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左から次期社長になる鴻海の戴副総裁、郭会長、退任するシャープの高橋社長
鴻海のシャープ出資完了へ。「日台連合」に勝機はあるか
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160812-00010000-newswitch-ind
ニュースイッチ 8月12日(金)9時1分配信
■ディスプレーの2本柱は再生の象徴
台湾・鴻海精密工業によるシャープへの出資が12日にも行われる見通しになり、ようやく経営再建が動き出す。特に最大の課題である液晶事業の立て直しをどのように進めていくのか。ディスプレイーパネル戦略はシャープ再生の鍵を握る。さらにモノのインターネット(IoT)、家電、電子部品などシャープの既存事業にはシナジーを期待できる分野が多く、シナジーをどう描くか。「日台連合」の勝機を探る。
「ディスプレー産業は競争の土俵が変わるタイミングに来ている」(郭台銘鴻海会長)。シャープと鴻海は有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルを18年までに量産化して米アップルの新型アイフォーン向け受注を狙う計画だ。
シャープは17年内に、鴻海と共同運営する大型液晶工場「堺ディスプレイプロダクト」(SDP、堺市堺区)で有機ELパネルの少量生産を始める計画。三重工場(三重県多気市)で有機ELパネル製造の前工程である回路基板を生産し、SDPでパネルに仕上げる。
18年に計画する本格量産は、亀山工場(三重県亀山市)の活用を検討。ただ、亀山工場は液晶パネル製造も継続するため本格量産時は鴻海グループの工場を活用する可能性もある。
アップルのスマートフォンを組み立てる鴻海。アップルに液晶パネルの納入実績を持っているシャープを買収しサプライヤーとしての地位向上を狙う。シャープを通じて有機ELパネルを供給することは、アップルから与えられた課題でもある。
ただ、アップルはスマホで競合する韓国サムスン電子の有機ELパネルを17年から一部機種に採用するとみられるほか、時計型ウエアラブル端末には韓国LGディスプレー製をすでに採用済み。
スマホなど携帯型端末のトレンドリーダーであるアップルが有機ELパネルの採用を広げれば、他の端末メーカーでも液晶からの置き換えが急速に進む可能性がある。シャープの有機ELパネル量産が市場の拡大期に間に合わなければ、上位メーカーの生産能力を補う調整弁の地位しか得られなくなる。
<「有機ELよりもコストに優れるIGZOを押したい」>
そこで郭鴻海会長が考えるもうひとつの戦略はシャープが量産し、アップルの最新タブレット型端末に採用された液晶パネル「IGZO」の拡大だ。郭会長は「OLED(有機EL)よりもコストに優れるIGZOを押したい」との方針。
過去のベータとVHSのビデオ規格競争を引き合いに「技術よりビジネスで勝敗が決まることもある」として、グローバルに広がる販路を生かし、まずIGZOを伸ばす考えだ。
シャープは今後、IGZOを生産する亀山工場に600億円を投資して、中型液晶の高精細化や生産能力増強に充てる計画。IGZOは円形などさまざまな形をつくれる「フリーフォームディスプレイ」など自動車や産業分野向けの製品開発も進んでいる。
カメラデバイスと組み合わせてシステム提案できれば安定受注につながる可能性もある。ただ、IGZOはまだシャープしか量産しておらず、採用メーカーが複数調達先を確保できないという課題もある。
有機ELとIGZO。シャープ・鴻海の日台連合が進めるディスプレーパネル戦略の2本柱は、有機ELで先行する韓国勢、最新鋭の液晶工場を次々立ち上げる中国勢、ジャパンディスプレイとJOLEDの日本勢との競争に打ち勝つことができるのか。シャープ再生の最大の鍵となる。
■どうなる太陽電池、電子デバイス
「両社でIoT(モノのインターネット)システム、スマート家電などに劇的な変化をもたらす」。鴻海の郭会長は、ディスプレーパネル以外にもシャープの家電や電子デバイスとの協業に積極的だ。ただ、事業によっては縮小や再編を促される可能性も否定できない。
シャープの家電製品は、鴻海の取引先や郭会長の人脈を生かした製造・販売網の拡大が見込める。電子デバイスは「鴻海が受託製造する機器に部品を供給できる」(シャープ幹部)。鴻海の主要顧客の米アップルに納めるカメラモジュールや、センサー、IC、発光ダイオード(LED)などの半導体部品も受注増が見込める。
一方、一時は売却や縮小が考えられた太陽電池事業。シャープは2017年3月期に太陽電池などのエネルギーソリューション事業の黒字化を目指している。16年3月期は184億円の営業赤字。鴻海の調達網を活用して架台や樹脂シートなど太陽電池モジュール用部材コストを低減。生産工程の効率化や、間接部門の集約などの合理化を進めたい考え。
住宅用エネルギー管理システム(HEMS)と連携する冷蔵庫や照明器具などの製品を増やし、住宅向けエネルギー関連事業全体で販売を伸ばす。
欧州では16年度内に太陽光パネルの販売を再開する予定で、このほか米国や東南アジアへの展開も視野に入れる。低迷する国内市場の販売減を海外市場の販売で補う考えだ。
12―13年に20%台だった国内シェアは15年度に約19%に落ち、販売店数も2割程度減ったと見られる。5月には大阪に販売店を集め、太陽電池事業の継続を表明した。ただ国内市況は低迷し事業継続は予断を許さない。
電子デバイスも受注増が期待される一方、2015年には広島県福山市や同三原市の工場設備に関し中国や台湾企業への売却が検討された。受託製造世界トップの鴻海幹部の目には「シャープは製造ラインの重複や無駄が多い」と映る。地方自治体の補助金に縛られて国内工場の再編も進まないため「自治体との交渉や、補助金の返納も考えていい」(鴻海幹部)と話す。
鴻海が事業や設備を売却しシャープへの投資回収を考えても不思議はない。国内産業競争力維持を求める経済産業省幹部も「各工場を閉鎖するぐらいなら、どこかに売却してほしい」と話す。売却なら雇用とともに工場が持つ製造ノウハウを受け継げる。
高橋興三シャープ社長は「家電、太陽電池、オフィス機器、電子デバイスがあることでシャープらしい商品が生み出せる」として一体運営の維持にこだわった。しかし、鴻海グループの中でシャープの一体性を維持し続けるのは難しい。今後は鴻海の力を生かしてシャープらしさを発揮する方法を模索することになるだろう。
■人工知能×IoTを新しい事業に
鴻海の郭会長の発言とシャープの方向性がディスプレーパネル以外で合致するのは、モノのインターネット(IoT)システムの事業拡大だ。シャープは売り上げ規模15兆円の鴻海傘下に入ることで、これまで抑制してきた成長投資を再開し、人工知能(AI)とIoTを組み合わせた「AIoT」を新しい事業の柱に育てる考えだ。
ただ、AIやIoTは米グーグルや米アップル、韓国サムスン電子などのビッグプレーヤーが注目している市場。テレビやスマートフォンなどのデジタル機器で苦杯をなめた相手と再び戦うことになる。シャープの強みは「IoTで必要となるセンサーで情報を吸い上げ、意味を認識して、液晶などにアウトプットできるところ」(シャープ幹部)だが、集めた情報を有効に使う肝心のビジネスモデル構築はまだできていない。
シャープが「目の付けどころ」と呼ぶ企画力は製品機能やモノづくりで発揮されることが多く、ビジネスモデルの構築に生かされた例は少ない。一方、アップルは洗練された設計・デザイン力と、EMS活用でスマートフォン市場を創造してビジネスモデルを確立。現在もトレンドリーダーとして君臨する。
世界最大のEMS傘下に入ったシャープも今後、勝てるビジネスモデルの構築に「目の付けどころ」を発揮することが必要だ。
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