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イングランド銀行「7年ぶりの利下げ」に隠されたメッセージとは 近づく金融政策の限界
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49388
2016年08月08日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
8月4日、英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)は、7年ぶりの利下げを実施した。
今回の金融緩和は市場の予想を上回るものであり、強いハト派姿勢を打ち出したといえる。この決定は6月23日の国民投票で予想外にEU離脱が決定し、先行きの景気見通しが悪化したことへの対応だ。
一部では足許の市場の安定を理由に「積極的な緩和は打ち出されない」との見方もあった。しかし、BOEは積極的な緩和姿勢を示すことで、金融市場の信頼を得ることを重視した。この結果、世界の金融政策の緩和度合いは一段と増したと考えられる。
■あくまで「予防措置」のようだが…
4日の金融政策決定会合でイングランド銀行は、政策金利の引き下げ(0.5%から0.25%)、国債買い入れ額拡大(3750億ポンドから4350億ポンド)、社債買い入れの開始(100億ポンド)などからなる金融緩和を発表した。特に国債買い入れの増額は市場にサプライズを与え、英金利は急低下し、ポンドは対ドルで1.5%程度急落した。
事前の予想としては、0.25ポイントの利下げは想定されていたものの、多くのエコノミストは今回のような思い切った緩和策が出るとは期待していなかった。世界の株式市場が落ち着いていることも踏まえると、イングランド銀行は先行きの緩和余地を残すために国債の買入れ額は据え置くとの見方が多かった。
しかし、イングランド銀行は積極的な緩和姿勢を打ち出すことで、先行きへの懸念を払拭することを優先した。英国が離脱交渉をEUとどう進めるかは不透明だ。経済にどのような影響が出るかも、実際に交渉が始まらないとわからない。
ここで問題となるのが、先手を打って市場の安心感を支えるか、金融政策の一部を温存するかだ。
実際にリスクが顕在化してから金融を緩和しても、市場が落ち着くとは限らない。金融緩和の内容が市場の期待を下回れば、市場が失望し混乱に拍車がかかる恐れもある。ひとたび市場参加者が中央銀行の政策に不信感を持ち始めると、市場とのコミュニケーションは容易ではなくなる。
そこで、BOEは先んじて積極的な緩和を実行し、目先の市場センチメントの悪化を防ぐことを優先した。決定後の会見でカーニー総裁は「すべての政策には拡大の余地がある」とハト派姿勢を鮮明に打ち出した。これは、市場参加者の安心感を支え、潜在的なリスクに対する予防的措置といえる。
■金融政策の限界
6月23日のEU離脱決定以前、市場参加者の中には「米FRBに続いて利上げに踏み切るのはイングランド銀行だ」と考える専門家もいた。
そうした観測に対して、今回、イングランド銀行が積極的な緩和姿勢を示したことは、世界の金融政策の潮流に変化をもたらすことも考えられる。具体的には、世界的に金融緩和の流れが強くなったということだ。
物価が低迷する中、各国の中央銀行は市中の金利に低下圧力をかけ、為替レートの下落圧力を高めることで当面の景気を支えようとしている。
短期的に、為替レートは内外の金利差に反応しやすい。英国の金融緩和はポンドの下落圧力を高め、それに対抗するようにECB(欧州中央銀行)など、主要国の中央銀行が連鎖して金融緩和を進める可能性は排除しきれない。
問題は、金融政策だけで景気を回復させることには限界があることだ。それは、日銀の政策をみれば明らかだろう。むしろ金融緩和が進みすぎると、金融機関の経営リスクが高まるなど景気に悪影響を及ぼしかねない。
会合後カーニー総裁は「マイナス金利は想定していない」と述べた。これはユーロ圏やわが国でのマイナス金利が金融機関の収益を圧迫しているとの認識があるからだ。
そうなると、現実的に利下げはあと一回(0.25%から0.0%へ)であり、金融緩和は量的緩和を軸に進められるだろう。しかし、量の拡大もどこかで限界に直面するはずだ。
米国の雇用統計が予想を上回ったこともあり、世界経済の減速懸念がすぐに高まる状況ではない。
しかし、徐々に金融政策を通した時間稼ぎは難しくなると考えられる。世界の金融緩和の度合いが強まる中、主要国全体で金融政策に手詰まり感が出始めることは避けられないと考えられる。
そうなった時、各国政府は財政政策と構造改革を進めることができるか。経済政策は重要な時期を迎えつつある。
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