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大学の「就職率」を疑え 進学先、多様なモノサシで判断を
http://biz-journal.jp/sankeibiz/?page=fbi20160713502
2016.07.13 Business Journal
ちょっと前に入学式を終え、新入生を迎えたばかりなのに、大学経営者たちは来年の受験生について頭をひねる。各大学は趣向を凝らして受験者数を増加させようと必死の体。関東の有力大学は、そろって大阪の近畿大に完敗した。受験生心理の難しさに閉口するばかりだ。
2018年問題という少子化の嵐は、弱小大学を直撃するといわれるから、大胆な改革をしなければ破産の危機にひんする。その改革に異議を唱える教授会に理事者側が対抗できないと困るため、文部科学省は法律を改正してガバナンスの徹底と学長権限の強化を進めてきた。
そして、受験生を集めるための“エサ”として「就職率」という数字を前面に掲げる大学が増加した。その高さを誇り、それを売りにする作戦だ。しかし、名だたる大学は、あまり就職率に頓着しない。
私の勤務する日体大は、教員志望が多いため就職率にそれほどこだわらない。各教育委員会は、現役学生をあまり採用せずに、数年間、非常勤講師を体験した経験者を採用する傾向にあるからだ。優れた教員を採用する知恵で、適性や指導力、人間性をきちんと評価したうえでの採用が全国的に一般化しているのだ。
現役合格できなかった卒業生たちは、たいてい中・高の非常勤講師を続けながら合格しようと勉強する。いわば教師浪人である。この人数の多さが日体大の特徴で、数年後、晴れて正規の教諭となる。毎年、約300人以上の合格者が出る。
非常勤講師は無職扱いのため、どうしても就職率を下げる。公務員希望者たちも浪人する場合が多いので、大学によっては就職率を下げることとなろう。
各大学は、既に大学案内や入試要項などの印刷物を配布中で、オープンキャンパスも開始されている。保護者の気になるのは、親心か、やはり就職率のようだ。出口がはっきりしている大学こそが魅力的らしい。だが、この表面的な数字に踊らされて、進学先を決めるのは本当は早計にすぎるのだ。
国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊に応募して、2年間、発展途上国でボランティア活動をする日体大の卒業生は毎年20人以上に上る。短期ボランティア(約1カ月)を含めると50人を超す。採用試験は卒業後にあったりするので、就職率を低下させる。
各種国家試験も同様、卒業後に行われる場合がある。就職率とは、一般的には就職を希望する学生のうち企業などに卒業前に正規雇用の内定を得た人の数字であり、卒業後に資格を得る人は含まれないケースが多い。
大学院への進学者も増加傾向にある。修士以上の学位を求める求人側もあり、高学歴社会は定着している。文科省は「トビタテ留学JAPAN」と呼び、外国留学を推奨中だが、留学希望者は減少の一途、異文化に興味を示さない。外国留学は魅力的に映らず、現実的な選択をする学生ばかりになっているのは心配だ。
「就職率」というのは、企業や団体などに正規雇用される4年生の動向、その数字だけで大学の優劣は計れないことを知っておこう。
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【プロフィル】松浪健四郎
まつなみ・けんしろう 日体大理事長。日体大を経て東ミシガン大留学。日大院博士課程単位取得。学生時代はレスリング選手として全日本学生、全米選手権などのタイトルを獲得。アフガニスタン国立カブール大講師。専大教授から衆院議員3期。外務政務官、文部科学副大臣を歴任。2011年から現職。韓国龍仁大名誉博士。69歳。大阪府出身。
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