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米国で「ポケモンGO」人気がたった1週間でピークアウトした理由
http://diamond.jp/articles/-/96912
2016年7月28日 瀧口範子 [ジャーナリスト] ダイヤモンド・オンライン
■かつてない初速だった反動?
「ピークに達した」
これは、ここ数日にわたって「ポケモンGO」について使われている表現である。日本に2週間先行して、アメリカでは7月6日にアプリがリリースされたこのAR(拡張現実)位置ゲームは、その人気がすでに頂点に達して、あとは下り坂になるばかり、という意味だ。盛り上がる人気は20日も持たなかったということになる。一説によると、勢いがあったのは最初の1週間だったともいう。
調査サービス会社の「サーベイモンキー」によると、「ポケモンGO」の人気の下降は3つの指標から明らかになったという。1つは、同社のデイリーアクティブユーザー数から見える利用状況。2つ目は、アプリのダウンロードに見られる消費者の関心。そして最後が、グーグルで「ポケモンGO」が検索された回数だ。
同社によると、iOSとアンドロイド両方において、「ポケモンGO」の利用がピークを迎えたのは7月14日。リリースのたった1週間後である。
しかも興味深いことに、大きなヒット作になるゲームは滑り出しがゆっくりなのに対して、「ポケモンGO」はリリース初日にダウンロードが最高に達し、その週末に再び高くなったものの、週明けから下がり続けた。
他のヒット作では、数ヵ月後になってダウンロードのピークを迎えることも珍しくないということと比べると、「ポケモンGO」はいきなりヒットになって、そこから息切れしてしまったように見える。ただ、リリース日が各国でずらされているため、ハイプ自体は継続すると同社は見ている。
それでも、「ポケモンGO」が人気ゲームであることには変わりはなく、リリース後3週間足らずの間でアメリカ全人口の6%が「ポケモンGO」をプレイしたという数字もある。
初期の人気の理由には、ポケモンに対する親密さや懐かしさ、外へ出てゲームをするという特徴が夏のシーズンに合っていたこと、AR位置ゲームの珍しさ、ポケモンを捕まえるという小さな達成感に支えられるといったことが挙げられる。また、地元でプレーヤーらが集まったり、知らないプレーヤー同士が交流したりするといった仲間感もあっただろう。ゲーマーはとかく家にこもるアンチ社会派とされることが多いのに対して、「ポケモンGO」がそんな印象を一掃しようとしていたと言っても過言ではない。
では、人気が長続きしないかもしれない原因は何か。
■ゲーム業界の専門家が指摘する3つの弱み
よく指摘されるのは、「ポケモンGO」にはスキルを上達させていくという学習効果のうまみや上達フィードバックがないことだ。ポケモンをうまく捕まえられるように技を磨くといったタイプのゲームではなく、捕まえる回数自体が課題で、ゲームは単純。だからすぐに飽きてしまう。
ゲーム業界での経験も長く、現在はウィリアム・モリス・エージェンシーでデジタル部門のトップを務めるダン・ポーター氏は、「ポケモンGO」の弱みを3点挙げる。
1つは、コンテンツが有限であること。人気ゲームでは他のプレーヤーがコンテンツを提供して、プレーヤー同士のつながりが強まっていくといった側面があるが、「ポケモンGO」にはそれがない。
もう1つは、たとえば「テトリス」や「キャンディ・クラッシュ」にあるような、しゃかりきになってしまうような要素がないこと。これらのゲームでは、プレーヤーがゲームに釘付けになるような心理状態や脳の動きが現れる。それが「ポケモンGO」には見られない。
そして、ポケモンを探すだけならば初心者プレーヤーでもできるが、もっと上級になろうとすると、今度はバトル流の「ジム」攻略が難し過ぎる。うまいゲームは、もう止めようと思った瞬間に前進できるようなレベルづくりがなされており、それで興味が持続するのだという。
これらに加えて言えば、野外で活動的になるためのゲームだというが、やっぱり外で何キロも歩き回るのは面倒だという本心が次第に頭をもたげてくるというのもあるだろう。やっぱりゲームは、家でダラダラしながらプレイしたいと思っても無理はない。
屋外やAR、位置など趣向を変えても、ゲームの真髄はなかなか変わらない、ということなのだろうか。
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