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米インフレ率の乖離−モノは低下・サービスは上昇
6月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比0.9%上昇し、食品とエネルギーを除くコア指数は同1.6%上昇だった(写真は家庭用品小売りチェーンのベッド・バス・アンド・ビヨンドで買い物をする人々、ニューヨーク) PHOTO: MARK LENNIHAN/ASSOCIATED PRESS
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JUSTIN LAHART
2016 年 8 月 3 日 10:27 JST
米消費者物価の伸び率はモノとサービスの間で大きな差がある。米連邦準備制度理事会(FRB)に何かできることがあるとしても、この差をさらに広げることにしかならない。
ガソリンスタンドの看板に表示されたガソリン価格はもちろんのこと、小売店で売られているさまざまな商品の値札から判断する限り、米国はデフレから抜け出せずにいる。だが、レンタカーの利用や演劇・映画鑑賞といったサービスの料金については、インフレがはっきりと現れている。
こうした乖離(かいり)は4-6月期の企業決算結果にそのまま反映されている。物価の下落は、モノを生産する企業の収益を圧迫してきた要因の一つだ。ファクトセットによると、これまでに4-6月期決算発表を終えたS&P500種指数構成企業で見た場合、モノを扱う企業の売上高(中間値)は2.6%減少した。一方、サービス部門の企業の売上高(同)は3.6%増加した。
同様の乖離は米商務省が2日発表した6月の個人消費支出(PCE)価格統計にも現れている。PCEの総合価格指数は前年同月比0.9%上昇し、食品とエネルギーを除くコア価格指数は同1.6%上昇だった。ところが、モノの価格指数が同1.8%低下した一方でサービス価格指数は同2.2%上昇した。
ガソリンの値下がりはモノの価格下落の一部にすぎなかった(レギュラーガソリンの6月の平均価格は1ガロン=2.37ドルで、1年前の2.80ドルを下回った)。洗濯機や自転車など長期にわたって使用される商品を含む耐久財の価格は2.2%下落。これは海外景気の弱さによるところが大きい。輸入商品の価格が下がり、国内競合各社も値下げを余儀なくされている。世界経済見通しが暗い中、こうした物価押し下げ圧力は今後も続きそうだ。
米消費者物価の前年比伸び率、サービス(水色)とモノ(青)
一方、サービス価格の上昇は加速する可能性がある。賃金は上向いており、海外勢との競争がほとんどないサービス提供企業は値上げしやすくなっている。医療保険改革法(ACA)の導入以降、医療費は伸びが抑えられてきたが、影響は消えつつあるため、サービス価格はさらに上昇するはずだ。
インフレ率については、特にコア指数の場合、個人消費の3分の2を占めるサービス部門の方がモノよりも比重が大きい。このため、今後もモノの値下がりが継続したとしても、インフレ率はFRBが目標とする2%に近づき続ける可能性がある。そうなれば、FRB関係者らは年内利上げにより前向きとなるだろう。
とはいえ、FRBが利上げした場合、最初に起きると考えられるのがドル高の進行だ。利上げが実施されると、米債券など確定利付商品の収益率が上昇し、海外からの投資を呼び込むことになるからだ。さらにドル高は輸入コスト、ひいてはモノの価格を押し下げるだろう。サービス価格はドル相場がほとんど関係しないため、恐らく受ける影響ははるかに小さい。
モノの価格は結局、いっそう下落してしまうかもしれない。
投資家が日本国債に注目すべき理由
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10年物の日本国債利回りが1週間弱の間に急騰している(写真は10年債利回りを表示する証券会社の都内電光掲示板、6月) PHOTO: BLOOMBERG NEWS
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RICHARD BARLEY
2016 年 8 月 3 日 12:43 JST
念のために言うが、債券利回りは上昇することもあれば低下することもある。今年の債券相場上昇で大いに盛り上がった投資家は、日本に目を向ければ立ち止まるに違いない。さらなる試練の時が待ち受けている可能性もある。
10年物の日本国債利回りが1週間弱の間に急騰している。7月27日にはマイナス0.29%をつけていたが、2日はマイナス0.07%程度で引けた。日本銀行が先週発表した金融緩和が不発だった上、国債入札の不調が響き、利回りはゼロに近づいている。
この動きはまだ日本に限られる可能性もある。日本の債券市場は国内勢が中心で、我が道を行く動きになりがちだ。これまでのところ、米国債もドイツ国債も利回りはやや上昇しているが、同じような荒い動きにはなっていない。欧州では特に、欧州中央銀行(ECB)の債券買い入れが長期債利回りを圧迫する公算が大きい。ひいては米国債利回りも、ドイツ国債に引っ張られる形で引き続き抑えられる可能性がある。だが、日本国債の利回りが上昇すると、日本の投資家にとって外国債券の魅力は薄れるため、支えは失われる恐れがある。
ただ、各国の金融政策当局には選択肢がなくなりつつあるのではないかとの疑問が浮上し、中銀の政策決定に対する市場の失望感が次第に高まる中、力の衝突が加速している。英中銀イングランド銀行が今週開く政策会合は、何かを物語るかもしれない。英国の欧州連合(EU)離脱決定による経済への衝撃は局所的であって世界的なものではないが、イングランド銀行の対応は、政策当局にどの程度の余地があるかを示すという点で幅広い反響を呼ぶとみられる。
さらに、財政政策の利用拡大を巡る議論も熱を帯びている。これは債券の弱気材料になるだろう。日本政府が2日午後の臨時閣議で決定した事業規模28兆円の経済対策はそのいい例だ。だが、この計画は日本経済に大きな変革をもたらすとはみられていない上、利回りが動き出す前に計画の詳細が漏れ伝わっていたため、債券利回りにも大きく影響しそうにない。
その一方で、世界経済を巡る不安は続いている。原油価格が1日に弱気相場入りし、各国中銀は低インフレが続くことを懸念しているかもしれない。そうなればさらなる政策対応が求められ、そうした期待が少なくとも当初のうちは債券価格を支えるだろう。
問題は、マイナス利回りがちまたにあふれ、一部の政府が利子収入を得ながら資金を調達するというように、債券市場がすでに未踏の領域へ深く入り込んでいることにある。これまで債券市場の動きを正しく見通してきた投資家でさえ、この環境に安心感を抱く余裕などない。
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森金融庁長官との一問一答
By YUKA HAYASHI AND ATSUKO FUKASE
2016 年 8 月 3 日 12:16 JST
過剰な危機対応は景気回復の腰を折りかねないと世界の金融当局者に警告してきた金融庁の森信親長官。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで「バランスシートのクリーンアップに重点を置いた監督」など、日本のバブル崩壊以降行われた施策について、経済成長の確保という側面にもう少し注意を払う方法がなかったのかと振り返った。
金融庁長官、「日本の二の舞」になるなと世界に警告
森長官とのインタビューからの主な一問一答は以下の通り:
―米国においてはドッド・フランク法の施行から5年を経て規制のあり方全般の再検討の動きも見られる。金融危機以降、主要国の金融規制当局が実施してきた取組みをどのように評価しているか。
米国や他の特定の国の規制についてコメントをすることは差し控えたい。国際的な金融規制改革の取組みは銀行セクターを強靭にする上で貢献があったと思う。しかし今こうして話している間にも、また新しい規制が起草されている。規制により追求される直接的な目的と我々の最終的な目標である経済の成長や効率性との間には必ずトレードオフの関係がある。どうやったら「スマート・レギュレーション」を実現できるか考えてみることが大切ではないか。
新規制が余りに多く、規制同士の間で矛盾が生じているのではないかとの指摘もある。規制は、市場の流動性の低下やシャドーバンキングセクターにおけるリスクの蓄積といった、意図せざる影響をもたらしがちでもある。世界各国の中央銀行が金融緩和によって経済活動を促そうとしている一方、銀行に対する資本規制の強化が行き過ぎれば、中小企業に対する貸出意欲に影響することにもなりかねない。こうした点を検証することにより、規制システムが最適化されているか、「スマート・レギュレーション」になっているかどうか見ていく必要がある。
―バブル崩壊以降の日本の経験から得られた教訓で他国の当局にも役立ちそうなものはあるか。
リーマン・ショックよりも10年も前に、日本は金融危機を経験し、それ以降、日本の監督当局は銀行に対し、バランスシートのクリーンアップとリスク削減とを促してきた。しかし、バランスシートのクリーンアップに重点を置いた監督には副作用もあったかもしれない。銀行が担保の確保にこだわり、健全なリスクをも回避するような傾向が生じた。金融は経済の血液である。現在から振り返ってみると、経済の成長を確保するという側面にももう少し注意を払った別のやり方を工夫できなかっただろうかという気もする。
金融システムの安定のみを重視してウォール・ストリートに重い規制を課した場合に影響を受けるのは、むしろメイン・ストリートの人々(一般事業法人や家計)かもしれない。我々の使命は経済成長、国民の生活の向上を確保することなのだから、規制の負担を誰が担うことになるのかは良く見ていかなければならない。
―「スマート・レギュレーション」とは何かという点について、各国の規制当局者間にコンセンサスはあるのか。
銀行のビジネスモデルが国ごとに異なるため、ある国で最適な規制が他国でも最適であるとは限らない。例えば、米国の銀行は貸出後すぐに債権を証券化し、バランスシートを拡大させない傾向がある一方、欧州や日本の銀行は、ローンをバランスシートに残しておく傾向がある。
このような国による違いに留意しつつ、我々はコンセンサスを形成するべく努力を続けてきた。しかしながら、単一の規制で銀行間の違いに対応することには限界があり、「足を靴に合わせろ」型の規制は歪みを生じさせる可能性がある。規制に頼れば頼るほど、歪みや非効率性も大きくなる。他方、個別の監督は一律の規制とは異なり、銀行の個々の状態に応じて異なる措置をとることができる。それが、規制と監督のバランスをとることが重要な理由である。
―日本銀行によるマイナス金利政策は銀行の収益にとって重荷になっている。現状をどう評価するか。
金融政策に関するコメントは差し控えたい。申し上げられるのは、デフレ脱却に向けて政府と中央銀行が力を合わせて取り組んでいくことは全くもって正しい、ということである。デフレ脱却は、銀行ビジネスの持続可能性にもプラスになるだろう。
しかし、デフレ圧力は世界中で強まっており、各国の中央銀行による大規模な金融緩和にも関わらず、デフレは深まっている。米国では金利はまだプラスだが、多くの先進国においてゼロ金利やマイナス金利やイールドカーブのフラット化が見られる。イールドカーブが今よりもスティープであった時代には、銀行は低い金利で短期の預金を集め、高い金利で長期の貸出を伸ばすだけで収益を上げることができたが、いまはもはやそういう状況ではない。今言ったようなシンプルなビジネスモデルは、大きな変化に直面している。
―日本では、非常に長期にわたって金利が非常に低い状況にあるが、これは銀行経営にどのような影響を与えてきたか。
金利収益は縮小してきたが、倒産の減少により信用コストも低下してきている。また金利低下に伴い、銀行の保有する国債の時価は上昇してきた。この結果、低金利環境であっても、地銀を含む銀行は収益の急激な悪化は回避してきたところ。これには経費削減も寄与してきた。しかし、状況が長引くにつれ、対応も厳しくなっていくだろう。
―過剰な規制は望ましくない旨繰り返し発言されているが、どのようにしてそのような考えになったのか。
私は2003年から2006年までニューヨークで勤務し、その間、現地の市場参加者、バンカー、規制当局、著名なエコノミストなどとの議論を続けた。ニューヨーク連銀をはじめとした当局者は、現在の私と似た考え方をしていたと思う。彼らは規制を強化するよりも、市場で何が起こっているかを把握することに重点を置いていたのではないかと思う。
金融危機は繰り返し起こるものだが、その都度別の姿をしてやってくる。ほぼ確実にいえるのは、全く同じ危機は二度は起こらないと言うことだ。なぜなら、我々は常に過去の危機に対応して、その防止に努めるからである。従って、次の危機は、予期しない所からやってくるようになる。本年4月のISDA(国際スワップデリバティブ協会)年次総会における基調講演で、私は第二次世界大戦の戦艦大和の例をお話しした。大和は海からの攻撃に耐えうる分厚い装甲を備えていたが、空からの攻撃には脆弱であった。過去の危機は海からやってきたかもしれないが、次の危機は空からやってくるかもしれない。
我々は、どんなリスクが周囲にあるか、常に注意を払っていなければならない。そのためには、業界及び市場参加者との対話が極めて重要である。そうすれば、どのリスクに注意を払うべきかについて見極めるのに役立つ。
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