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スバル レガシィB4
国産セダンは人気がない!?日本でセダンが売れない2つの理由
http://autoc-one.jp/special/2848056/
オートックワン 8月15日
■国産車販売ランキングにおける「セダン」の少なさ
メルセデス・ベンツ Cクラス
国産車と輸入車の販売ランキングを比較すると、「セダン」の売れ筋が異なることに気づく。
輸入車の場合、四半期ごとに集計される販売ランキングの上位10車に、「メルセデス・ベンツ Cクラス」同「CLA」「BMW 3シリーズ」は常連でランクイン。
Cクラス、CLA、3シリーズにはワゴンも存在するため、すべてがセダンということではないが、その比率は高い。
一方、国産車の販売状況を見ると、減少傾向にあるとはいえど軽自動車が今も販売総数の32〜35%を占めている。
コンパクトカーも20%前後に達するから、販売ランキングの上位は首位の「トヨタ プリウス」を除けば1.5リッター以下の車種がずらりと並ぶ。
トヨタ カローラ
マツダ アクセラ
スバル インプレッサ G4
また、排気量が比較的大きな車種になると「トヨタ ヴォクシー」や「トヨタ ヴェルファイア」などのミニバン勢になってしまい、販売上位のセダンといえば「トヨタ カローラアクシオ」のみだ。これに続くのは、順位は下がるが「トヨタ クラウン」。
他に国産セダンといえば「マツダ アクセラセダン」や「スバル インプレッサ G4」が思い浮かぶが、残念ながら販売ランキングの上位にノミネートするまでは売れていない。
冒頭で述べた輸入セダンも、国産車に比べればもちろん台数は少ないが、それでもメルセデス・ベンツ Cクラスは1ヶ月に1400台前後を販売。クラウンには敵わないもののトヨタ プレミオ&アリオンやレクサス IS/GSの台数は軽く上まわる。
そして、Cクラスのライバルである「BMW 3シリーズ」は850台前後を販売し、こちらも前述の国産セダンより多い。
トヨタ クラウン
かつては日本でもセダンが好調に売れたが、今では販売面では不人気車が多く、堅調に売れるのは「トヨタ カローラアクシオ」と同「クラウン」程度だ。
その結果、セダン市場を輸入車に浸食されている。輸入車が積極的に売れ行きを伸ばしたというより、国産車が下がって輸入車の順位が繰り上がったといえる。
■セダンが売れない二つの理由(1)クルマに「実用性」が求められるようになった
セダンがここまで売れない状態に至った理由は、大きく分けて2つ。
まずはユーザーがクルマに対して、「趣味性」よりも「実用性」を求めるようになったこと。セダンの全高は大半が1500mm以下で、居住空間の後部に背の低いトランクスペースを独立して設けているが、このボディ形状は空間効率が悪い。
日産 フーガ
日産 フーガ
日産 フーガ
トランクスペースの部分まで天井を長く伸ばして室内を広げ、背を高くした方が居住性や積載性は向上する。その典型がミニバン、背の高い軽自動車、背が低いタイプではワゴンだ。
SUVはボディの基本形状がワゴン風で空間効率を高め、下半分は大径タイヤの装着などによって力強さを演出。効率と趣味性を両立させて人気を得ている。
それに比べ、セダンはまず車内が狭い。
その代わり外観は伸びやかでスマートに仕上げられているが、クルマの普及期から50年以上にもわたり定番のデザインであったため、イメージ面で古さが伴ってしまう。実用性が低い上にその姿にも魅力を感じないとなれば、売れ行きは下降する。
■歴史の古いメーカーならば、セダンとの相性は良い
メルセデス・ベンツ Eクラス
だが、メルセデス・ベンツのような歴史あるメーカーの輸入車ならば、ブランドイメージとセダンボディとの相性は良い。
メルセデス・ベンツというメーカーが持つ魅力として「長年にわたる伝統」がある。1990年代の前半までは、メルセデスにはAクラスやSUVもなかった。クーペとワゴンは一部にあったものの「ベンツといえばセダン」であったから、そのブランドイメージが今も強く残る。
また欧州車の魅力として古くから優れた「走行安定性」と「乗り心地」が挙げられるが、この魅力を高める上でもセダンは都合が良い。低重心で、なおかつ後席と荷室の間に隔壁が備わり、ボディの剛性も確保しやすいからだ。
低重心で高剛性のセダンが持つ走りと快適性の魅力は、欧州車のイメージとも合致する。
だからメルセデス・ベンツやBMWでは、セダンボディを受け入れやすい。今ではメルセデス・ベンツやBMWにもボディの種類が増えて、実用重視のニーズにも応えるが、セダンの人気も依然として高い。
■セダンが売れない二つの理由(2)国産セダンの「商品力」の低下
トヨタ プレミオ
国産セダンが売れなくなった2つ目の理由は、セダンの「商品力」が全般的に低下したことだ。
冒頭でも述べたように国産車の売れ筋は5ナンバー車だが、セダンでこのサイズに収まるのは現在5車種しかない。その中で「トヨタ カローラアクシオ」は発売から5年、「トヨタ プレミオ&アリオン」に至っては9年もの月日が経過した。
「日産 ラティオ」は売れ行きが低迷して、近々国内販売を終える。そして残りの1車種は、約2年前に発売された「ホンダ グレイス」だ。
ホンダ グレイス
プレミオ&アリオンはフルモデルチェンジをすべきではあるが、先ごろのマイナーチェンジで妥協した。
緊急自動ブレーキを設定したものの、コンパクトカー向けに開発されたToyota Safety Sense C(トヨタセーフティセンスC)だから、歩行者を検知できず、ブレーキの作動上限は時速80kmにとどまる(警報は時速140kmが上限)。
走行安定性、乗り心地、シートの座り心地でも設計の古さを隠せない。前後席ともに頭上と足元が広く、取りまわし性も良いが、セダンで重視される趣味性が低い。グレイスも実用重視だ。
レクサス GS
一方、定期的にフルモデルチェンジを行う車種は、クラウンを除くといずれも海外向け。サイズと価格が適度なのはアクセラ セダンとインプレッサ G4程度で、レクサス ISはミドルサイズでも価格が高い。
レクサス GSや日産スカイラインは大柄で、ホンダ アコードやトヨタ カムリはハイブリッドとはいえLサイズセダンなのに雰囲気が地味。国内市場に合わない海外向けの商品を流用した印象が強い。
またレクサスやスカイラインは、消費者から見るとメルセデス・ベンツやBMWの後を追いかけているように思えてしまう。実際、スカイラインに搭載される2リッターのターボはメルセデス・ベンツ製だ。
■価値観が硬直化しているセダン
レクサス GS F
レクサス GS F
SUVやミニバンが普及した今のセダンの価値は、優れた走行安定性と乗り心地、上質な内外装に置かれ、要は「スポーティ」と「プレミアム」に集約される。
セダンは価値観が硬直化しており、後発のレクサスは、既存のどこかのブランドと重複しやすい。新たに入り込む余地を見つけにくいことも、後追い的な印象を強めている。
そうなると昔から日本車が得意だった各種のメカニズムや装備で差を付けたいが、最近は燃費の優れた小排気量のターボから、緊急自動ブレーキや運転支援の機能まで、欧州メーカーに先を越されるようになった。
昔のような「国産車は基本的な走りは不満だけど、ターボや先進装備がいろいろ付いて安いから買う」という評価すら成り立たなくなってきた。この点は国産車にとって痛手だろう。
クルマの基本的な機能は「走る・曲がる・止まる」という走行性能と乗り心地だが、最近は全般的にレベルが向上して、走りに不満を感じる車種は減った。
そこで感覚的な部分、例えば機敏な運転感覚で個性を演出しようと考えても、走行安定性や長距離移動時の快適性と両立させるのが難しい。
「走りの個性」とは良く聞く言葉だが、その演出がしやすかったのは、走りが発展途上の段階だった。クルマが進化すると各車種がバランスの良い方向性に集約され、差が付きにくくなる。
■本来国産車が得意であった「付加価値」を今こそ発揮させる時なのだが・・・
ホンダ アコード
ホンダ アコード
そこで優劣を決めるのが、安全装備や燃費性能といった各種機能の先進性。
今こそ国産車が得意な付加価値を発揮させる時なのだが、この分野で欧州車に勝てないのは困る。売れ行きが下がったことで商品開発が停滞し、さらに売れなくなる悪循環も見受けられる。
これではセダンの購買層が、伝統があって、なおかつ先進機能も優れた欧州車を選ぶのは当然だ。追いかける日本車よりも、あらゆる面で先をいく「本場」の商品に魅力を感じるだろう。
輸入車の課題は価格だが、最近は日本車の価格帯が上に向けて拡大し、輸入車は相対的に割安になって、双方の垣根が低くなった。
例えばトヨタのヴェルファイア&アルファードは、両車を合計すると1ヶ月に6000〜7000台は売れる。トヨタ ヴィッツなどと同等だ。そしてヴェルファイア&アルファードのハイブリッドにカーナビなどをオプション装着すると、総額は500〜600万円に達する。
これらの購買層にとって、先進装備を満載した新型メルセデス・ベンツ Eクラス(E200アバンギャルドは675万円)は、あながち高価格ではないだろう。「ヴェルファイアに飽きたから、次はEクラスに乗ろうか」という代替えは十分に起こり得る。そうなると、国産セダンはさらに浸食されていく。
■輸入車セダンにも欠点が無い訳ではない
ただし、輸入セダンにも欠点は少なくない。例えばフルモデルチェンジのたびにボディが拡大して、視界も悪化していることだ。
W124と呼ばれた1980年代から90年代に販売されたメルセデス・ベンツ Eクラスは、走行性能や乗り心地で国産セダンに大差を付けながら、後方の視界や小回り性能も優れていた。
今に比べると割高感は強かったが、エンブレムを過大に誇示することもなく、上品で日本においても総合評価の高い優れた商品だった。
今はW124の時代に比べると、欧州ブランドのセダンは大型になり、その一方ではコンパクトなハッチバックを充実させている。ユーザーとしては憧れのブランドが身近になった半面、安売りに走っている印象も受ける。
現時点では1970年代からバブル経済期に築かれたブランドイメージが神通力を発揮しているが、今後は薄れてくるかも知れない。
過去を振り返れば、アメリカ車のキャデラックやリンカーンは、オイルショック前の1960年代には欧州車を超える有力輸入ブランドだった。それが今では状況が大きく変わっている。
ブランドは長年にわたる積み重ねでもあるが、あくまでもユーザーの内側に宿るから、時代の流れや企業のイメージに左右されやすい。
■その気になれば、魅力ある国産セダンを開発できるはず
日産 プリメーラ
日産 スカイライン(R32)
スバル レガシィB4
メーカーのコントロールが難しいのがブランドだ。この流れを日本のメーカーがチャンスに変えられるかが、今後の課題だろう。
5ナンバーの規格は世界的に見れば特殊だが、フレキシブルなプラットフォームを開発して、日本のユーザーが買いたいと思うような上質で扱いやすいセダンを造り上げて欲しい。
かつては初代日産 プリメーラからR32スカイライン、初代レガシィ B4、トヨタ カリーナEDのような今日でいう4ドアクーペまで、日本のメーカーは語り草になる魅力あるセダンを数多く投入してきた。
その気になりさえすれば、日本のユーザーがわざわざ欧州車に代替えしなくて済むような国産セダンを開発できると思う。
「日本車には欲しいセダンがないから輸入車を買う」という選択は、日本のユーザーとして、あまりにも悲しい。
筆者プロフィール: 渡辺陽一郎
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