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韓国で輸出が増えたのはコンピューター類だけ。写真はサムスン電子のショールーム〔AFPBB News〕
韓国にもあったの? 「総合商社」を輸出拡大に活用 政府が7年ぶりに支援・・・実効性に疑問の声も
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47553
2016.8.8 玉置 直司 JBpress
「輸出立国」である韓国が、輸出不振の長期化にあえいでいる。政府は、輸出拡大に向けた本格的な対策作りに動き出した。そんな中で出てきたのが、「総合商社」の活用だ。だが、そもそも韓国にも総合商社があったのか?
2016年7月26日、韓国政府は官民共同の「輸出投資拡大会議」を開いた。民間企業の幅広い意見を聞いて、輸出拡大対策を作ろうという狙いだ。
■「マイナス輸出」に救援登板
「総合商社‘マイナス輸出’に救援登板」
7月27日付の「中央日報」は、こんな見出しの記事を1面トップに掲げ、この日の会議の成果を伝えた。
いったいどんな方針が出たのか。
いろいろな輸出拡大策が議論されたが、その中でも最も注目を集めたのが、「商社」の活用だった。商社を活用して、特に韓国の中小・中堅企業などの製品の輸出拡大をはかろうという内容だ。
具体策はこれから詰めるが、だいたいの方向がこの日の会議で出た。
まず、政府が、「総合商社」「中堅貿易商社」「中小貿易商社」を指定する。最も期待するのが、「総合商社」だ。総合商社が中小・中堅企業の製品を輸出する場合、貿易保険の料率を下げる。
カントリーリスクが高い国・地域向けの輸出についても貿易保険で優遇策をつける。また、韓国輸出入銀行の「輸出促進基金」を活用した金融支援も具体化させる。
貿易保険と金融支援を柱に「総合商社」に海外市場を積極的に活用してもらおうという狙いだ。政府の産業支援策としてはお決まりのパターンだが、ここで疑問が生じる。
■韓国の総合商社とは?
そもそも、韓国の総合商社とはどの会社なのか?
確かにある。それどころか、1970年代、80年代に韓国の企業が海外市場に果敢に打って出たとき、その先兵を務めたのが「総合商社」だった。
どんな会社なのか。サムスン物産、現代総合商事、大宇・・・主な財閥はほとんどが傘下に総合商社を抱えていた。
政府も積極的に総合商社を支援した。1975年に、総合商社の指定制度を導入した。輸出実績や資本金。輸出品目などを勘案して政府が「総合商社」を指定した。1978年からは「韓国の輸出額の2%以上を手がける」ことが指定の条件になった。
■税制、金融面で支援
「総合商社」になると、50万ドル以上の国際入札で政府の各種支援が受けられた。また、輸出入の営業税(付加価値税と所得税)のうち3.5%を免除した。こうした優遇策で官民一体で輸出を振興した。
1980年代まで、韓国海外旅行も自由化していなかった。国内は軍事政権の名残も強く、若者の間では「総合商社」への憧れは強かった。給与水準もよく、人気企業だったのだ。
このあたりは日本と同じだ。韓国の総合商社は、日本の総合商社を手本にして、「何でも売る」をモットーに世界中に戦線を拡大して行った。
ところが、このあとの軌跡も日本と同じだった。
総合商社のビジネスモデルが、「トレード」だった。モノを動かし手数料を取る。せいぜい、ここに商社金融を介在させて付加価値を高めるくらいだった。
取引先企業のグローバル化か進むと、「総合商社の役割」が次第に低下するのは自然の成り行きだった。
冬の時代
日本では、1980年代に「商社冬の時代」と言われ、総合商社は新たな成長モデルの構築に苦しみながらも挑戦し続けた。
韓国では、日本より少しあとに、同じような「冬の時代」がやってきた。その後の軌跡は、明暗を分けた。
日本の総合商社は長年のネットワークと信用力、さらに必死の努力で新規事業を開拓した。
「トレードから事業投資へ」。1990年代には、死に物狂いで新規事業に挑み続けた。多くの失敗も経験したが、「トレード」の付加価値を高めながら、事業投資でも稼ぐことができるビジネスモデルを何とか築き出した。
ところが、韓国の「総合商社」は、迷走したままだ。
多くの総合商社が消えてなくなった。サムスン物産は、社名こそ「物産」だが、商社部門は縮小を続けている。今は、建設部門、ファッション部門、リゾート部門などと一緒になって、何の会社か分からない複合体として生き残っている。
大宇は、大宇インターナショナルとなり、その後、ポスコに買収されて生き残った。今の社名は、「ポスコ大宇」だ。鉄鋼の貿易や資源開発に力を入れているが、往年のパワーはない。
このほかに、SKネットワークス、LG商事などが今も残っていはいる。
だが、2016年4−6月期の営業利益は、SKネットワークスが352億ウォン(1円=10ウォン)、LG商事が564億ウォン、最も多いポスコ大宇でも823億ウォンだ。ポスコ大宇はこのうち521億ウォンがミヤンマーガス開発関連の利益だった。
どの会社も生き残りに必死だが、韓国の輸出拡大の救援投手役割を担えるのか?
だから韓国でも「総合商社の復活」と言われても、ぴんと来ない産業人は多い。韓国政府も、「総合商社の時代」が終わったと判断して、「総合商社」の指定や優遇策を2009年に廃止していたのだ。
■総合商社の復活に頼りたい理由
逆に言えば、「かつての輸出の先兵」に頼りたくなるほど、最近の輸出不振が深刻だということでもある。
韓国の産業通商資源部は8月1日、「7月の輸出入動向」を発表した。
それによると、7月の輸出額は410億ドルで前年同月比10.2%減となった。これで輸出のマイナスは19か月連続となり、過去最長記録を更新した。
5月と6月には、輸出が、それぞれ前年同月比−5.9%、−2.7%となり、回復の期待が高まっていた。ところが、また、二ケタのマイナスになってしまった。
産業通商資源部は「7月は操業日数が前年比1.5日少なかったうえ、自動車業界でストもあった」ことなども原因だと説明した。
しかし、産業界では、輸出が長期不振に陥っていることは疑いがないという見方が圧倒的だ。
輸出で経済を牽引してきた韓国には、「輸出主要13品目」という分類がある。
この中で、コンピューターは前年同月比39.1%増だったが、半導体(前年同月比2.6%減)、一般機械(同3.7%減)、無線通信機器(同4.0%減)、繊維(同8.9%減)、石油製品(同9.4%減)、自動車部品(同10.6%減)、鉄鋼(同11.1%減)、石油化学(同12.3%減)、自動車(同14.6%減)、LCDパネル(同19.2%減)、家電(同16.6%減)、船舶(同42.5%減)など残りの12品目がすべてマイナスだった。
中国経済の成長鈍化など、世界経済の動向に大きな影響を受けていることは間違いない。だが、同時に、「主要13品目」が10年以上も不変で、新しいビジネスを開拓できていないことも大きな要因だ。
韓国の産業界にも、「有望製品群」がないわけではない。7月の輸出で、大きく伸びたのは、化粧品(同43.0%増)、医薬品(同38.2%増)などがある。
■中韓関係の影響は?
ただ、化粧品の輸出額は3億ドル強。30億ドルを越えている自動車など、13品目は減少が続いているとはいえ、すべて10億ドル超でまだまだ肩を並べる水準には程遠い。
韓国の産業界が最近、強く懸念しているのは、最大の輸出し向け先である中国向けの先行きだ。
中国政府は、韓国政府が、地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の導入を決めて以降、韓国批判を強めている。
「ビジネスへの影響は大きくない」というのが韓国の産業界の見方だが、懸念も根強い。
8月3日には、中国が、韓国からの商用複数査証の発給業務を突然強化した。大型の観光旅行団のキャンセルも出ている。
最近好調な化粧品の輸出については、中国向けの電子商取引関連の輸出が多く、「頼みの有望製品」の先行きへの不透明感も出てきた。
こうした中、往年の力がない「総合商社」に何ができるというのか?
「総合商社」の指定制度の復活は、それほど輸出不振の打開策がないことの裏返しでもある。
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