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「なぜ東芝不正会計を立件しないのか」証券取引委トップが検察に激怒でバトル勃発!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49296
2016年07月28日(木) 伊藤 博敏「ニュースの深層」 現代ビジネス
■激怒の理由
「市場の番人」である証券取引等監視委員会の佐渡賢一委員長が、「なぜ東芝不正会計を立件しないのか」と、検察に激怒している。
検察、警察、国税、公正取引委員会、そして証券監視委と、捜査権や強制調査権を持ち、犯罪に切り込む組織は少なくないが、起訴できる権利(公訴権)を持つのは検察のみ。したがって、他の捜査・調査機関は、非公式な協議会を検察との間で重ね、検察のゴーサインを得て刑事告発。それを検察が受理して捜査、起訴して立件という流れとなる。
検察が受け付けなければどうなるか。たとえ立件に自信があっても、涙を呑むしかない。それが検察の持つ力であり、日本の刑事司法の常識だった。
しかし、元福岡高検検事長という肩書を持つ佐渡委員長は、古巣に叛旗をひるがえし、検察が「東芝不正会計事件における歴代社長の立件は困難」と、7月8日までに証券監視委に伝えたことに関し、「金融証券取引法違反であるのは明らか。その見解を近く公表する」と表明した。
前代未聞の意思表示だったが、「検察との関係を悪化させるうえ、東芝と法廷闘争を行った場合、手の内を事前に晒すことになる」(証券監視委関係者)と、撤回された。
ただ、佐渡委員長の意欲は変わらない。
■最後の大きな仕事
問題となっているのは、東芝がパソコン事業で海外の委託先に部品を販売し、完成品を購入する「バイセル」と呼ばれる取引の悪用である。水増しした利益で業績を調整(粉飾)、有価証券報告書をごまかしていた。それが常態化し、西田厚聰、佐々木則夫、田中久雄の歴代3社長が、揃って手を染めていたというから悪質だった。
もともと6年前に、特捜部長など捜査幹部が逮捕された大阪地検事件以降、検察は弱腰に転じ、告発を受理しなくなり、捜査・調査機関には不満が高まっている。今回の「立件は困難」という検察の見解に対し、証券監視委総体が納得していない。
「まだ事件の雛形を持って行ってもいないのに、『立件は難しい』とはどういう了見か」
「立件のハードルが高いと、すぐに弱音を吐く。特捜部の力が完全に落ちている証拠だ」
それに輪をかけているのが佐渡委員長。もともと捜査畑の検事で、特捜検事時代から「証取法(現金商法)の佐渡」といわれたほど証券犯罪に強かった。
2007年7月の委員長就任以降、「増資マフィア」と呼ばれている証券界に巣食う“ワル”を一掃する一方、海外にまたがる不正のクロスボーダー取引の摘発に力を入れ、増資インサイダー事件を立件。それを受けて、インサイダー取引の強化や課徴金を引き上げる金商法改正も成し遂げた。
そして、3期9年、今年で勇退と目されているが、その最後に取り組もうとしているのが東芝粉飾事件である。
■「奥の手」をだす
証券監視委の四半世紀に及ぶ歴史の中でも最大級の事案。佐渡委員長がこだわるのは、日本のモノづくりを支えてきた世界に冠たるリーディングカンパニーが、経営不振の中小企業並みの意識と手法で、決算を粉飾していたという事実だ。
日本株市場で7割を占める外人投資家の売買シェアも、佐渡委員長を突き動かす動機だったのではないか。
東芝粉飾決算を見逃せば、日本の企業社会は粉飾天国と見なされ、外国マネーの引き上げも誘発しかねない。国際的な信用失墜を回避するには、市場の監視役である自分たちが最後の砦になるしかない――。
従って、「立件は困難」といわれたぐらいでは引き下がれない。考えられる佐渡委員長の“奥の手”は、市民団体が政治家の罪を問おうと、政治資金規正法違反罪での告発状を提出する手口である。
市民団体にとって、検察の思惑など関係ない。問題があると思えば告発するし、検察としても構成要件を満たしていれば、受理せざるを得ない。過去、渡辺喜美、小渕優子、松島みどりなど多くの政治家が告発され、ほとんど不起訴だが、「受理して捜査」の流れにはなった。
証券監視委ともなれば、強制調査権を用いて資料や証言を集め、しかも事件の読みもプロだけに、単なる告発状のレベルではない。受理した検察捜査は力を入れたものにならざるを得ないし、不起訴の場合も次がある。
国民参加の検察審査会が、2回「起訴相当」を議決すれば、容疑者は強制起訴される。強制起訴を経て有罪となれば、捜査した特捜部のメンツは丸つぶれになる。
「無罪リスク」を恐れるあまり、目の前の困難な案件から逃れれば、さらに大きなリスクに巻き込まれ、「戦わない組織」との烙印を押され、今以上に深い傷を負う。
■「置き土産」を残すのか
特捜部が「立件困難」としたのは、商品が実際にやりとりされ、架空取引ではなかったからだ。だが、証券監視委は、決算期末の部品供給での利益のかさ上げは「典型的な粉飾の手口」であるのに加え、在庫を部品メーカーに預けただけの益出しを「販売実態とはいわない」としている。
その判断が、国民に委ねられる意味は大きい。
検察審査会の強制起訴制度は、裁判員制度とともに司法を国民に開く司法改革の柱。東芝案件で、証券監視委が特捜部との“旧弊”を押し切って告発状を提出すれば、「検察の思惑抜きの刑事司法」となるわけで、司法改革は新たなステージに入ることになる。
佐渡委員長は、「置き土産」を残すのか。
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