹が立ったし、怒りに近い思いにもなりました。
阿部 私も管理職になる前などには、同じような経験がありました。
筆者 あれは、いじめに近い……(苦笑)。
社員にはやる気を望まない
やるべきことをやりさえすればいい
我満 その思いは、ある意味では当然のことでしょうね。私は、部下たちから好かれたいとは思っていません。私の問いかけの意図を汲み取ってもらおうとも期待していません。役員や管理職は、そのようなことを部下に願うものでもないと思います。
阿部 我満は、私たちにこう言うのです。「私は(上司として皆さんに)やる気を望みません。(社員として)やるべきことをやりさえすればいいのです」と。厳しいように感じたこともありましたが、確かにその通りだとは思います。
我満 役員である私の仕事の1つは、会社の業績を上げることであり、部下の力を引き上げることです。日本の会社では、役員や管理職が何のために権限を持っているのか、といったことをきちんと理解していないことが多いのです。
目的を達成するために権限を持つわけであり、その1つとして部下がいるのです。ところが、部下たちを抑えつけることだけを考えている人もいます。管理職が考えるべきことを、考えていないとも言えるのです。
阿部 私も同じ思いです。管理職は、部下に仕事ができない人がいるならば、一定のレベルに持っていくのが仕事だと思っています。
我満 本来、人材育成という観点から言えば、上司や管理職は部下が仕事について深く考えるように仕向けるような問いかけを、積極的にするべきなのです。前提として、それ相応の経験などが必要です。それがないならば、「(部下と)一緒に考えよう」と呼びかけるスタイルがいいでしょうね。
本来、会社は社員たちに「考えること」をもっと要求していいと思います。大企業も学歴の高い人を雇いながら、考える力を生かし切れていないことがあります。結局、伸び悩む人もたくさんいるのです。
学歴重視の新卒採用が
この先終わるとは思えない
筆者 そうでありながら、なぜ新卒時に学歴を重視した採用をしているのでしょうか。
我満 採用する側からすると、学歴である程度のセレクトをしていくほうが無難なのでしょう。少なくとも新卒時の採用においては、今後も学歴を1つの判断材料にしていく傾向は変わらないと私は見ています。そのほうが確率論で言えば高く、その意味で安全だからでしょう。人事の責任者としては、リスクを冒して採用するよりは、とりあえずは学歴である程度の選別をするほうが安心なのだと思います。このような傾向があるのは、否定し難いはずです。
阿部 私も、その傾向は大きくは変わらないと思います。ある大企業の人事の人は、こんなことを話していました。
「うちの会社は人を育成する必要がありません。会社の看板で、優秀な人がどんどん入ってきます。その人たちをゼロから育成する必要がないのです。使えない人材であったとしても、使える人材はたくさんいますから、人事異動などで代えればいいだけのことです」
我満 採用力のある大企業の中には、人を育てていないと思えるような会社もあるのです。
筆者 20代後半から30代前半で、意識の高い人が大企業を辞めていくことがあります。こんなところにいたら、ダメになると察知しているのかもしれませんね。
考える力を持つ人を雇いながら、生かし切れていない。そもそも何のための採用であり、配置転換であり、評価であるのかすら、社内で明確なコンセンサスがないように思えるのです。これでも、多くの人が大企業にエントリーするのですね。
http://diamond.jp/articles/-/98516
秘書だけが知っている仕事ができる人、できない人 能町光香
【第36回】 2016年8月16日 能町光香 [株式会社リンクCEO 人材育成コンサルタント 一流秘書養成スクール校長]
なぜ一流のリーダーは部下を叱るのが上手いのか
あなたは叱るのが上手ですか?苦手ですか?
「もっと上手く部下を叱ることができたら」
「部下を叱っても本意をわかってもらえない」
「部下を叱るのは無駄なことなのかもしれない」
そんなふうに思っていませんか?
最近、職場で「叱り方がわからない」と悩む人が増えています。
「厳しいことを言ったら嫌われるからやめておこう」
「細かいことを言ったら愛想を尽かされるからやめておこう」
「何度も同じことを言ったら嫌がられるからやめておこう」
このように、叱ることをためらってしまうようです。
一流の人は「怒り」を表に出さない
日常生活を平穏にすごすためには、怒ったり叱ったりする場面がなるべく少ないほうがいいでしょう。
ところが、時には叱らないといけない立場にいる人もいます。
たとえば、部下を育成するリーダーや、後輩の教育をする先輩、子どもをもつ親などです。必要なときに、効果的な方法で「叱る」ことは重要です。
そう頭ではわかっていても、なかなかうまく叱ることができない…。そんな悩みをもっていませんか?
他人とコミュニケーションをとるときは、「怒り」を表にださない。
これは、私が10年間の秘書人生で気づいた、人間関係をうまくつくる人たちの共通点です。
「怒り」を表に出さないというのは、「怒り」を相手にぶつけないという意味です。決して、「怒らない」とか「叱らない」ということではありません。
職場で部下のミスや不祥事などが起きれば、上司であれば必ず「叱る」という行為が発生するのはやむをえません。皆さんのようなビジネスエリートの方であれば、そんな場面に遭遇することも多いことでしょう。
一流のリーダーは、どんな気持ちで部下を叱っているのでしょうか?
部下を叱る前に「相手の未来」を考える
こんなエピソードがあります。
以前、叱るのが上手な役員(以下、A氏)を補佐していた時のことです。A氏に、こんな質問をしたことがあります。
私:「この前の件、大変でしたね。心身ともにお疲れになったのではありませんか?」
A氏:「あぁ、本当に大変だったよ。でも、これで部下のみんなも十分反省したようだから、安心して仕事に取り組めるようになるだろう。ホッとしているよ」
私:「よかったですね。そういえば、私も以前Aさんから叱られましたが、こう言ってはなんですが不思議なことに嫌な気持ちがしませんでした。叱り方のポイントはあるのでしょうか?」
A氏:「それは、今ボクが叱ることで相手にどんな未来が待っているかを考えることだ」
私:「叱っている最中に、相手の未来を考えているのですか?」
A氏:「ハハハ。それは高度な技だね(笑)。叱っている最中ではなく、叱る…というか伝える前に相手の未来を考えているんだ」
私:「どういう意味でしょうか?」
A氏:「今伝えることで、相手にメリットがあるかどうか、という視点で叱るかどうかを決めている。きちんと伝えることで、相手が成長できるものであればどんどん言ってあげたほうがいい。そう思わないか?」
私:「はい、そう思います。叱ることは愛情の裏返しなんですね」
このように、「本気で叱る」ためには、部下に成長してもらいたいという「愛」がなければできません。
愛をもって叱る。
ただ漠然と話すことと比べ、「叱る」のには、相手とより深く関わることになるため、それなりのエネルギーが必要です。叱った後の相手からの反応を考えると気が重く、「これぐらいは目をつぶっておいてあげよう」と知らぬ間に「叱る」ことから逃げている人も少なくありません。
「嫌われたくない」という気持ちを優先していないか
「本当は叱りたいけれども、叱ることができない」と悩んでいませんか?
部下への思いが深いリーダーであればあるほど、「叱る」という行為を自然におこないます。ただ「やみくもに」叱るのではなく、「自然に」、そして「上手く」叱るのです。
なぜ「叱る」のが難しいのか。
それは、人は「嫌われたくない」という感情を優先してしまうからです。
「この程度であれば、まだ叱らなくてもいいかもしれない」
「このぐらいであれば大目にみてあげよう」
このようにして、「嫌われたくない」という気持ちが、「叱る」という行為を止めてしまうのです。
最近では、上司も「嫌われたくない」と思う人が多く、つい事なかれ主義に走ってしまいがちです。そのため、部下を注意する、部下に仕事をやりなおしてもらうといった行為を躊躇してしまうようです。
「嫌われたくない」という理由で、「叱る」ことから逃げていると気づいたら、「愛をもって叱る」というスタンスをもつこと。すると、しだいに、「叱る」ことへの認識が変っていき、前よりも抵抗なく「叱る」ことができるようになります。
さて、なぜ一流のリーダーは、「叱る」ことをためらわないのでしょうか?
なぜなら、自身の「ミッション」が明確であるからです。
自分は何を成すべきなのか、という「ミッション」の遂行にゆるぎない自信をもち、なによりも「ミッション」の遂行を優先します。
一流のリーダーは、部下から「嫌われたくないから」という理由により、「叱らない」という選択をしません。必要であれば、「叱る」という選択をしたほうが、部下にとってもチームにとっても「ふさわしい」ことだと知っているのです。
相手から「嫌われたくない」と思うのは自然な感情ですが、叱らないといけない立場にある人は、上手に叱る方法を身につけておいたほうがいいでしょう。
「上手な叱り方」4つのポイント
どうしたら上手に叱ることができるのでしょうか?
上手な叱り方のポイントは、次の4つです。
(1)声を荒げない
(2)怒っている理由を伝える
(3)昔のことや同じことを何度も言わない
(4)必要な時にだけ叱る
怒るときや叱るときは、頭に血がのぼりイライラしているものです。
怒りをおさえきれずに、ただ怒りの感情をあらわにしても、相手に伝わりません。むしろ、相手との溝が深まるばかりです。
感情が高ぶったときほど、素の部分が顔を出します。そして、そんな素のあなたを周りの人はよく見ているのです。
「些細なことでカッとしてしまう」「ちょっとしたことでイライラしてしまう」という人は、この4つのポイントを常に頭の片隅に入れておくといいでしょう。自らが冷静になることで、相手が聞く耳を持ってくれるようになります。
また、「何度も叱っているのに、全然わかってくれない」と思っているのであれば、「叱り方」を少し変えてみるだけで効果があがることがあります。
もしかしたら、相手はあなたのことを「ただの感情の起伏の激しい人」とか「いつも機嫌の悪い人」だとしか思っていないかもしれません。
ここで、「叱られる立場」の人のことを考えてみましょう。何度叱っても相手に伝わらない理由がわかってくるでしょう。
たとえば、いつも一緒にすごすパートナーから叱られたとします。
パートナーが、「気まぐれに叱る」人であったり、「感情的に叱る」人であったり、また、「公平に叱らない」人であったりした場合、どうでしょうか?
「機嫌が悪いのを私にぶつけないでよ」と思ってしまいませんか?
「気まぐれ」で「感情的」、また「不公平」な叱り方をされると、「そんな怒り方ないじゃない」とすぐに反発したくなるものです。これは、子どもでも大人でも同じこと。
相手から反発されないためには、「(ある程度)筋道を立てて」そして「公平」に叱るという方法を身につけておくことが必要です。
これは、プライベートでもビジネスの現場でも同じです。まずは、上手く叱るための4つのポイント、(1)声を荒げない、(2)怒っている理由を伝える、(3)昔のことや同じことを何度も言わない、(4)必要な時にだけ叱る、を意識することからはじめてみませんか?
http://diamond.jp/articles/-/98517
なぜか不思議と部下がついてくる上司のルール
【第5回】 2016年8月16日 寺松 輝彦
マンネリ化した部下が自ら動く目標設定のしかたとは?
提案を募ったり、改善委員会を立ち上げたりしても、部下がマンネリ化して何も動きがないことに悩む上司は多い。このマンネリ化は上司が任務や手順まで示すことで打破できる。
部下のマンネリ化は、任務と手順を示さない上司にも責任があった!
「部下の動きがマンネリ化して、工場の改善提案が進まない……」と悩む工場長の山本猛さん(仮名)から相談を受けました。
山本さんの工場では小さな事故やミスが増え、経営幹部は危機意識を持っていました。小さな事故は大事故につながります。社長からは大事故を未然に防ぐためにも職場の作業の見直しなど安全管理委員会で改善活動を徹底するように要望がありました。
山本さんは総責任者で、安全管理委員会の責任者は、山本さんの部下で製造チーフの細井雄介(仮名)さんでした。
委員会への作業見直し徹底の要望から3ヵ月も経つのに、小さな事故が減るどころか、増えている状況でした。委員会の活動はやっていましたが、責任者の細井チーフからはこれまでと同じ安全管理項目の徹底が報告されるだけで、代わり映えがしません。
要は活動がマンネリ化しているのです。山本さんは、どのように委員会の動きを活性化させていくか、どのようにマンネリを打破するかを悩んでいたのでした。
このマンネリ化の問題は、工場の現場だけではなく、営業でもサービスでも、すべての職場において存在して上司の悩みのタネとなっています。ある運送会社は、配送物品の誤配が無くならないし、配送品の接触損壊など、なかなかゼロにならないという悩みがあり、誤配や損壊ゼロ運動がマンネリ化していました。
ところが、別の運送会社で、このマンネリ化問題の解決に成功した会社がありました。その方法は無事故の目標を示すことでした。事故ゼロが3ヵ月続き、事故が発生したとき改めて次は4ヵ月ゼロをめざそうと目標を示したのです。同じ発想で「誤配や損壊ゼロを〇〇ヵ月更新」という目標も示していました。
ここで重要なことがあります。目標を示すだけではなく、任務や手順を示すことです。
任務と手順を示すことで
事故を減らすことができた
話を山本さんの工場に戻します。
細井チーフは責任感を強く持っていましたが、委員会のメンバーや作業現場の責任者へは任務を示していなかったのです。
わたしの「目標を示すだけではなく、任務や手順を示すこと」というアドバイスを理解した山本工場長は、細井チーフに安全管理に関して委員のだれがどんな任務を担当するか示すようにさせました。
ある委員は事故原因の究明と対策を、別の委員は事故頻度の多い職場や作業員の教育を、というようにやるべきことを一人ひとりの委員に任務としてはっきりさせて割り振りました。
この結果、動きが活発になり、具体的に作業の見直しが進み、事故やミスが減ってきたのです。
手順をはっきり示すことも安全作業に寄与しました。それまでも作業手順はマニュアル化されていました。しかし、それを守らない者もいました。面倒だ、じゃまくさい、効率が落ちるなど勝手な理由です。
マニュアルが周知徹底していない手順もありました。間違った手順で作業を進めている者もいました。古いままの手順が新しく導入した機械や製造工程に不適合なこともありました。もっと効率的な手順や安全作業に適した手順に変えた方がよいものもありました。こうした問題点も改善され、ミスや事故が減っていったのです。
示すべきことをしっかり考え、具体的に示していけばマンネリ化は打破できます。部下に、「事故原因がどこにあるかを探るのが任務ですよ、責任を持ってやりなさい」と、明確に示せば部下には大きな使命感が生まれます。
繰り返し示していくことで部下に意識の変化が生まれ行動も変化してきます。
http://diamond.jp/articles/-/98446
一流の睡眠
【第6回】 2016年8月16日 裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]
仕事の集中力がアップする「最強の昼寝」のルール
睡眠の悩みを解消するための情報は、これまでにも、さまざまなメディアでたくさん紹介されてきました。でも……。
・8時間眠りなさい
・できれば「22時」に眠りなさい
・規則正しく栄養管理の行き届いた食事を摂りなさい
・睡眠時間を確保することから1日をスケジューリングしなさい
「……いやいや、そんなの無理だから!」
そう思ったことはありませんか?
いわゆる「睡眠の常識」と、ビジネスパーソンの実態はかけ離れているのです。そこで本連載では、医師とビジネスパーソン両方の視点と経験を併せ持つ著者が、新刊『一流の睡眠』から、現実的かつ具体的な「睡眠問題解決法」を教えます。
第5回は、現実的かつ効果的な「昼寝」について、まじめに解説します。
ランチをとった後、眠気のせいでしばらく仕事に集中できず、パフォーマンスの低いムダな時間を過ごしてしまう……。これは、多くのビジネスパーソンに共通する悩みだと思います。私自身も、かつてはこれで何度も「撃沈」していました。
眠気が訪れる時間帯は、ズバリ「午後2〜4時」が多いと思います。これには医学的に説明できる2つの原因があります。その原因を踏まえてから、対処法を考える必要があります。
ランチを「腹八分目」にしても
睡魔は必ず襲ってくる
昔から「食事は腹八分目がいい」と言われます。これには明確な理由があります。目を覚ます働きがある「オレキシン」というホルモンが、食事を摂ると抑制されるのです。つまり、食事を摂ると「目を覚ます力」が下がり、眠くなるのです。
具体的には、食事を摂って血糖値が上がることによってオレキシンが抑制されます。逆に言えば、空腹状態ではオレキシンの分泌は増加しますから、睡眠前に極端な空腹状態だと、目がギラギラして寝つけなくなるのです。
あまりに忙しくて食事を摂れなかったのに、なぜだか妙に頭が冴えて仕事がはかどった、という経験はないでしょうか。これは、オレキシンが引き起こす覚醒作用による効果が大きいと言えます。
人間が1日に2回
「必ず」眠くなる理由
一定のリズムを保って生活していれば、人間は1日に2度、眠気のピークが訪れます。最大のピークは午前2〜4時で、眠りが最も深くなる時間帯です。そして2回目のピークが訪れるのが、午後2〜4時なのです。「食事の影響で眠くなる」という以外に、そもそも人間の生体リズムという避けがたい理由で、ちょうど昼食後に眠気が訪れてしまうわけです。
つまり、午後2〜4時の時間帯は、昼食後のホルモンバランスと生体リズムという、避けがたい生理現象のダブルパンチで眠気に襲われることになります。
そこで、日中のパフォーマンスをできる限り落としたくないビジネスパーソンにできることは、まず、オレキシンの分泌を抑制しすぎないよう腹八分目を心がけることです。そして、どうしても眠気に勝てなくなった場合は、勇気を持って生体リズムに身をゆだねて一定時間昼寝するのが一番効果的です。
ここからは、不謹慎に思われがちな「勤務時間中の昼寝」の効用と方法を、パフォーマンスの向上のために真面目に考えていきます。
25分の「投資」で完全に覚醒できる
私自身が、頻繁に昼寝をします。ソファ、机の上、トイレ、電車の中、病院のベッド。人目につかない場所を選び、躊躇せずに昼寝します。前日の夜に充分な睡眠をとれていたとしても、昼寝します。ほとんどルーティンのようなものです。
「仕事中に寝るとは不謹慎だ」と思う人も多いようですが、疲れた体と頭で仕事を続けてパフォーマンスを下げるほうが、プロとして不謹慎ではないでしょうか。体調管理不足で寝るのではなく、午後のパフォーマンスを上げるために昼寝するのです。
昼寝は午後のパフォーマンスを上げるための戦略だ
戦略的に昼寝をする場合、必要時間は合計25分を見込んでください。実際に寝ている時間は20分です。残りの5分は、覚醒して臨戦態勢に戻るまでに必要な時間です。
昼寝後の5分は、冷たい水で顔を洗う、近くにいる人と会話する、階段を使って1フロア上がる、などに充てて、完璧に覚醒するまでを昼寝のトータルの時間として考えておきましょう。また、デスクで昼寝する場合は、目覚めた時のために、濡れタオルを目の前に用意してから眠るのもよいでしょう。
「周囲からどう見られているだろうか」「なんだか申し訳ない」など余計なことを考えていては、昼寝の効果は半減します。「午後からのパフォーマンスを落とさないために昼寝している」と自覚して、堂々と、万全の態勢で昼寝をするのです。
なお、拙著『一流の睡眠』で詳しく解説していますが、「寝貯め」はできません。「夜の睡眠を先取りする」という目的で昼寝を考えるのは間違いです。昼寝は「短くとって午後のパフォーマンスを上げるもの」と目的を絞って実行することが大切です。
30分を超えると
パフォーマンスは激減する
戦略的に昼寝を活用するための方法を、もう少しお話しします。
先日、昼寝を日課にする40代の男性ビジネスパーソンとお話ししました。その人の会社では昼寝を推奨していて、彼も午後のパフォーマンスを上げるべく、積極的にデスクでの昼寝を活用していました。
ところが、彼は20分で昼寝から目覚めるつもりが、つい50分近く眠ってしまった日があったそうです。同僚から肩を強く叩かれて目を覚ましましたが、ボーっとしてしばらく仕事に集中できなかったようです。
さて、次の図をご覧ください。これは、平均的な人間の睡眠サイクルを示しています。
http://diamond.jp/mwimgs/6/a/650/img_cded328f91fcdc9e451b08b423b9072873243.jpg
昼寝は仮眠の一種です。一般的に、仮眠時間が30分を超えるとノンレム睡眠中の深い睡眠深度である3、あるいはもっとも深い睡眠深度4に達することがあります。
この段階に達してしまうと、目覚めにくいだけでなく、目覚めた直後はかえって眠気や疲労が増大すると言われています。この現象を「睡眠慣性」と呼びます。
人は睡眠中にさまざまな脳波を出します。周波数の低い成分(徐波成分)が中心となる睡眠は「徐波睡眠」と呼ばれます。睡眠深度3と4が徐波睡眠に該当し、これがいわゆる「深い睡眠」です。
通常、夜の睡眠の最初3分の1の時間帯に徐波睡眠が多く見られる特徴があり、加齢とともに減少していくことが知られています。これは、年を取ると眠りが浅くなることに関係しています。
30分以内の仮眠であれば徐波睡眠を含みにくく、起床直後の睡眠慣性が少ないのですが、30分以上眠ると徐波睡眠のエリアに踏み込むため、睡眠慣性が強く出やすくなるのです。
一般的に、眠りに就いてから1〜3時間後あたりが深い睡眠のど真ん中です。このタイミングで急に起こされて、ひどいだるさを経験したことのある人も多いでしょう。前述の男性ビジネスパーソンも、この睡眠慣性の影響で、昼寝から覚めた後もボーっとしていたのです。
また、睡眠深度3や4は、1日の中で出現する時間数がほぼ一定と言われていますので、日中に深く眠ってしまうと、その分、夜間睡眠中の深い睡眠が減少する可能性があります。
営業車のシートを倒して爆睡せよ
若い人や、自分が深い眠りに入りやすいと自覚している人は、とくに要注意です。若い人は、入眠してから深い睡眠に至るまでの時間が比較的短いため、30分で深睡眠に入ってしまう可能性が高いのです。そのため、若い人の昼寝は、20分以内をより厳密に徹底したほうが良いでしょう。
また、車を使う営業職の人などは、車のシートを倒すと、20分間で十分な効果を得ることができるという医学的データがあります。
ただ、浅い眠りでも若干の睡眠慣性は残るため、目覚めた直後に運転を再開するのではなく、少し外を歩いたり飲み物を飲んだりして、しっかりと覚醒してから車を動かしましょう。
http://diamond.jp/articles/-/98455
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