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実は日本中に溢れる深刻な欠陥新築マンション、なぜ住民は泣き寝入り?売主企業の恫喝
http://biz-journal.jp/2016/08/post_16258.html
2016.08.11 文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト Business Journal
昨年は欠陥マンション問題がメディアを賑わせた。横浜市で大手企業によって過去に分譲されたマンションが2物件、杭が支持基盤に達していないことが判明し、ともに全棟建替えの方向で手続きが進んでいる。
その内の1物件では、杭を打ち込んだ時のデータが偽造されていた。その後の調査で、偽造を行った社員はほかの多くの杭工事を担当していた。そして、同様の偽造が行われていた。さらにいえば、杭工事を行っているほかの会社でもそういった偽造が行われていたことが判明。つまり、あの横浜のマンションのように建物が傾く可能性がある建造物が、日本中にあるらしきことが推測された。
さて、この事件は今どうなっているのか。実のところ、騒ぎは収まった。うやむやといえば、うやむやにされている。
そもそも、監督官庁である国土交通省は、こういった欠陥建築の事件で世間が騒ぐことを好まない。性能用件が国交省の基準に達していなかった六会コンクリート事件でも、免震性能のデータに偽造があった東洋ゴム事件でも、国交省の動きは同じ。「不正はあったが現況の建物の耐震性が心配するほど劣っていることはない」という見解を出して、ひたすら火消しに回るのだ。こういった国交省のいつもながらの動きは、消費者側の利益を優先しているとは思えない。
■欠陥のないマンションは「ない」
マンションは、1棟としてまったく同じものはない。住戸ごとにも微妙な差がある。なぜなら、すべてが手づくりだからだ。さらにいえば、完成度が100%でまったく欠陥のないマンションもあり得ない。なぜなら、人間は一定割合で必ずミスをするからだ。
マンションは数十戸規模の比較的小さな物件でも、その建築作業を細かく分けると何千もの工程がある。また、1住戸をつくり上げるのに何百人という職人が関わっている。そのすべてで完璧な作業が行われる、ということは奇跡に近いはずだ。
当然、いろんな過程でさまざまなミスやずさんな作業が行われている、と考えるべきだ。
わかりやすいところでは、外壁のタイルを雑に張っていた場合は数年で剥落が始まる。杜撰なコンクリートの打設を行っていれば、雨漏りの原因となる。そうでなくてもタワーマンションの外壁に使われているALC(軽量気泡コンクリート)パネル接合部は超高層ならではの建物の揺れで劣化しやすい。工事精度が甘いと竣工後数年で雨漏りが始まる場合がある。
こういった細かな欠陥は、補修工事をすればなんとか取り繕うことができる。しかし、昨年発覚した杭の未達のような根本的な欠陥は、建て直すのがもっともスッキリした解決法であろう。
あの横浜の2つのマンションは、動かしがたい証拠があったために、売主企業は最終的に責任を認めて建て直しの方針を表明している。しかし、ああいったケースは稀だといっていい。
実のところ、なんらかの欠陥が見つかった大半の新築マンションでは、売主が素直に責任を認めない。あの横浜の2つのマンションでさえ、売主側は当初「それは東日本大震災の影響」とか「自然な劣化によるもの」などと、責任逃れに終始していたという。一方のマンションではそういった話し合いが10年近くも行われた。そして幸いにも動かぬ証拠が見つかったのだ。もし、そういった証拠が出てこなければ、売主側は今でも言い逃れを続けていたかもしれない。
たとえ売主が名の知れた一流企業であっても、潔く責任を認めることはない。
■言い逃れと「決めゼリフ」
新築マンションの引き渡し後に、なんらかの欠陥や不具合が見つかったとする。それが共用部分であれば、話し合いの当事者は管理組合と売主である。
ところがたいていの場合、管理組合はまず管理会社にクレームをつける。管理会社は売主企業の子会社であることがほとんどだ。また、日頃から管理組合と連絡を取り合っている管理会社のフロント(担当社員)には、何事も話しやすい。「それでは、売主の担当者に伝えておきます」となる。
そして数日後か数週間後、売主企業のアフターサービス担当者と施工したゼネコンのクレーム処理係が現場を確認しにやってくる。誰が見ても明らかな施工不良でもない限り、売主もゼネコンも簡単には責任を認めない。不具合があって売主を呼んでいるわけであるから、管理組合側は苛立つ。
その内、ゼネコン側から改良工事の見積もりが出される。「無償で補修してください」と管理組合が要求しても「これは施工不良ではなく自然な劣化です」とか「使用方法を誤っているから起きたのです」といった言い逃れをする。
話し合いは続くが、一向に埒が明かない。苛立った管理組合側は建築士や弁護士に相談する。しかし、仮に裁判になったとしても管理組合側が明らかな施工不良を証明できない限り、有利な判決は期待できない。
その内、管理会社のフロントが組合の理事たちにささやきかける。
「この程度のことであまり騒がれると、悪い噂が立ってこのマンションの資産価値に悪い影響が出ますよ」
■新築マンション購入は「ババ抜き」
管理組合の理事たちは、基本的にそのマンションの区分所有者である。誰しもが「もし売る場合には、できるだけ高く売りたい」と考えている。「あのマンションは欠陥建築らしい」とか「裁判でもめている」と世間から見られてしまうと、いざ売るときに安くなってしまう。
結局、多くの管理組合が諦めてしまう。つまり、組合の費用で不具合を補修することになるのである。
これが、世間から欠陥マンションの実態を隠している構図である。
新築マンションには多かれ少なかれ必ず不具合や欠陥がある。住めなくなるほどの致命的な欠陥は少ないが、健康を損ねる程度の不具合なら100物件に1つか2つはあると私は考えている。
あの東日本大震災の後、私のところにも多くの相談が寄せられた。しかし物件名を挙げて紹介すると、それこそ資産価値に影響する。だから書けない事例は多くある。
ひとついえることは、新築マンションを購入するということは、1枚か2枚のジョーカーが交じっている100枚のカードから、1枚を抜き出すババ抜きみたいなものなのである。運が悪ければ、ババを引いてしまう。それは、どうにも防ぎようがない。
(文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト)
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