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飲み放題、なぜ店も客も得?一杯の原価はたった150円?店は損しない数字のカラクリ
http://biz-journal.jp/2016/07/post_15817.html
2016.07.10 文=江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部代表 Business Journal
まず最初に、「飲み放題の場合、客は平均で1人何杯くらい飲めるものなのか?」の分析から。
私が東京・新宿で14年間経営していたダイニングバー(20坪30席)での宴会飲み放題データでは、「平均1人当たり4.5杯」になっています。2時間飲み放題、滞在2.5時間で、1杯あたりのボリュームは次のとおりです。
・中生:420ccグラスで実質容量(泡除くと)350cc
・グラスワイン:150cc
・地酒:150cc
・焼酎:ロックベース90cc
・カクテルやハイボール:スピリッツやウイスキーを45cc使用
ちゃんとした商品をちゃんとした容量で提供していましたので、これより少量で提供しているお店は、もうちょっと提供杯数は増えると思われます。
ちなみに、これらのドリンクに含まれるアルコールは、次の通りです。
・中生:350cc×約5%=17.5cc
・グラスワイン:150cc×約13%=19.5cc
・日本酒:150cc×約16%=24cc
・焼酎:90cc×約25%=22.5cc
・カクテル:スピリッツ部分45cc×約40%=18cc(リキュールの場合はこれを下回る)
よって、平均すると1杯当たり20cc前後のアルコールを摂取することになります。14年間のデータでは、すべての宴会の飲み放題が、3.5杯〜5.5杯の中でおさまりました。個別に観察していると8杯以上飲む方が稀にいますが、例外なので目立っているだけで、平均値をとると4〜5杯/人といったところに落ち着くことでしょう。
■1杯当たりのコストはいくら?
さらにもうひとつのデータとして、私は10年くらい前から毎月20〜30人参加の「1人1本持込ワイン会」「1人1本持込日本酒会」を主催しています。ワインや日本酒好きな方々が1人1本持ち寄ってのお酒の会ですから「お酒好き」が集まります。
そのような会で3時間飲んで、「ちょっとだけ」お酒は残ります。1人1本持ち寄りですから、1人ボトル1本弱飲んでいることになります。750ccのワインボトルの場合、150ccで割ると5杯分です。それがちょっと残るということは、1人当たり平均すると4.5〜5杯くらい飲んでいることになります。ちなみに一般的なお店で提供されるグラスワインのボリュームは、お店や銘柄やグラスによって変わりますが、90cc〜150ccの間で提供されていることが多いと思われます。
さて、次は「1杯当たりいくらくらいのお酒を、飲み放題としてお店が用意しているか?」と、「飲み放題の金額がいくらか?」の2点がポイントになります。
生ビールやワイン、日本酒(地酒)がコスト高になりそうですが、飲み放題用のドリンクですので1杯150円以内に抑えているお店が多いように思われます。ソフトドリンクやサワー等コスト安のものと均すと、1杯100円くらいで落ち着かせることも可能です。となると、100円/杯×4.5杯=450円。切り上げて「500円」というのが飲み放題材料コストと推測します。
つまり「1,000円飲み放題!」でも、お客さん側は原価ベースでは元は取れません。でも売値ベースでは通常1杯500円で売っているドリンクを4.5杯飲んだら2,250円です。それが1,000円で飲めるわけですから、お客さんにとってはとてもお得になります。
■売上<売値ベース合計でも儲け?
先日ある飲食店のオーナーさんから、次のようなご相談を受けました。
「当店の飲み放題は2,000円と、ちょっと高めですが、地酒も全部飲み放題です。先週6人のご宴会で飲み放題部分の売上1万2,000円に対して、売値ベースで1万9,000円分の日本酒を飲んでいかれました。お客さんはとても満足してお帰りになりましたが、飲み放題を続けていてもお店として大丈夫でしょうか?」
私の答え(分析)としては、売値ベース1万9,000円×30%の材料費=5,700円の材料費がかかりました。ドリンク部分の売上は6人分で1万2,000円ですから、差額6,300円が粗利となります。6人いたので1人から約1,000円の粗利をもらえたことになります。これは、通常で1,500円分の売上から発生する粗利でしょう。1,500円の売上を上げるためには、通常のドリンクなら、2〜3杯の提供が必要ですよね。このお店の通常のお客さんは1人2〜3杯飲むのが平均です。
ということは、通常のお客さんと飲み放題のお客さんのドリンク部分の残る利益としては、「同じ」となります。材料費率で考えると、飲み放題部分は悪化したり、作業量は少し増えますが、残る利益は同じでお客さんが「得したな〜」「おいしいお酒をいっぱい飲めたな〜」と喜んで帰ってくれれば、「今後の継続的な来店」も発生します。「だったら、いいのでは?」とお話しさせていただきました。
あとは、幹事さんとしては飲み放題がないお店は不安を覚えますから、「選ばれないリスク」が発生します。領収証でいくらでも払える状況ならいいのですが、当日までいくらで収まるかわからないお店は避けたくなることのほうが多いでしょう。めいっぱい飲むために飲み放題の予約というよりも、最初から予算を決定させるために飲み放題を予約するケースのほうが多いです。
昔と違って強引に他の人に飲ませるような飲み方も減りましたし、飲まない飲めない人たちも増えています。一部例外の人もいますが、「飲み放題=醜い」というケースはかなり減っています。
■ウィンウィン商品
飲食業界の材料費は30%が「目安」といわれていますが、営業時間外から手間をかけた料理を準備し、時間中もサービス等の人件費もかかります。ここをケチればいい料理、いいサービスの提供はできません。場所を維持する家賃・管理費もかかります。冷房や電気、お箸やおしぼり等の光熱費や消耗品もかかります。初期投資のローンの返済もしなくてはなりません。
お店はかなりキツキツのなかで、工夫しながらかける費用の配分目安も意識して経営しています。
そんななかで「飲み放題」はお客さんにもお得感を感じられ、お店も一定の利益をいただける「ウィンウィン商品」ともいえるでしょう。あとは、飲み放題の内容を見ながらお店を選ぶのがおススメです。安さ重視で安いお酒だけの店もありますし(飲み放題1,000円くらいの売値)、飲み放題だけどおいしいお酒も味わってもらおうと、いい(高い)お酒も置くお店もあります(飲み放題2,000〜3,000円の売値)。そのときの宴会の趣旨に合わせて、お店や飲み放題の内容を選ぶと、幹事さんとして喜ばれることでしょう。
(文=江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部代表)
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