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奨学金で借金6百万!「死んでも働いて返せ!」と学生追い込み、返済のため自衛隊入隊(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan111/msg/150.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 7 月 21 日 01:02:00: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

               東北芸術工科大学非常勤講師・栗原康氏
  

奨学金で借金6百万!「死んでも働いて返せ!」と学生追い込み、返済のため自衛隊入隊
http://biz-journal.jp/2016/07/post_15971.html
2016.07.21 構成=林克明/ジャーナリスト Business Journal


 本連載では、4月30日に早稲田大学で行われたシンポジウム「学生と戦争 - 経済徴兵制をぶっ潰せ!」の内容をリポートしてきたが、最後の講演者は、『学生に賃金を』(新評論)の著者で東北芸術工科大学非常勤講師の栗原康氏(専門はアナキズム研究)だ。自身も635万円の借金(奨学金返済額)を抱える栗原氏は、「借りたものは返せない」と言い切る。

 彼の話を聞いていると、奨学金によって社会や大学が“債務奴隷養成工場”になっていることが見えてくる。講演は、極真空手創設者の大山倍達にまで及び、最後は「みなさん、大山倍達のようにゴリラを相手に戦いましょう」と締めくくった。

 以下、栗原氏の講演を紹介する。

■「借りたものは返せない!」でいい

 今回のシンポジウムのテーマ「学生と戦争 - 経済徴兵制をぶっ潰せ!」を語るうえで重要なカギとなっている奨学金ですが、私は修士課程・博士課程の5年間奨学金を借りていて、借金の総額は635万円に上りました。

 卒業後は、本当に仕事に恵まれませんでした。普通の就職活動をしたことがないので、当たり前かもしれません。一時期は年収が10万円ということもありましたし、最近はちょっとがんばって働いているので百何十万円になっています。

 奨学金を返すとしたら、毎月3〜4万円になりますが、年収10万円で返済が月4万円というのは無理があります。

 ある種、私は開き直っていて、「もう返せない」「借りたものは返せない」というスタンスでいこうと心に決めています。こういう人が増えていけば、人を債務奴隷にしている現在の奨学金のおかしさが少しでも世の中に広まると思います。返さないと決めれば、もらったようなものです。

 本連載では、「戦争と学生」をテーマとした4人の方の講演を紹介し、借金漬けになっている学生、の実態と、奨学金返済のために自衛隊に入ったり、学費のために戦闘地域にいくアメリカ学生の例など、いろいろな問題が指摘されました。このままにしておくと、若者に未来などないのだと、思い知らされます。

 大学の現状について私が思っていることを一言で述べさせてもらうと、「畜生!」と叫びたい気持ちです。歌手の長渕剛さんは『蝉』という曲の中で「チキショウ」と連呼します。大学の現状はあまりにひどいので、「畜生」という言葉が当てはまると思います。

■死んでも借金を返せ、人を殺しても返せ

 今の日本学生支援機構の奨学金は借金です。学生、大学院生、研究者の約半数が奨学金を借りざるを得ず、借金漬けにされている実態があります。借金を返済するのが社会の道徳であり、「金を返せなかったら人でなし」との烙印を押されます。

 奨学金は、学生を借金漬けにしておいて、「借金は必ず返せ。返すために死んでも働け」 と債務者を追い込むのです。死んでも働けという言葉には、ブラック企業に入っても耐えて働いて返せといった意味も含まれます。

 借金漬けにされた人は、まるで奴隷のように扱われています。借金を返すためにブラック企業で働くという構図は、「債務奴隷化」といってもいいでしょう。

 債務奴隷化もひどいですが、それに加えていま問題となっているのは、経済的に苦しい若者が自衛隊に入らざるを得ない「経済的徴兵制」です。「ブラック企業で働け」という言葉が「死んでも働け」という意味なら、経済的徴兵制は「人を殺しても借金を返せ」と言い換えられるのではないでしょうか。安全保障法制が施行され、自衛隊を紛争地に派遣することが合法になったのですから、リアリティのある話です。

「人を殺しても借金返済のために働け」などと、人として絶対に言ってはならないことが言われているのが現状だと思います。
 
 ここまでひどい状況に追い込まれているのだから、多く人が声を上げることが大事だと思います。ただ、奨学金というカネがからんでくると、これをなかなか言えなくなってしまいます。それは社会の道徳として、「借りたものは返せ」という概念が定着しているからです。

 最初は、「借りたものは返さなければならない」と、渋々返します。がんばって返せば返すほど、返していない人が憎くなってきます。このような状況がさらに進むと、「たくさん借りて返せる人が偉い」などと歪んだ考え方が広がっていきます。たとえば、定職を持ちマイホームを購入し、35年ローンを毎月きちんと返すのは、社会人として偉いとの評価を得ます。しかし、これは債務を負っているだけです。

 人の思考というのは恐ろしく、がんばって返済を続けていくと、「金を借りて返すのは当然」と考えるようになってしまうのです。「それは社会の常識だ」と言われるかもしれません。しかし、そもそも圧倒的多数の人々が膨大な借金をし、それを返済するために甚大な労力を費すという、いわば社会全体が債務奴隷養成工場になっていることは、おかしいと思いませんか。

 だからこそ、今必要なのは「畜生!」と声を上げることなのです。たとえば、ブラック企業で働かされているとしたら、そこまでしなければ借金を返せないという状況では、「しょうがない」と開き直ることも大切です。

 とんでもないブラック企業に入ってしまったら「辞める力」も重要です。ところが、実践するのはものすごく難しいのです。

 模範になる人はいないかと、さまざまな本を読んでいたところ、最近おもしろいと思う人に出会いました。それは大山倍達という人です。極真空手の創設者です。

 きっかけは、私の好きな故平岡正明というアナーキストの評論家が大山倍達について書いた本を読んだことです。彼は大山に師事して極真空手を覚え、有段者になっています。この本を読んだところ、「大山はすごい」と思えてきたので、彼を紹介したいと思います。

■ゴリラとの闘争

 朝鮮全羅道出身の大山は、少年のころ旧満州にいた姉の農場で育ったのですが、そこにいた朝鮮人季節労働者に朝鮮古代武術を習い、それをきっかけに空手を習得していきます。

 戦前から紆余曲折のある人で、軍人の石原莞爾に憧れ、石原の指導する右翼的国家社会主義団体「東亜連盟」に加わわるなど、政治の道に進むことも考えたりしていました。

 日本の敗戦後、1952年にアメリカに渡り、現地のプロレスラーらと格闘します。古武術や中国拳法を究めているから急所を押さえると非常に強く、連戦連勝を続けるようになります。
 
 海外の人たちと戦い、勝ち続けた結果、「人類最強」のようにいわれはじめました。それ自体すごいことですが、大山は「もっと強くなりたい」「自分の限界を超えたい」と考えていたのですえ。自分の力の限界を超えるということは、おそらく人類の力の限界を超えることになります。

 大山の発想が常識を超えているのは、人類に敵なしのような状態になってしまったので、ゴリラと戦ったりしていることです。このエピソードには、真偽も含めて諸説あるのですが、たとえば有名な梶原一騎のコミック『空手バカ一代』(講談社)にも出てきます。

 アメリカでたまたま友人の家に行ったら、その家でゴリラを飼っていたらしいのですが、大山たちが食事をしているときに、ゴリラが檻から脱走して庭に出てしまったらしいんですよ。

 庭では子どもが遊んでいたので、家じゅうの人が大騒ぎになっていた。すると大山がすっと立ち上がって「俺がいく」と庭に出ていったそうです。要は子どもを救えばいいのですが、なぜか彼はファイティングポーズをとってしまうんです。ゴリラはやる気はないのに。

 すごいことに、大山は相手を倒せると思っているのです。たとえば、「懐がガラ空き」と見抜き、正拳突きを食らわせます。しかし、ゴリラはピクリともしませんでした。戦っていくうちに、大山は相手の弱点を見つけます。直立歩行では人間のほうが強いと感じ、よく見ると脚が弱そうだわかりました。そこでローキックを何度か繰り返し、弱ってきたところにヒザ蹴りを食らわせたところ、ゴリラが苦しんで自分の檻に帰っていったようです。これをもって、大山はゴリラに勝利したという話が広まりました。

■「武」は「戈を止める」

 次に闘牛と闘うのですが、大山は自分の限界を超え、人間の限界を超えていくという発想を持っています。その発想を平岡さんが端的にまとめています。

 大山の発想は武道の「武」という一文字に込められている。この漢字を分解してみると、戈(ほこ)を止めると書いて武ができている。確かに「戈」と「止」で成り立っています。

 極真空手は一撃必殺の技、最終的には人を殺す力、戈の力も持ちます。それは武道をやる人が追い求めるものです。しかし、それを自分の意思と判断でいつでも止められる力を持つということが「武」の真髄なのです。これが極真空手の精神なのだと平岡さんが『大山倍達を信じよ』(秀英書房)などに書いています。

 これは案外大事かなと私は思います。普通、戦う人戈だけが目的になりがちです。戈によって戦い、勝ちを重ねていけば実績が積まれる、そしてなんらかの成果が積まれるわけです。

 成功してお金が入ることもあるでしょう。普通ならそれで終わりかもしれませんが、大山が言う「武」とは、「戈だけでは意味がない。勝てる相手だけと戦っても意味はない。成果を上げることだけを考えるなら、弱い人たちとだけ戦っていればいい」と示唆しているのです。

「戦うこと=戈を持つことが、単に成果や実績だけを上げるだけなら、いつでも止めていい」
 平岡さんは、このように大山の思想の神髄を紹介しています。ものすごく大事だと思うのは、これは武道家にとっては自分を殺すことでもあり、自分を解体する作業ともいえるからです。

 成果を上げるためだけに、道具のように素手を振るわされることはやらなくてもいい。そうではなく、自分よりも強い相手と戦う、人間がいなければゴリラとか、自分の力をもっともっと成長させ、限界を超えさせてくれる相手がいたら、そういう人とだけ戦って、限界を超えるようなことを試してみる。

 自己を解体して、ただただ自分の力を高めるだけに戦っていく。そういう精神は今とても大切なのではないかと思います。

■借金漬けは戈を振るわされていることと同義

 大山の「武」の意味に照らし合わせると、今の学生や大学院に行って研究者になろうとしている人たちは、戈だけを振るわされる状態になっています。借金漬けにされて、それを返すためにカネを稼がなければならないのです。

 だから、いい企業に就職して、カネという成果を上げることだけに、持っている力を一直線に使わされてしまっています。たぶん、研究者もそうだと思います。がんばって大学に入学し、大学院の修士、博士と進んだが、大きな借金ができてしまった。ではどうすればいいかというと、いい成績、成果を上げなければなりません。カネと業績のために、自分が学んできた力のすべてが収斂されてしまうのです。

 いま何が大事かといえば、戈を止めることだと思います。戈を手中にすることだけに自分の力が釘付けにされてしまっている。

 あまりにも成果だけにくぎ付けされたら、一度それを止めてもいいのです。ブラック企業で働かされたら、いつでもやめていいのです。おそらく、辞める力も、本当の意味での自分の力ではないでしょうか。いったん戈を止めて動き始めると、自分の身体の感覚が変わってくると思います。

 就職できなかった学生が音楽やったっていいと思います。スポーツをやっても、それこそ空手でもいいです。必ずしも成果にこだわらないことをするのです。一度戈を止めると、もっと自由に思考し、自由に行動できるようになるはずです。

 大学に関していえば、奨学金という借金漬け状態ですが、いったん自分の戈を抑える――。そういう力を持ってみてもいいのではないかと思います。

(構成=林克明/ジャーナリスト)
 

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コメント
 
1. 2016年7月21日 06:32:54 : 46au376vfM : ZYM7DDGC_rw[786]
銀行は、不良債権枠を準備している。

返さなくても牢屋に入ることはありません。

銀行は、リスクを取って、お金貸しているのですから、、、

自身を追い詰めないでくださいよ!若者は、日本の将来の担い手なんですからね。

返せる時に、返せば良いのです。気持ちを楽にし、生きていきましょう。


2. 2016年7月21日 08:55:02 : F2230ndbwE : N_t1ziYiq68[21]
金を借金させて学生・院生をかき集めて、大学・大学院を経済的に生き延びさせている。国は教育に対する投資をしない。そしてまた、大学もこのように借金漬けになっている学生達を見ても、国のやり方に抗議の声も挙げない。また、内部でも教員を非常勤講師として時間給で安くこき使っている・・・

この現実を変えるためには、奨学金を返さない、という選択も支持できる。ただし、多くの学生・院生の声を糾合しなければ。若者が社会を変えるために動かないとね。


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