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利用価格の安さや、こぎれいな内装がウケて、東京都内で利用者が急増している「レンタルルーム」。ラブホテルから断られるような客層でも受け入れるという 写真提供:レンタルルーム「プチテル」錦糸町店
ラブホ代わりから貧困層、闇稼業まで…レンタルルームはなぜ流行る
http://diamond.jp/articles/-/97259
2016年7月30日 秋山謙一郎 [フリージャーナリスト] ダイヤモンド・オンライン
格安の宿泊料金と、ネットカフェの上を行く居住性能で市民権を得つつあるレンタルルーム。簡易宿泊所やネットカフェを利用する貧困層はもちろん、ラブホテルよりも利用ルールがゆるいために、ラブホテル代わりに利用をしたいお客たちにも大人気なのだという。(取材・文/フリージャーナリスト 秋山謙一郎)
■料金はラブホテルの3分の1!
東京都内で急増中のレンタルルーム
「どこにも行くところがない」――2015年5月、神奈川県川崎市で発生した簡易宿泊所火災は、貧困層高齢者という社会的弱者問題を浮き彫りにした。簡易宿泊所にはホテル並みの建物構造や設備はないが、格安な料金に引かれた、行き場のない貧困層のたまり場となっている。一方、最近増殖著しい新勢力が「レンタルルーム」
このレンタルルームは、一言で言えば「簡易宿泊所のラブホテル版」といったところ。旅館業法が管轄する簡易宿泊所やホテルなどと異なり、ラブホテルと同じく風俗営業法の管轄下にある。
現在、レンタルルームの数は東京都内で非常に増えている。背景には、古くなった雑居ビルオーナーが入居者集めに躍起になっていることが挙げられる。
「まずは東京都内で、雑居ビル空室率の高い地域を軸に事業を展開する。今のネットカフェのように、繁華街に行けばどこにでもあるというところまで持っていくのは、これから5年はかかるとみている」(あるレンタルルーム経営者)
東京都内一等地での開業は難しい。銀座、虎ノ門、霞が関、神谷町といったオフィス街はラブホテルもないが、レンタルルームもなかなか出づらい地域だ。というのも、レンタルルームは格安料金が大きなウリとなっているからだ。
東京都内のラブホテルは、2時間の休憩利用で6000円〜8000円という価格帯が一般的だ。対してレンタルルームは2500円から4000円と、約3分の1から半額で済む。複数人で利用しても客室1室利用の料金は変わらない。貧困層の宿泊先といえば、これまで簡易宿泊所、ネットカフェ、サウナ、カプセルホテルが主だった。ともすればプライバシー保護に難があるといわれるこれらの施設と異なり、完全個室でホテル並みの設備とサービスを謳い、かつ格安料金で利用できるレンタルルームが、新興勢力として人気を集めつつあるというわけだ。
それだけではない。レンタルルームは、デート代を節約したい男女や、1人で使用する宿泊目的の客のほか、性的マイノリティたちも頻繁に利用しているのだという。
ラブホテルが想定する顧客層は、あくまで男女のカップル。一部のラブホテルのなかには、同性同士の利用を嫌うところもある。これは同性愛者利用を拒んでいるのではなく、「事件性の排除」(大阪府内・ラブホテル店長)が目的だという。例えば、麻薬、覚せい剤の売買や賭博の開帳が、密室性の高いラブホテル客室を利用して行われるのではとの懸念からだ。
また男性同性愛者の客室利用後は、ローションやワセリンが室内に散乱、従業員の清掃に負担がかかるという事情もある。いずれにせよ男性、女性問わず同性愛者にとってラブホテルはハードルが高い場所であることは確かだ。
■実はお客を選り好みするラブホテル
同性愛者やSM利用はNGも
神奈川県川崎市に住む同性愛男性(35)は、このラブホテルが醸し出す「招かれざる客」感を嫌って、交際中男性(43)との逢瀬には、もっぱらレンタルルームを活用している。ラブホテルに比して安価な価格帯であることも大きい。
「同性愛者5人で利用した際は、ちょうどフリータイムだったので4時間利用で3400円で済みました。5人で割り勘にしたので、1人当たりの負担は約700円でした」
男性のみならず女性の同性愛者もレンタルルーム利用に積極的だ。現在、交際中女性(38)と月に1度の頻度でレンタルルームに訪れるという東京都墨田区在住の同性愛女性(42)は、その利用理由について、安価に設定されている価格帯もさることながら、繁華街に近い雑居ビルという立地にあると話す。
「見た目がケバケバしいラブホテルに入るドキドキ感も捨て難いです。でも女性2人で入るとなるとやはり人目もありますから…。雑居ビルなら人目も気にしなくて済むので助かります」
性的マイノリティは何も同性愛者に限った話ではない。SM、3P、グループセックスといった特殊性癖者もいる。彼らもまた旅館業法管轄のシティホテルはもちろん、風俗営法管轄のラブホテルからも疎まれる人たちだ。
「SM嗜好の人たちは、プレイで蝋燭を用いたり、浣腸を行います。そのロウや排泄物をシーツにつけたり、バスルームの排水溝を詰まらせることもしばしばです。血のついた針が落ちていたこともありました。衛生面からもスタッフの安全性を確保できません。従業員一同、彼らには辟易としています」。大阪府内のラブホテル従業員は、一部SM嗜好者のラブホテル利用マナーの悪さに憤りを露わにした。
グループセックス愛好家も同様だ。刑法上の「公然わいせつ罪」に問われる可能性を含むグループセックスは、ラブホテルにとってはタブーである。風営法を所管法令とする警察を「刺激したくない」(前出・大阪府内のラブホテル従業員)という意識がそこにはある。
このグループセックスは、密室で親しい複数男女が合意の下で性行為を行っても、誰も被害者と呼ぶべき人がおらず、違法と言えるかどうか「議論が分かれる」(性犯罪、風営法に詳しい弁護士)という。
しかし、2009年6月、宮城県警は仙台市内のマンションの一室で行われていた乱交パーティを摘発に踏み切った。当時、ネット上で「警察は個人の性癖にまで踏み込むのか」と反発の声が上がったことは記憶に新しい。こうした世論の声を受けて、事件を担当した仙台中央署は次のようなコメントを出している。
「逮捕したのは、マンションの一室とはいえ不特定多数の者が公然と性行為をしていたからです。参加者がほかの全裸の参加者を見ることができる状態でした。ストリップショーでも、性行為を客に見せるようであればダメです。お金を取ったこととは関係ありません。知人同士でも、状況によっては公然わいせつに問われます」
実際、ラブホテル側のグループセックス愛好家への風当たりはきつい。東京・大阪、東西大都市のラブホテル10施設に、「グループセックス愛好家利用を認めるか」との問いを投げかけてみたが、その答えは概ね以下に集約された。
「3人以上の利用は認めているが、男性の人数割合が多ければお断りしている。男性人数割合が高いと犯罪性が高くなるというのがその理由。もちろんケースバイケースだが6人を超えると、男女同数でもお請けするかどうかは微妙。ただし『女子会』にみられる女性ばかりの利用ならば、その時の状況次第だが相当な大人数でもお引き受けする」
ここでいう「犯罪性」とは、公然わいせつ罪に問われる可能性のある乱交パーティ、すなわちグループセックスを指すことは言うまでもない。
■室内のきれいさはビジネスホテル並み
ビジネスマンから貧困層まで客層はさまざま
さて、このラブホテル10施設の話から浮き彫りになったことがある。ラブホテルでの3名以上利用では、「男性1人・女性2人」「男性2人・女性2人」は問題なくOK。「男性2人・女性3人」は場所によってはセーフ。「男性3人・女性2人」なら、大抵アウトということだ。
男性1人・女性2人の3Pやスワッピング(夫婦交換)は大丈夫だが、グループセックスは限りなく不可能というのが、今のラブホテルの現状である。
「シティホテルや郊外のロッジを利用すればいいのかもしれません。でもこれらの利用は割り勘でも1万円から3万円程度かかります。住宅ローンを抱えるサラリーマンの身では金銭的に厳しい。気持ちも下半身も萎えてしまいます」。東京都八王子市に住む3P・グループセックス愛好家の既婚男性(44)は、自身を含めて、特殊性癖を持つ人たちへの風当たりが厳しいラブホテルの状況をこう嘆く。
これら性的マイノリティの人たちを安価な価格帯で受け入れるラブホテル風のレンタルルームは、まさに“救世主”といったところ。複数名利用についても問題ない。「お客様さえよければ対応できる限り」(東京都・レンタルルーム従業員)と、基本的には受け入れ可能だ。
「ある日など、ひとつの部屋を男性が8人利用したこともありました。次にその部屋をご利用されたのは出張中のサラリーマン男性おひとり様でした。女子会利用もあります。異なる客層のお客様にご利用いただけるのがレンタルルームです」
この従業員は、幅広いレンタルルーム利用の客層をこう明かす。実際、ラブホテルに比べその客層は多様性に溢れている。大勢の若い学生やフリーターの旅行者、男女年齢問わないビジネスパーソン、なかには日雇いで生計を立てていると思われる人の宿泊利用もあるという。
性的マイノリティのみならず、貧困層といった社会的弱者が同じ屋根の下にいる。その雰囲気はラブホテルと漫画喫茶やネットカフェが入り混じったかのようだ。だが、東京都内にあるいくつかのレンタルルーム客室内に入ると、そこにはラブホテルのような派手さはない。ビジネスホテルやシティホテルと遜色ない清潔感がある。
「ともすれば暗く捉えられがちなレンタルルームの雰囲気を変えていきたいのです。将来的には、夏の暑い日にOLさんがひとり、ふらっと入ってシャワーを浴びてさっぱりして、お休みいただき、お帰りいただく――誰でも気軽に来られる空間を目指しています」。東京・錦糸町にあるレンタルルーム「プチテル」スタッフは、これからのレンタルルーム像をこう話す。
そしてラブホテルとの棲み分けについては次のように語った。
「カップルのレジャーランドともいえる華々しさはラブホテルならではのものです。私たちレンタルルームはむしろその逆、誰もが落ち着ける空間を低価格でご提供することで多様性あるニーズにお応えしたいです」
■警察は犯罪での利用や
トラブルを警戒
しかしラブホテルと同じ風営法管轄下のレンタルルーム、所管する警察当局の目は厳しい。警察関係者の1人は警告の意味を込めて次のように語った。「麻薬、覚せい剤の受け渡し場所として活用される懸念は、ラブホテル以上に拭いがたい。この一点でのその動向を注視している」
この言葉を素直にとれば、警察当局の目を恐れるラブホテル同様、レンタルルームも当局からマークされているということだ。その上で、前出の警察関係者は続けてこう語った。「室内に『監禁できる道具や設備』を置くことは犯罪抑止の観点から自主的にやめていただきたい」
監禁できる道具や設備とは、手枷、足枷、手錠、拘束具のついた椅子やベッドといったSM道具各種を指す。かつては全国的にもいくつか存在したSM専門ラブホテルだが、2009年を境にSM道具を撤去するなどの動きが目立った。今では、東京都港区にある老舗「アルファイン」をはじめ、近郊の埼玉県を含め数えるほどしか残っていない。
これはSMという性的嗜好を規制する目的ではなく、たとえばセックスを伴わないサービスを提供する風俗嬢、いわゆるヘルス嬢やSM嬢が、「SM道具で監禁され男性器を挿入されるといったトラブル回避のため」(前出・警察関係者)だという。
親しい関係にある知人男女が自前で道具を持ち込み、レンタルルームやラブホテルでSMプレイを楽しむ分には、「そこまで規制の網をかけるつもりはない」(前出・同)としている。
ところで、性的マイノリティのほか、貧困層利用もあるレンタルルーム。生活保護行政はどうみているのか。東京都に聞いた。
「簡易宿泊所やネットカフェで暮らす人と同じカテゴリーとして扱っています。生活保護受給申請もできます。ただし安定した住環境での保護という目的から、受給後は、しかるべく施設かアパートなどに移っていただきます」
この「しかるべく施設」が何らかの事情で見つからない場合、「あくまでも例外的、臨時的な措置として、短期間、レンタルルームでの居住を認める可能性は捨てきれない」(東京都)という。ホテルには劣るが、簡易宿泊所やネットカフェに比べれば、居住性能は悪くない。
「料金の安さ」と「誰でも利用できる間口の広さ」が、レンタルルームの2大セールスポイント。社会的弱者や性的少数者といった「マイノリティ」の受け皿として期待されるが、当局の取り締まりは、これから強化されるかもしれない。
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