http://www.asyura2.com/16/hasan111/msg/570.html
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焦点:
金融市場を揺さぶる「想定外」、最大級は物価目標達成
[ロンドン 3日 ロイター] - 有権者の予想外の投票行動や保護貿易主義の台頭、迫り来る景気後退、イスラム過激派の活動などはどれも世界の金融市場を大きく揺さぶりかねないが、何と言っても最大級のショックは各国中央銀行によるインフレ目標の達成だろう。
主要中銀が政策金利をゼロ近辺もしくはマイナスにまで引き下げ、大規模な量的緩和政策を導入して10年近く経つが、いまだに各国は約2%というインフレ目標を実現できていない。
市場はもはや、中銀がいずれ目標を達成するとは信じておらず、自分たちが生きている間は無理だとの見方も広がっている。
金利デリバティブやインフレ連動債が見込む予想インフレ率は少なくとも2026年まで、場合によっては46年までインフレ目標を下回っている。日本、ドイツ、英国、フランス、スイスは国債の名目利回りが期間30年ないし50年までインフレ目標に届いていない。
2年ほど前に量的緩和を終了した米連邦準備理事会(FRB)でさえインフレ目標の達成はおろか、いずれ可能だと市場に納得させることもできていないのは同じだ。
モルガン・スタンレーのエコノミスト、テッド・ワイズマン氏は「FRBが何年かけても目標を実現できずにおり、その意思も感じられないことを考えると、2%のインフレ予想など不合理と言って差し支えなくなってきた」と記した。
金融市場がインフレ目標達成は今後数十年にわたって無理だと深く信じ込み、行動様式を徹底的に変えているだけに、仮に目標達成の兆しが表れればその影響は計り知れないほど大きくなり得る。
金融政策だけでは効果がないとして、各国政府は財政政策と資金供給の組み合わせという手段に訴える可能性が出てきた。
日本政府は今週、新たな経済対策の資金を40年物国債の増発で賄う可能性を示し、ポリシーミックスに向かうそぶりを見せた。
こうした政策姿勢の変化が、頑なな市場の予想を揺さぶっているのかもしれない。日本の10年物国債の利回りは今週に入って25ベーシスポイント(bp)も上昇した。
<高騰した資産価格>
もしインフレ目標の達成が意識されたら金融市場はどうなるだろうか。
株価は、企業収益の伸びが頭打ちにもかかわらず過去最高値近くで推移しており、投資家は債券やキャッシュへと鞍替えしつつある。
しかし債券価格も前代未聞の高水準で、肝心の確定利付きという機能が失われている。ドイツの10年物国債の表面利率はゼロ%だから、利回りが少しでも上昇すれば巨額の損失を生み出す。
つまり、仮に欧州中央銀行(ECB)が今後10年間に約2%のインフレ目標を実現できると市場が考えるようになれば、10年物ドイツ国債の利回りは少なくとも2%まで上がり、投資家は20%以上の損失を被る。
フィッチの試算によると、投資適格級国債38兆ドルの相場が2011年の水準に戻っただけで、市場では3兆8000億ドルの損失が発生する。
株式市場も大きな影響を被る。シティの試算によると、先進国の「株式リスクプレミアム(ERP)」は現在5.3%と、過去25年平均の3%を大幅に上回っている。インフレ目標達成というショックが起こればERPは圧縮され、ただでさえ割高な株価は支えを失って崩落するだろう。
(Mike Dolan記者)
http://jp.reuters.com/article/what-if-idJPKCN10F08T?sp=true
政策検証の力点は各委員で異なる、特定の方向性ない=岩田日銀副総裁
[横浜市 4日 ロイター] - 日銀の岩田規久男副総裁は4日午前、横浜市内で講演し、9月の金融政策決定会合で予定されている政策検証について「力点の置き方は審議委員により異なりうる」として、「特定の政策の方向性を考えているということでない」と説明した。
日銀が7月末の決定会合で政策検証を表明したことから、市場では、事実上の緩和縮小が打ち出されるとの懸念から金利が急上昇したことに配慮した発言とみられる。
<大規模緩和にも関わらず目標未達の理由を検証>
岩田副総裁は、黒田東彦日銀総裁の下、2013年に開始した「量的・質的緩和」が、「世界に例をみない大規模な金融緩和にもかかわらず」「未だに2%の物価目標を達成できていない」点を踏まえ、政策メカニズムや阻害要因を検証すると説明した。
日銀は7月上場投資信託(ETF)買い入れの大幅増額による追加緩和に踏み切ったばかりだが、先行きのリスクとして「海外経済の動向に関する不確実性が最も重要」とし、新興国・米国の動向、米金融政策運営、欧州債務問題の展開などに「注意が必要」とした。
<期待インフレ率改善、長引く可能性>
またデフレが長く続いた日本では、足元の物価が人々の物価観(期待インフレ率)に影響しやすいため「消費者物価の伸びが当面低位で推移することが、期待インフレ率の改善を想定以上に抑制する要因となる可能性がある」と警戒した。
日銀では景気過熱と期待インフレ率の組み合わせで物価が2%にジャンプする絵を描いて政策運営している。
日銀は2017年度中の物価目標達成を掲げているが「見通しの不確実性は高い」と指摘。今後もリスクを点検し「必要な場合は量・質・
金利の3次元で、ちゅうちょなく追加的な緩和措置を講じる」と強調した。
<ヘリマネではない>
日銀の金融緩和によるマイナス金利を背景に政府が財政政策を行えば「刺激効果は非常に強力なものになる」が、これは「中央銀行マネーの恒久的な増加を原資に財政拡張を行うヘリコプターマネーや、財政ファイナンスとは異なるもの」と述べた。
*内容を追加します。
(竹本能文)
http://jp.reuters.com/article/boj-iwata-idJPKCN10F05N
岩田日銀副総裁:ポリシーミックスはヘリコプターマネーと異なる
下土井京子
2016年8月4日 11:14 JST 更新日時 2016年8月4日 12:49 JST
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実体経済・金融面への効果や影響も点検−「総括的な検証」で
17年度中に2%物価目標達成、「見通しの不確実性大きい」
日本銀行の岩田規久男副総裁は4日、横浜市内で講演し、政府の財政政策と日銀のマイナス金利付き量的・質的緩和の「ポリシーミックス」による景気刺激効果は、「ヘリコプターマネー」や「財政ファイナンス」とは異なるとの見解を示した。日銀が講演テキストをウェブサイトで公表した。
岩田氏はこの中で、政府が国債発行を通じて財政支出を拡大すると同時に中央銀行が金融緩和を推進する「ポリシーミックス」は、市場金利が上昇し、民間投資を抑制する「クラウディング・アウト」を防ぐためのマクロ経済政策として一般的な考え方だと指摘。現在の政府と日銀の政策の相乗効果によって景気刺激策は「非常に強力なものになる」と述べた。
その上で、こうした政策は「中央銀行マネーの恒久的な増加を原資に財政拡張を行うヘリコプターマネーや、財政資金の調達を手助けするために中央銀行が国債を買う財政ファイナンスとは異なる」と指摘。さらに、「マーケットでは、ヘリコプターマネーに関する議論が盛んだが、定義を明確にすることなく、その是非を論じることは建設的とは思えない」と語った。
総括的検証
次回9月の決定会合で行う「総括的な検証」については、大規模な金融緩和にもかかわらず、2%の物価安定目標が達成できていないことから「政策効果の波及メカニズムやそれを阻害した諸要因などについて、検証したい」と述べた。
同時にマイナス金利政策導入が金利低下に大きな効果を発揮している一方で、金融機関や金融市場にも「さまざまな影響を与えている」として、実体経済・金融面に対する効果や影響についても点検すると説明。「何か特定の政策の方向性を考えていることはない」という。
物価見通し
物価動向についても触れ、「基調は着実に改善している」としながらも、消費者物価上昇率(生鮮食品・エネルギー除く)の前年比上昇率のプラス幅が円高の進行や予想物価上昇率の改善の後ずれを背景に縮小していると指摘。2017年度中に2%程度の物価安定目標に達するとした「見通しの不確実性は大きい」との見方を示した。
英国の欧州連合(EU)離脱が世界経済に与える影響が不透明なことから、「海外経済に関する不確実性に十分注視していきたい」と述べた。足元の景気動向については、新興国経済の減速などの影響で輸出・生産に鈍さがみられるものの、「基調として緩やかに拡大していく」との見通しを維持。事業規模28兆円の政府の経済対策が「今年度、来年度の景気をかなりの程度押し上げる」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-04/OBD4EQ6JTSEM01
円上昇、岩田副総裁発言で緩和姿勢に不透明感−対ドル一時100円86銭
酒井大輔
2016年8月4日 10:59 JST 更新日時 2016年8月4日 11:36 JST
4日の東京外国為替市場では、円が上昇して いる。日本銀行の岩田規久男副総裁の講演内容を受けた緩和姿勢の不透 明感を背景に、円買いが優勢となっている。
午前11時32分現在のドル・円相場は1ドル=101円05銭前後。朝方 は101円台前半を中心にややドル強含みの展開だったが、主要な金融機 関からの仲値公表が終わる午前10時すぎごろから円買いが徐々に強まっ た。岩田副総裁の横浜市での発言内容が報じられると、100円86銭まで 円が上昇した。
NBCフィナンシャル・マーケッツ・アジアのディレクター、デー ビッド・ルー(香港在勤)氏は、ドル・円の動きについて、「短期が売 っている」と指摘した上で、岩田副総裁の発言から日銀の追加緩和の可 能性が低いとの連想につながったと話した。
日銀がウエブサイトで公表した岩田副総裁の講演内容によると、9 月の金融政策会合で行う総括的な検証に関連して、マイナス金利付き量 的・質的緩和は金利引き下げに大きな効果を発揮している一方、金融機 関や金融市場に大きな影響実体経済・金融面への影響と指摘。特定の政 策の方向性を考えているわけではないと述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-04/-100-86
日銀ETF購入、変更後金額は3.3%増−回数増で影響力薄める手法か
長谷川敏郎、竹生悠子
2016年8月4日 11:49 JST
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岩田日銀副総裁:ポリシーミックスはヘリコプターマネーと異なる
日本銀行は7月の金融政策決定会合で政策を変更して以降、2営業日連続で日本株の上場投資信託(ETF)を買い入れた。現状では購入金額が小幅の増加にとどまっており、市場関係者の間では従来に比べ買い入れ回数が増えるとの見方が出ている。
日銀は2日に従来枠のETFを347億円買い入れたのに続き、3日も同額を買い入れた。7月29日の会合では、ETFの保有残高を現行の年間約3兆円から約5兆7000億円へほぼ倍増させることを決定。「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」対象の3000億円枠を含めると、約3.3兆円から約6兆円に増やす。2日には買い入れ額増額について、財務相と金融庁長官から認可を受けたとも発表した。
東海東京調査センターの仙石誠マーケットアナリストは、「過去の経験則では認可が下りた2日後から金額が増加した。次の買い付けを確認しなければ、判断できない」としつつ、「ETF増額には2人の反対意見があり、市場に影響を与える買い方にしたくない可能性がある。金額を増加するより、回数を増やす方向に考えているのではないか」と推察した。2、3両日の同額購入は、「そうしたことを示唆する動きかもしれない」と話す。
日銀の黒田総裁
日銀は7月、8営業日でETFの買い入れを実施した。仙石氏は、日銀はTOPIXの午前終値での下落率を基準に午後に買い付けるかどうかを決定していると分析。7月の動向をみると、前引けが0.2%安だった7日に買い入れた半面、0.4%安だった29日は買いを見送るなど発動条件は一定していなかった。今月2日の午前終値は0.8%安、3日は1.4%安だった。
年間5兆7000億円ペースで買い入れるには、平均の月間購入額は4750億円となる。1回当たり347億円で消化するには、単純計算で1カ月に13.7日買う計算だ。仙石氏の試算では、8月以降は毎日230億円程度を買うことが可能という。
購入枠増額を決める直前の7月28日の買い付け額は336億円で、政策変更後は3.3%増えた。日銀は2014年10月31日にETFの保有残高を年間1兆円から3兆円に拡大した際、10月の1回当たり147億円から11月には380億円と2.6倍に急増させた経緯がある。今回、購入枠をほぼ倍増させたことで、市場関係者の一部では1回の買い入れ額も拡大するとの期待があった。
買い付け額の拡大がわずかにとどまったことについて、東海東京調査の仙石氏はマーケットへのインパクトを軽減させたかったためではないか、と分析。「市場の価格形成に配慮した水準で行ったと考えられる。東証1部売買代金の1%台程度の買い入れ金額なら、批判を浴びずに実施できる」とみている。
日銀の発表によると、ETFの約6兆円の買い入れについて佐藤健裕審議委員は、「市場の価格形成や日本銀行の財務健全性に及ぼす悪影響などを踏まえると過大」と言及、木内登英審議委員は「財務健全性への影響のほか、株式市場のボラティリティを高める。株価を目標にしているとの誤ったメッセージになる」とし、共に反対した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-04/OB9X7D6TTDS601
ECBの社債購入策、企業の資金調達コスト抑制=報告書
ECBは報告書で、社債買い入れ策が企業の資金調達コスト低下に貢献していることを明らかにした(写真はフランクフルトのECB本店)
By TODD BUELL
2016 年 8 月 3 日 19:54 JST
【フランクフルト】欧州中央銀行(ECB)は3日公表した報告書で、社債買い入れ策が企業の資金調達コスト低下に貢献していることを明らかにした。
ECBは3月に社債買い入れ策を発表した。今回の分析では、社債買い入れによって企業の資金調達圧力が緩和されており、これが、ユーロ圏域内の投資と経済成長を後押しするはずだとしている。
ECBは「3月10日の社債買い入れ策の発表後、非金融機関が発行する社債の利回りとリスクフリー金利とのスプレッドが大幅に縮小した」と指摘した。
また、「非金融機関による社債のスプレッドは買い入れ策発表当日に大幅縮小し、その後も大きく低下し続けており、5月と6月に英国の欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票に関連して一時的に急変動しただけだったと述べた。
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社債の買い入れは、2015年3月から行われている国債中心の大規模な債券買い入れ策に対する追加措置として導入された。ECBは17年3月まで月額800億ユーロ(約9兆円)の債券購入によって域内のインフレ率押し上げを目指している。
報告書によると、社債購入の導入発表後2週間についてのデータ分析では、買い入れ対象の社債だけでなく対象外の社債でも資金調達コストの低下が見られた。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwik47HU5qbOAhVIUZQKHcmnAqMQqQIIHzAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10393880222517763866104582228880246757706&usg=AFQjCNEGlgYzvH8EeoVOlUCJieFKbHUE2g
英社債市場、中銀買い入れ期待での上昇は大丈夫か
ENLARGE
英中銀イングランド銀行のカーニー総裁 PHOTO: DYLAN MARTINEZ/ASSOCIATED PRESS
By
JON SINDREU AND CHRISTOPHER WHITTAL
2016 年 8 月 4 日 10:21 JST
英国の社債価格が7月に急騰した。英中銀イングランド銀行が金融緩和策の一環として社債の買い入れを始めるとの観測が背景にある。だが、中銀が介入するとしても、規模の小さな英社債市場への影響は予想もつかないとの指摘が一部にある。
6月23日の国民投票以降、欧州連合(EU)を離脱するという判断は英企業を傷つけるとの懸念が広がっているにもかかわらず、英ポンド建ての社債利回りは着実に低下(価格は上昇)してきた。
利回りが低下した大半の理由はイングランド銀行が利下げするとの期待にあるが、調査会社マークイットの調べによると、非金融関連企業の債券に対するスプレッド(上乗せ利回り)は、ブレグジット(英国のEU離脱)決定後の急拡大から反転し、このところ1年ぶりの低水準に迫っている。
社債スプレッドは、その企業がデフォルト(債務不履行)に陥る可能性がどれだけ高いかを反映するものだ。しかしアナリストの多くは、これほど急速なスプレッド縮小の背景には、イングランド銀行が社債買い入れに着手するとの観測があると考えている。
いくつかの大手銀行は顧客向けリポートで、イングランド銀行は4日の金融政策委員会(MPC)で、国債買い入れの増額と0.25%の利下げに加え、こうした社債買い入れも発表するとの予想を示した。
だが、一部の投資家はまだ納得していない。
イングランド銀行はいまも3750億ポンドの国債を抱えているが、アリアンツ・グローバル・インベスターズの運用担当者、マイク・リデル氏は、新たな国債買い入れを予想して国債の持ち高を増やしている。その一方で同氏は、ポンド建て社債は割高になっていると考え、売り始めている。リデル氏は「(社債の)相場水準がかなり伸びきったように見え始めている」と語り、イングランド銀行が4日に社債買い入れを発表する可能性は低いとみている。
英国の大企業は多くがユーロ建てないしドル建てでの資金調達を好むため、ポンド建て社債市場は規模が小さい。直近では1日にボーダフォン・グループが10億ポンドを起債するなど一部大手企業の動きもあるが、発行額はここ数年で減少している。
市場規模が小さいと、中銀の政策行動も制約されるだろう。キャピタル・エコノミクスの分析によると、社債市場で中銀買い入れに適格な債券はおよそ1300億ポンドで、イングランド銀行が1カ月あたりに買い入れることができるのは10億ポンドに満たないことになる。欧州中央銀行(ECB)は毎月90億ユーロ程度のユーロ建て社債を買っているが、適格社債の市場残高は約7000億ユーロある。
イングランド銀行が以前に設定した基準でみると、買い入れ規模はさらに小さくなる可能性さえある。2009年から13年にかけてイングランド銀行は社債買い入れを一時行ったが、すべて投資適格の非金融関連企業の社債で、買い入れ総額はわずか20億ポンドだった。中銀は短期社債(コマーシャルペーパー)も約15億ポンド買い入れた。
しかも、こうした社債買い入れは、金融危機後に市場が機能不全に陥らないように行ったものだ。アナリストや投資家は、いまこうした措置を講じても経済全般に何らかの影響を与えるには小さすぎるが、それでも社債市場の流動性を引き締めてしまうほどの規模になるかもしれないと懸念している。
パイオニア・インベストメンツの信用調査部門共同責任者、スザンヌ・キーン氏は「ポンド債市場をこれ以上ゆがめることは、企業情勢全般にとって本当の役には立たないだろう」と指摘した。同社では、ユーロ建て債などもっと流動性の高い債券と比較しても十分高い利回りがつかないかぎり、ポンド建て債は買わないことにしていると言う。「それ(中銀の社債買い入れ)は必ずしも英企業にとって良いことにはならないと思う」と述べた。
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英利下げ、空振りの可能性も
英中銀イングランド銀行のカーニー総裁 PHOTO: BLOOMBERG NEWS
By
RICHARD BARLEY
2016 年 8 月 4 日 08:28 JST
英イングランド銀行(中央銀行)が政策緩和に踏み切る寸前とみられる中、ポンドはこのところ底堅い動きを見せている。その一因は、英国の欧州連合(EU)離脱がイングランド銀と為替トレーダーの双方にもたらしている課題にあるかもしれない。
ポンドは対ドルで1.335ドル近辺と、英国民投票でEU離脱(ブレグジット)が決まった直後の水準を約3.5%上回っている。しかも今週はイングランド銀の政策判断が近づいているにもかかわらず上昇し、ドルの幅広い通貨に対する下落も追い風になった。
マークイットによる英国の購買担当者景気指数(PMI)の推移。青:製造業、緑:サービス業
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-PF683_ukherd_G_20160803084115.jpg
政策当局者はそれでも8月に行動する可能性を明言している。マークイットの景況指数は、7月に企業が衝撃に見舞われたことを示し、サービス業景況指数(PMI)が統計開始以来の大幅な落ち込みを記録した。エコノミストの多くは、イングランド銀が現在0.5%の政策金利を引き下げ、資産買い入れを再開すると予想している。
一方で金融政策の有効性に懐疑的な見方も出ている。EU離脱を巡る全体像は霧に包まれたままだ。離脱プロセスの開始時期や英経済の行く末はいまだに見通せない。ブレグジットはつかみどころのない政治的な問題であり、歴然たる経済危機や市場のパニックとは全く異なる。イングランド銀のカーニー総裁をはじめとする中銀関係者は、経済の将来的な経路を描くにあたりとりわけ困難な対応を迫られる。
ここ数カ月は、高まる利下げ期待を背景に逆張りすれば利益を得られた。イングランド銀は8月の政策行動をほぼ約束したに等しく、自らを追い込んでしまったかもしれない。だが、ポンドに弱気な投資家もイングランド銀も、ブレグジットの実像を把握するまでにはさらに時間がかかる可能性は残されている。
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英中銀イングランド銀行のカーニー総裁 PHOTO: DYLAN MARTINEZ/ASSOCIATED PRESS
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JON SINDREU AND CHRISTOPHER WHITTAL
2016 年 8 月 4 日 10:21 JST
英国の社債価格が7月に急騰した。英中銀イングランド銀行が金融緩和策の一環として社債の買い入れを始めるとの観測が背景にある。だが、中銀が介入するとしても、規模の小さな英社債市場への影響は予想もつかないとの指摘が一部にある。
6月23日の国民投票以降、欧州連合(EU)を離脱するという判断は英企業を傷つけるとの懸念が広がっているにもかかわらず、英ポンド建ての社債利回りは着実に低下(価格は上昇)してきた。
利回りが低下した大半の理由はイングランド銀行が利下げするとの期待にあるが、調査会社マークイットの調べによると、非金融関連企業の債券に対するスプレッド(上乗せ利回り)は、ブレグジット(英国のEU離脱)決定後の急拡大から反転し、このところ1年ぶりの低水準に迫っている。
社債スプレッドは、その企業がデフォルト(債務不履行)に陥る可能性がどれだけ高いかを反映するものだ。しかしアナリストの多くは、これほど急速なスプレッド縮小の背景には、イングランド銀行が社債買い入れに着手するとの観測があると考えている。
いくつかの大手銀行は顧客向けリポートで、イングランド銀行は4日の金融政策委員会(MPC)で、国債買い入れの増額と0.25%の利下げに加え、こうした社債買い入れも発表するとの予想を示した。
だが、一部の投資家はまだ納得していない。
イングランド銀行はいまも3750億ポンドの国債を抱えているが、アリアンツ・グローバル・インベスターズの運用担当者、マイク・リデル氏は、新たな国債買い入れを予想して国債の持ち高を増やしている。その一方で同氏は、ポンド建て社債は割高になっていると考え、売り始めている。リデル氏は「(社債の)相場水準がかなり伸びきったように見え始めている」と語り、イングランド銀行が4日に社債買い入れを発表する可能性は低いとみている。
英国の大企業は多くがユーロ建てないしドル建てでの資金調達を好むため、ポンド建て社債市場は規模が小さい。直近では1日にボーダフォン・グループが10億ポンドを起債するなど一部大手企業の動きもあるが、発行額はここ数年で減少している。
市場規模が小さいと、中銀の政策行動も制約されるだろう。キャピタル・エコノミクスの分析によると、社債市場で中銀買い入れに適格な債券はおよそ1300億ポンドで、イングランド銀行が1カ月あたりに買い入れることができるのは10億ポンドに満たないことになる。欧州中央銀行(ECB)は毎月90億ユーロ程度のユーロ建て社債を買っているが、適格社債の市場残高は約7000億ユーロある。
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しかも、こうした社債買い入れは、金融危機後に市場が機能不全に陥らないように行ったものだ。アナリストや投資家は、いまこうした措置を講じても経済全般に何らかの影響を与えるには小さすぎるが、それでも社債市場の流動性を引き締めてしまうほどの規模になるかもしれないと懸念している。
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