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中国が「流動性の罠」から抜け出せない理由
中国企業は高いリターンを見込める投資先がないため現金を抱え込んでいる
By ANJANI TRIVEDI
2016 年 7 月 22 日 14:41 JST
中国でマネーが滞留している。ただ、政府にそれを是正する術(すべ)は限られている。
中国の金融政策の効果を測る指標はこの数カ月、創造されたマネーがしかるべき機能を果たしていないことを示している。中国の狭義のマネーサプライ(通貨供給量)である「M1(現金や企業の要求払預金などの流動資産)」は急増しているが、広義のマネーサプライ「M2」は増加基調にはない。これが中国版「流動性の罠(わな)」の出現につながった。流動性の罠とは実質金利が壁にぶつかって下がらず、経済成長を促すことができないときに起こる理論上の問題で、経済学者のジョン・メイナード・ケインズが提唱した。
中国はどれだけ債務を積み上げても、経済成長をそれほど押し上げられずにいる。高いリターンを見込める投資先が不足しているため、企業は現金を抱え込み、それを利回りの高い預金に注ぎ込んでいる。典型例の一つが不動産開発業者だ。開発業者は過剰在庫を売却し、売却資金を預金としてため込んでいるが、用心深すぎてそれを新規プロジェクトへの投資に回すことはしない。債務水準が高いことも、企業が投資をためらう一因だ。
一方、銀行は利回りもリスクも高い投資商品を市場に大量に供給している。その狙いは利ざやの縮小や利益の伸び鈍化を相殺することにある。中国最大の銀行である中国工商銀行では、こうした投資商品から得られる手数料がこの2年間で45%増となった。
銀行は手数料収入が不足し、企業は利回りを追求、家計はせっせと貯蓄を増やすというサイクルは、マネーが実体経済への投資に向かっていないことを意味している。6月には民間固定資産投資の伸びが鈍化した。通常は政府支出を拡大すれば流動性の罠を解決できる。だが、中国政府は財政出動による投資を拡大済みだ。政府はいずれ、流動性の罠に陥るのはたやすいが、そこから抜け出すのは至難の業だということに気付くだろう。
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国営部門改革を巡り互いに矛盾するメッセージを出した習主席(左)と李首相
By LINGLING WEI AND JEREMY PAGE
2016 年 7 月 22 日 14:41 JST
【北京】今月初め、中国の習近平国家主席と李克強首相はいずれも中国の国営部門をどう改革するか力強い指示を出した。しかし、彼ら2人のメッセージは互いに矛盾するものだった。
7月4日、中国国務院(内閣に相当)当局者たちは、習氏が「より強く、より良く、より大きな」国営大企業の必要性を呼びかけたことを文書で知らされた。それら企業の管理で共産党が中心的な役割を演じるという。これに対し李氏は準備草稿で、国営企業を「スリムダウン」し、その再編には「市場のルールに従う」必要性を強調した。
党のインサイダーや中国の専門家は、このように相反するメッセージや、その他最近のエピソード(習陣営からの李氏の政策に対するベールに包んだ批判を含む)は、中国指導部のトップ2人の間の不協和音が公の場にどんどん聞こえ出していることを示しているとみている。中国指導者たちが伝統的に提示しようと努めている統一戦線からの顕著な逸脱といえる。
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この分裂状態は短期的には、中国経済を再編するとの指導部の約束をめぐって不透明感を強める。中国経済は最近数カ月間、停滞しているようにみえる。
国営企業部門を監督している当局者らは最近数日間、会合を開き、7月4日のトップ2人の相反する指示の「精神を研究」しようとしてきた。一部には依然として困惑している向きもいた。会合に出席した国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)の当局者は「トップからの明確な方向性が欠けている」と述べ、「他の人たちが何をするのか見極めようと誰もが様子見状態だ」と語った。
SASACと国務院の報道担当官は、問い合わせに応じなかった。
より長期的な懸念は、分裂の政治的な影響があるかどうかだ。指導部内部の対立は、文化大革命から1989年の天安門事件に至るまで、現代中国の最も激動した期間の特徴だった。党の正統性は、最高指導部で均一で分別ある政策決定のイメージを打ち出せるかどうかにおおむね左右されてきた。
習氏は、直近の2人の指導者(江沢民と胡錦濤)と同じように、国家主席であり、党総書記であり、軍のトップでもある。一方、歴代の首相は国務院を主宰し、最近40年間の大半にわたって経済を運営してきた。他の任務はその他の党上級幹部の間で分担されてきた。
習氏はそれまでの集団指導モデルを転換し、政策決定を習氏自身が主宰する幾つかの小委員会内部に集中させた。それには経済問題も含まれている。習氏の支持者たちは、党指導部は前政権下で弱体化し腐敗しており、経済を改革する一方で一般の支持を得る強い中心人物がいまや必要だと述べている。
これに対し、習氏に批判的な人々は、習氏が効率的な支配のためあまりにも多くの権限を掌握する一方、李氏やその他のもっと有能な経済専門家から権限を剝奪したと述べている。これら李氏支持派は、李氏が過去2、3年間こうした処遇を甘受してきたが、最近数カ月間で同氏の立場はどんどん切り崩されていると述べている。
現在、党内部では、来年の主要党ポスト交代の際に李氏が解任されるのではないかとのうわさが広がっている。党の最高機関である政治局常務委員会(7人の常務委員で構成)の中で、来年退職年齢に達しない委員は習氏と李氏の2人だけだ。
不協和音の最初のエピソードは、今年5月だった。共産党機関紙「人民日報」は「ある権威ある人物(氏名は不詳)」との長々とした1面のインタビュー記事を掲載し、第1四半期の成長促進のため信用(融資)の果たした役割が過度だったと批判した。事情に詳しい関係者によれば、習氏の最高経済顧問たちは習氏の指示の下にこの記事の草案を作成したという。この関係者によれば、習氏は中国が1月から3月までに4兆6000億人民元(約6970億ドル)もの銀行融資が行われたことに当惑した。それは2009年に金融危機が深刻だったころの刺激策の規模をも上回っていたからだ。
関係者の1人によると、そこで習氏は債務と過剰生産能力を削減するという自らの計画の実現が「危うくなる」ことを懸念した。記事は李氏を名指ししてはいなかったが、李氏の刺激策を公に非難する意図があったという。
https://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AM725A_XILI_16U_20160721123906.jpg
中国指導部は経済改革を約束したが融資拡大による成長路線を堅持。社会融資(左)と四半期GDP前年同期比
加えて、その記事は李氏が3月に鳴り物入りで宣伝していた「債務の株式化(DES)」プログラムに冷や水を浴びせた。そうしたプログラムは「ゾンビ」企業を存続させるために使うべきでないと指摘したのだ。ゾンビ企業は生産能力が過剰な業界で赤字を出している企業だ。
李首相を支持する人々は、李氏が単に指導部が設定した成長目標を達成し、経済改革成功のために必要な成長率を確保しようとしているだけだと述べる。一方、習主席は改革を推奨しながら、目標通りの成長率を維持することを求めているが、市場の力を奨励するという、自ら立てた2012年の誓約は撤回している。例えば、習氏が過去1年間で出した国営企業に関する法令は、(市場の力ではなく)党の管理を強化することに主眼が置かれている。
中国経済に詳しいカリフォルニア大学サンディエゴ校のバリー・ノートン氏は今週発表した論文で、「李氏は難しい立場に置かれている」と述べ、「経済政策は、李氏の手元から習氏の手元へと場所をかなり移してしまった。李氏がこれに不満を持たないはずはない。こういった状況で習氏と李氏の関係がそのまま維持されるかは分からない」と付け加えた。
中国を専門とする調査会社ガベカル・ドラゴノミクスの共同創設者であるアーサー・クローバー氏は、政策の不透明さから生じる大きなリスクについて、赤字工場の閉鎖など、必要とされている変革がストップすることだと述べる。同氏は「中国の経済計画があまり首尾一貫していないことがますます明確になってきている」と話した。
先週発表された2016年第2四半期の経済成長率は6.7%と、第1四半期と同じで、数多くの「逆風」があったにもかかわらず横ばいを維持した。これは指導部が、非効率への対応ではなく、信用と財政支出の拡大という古い刺激策を使い続けていることを示す兆候だとみられている。
困惑している国営企業幹部もいる。上海にある国営船会社の幹部は、「われわれは大手の国営企業であると同時に黒字の企業でいることができるのか。実世界でそれをやるのは非常に困難だ」と話す。
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Bloomberg News
2016年7月22日 13:49 JST 更新日時 2016年7月22日 18:10 JST
相場は短期的な調整に入っている−上海金曠投資の張氏
香港市場でハンセン指数は0.2%安、H株は0.3%安
22日の中国株式相場は下落。週間ベースでは1カ月ぶりの下げとなった。上海総合指数のボラティリティ(変動性)の指標が2014年11月以来の低水準となる中、消費関連株やエネルギー銘柄が売られた。
上海総合指数は前日比0.9%安の3012.82で終了。前週末比では1.4%下落した。蒸留酒メーカーの瀘州老窖(000568 CH)が前日比3.2%下げるなど、一般消費財株が安い。石炭会社のエン州煤業(600188 CH)は1.7%安と、エネルギー銘柄の下げを主導。米原油相場が最近1バレル=45ドルを割り込んだことで、石炭などの代替燃料への需要が弱含むとの懸念が広がった。CSI300指数は0.8%安で引けた。
上海金曠投資の張海東チーフストラテジストは、上海総合指数が「3000を突破した後、相場は若干の利益確定売り圧力を受けており、直近の材料がないため短期的な調整に入っている」と指摘。「当局は相場の安定を維持したいと考えている」と述べた。
香港市場では前日に強気相場入りしたハンセン指数が前日比0.2%安で終了。中国本土株から成るハンセン中国企業株(H株)指数は0.3%安で引けた。
原題:China Stocks Cap Weekly Loss as Volatility Drops to 20-Month Low(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-22/OAP8S26S972D01
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