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7月ロイター企業調査:経済対策5─10兆円「必要」、追加緩和「不要」
[東京 22日 ロイター] - 7月ロイター企業調査によると、英国の欧州連合(EU)離脱の影響で、輸送用機器や電機の半数以上が収益計画を下方修正する可能性があると回答した。円高の進行や世界経済の不透明感から、今後の日本経済はほぼゼロ成長ないしマイナス成長が混在するとの見方が86%を占めた。
こうした状況を踏まえ、5兆円あるいは10兆円規模の経済対策や為替介入が必要との声が半数超を占めたが、追加緩和は必要ないとの見方が多い。
この調査はロイター短観と同じ期間・対象企業で実施。資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に7月1日─15日に実施。調査対象企業は400社で、うち回答社数は260社程度。
<英離脱の打撃は電機・自動車に、成長率期待はゼロ以下>
6月下旬の英EU離脱決定とその後の金融市場の混乱などを受けて、企業の円高懸念が強まった。
為替相場の見通しを聞いたところ、年末までの間に期初想定為替レートよりも円高となるとの回答が8割を超えた。10%ないしそれ以上の円高を想定している企業は30%に、5%程度の円高が34%となった。
年末までに期初想定レートよりも円高になるとの回答が8割超
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英離脱による収益下振れを予想しているのは電機で61%、輸送用機器で57%に上っている。円高や世界経済への波及を懸念しており「英販売子会社を経由するものも多く、見直しが必要」(電機)、「英国拠点の移動も検討する」(輸送用機器)といった声もある。
英国のEU離脱決定による影響
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7月以降の国内経済成長率については、政府の景気判断通り「緩やかな回復」とみている企業はわずか14%。「ほぼゼロ成長」が62%、「マイナス成長も混在」が24%を占めた。
その理由として「102─103円程度の為替相場が続くようであればほぼ横ばいの成長推移だろう」(電機)など「円高・株安」(小売)を挙げる声が目立った。
また「給与所得が伸びず、消費が伸びない」(化学)、「潜在成長率の低迷」(卸売)といった問題や「経済・金融政策の実効性が乏しい」(機械)など政策の手詰まり感もある。
7月以降の国内経済成長率は「ほぼゼロ成長」が約6割
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<為替介入と5─10兆規模の対策は必要>
こうした経済状況に対して、政府・日銀に求める対応策は経済対策と為替介入が多数となり、金融政策への期待は少なかった。
経済対策は8割が必要と見ており「10兆円規模」が必要との回答が31%、「5兆円規模」が35%とほぼ拮抗。「1─3兆円」が14%となった。
為替介入は63%が必要としている。一方で金融政策は「現状維持でよい」との回答が65%を占めた。
景気低迷の見通しを映してか、これまで続いてきた「値上げ」の動きは影を潜めつつある。主力製品について「値上げを検討」との回答は、今年2月調査の18%から9%に半減した。「値上げできる環境にはない」(輸送機械)との状況に加え、「円高に転じたので、(仕入コスト上昇が一服し)値上げは不要となった」(機械)といった面もある。
ただ企業がデフレ対応の価格戦争復活で苦悩している様子はさほどみられない。
「値下げ検討」は2月の12%から7%に減少、必ずしも値下げへ舵を切り始めたとも言えない状態だ。「検討なし」が70%から84%に増加、「値下げするほど市場は悪化していない」(その他製造)、「消費動向やその他の見極めが必要」(食品)といった声が出ている。
大規模な経済対策必要も金融緩和は不要
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(中川泉 編集:石田仁志)
http://jp.reuters.com/article/reuters-poll-idJPKCN10134O?sp=true
来週のドル/円底堅い、日銀会合への思惑が継続
[東京 22日 ロイター] - 来週の外為市場でドル/円は、週末の日銀金融政策決定会合に向けて追加緩和や政府の景気対策への思惑が継続することで、底堅い展開が想定されている。日銀会合に先立つ米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げは想定されていないが、声明文などで年内の思惑が高まれば、ドル/円は支援されるとみられている。
予想レンジはドル/円が103.50─107.50円、ユーロ/ドルが1.0850─1.1150ドル。
28─29日の日銀金融政策決定会合に向けては、日銀が国債を買い切って財政資金を提供する「ヘリコプターマネー」まで踏み込むとの期待は後退してきたが、追加緩和は実施するのではないかとの思惑は根強く、ドル/円の支えになるとみられる。
一方、足元では企業側から追加緩和は不要との見方が浮上しているほか、株安・円高の「最悪期は脱した」(別の国内金融機関)とされ、来週の日銀会合では「緩和カード」を温存するとの見方も出ている。
あおぞら銀行の市場商品部部長、諸我晃氏は、空振りの場合でも下落は過度には深まらないとみる。「財政・金融で一体としての政策期待がある。今回の会合で追加緩和をしなくても次回以降に期待はつながる」と指摘。追加緩和があった場合は、これまで織り込まれてきた分、ドル/円の上昇余地は少ないという。
政府は大型景気対策を打ち出す方針で、市場はその規模に関心を寄せている。足元の観測報道を受け、市場では「20兆円程度までは織り込み済み」(国内金融機関)。「市場の思惑を上振れる規模なら、外国人投資家は素直にドル買い/円売りに動きそうだ」(邦銀)という。
日本では貿易収支(25日)、消費者物価指数(29日)、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2015年度運用実績(29日)などが予定されている。
26─27日の米FOMCでは、利上げの予想は強まっておらず、声明文などで年内利上げの可能性を探ることになりそうだ。「12月に1回の利上げ織り込みが進んでおり、これより時期が早まったり回数が増えたりしなければ米株価も耐え得る」(別の国内金融機関)として、12月利上げの思惑が強まるならドル/円の支えになりそうだという。
米国ではこのほか、民主党全国大会(25─28日)や耐久財受注(27日)、4─6月実質国内総生産(GDP、29日)などのイベントが予定される。
(為替マーケットチーム)
日銀、17年度物価見通し小幅下方修正へ 2%達成シナリオ堅持
[東京 22日 ロイター] - 日銀が29日に公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、2017年度の消費者物価見通しは小幅の下方修正にとどまる見込みだ。政府が策定中の大規模経済対策の効果を可能な限り反映する。物価が目標とする2%に向かっていく姿を維持し、2017年度中としている2%の到達時期の大幅な後ずれは回避される公算だが、金融政策判断は慎重に議論する。複数の関係筋が明らかにした。
日銀は28、29日に金融政策決定会合を開き、終了後に展望リポートを公表する。
展望リポートで目安としている生鮮食品を除く消費者物価(コアCPI)は5月に前年比0.4%下落と3カ月連続のマイナスとなり、物価の基調を反映するエネルギーも除いた指数(日銀版コアコアCPI)も同月に同0.8%上昇に鈍化するなど、足元の物価関連指標は日銀の想定よりも弱めに推移しているとみられる。
さらに英国の欧州連合(EU)からの離脱決定を受けてドル/円が一時100円割れとなるなど急激に円高が進行。足元では105円台に回復しているが、4月末の前回展望リポート時の110円近辺からは依然として円高方向の推移が続いている。
市場のリスク回避姿勢は後退しつつあるものの、英離脱決定を受けた不透明感を背景に国際通貨基金(IMF)が世界経済の成長率見通しを小幅ながら下方修正するなど、世界経済の不透明な状況に変化はないとの見方も少なくない。
こうした直接・間接のマイナス要因を背景に、4月展望リポートで示した物価見通し(政策委員の大勢見通しの中央値)である16年度0.5%上昇、17年度1.7%上昇の下方修正は避けられない見通しだ。
一方、原油価格が上昇に転じているほか、消費増税の延期に伴って経済の変動や実質所得への悪影響が回避されること、政府が8月2日に閣議決定する予定の大規模経済対策などが物価の押し上げ要因になる。
原油価格はドバイ産でバレル43ドル程度と4月末の35ドルから大きく上昇している。日銀では、経済・物価を見通す上で、足元35ドルから18年度にかけて40ドル台後半に緩やかに上昇していく前提を置いているが、想定よりも上振れている。
特に経済・物価の押し上げ要因として期待されているのが政府による経済対策だ。現段階で詳細や規模は明らかになっていないが、安倍晋三首相は1億総活躍プランの加速化やリニア中央新幹線の計画前倒しを含めたインフラ整備、中小企業の資金繰り支援などを柱に月内のとりまとめを指示。規模は国費で3兆円超、事業規模で20─30兆円に膨らむとの見方もある。
こうした大規模経済対策の効果が17年度を中心に経済・物価を押し上げることが想定されており、同年度の物価見通しは1.7%上昇から小幅の下方修正にとどまりそうだ。こうした対策効果の物価への影響は18年度も残るとみられ、18年度の物価見通しは現行の1.9%上昇から大きな変化はないとみられる。
このため、日銀では物価が目標とする2%に上昇率を高めていくとのシナリオを維持する見通し。2%の達成時期も現在の「2017年度中」との見通しから大きく後ずれすることは避けられそうだ。経済成長率見通しは消費増税の延期を受け、16年度は現行のプラス1.2%から下方修正、17年度は同プラス0.1%から上方修正となる。
もっとも、物価2%達成に向けた不確実性は高まっており、金融市場の不安定な状況も継続している。金融政策運営については、ギリギリまで情勢を見極めたうえで、慎重に判断する構えだ。
(伊藤純夫 竹本能文 編集:石田仁志)
http://jp.reuters.com/article/boj-idJPKCN1020SB
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