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米ニューヨークで大手百貨店メイシーズが主催する毎年恒例の感謝祭のパレード(2015年11月26日撮影)〔AFPBB News〕
小売り冬の時代に突入、米国からモールが消える 米百貨店メイシーズが100店舗を閉める意味
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47623
2016.8.16 堀田 佳男 JBpress
1つの時代が終わりを告げたということなのか。
米大手百貨店「メイシーズ」は8月11日、今後1年ほどで米国内の100店舗を閉鎖すると発表した。メイシーズと言えば米百貨店の代名詞的な存在で、ニューヨーク市マンハッタンにある店舗はいまでも全米最大の売り場面積を誇る。
160年近い歴史を持つメイシーズは、世界中の百貨店に影響を与えてきたが、一度に100店舗も閉めるとのニュースに、消費者からは「メイシーズは終わりなのか」との声が出ている。
無理もない。100店舗である。日本百貨店協会に加盟している日本の百貨店総数は今春の数字で224店舗。最も多くの店舗を持つ高島屋でさえ海外店を含めて20数店舗である。
■限界に近づいた百貨店経営
一方、メイシーズの店舗数は現在728。アウトレット店なども含めると880店舗近くになる。日本の百貨店と単純比較はできないが、それでも100店舗の同時閉鎖は過去最大である。
主因はすでに読者の方の想像される通り、インターネットの影響である。
小売業界の売り上げの比重はインターネット販売に移行して久しく、肯定的な見方をすれば、今回の発表は路面店からの脱皮の一環と受け取れる。一方、悲観的な見地に立つと、従来型の百貨店経営の限界がきているとも言える。実際はどうなのか。
メイシーズは過去数年、段階的にダウンサイジングを実施している。この2年間だけでも、2014年1月にはカンザス州、アリゾナ州を含む5州5店舗を閉鎖すると同時に、人員2500人を削減。それにより約1億ドル(約100億円)のコスト削減を行った。
さらに2015年9月には最大50店舗を閉鎖すると発表。過去6年間の閉鎖数は90店舗に達した。こうした流れを考慮すると、100店舗の同時閉鎖は「もう1つの大波」と呼べなくもない。
企業としては、路面店での減収に見舞われてもインターネット販売が増え、全体の収益が増えれば大きな問題はないはずである。しかし消費者行動に変化が生まれ、ネット上であってもメイシーズのような旧来型の百貨店での買い物を控えるようになってきている。
メイシーズの強みはこれまで、それぞれの地域で地元に密着した百貨店のあり方を探り続けた点だった。米高級百貨店サックス・フィフス・アベニューなどとは一線を画して中流層をターゲットに、店舗に足を運んでこそ手に取れる商品を提供してきた。
地域ごとにマーケティング・リサーチをしてサイズや色、ブランドなどを変えていた。69都市では、それぞれの商品開発担当者が独自に商品を決め、画一化されがちな通販との差別化を図っていた。
■ポケモンGOの先を行ったが・・・
さらに店舗内でスマートフォンによるAR(拡張現実)という技術を利用したアプリ「ビリーブ・オー・マジック」を使うことで、実際には見えないキャラクラーが店内にいるようなサービスも提供した。同アプリは話題の「ポケモンGO」が登場する以前のものだ。
そうした努力により売り上げが伸び、株価も2015年は60ドルを記録したが、今年に入ってからは40ドルを下回るようになった。何かが崩れてきていた。
今年の大統領選でも争点になっている「中流層の瓦解」がメイシーズにも重くのしかかっていた。実質所得は伸びず、これまでメイシーズで買い物をしていた客が単価の低いH&MやZARAなどのブランドに流れるようになった。
社会格差の広がりによって消費者の2極化が鮮明になり、中流から富裕層に移行した消費者はメイシーズを去って高級店に行き、経済的に苦しくなった中流層が安価な店舗で買い物をするようになったのだ。
そしてインターネット販売がついに路面店を超える段階に到達した。
米貨物運送会社「ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)」が実施した調査によると、今年初めてインターネット販売の規模が路面店でのそれを上回った。
小売り世界最大手の米ウォルマート・ストアーズも、インターネット通販の新興企業ジェット・ドット・コムを33億ドル(約3300億円)で買収してオンライン部門を強化している。
米国のインターネット通販の今年上半期の売上高は前年同期比で10.6%も増加している。そうした流れから、メイシーズだけでなく、米百貨店の売上高は今年上半期、前年同期比で約4%も落ちた。
メイシーズが店舗を閉鎖することになった理由はほかにもある。
■モノの消費からサービス消費へ
最近の消費者行動の変化である。米国の消費文化はいまでも変わらないが、何をどの店で買うかの意識がよりはっきりしてきた。
消費者はメイシーズですべてを買おうとは思わない。また衣料やモノといった物質的な消費から、旅行をはじめとする体験への支出へと変化が生じている。
全米から100店舗ものメイシーズが消えることを「時代の流れ」と安易に片づけるべきではないだろう。
企業側からすれば、店舗を閉鎖しても通販による利益がそれ以上出ていれば経営は成り立つかもしれないし、経営の効率性という点でインターネット販売の方がより少ない人員で、利益率が向上するかもしれない。
だが人員削減で解雇された人たちが別の部署で再雇用されない限り、多くの失業者が出る。しかも全米で展開するメイシーズの多くは、都市郊外にある大型のショッピングモールの一角を成す重要な位置にある。
米国の地方都市のショッピングモールに足を運ばれた経験のある方はお分かりかと思うが、メイシーズだけでなく、シアーズやJ.C.Pennyといった他の百貨店もモールに隣接している。
全米の百貨店が閉鎖する傾向にあるだけに、ショッピングモールに集まる顧客が減ることで、周囲の小売店やレストラン、地域経済に与える影響は大きい。
日本同様、以前から米地方都市の中心部はシャッター通りになったところが少なくない。
都市部の店舗が店じまいする代わりに、郊外の大型シッピングモールがオープンした。いまはそこからインターネット通販の時代に移行しつつある。それにより、百貨店の閉鎖がモールそのものの閉鎖につながりかねない。
今年2月、アイオワ州の大型ショッピングモールを訪れた時のことだ。買い物客はまばらだったが、モール内をひたすら歩き回る中高年が随分目にとまった。
話を聞くと、「モール内は暖房が効いているし、数キロのウォーキング・エクササイズには最高の場所」だという。しかし買い物はしないという。
大手百貨店が路面店からインターネット通販に完全移行する日は来るのだろうか。
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