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目前に迫る、IoTでがらりと変わる世界
その新しい時代にいらなくなる職業、会社、技術とは
2016.7.12(火) 伊東 乾
倫理で「犠牲者」決める自動運転車、普及に影響も 研究
自動運転車の中で書類に目を通す女性〔AFPBB News〕
IoTの起源が(あらゆる情報技術がそうであるように、これまた)軍事技術にあること。ここから私はビットコイン(Bitcoin)やブロックチェーン(Blockchain)技術を巡る最前線の話題を概説しようと思っているわけですが、なかなか道のりは遠い。
これは悪いことではなく、そこまで「常識の源流」に立ち返ることで、より強いイノベーション、より巧妙な戦略が立てられるということなのですが、まずは再び軍事の話から説き起こしていきましょう。
サイバー化する戦争と軍備
バングラデシュの首都ダッカで起きたテロ事件、心痛に堪えません。現地に特段の情報を持たない私には何事かこれに関して固有の話題を記すことはできず、ただ犠牲者のご冥福をお祈りするばかりです。
とりわけ、JICA(国際協力機構)や青年海外協力隊のメンバーと途上国に出かけた経験のある一個人としては、本当の意味で現地のために役立とうと思い、困難な土地に自ら飛び込んでいった人たちが、このような形で事件に巻き込まれるなどあってはならないことだと思います。
同時に、このような「テロ」がどうして起きてしまうか、個別の地域事情を超え、各地に共通する「時代の大域的地政リスク」的な条件も嫌になるほど感じざるを得ないのです。ということでそこから考えてみたいと思います。
2007年2月、私はNHKBSの番組「地球特派員」の取材で、約3週間ほど米陸軍フォート・ブラッグ・キャンプに体験入隊する機会がありました。
ここでの経験、例えば破綻直前のサブプライムローンを間近に見るとか、誰も知らなかった黒人の上院議員が大統領候補に推され始めたとか、細部はすでに様々なところに書いてきました。
番組は「増派に揺れる基地の町」のサブタイトルで、米国本土内にある伊豆半島ほどの大きさがある最大の基地で、農業をはじめとする斜陽化した南部の町がまるで出稼ぎのように「第2次湾岸戦争」に出征して行く様子を事細かに取材しました。
その中で最初に、また最も驚いた1つが出征して行く兵士の「軍装」でした。彼らは確かに迷彩色の軍服を身に着け、銃器のようなものも身に帯びていました。しかし・・・。
それ以上に目を引き、さらにショッキングだったのは、彼らが軒並み首からパソコンなどの情報機器をぶら下げていることでした。
「ああ、本当にこういうことになっているのだな」
という諦めにも似た嘆息をつかざるを得ませんでした。
これに先立つこと数年、トマホーク・ミサイルやパトリオットなど21世紀の米軍兵器によって中東地域が「ピンポイント攻撃」される様は、再三テレビなどで放映されましたから、当時物心ついていた人で見なかったという人は少ないのではないでしょうか?
ピンポイント攻撃には様々なものがあります。私が目にした兵士たちの攻撃にはこんなものが含まれていました。
夜間「テロリスト」たちが潜んでいるエリアを赤外線カメラで撮影すると、生きた人間は体温がありますから白く姿が浮かび上がってきます。これを遠隔から攻撃するわけです。
まさに(いささか旧式に見えた)テレビゲームそのものの画面で照準を当てて砲撃すると・・・。
爆発自体も温度が高いですから、赤外線カメラには白く映りますが、その後、そこにいたはずの人間の姿がない。リモートコントロールで、まさにゲーム感覚そのままで「テロリスト」への攻撃が可能になっている。
軍は様々な理由から兵卒の消耗を防ぎたいので、このような技術を極端に高度化させます。ミサイルのピンポイント攻撃はGPS技術を生み出し、後にカーナビゲーションなどとしてすっかり社会に定着しました。
またこの技術には特殊相対論・一般相対論などの物理学の業績がフルに反映されていることにも幾度か触れた通りです。
しかし一度視点を変えて「攻撃される側」の立場に立てばどうでしょうか?
「テロリストの立場なんか立てるか?!」
という人も、テロリストが侵入して来たエリアに住む一地元住民としてこの問題を考えてみてほしいのです。あなたの町、あなたの家にテロリストが侵入してきたら、もしかしてあなたの家もまた遠隔攻撃の対象にされないとは限らないわけですから。
こんなもの、たまったものではありませんね。つまり、体温が36.7度もあればどこに隠れようと必ず遠隔で見つけられてしまい、絶対安全地帯に潜む「敵」からジョイスティック操作で攻撃され、ピンポイントで小型爆弾を投下される。
全世界の大半が「ビッグパワー」の監視下に置かれるようになってしまった21世紀、いまやそのピンポイント攻撃を避けながら反撃に出るには、普段は市中の人として生活し、突然兵士として行動するしか方法がなくなっている。
実は今日見るような「自滅型無差別テロ」という方法を彼らに取らせているのは、ほかならず全世界を監視しピンポイントで攻撃可能という「GoogleEarth」的な監視社会が原因、情報管理の巨大パワーが反対武装勢力をしてそのようなところまで追い込んでいるという側面があります。
値引きのない現実を記していますが、さてこの「赤外線カメラでテロリストの体温を感知し、ピンポイントの爆撃を遠隔で加える」というテクノロジー、まさにこれがIoTの直接の祖先、お爺さんかお父さんくらいの近縁にある技術だと認識する必要があります。
ミサイル・テクノロジーの長男坊、自動運転技術
第2次世界大戦後、大陸間弾道弾の制御で生まれたコンピューターが50年の年月を経てインターネットを通じて全世界で連結されるようになった頃、本家本元の爆撃技術はアインシュタインの理論を駆使して全地球上を30メートルの「グリッド」=格子で賽の目に切り、ピンポイントで焼夷弾を投げつけることができる物騒な時代になっていました。
ここまで技術が進めば、自動車のナビゲーションなどどうということはありません。さらにナビができれば、後はその通りに車を自動運転すればいい。
こんなこと、電車でも飛行機でも実は普通にやっていることに過ぎない。ただ社会システムが大きく変わる必要があるので、やや面倒な地殻変動があるけれど・・・。
IoT技術が引き起こすであろう最大のインパクトの1つは、間違いなく「車の自動運転へのシフト」になるでしょう。
一説によれば完全自動運転化が達成されれば、現在起きている事故の80%はなくなると言われます。それくらい安全で確実なパーソナル・トランスポートの時代になれば、
「20世紀は人間が車を運転してたんだってね」
「野蛮なことをしていたものだね」
といった逸話にされてしまうに違いない。
実のところ、車の自動運転化は「ミサイル技術」の長男坊といってもいい側面があります。ミサイルの場合は命中させる技術ですが、車の場合は命中させない、当てないように自動制御するシステムを、莫大な数のセンサーを駆使して実現していく必要があります。
そんなIoTの各種情報を、的確にデータとして集め、演算し、セキュアな世界を作り出すために、私たちはいまどんな技術を確立しなければならないのでしょうか?
ハイパーレジャーのインパクト:反軍事からのイノベーション
2016年2月、ニューヨークで記者会見を開いたIBM本社はリナックス・ファウンデーション(Linux Foundation)のオープンソース「Hyperledger」プロジェクトに約44000行のブロックチェーン・ソースプログラムを寄贈しました。
これは「あらゆる価値の交換に、セキュアな分散型レジャーを容易に構築できるように」これらのコードを提供したもので、その背景には、1社でこれを抱え込んで技術の普及が遅れるより、デファクト・スタンダード的に普及することでより大きなビジネスマーケットが獲得できるだろう、との戦略的見通しがあったものと思われます。
レジャー(ledger)とはLeisure(息抜き)やリクリエーション、行楽観光の類ではなく「元帳」の意味、ハイパーテキストがネットワーク上に分散存在し得るテキストであったように、ハイパーレジャーは分散型の台帳システムを指すものです。IBMはこの技術を明確に
IoTとデータベースを結ぶテクノロジー
と位置づけ、汎用性ある技術開発と普及を目論んでいるわけです。
さて、このハイパーレジャーあるいはブロックチェーン、よく知られたビットコインの技術から派生してきたものですが、IBMははっきりと「暗号通貨にはコミットしない」と宣言しています。
すなわち、いろいろな意味でリスキーなデジタルカレンシー・ビジネスではなく、同じ技術から派生する、社会のありとあらゆるトランザクションをサポートするツール、すなわちビジネスマシン(BM)を提供するIBMあるべし、という発想になっている。
来るべき自動運転時代の車の制御は言うに及ばず、その頃になれば証券市場も株の取引きも、現在のように仲買をたくさんかませる必要はなく、個人対個人の取引で大半の商いが成立してしまう、それら全体を支えるのがレジャー技術の本質にほかなりません。
批評家のような調子いい文体にあまりならないのは、実は東京大学大学院情報学環でもこうした技術開発に明確にコミットメントがあるため、私自身書けることと書けないことが分かれていることによります。
ともかくこれから数年で、あらゆるビジネスが大きく変わるのは間違いありません。少なくとも1995年以降のインターネットが社会を変えたのと同じ程度には・・・。
それで消えて行くもの、消えそうになるけれど消してはいけないもの、積極的に消し去っていった方がよいもの・・・様々な選択と分岐があるでしょう。
やれビッグデータだAIだ、あるいはIoTだと、要素技術を近視眼で見ていても、自動運転標準以降の社会の趨勢、その稜線は見えてきません。
ではどこから見て行けばよいのか。
イノベーションの根幹から、ブラックボックス極小で見透す「開発者の目」が強く光ることになります。
(つづく)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47321
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