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「首相はアベノミクスの失敗を認め、速やかに政策転換に乗り出すべき」と訴える古賀茂明氏
これが「アベノミクスの失敗」を証明する経済指標だ!
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160808-00069448-playboyz-pol
週プレNEWS 8月8日(月)6時0分配信
「アベノミクスの再加速」を掲げ参院選に勝利した安倍政権。だが、その直後に都合の悪いデータがひっそりと公開されていたという。
『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、アベノミクスの失敗を認めない安倍首相のゴマカシを見抜く!
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都知事選のドサクサに紛れ、あまりニュースにならなかったが、参院選直後の7月13日にひっそりと開かれた政府の経済財政諮問会議で、アベノミクスの失敗を証明する重要な経済指標が明らかになった。
まずは実質GDP(国内総生産)。今年1月、政府がまとめた今年度のGDP成長率の経済見通しはプラス1.7%だった。ところが、今回の試算では前年比0.9%へと下方修正された。アベノミクスの目標達成に必要な2%成長には遠く及ばない数字だ。
まず、GDPの6割を占める民間消費が振るわない。年初に2.0%と見積もられた伸び率は0.9%と、1%を下回った。
さらに深刻なのが民間住宅投資だ。年初に3.8%と大幅増を見込んでいたのに、今回試算は0.8%で、3%も下振れした計算だ。
金融緩和と財政出動で、円安→輸出増→企業増収→株高→給与アップ→消費拡大という経済の好循環を実現し、デフレを脱却するというのがアベノミクスの基本路線だ。しかし、経済指標を見る限り、そのもくろみは失敗したといっていいだろう。
その最大の原因は実質賃金が4年連続マイナスになっていることだ。国民の使えるお金が少ないのだから、消費も住宅投資も伸びず、その結果、GDPも伸びない。
16年上半期の首都圏のマンション販売戸数は、前年同期比19・8%減で、24年ぶりの落ち込みになった(不動産経済研究所調査)。住宅投資の落ち込みはマンション価格が大幅に上昇したせいだろう。
東日本大震災の復興、東京五輪特需、さらには「国土強靱(きょうじん)化」と称する公共事業のバラマキ政策などで建設資材価格や人件費といった建築コストが上昇し、住宅価格が高騰している。都心の人気エリアでは2割上昇などざらで、今や首都圏のマンション販売価格はサラリーマンの平均年収の11倍を超える高値になってしまった。
住宅購入を考える人々の多くは購入のための頭金を積み増すために、さらに貯金に励んでいると推測できる。これでは消費はいつまでたっても拡大せず、景気がよくなるはずがない。
本来なら、こうした経済指標の下振れを受けて、経済政策を転換しなければならない。まずは公共事業を手控える。そうすれば、工事発注が減って人手不足や資材不足が解消され、建築コストが安くなるので、マンション価格も下がる。すると住宅購入に動く人が増え、耐久消費財などの売り上げも好転するだろう。
同時に、公共事業の削減で浮いた予算を社会保障や貧困対策に回す。人々の生活への不安が減れば、消費は拡大に向かうはず。
しかし、政府にそうした政策変更の様子は見られない。それどころか、政策変更につながる都合の悪いデータは隠してしまえと考えているフシさえある。
とっくにわかっていた重要な経済指標を、参院選直後にオープンにしたのがその証拠だ。この時期なら、世間の耳目は参院選の結果や都知事選を巡る各候補の動きに集中する。
だが、こんなゴマカシはいつまでも通用しない。首相はアベノミクスの失敗を認め、速やかに政策転換に乗り出すべきだ。
●古賀茂明
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元幹部官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して2011年退官。著書『日本中枢の崩壊』(講談社)がベストセラーに。近著に『国家の暴走』(角川oneテーマ21)
(撮影/山形健司)
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