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「おトクだ!」と錯覚して実は高額な無駄遣い…「安い」「無料」の巧妙な罠
http://biz-journal.jp/2016/07/post_15779.html
2016.07.06 文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト Business Journal
いよいよ、夏のボーナスシーズン。つい、財布の紐が緩みがちになる時期だ。ショップにはバーゲンやセールの文字が躍り、インターネット通販はポイント倍増のキャッチコピーで誘惑してくる。
どうせ買うなら、なるべく安く買いたい。それが人間の心理だ。ところが、誰もが持つ「安く買いたい」「損はしたくない」という感情が、なぜか不要な出費を招くことがある。
例えば、ネット通販で買い物をして、いざ決済という場面になると、「あと3000円買うと送料無料!」というメッセージに出くわすことがある。それを見ると、「そうか。じゃあ、ついでに何か買おうかな」と素直に買い物を続ける人が多いだろう。
そして、3000円きっちりの買い物をするのは難しいため、どうしても多めに買うことになる。しかし、ここで冷静に考えてみよう。そもそも、その買い物に3000円以上の送料はかかるだろうか? 届け先がはるか遠くの離島だったり、クール便や大型便だったりしない限り、そこまで多額の送料にはならないと思われる。
それなら、素直に送料を払うほうが、不要な3000円の買い物をするよりも得なはずだ。しかし、「送料を払う」=「損をする」という認識になるため、なぜか多くお金を払う行動をとってしまう。損を嫌うあまりに損をする――この不合理な思考が、人間の心理に生じる「お金が漏れて行く穴」なのだ。
実は、私たちにとってお金の価値は一定ではない。例えば、1万円をもらった時の喜びと損をした時のショックを比較すると、同じ金額なのに、損をした時のダメージのほうをより強く感じるというデータがある。
人の選択や行動は実は合理的ではなく、ごく主観的な部分で左右されると提唱した「プロスペクト理論」というものがある。これを展開した心理学者のダニエル・カーネマン氏はノーベル経済学賞を受賞しており、同理論は金融の世界でも注目を集める「行動経済学」の元となった。
とはいえ、これは小難しい話ではない。身近なのは「松竹梅の罠」といわれる心理だ。定食屋に入り、梅(950円)と竹(1500円)の2種類の和定食があった場合、我々は安いほうの梅を選ぼうとする。次の日、別の店に行くと、今度は竹の上に松(2000円)というメニューがあった。すると、つい真ん中の竹を選んでしまうのだ。梅より550円も高いのに!
これは「極端の回避性」とも呼ばれるが、人は安すぎたり高すぎたりするものをなかなか選ばない傾向があるからだ。どちらも損をする可能性があるなら、一番無難な中間を取ろうと考える。
つまり、店側にすれば、一番売りたい商品の上にワンランク上位の商品を置けばいい。「誰が買うのか」と思うようなハイスペックすぎる高価な家電製品が通常スペックの商品と並んでいるのは、この心理をついているからともいえる。買い物に行った先で、つい当初の予算より値段が高い“真ん中”の商品を選んでいないか、自問してみたほうがいいだろう。
■人間の金銭感覚は簡単に狂わされる!
金額を錯覚することによって、余計な出費をしてしまう事例もある。バーゲン会場で見かけるのが「アンカリング効果」だ。もともとの値段が5万円のスーツに「50%オフ」という値札がつけられていたとたん、「これは安い!」と思ってしまう。
もし、隣に定価2万5000円のスーツが並んでいたとしても、つい50%オフのほうを選ぶだろう。これは、「2万5000円」という価格が安いかどうかという判断ではなく、最初の5万円がアンカー(錨)になってしまい、それより値下げされているだけで「安い!」と感じてしまうからだ。
同じような錯覚は、最初に認識した金額によっても起きる。「そろそろ、マイホームを買おう」と考え、物件を見に行ったとする。最初の予算は3200万円だったが、3500万円の物件を見たら、それもなかなかいい。3200万円という数字が出発点になっているので、3500万円を見ても、2つの金額にあまり差がない気がしてくる。それどころか、「間を取って、3300万円あたりの物件もいいか」などと考える。
実際は100万円単位で違うのだから、かなりの差があるだろう。我々は、最初に大きな数字を見てしまうと金銭感覚が惑わされやすい。よくいわれる「100万円近い価格の車を買った後は、3万円のオプションを気軽に契約してしまう」というのは、これと同じ錯覚によるものだ。普段は、105円の缶酎ハイを買うか115円の発泡酒を買うか、真剣に悩むというのに。
金額の錯覚を排除するには、まず数字だけを思い浮かべるといい。はたして、スーツ代の2万5000円が財布からなくなっても困らないか。これだけあれば、5回は飲みに行けるかもしれない。マイホームなら、予算オーバーの100万円を貯めるのに何年かかるだろうか。頭金を貯めるのにあれだけ節約したというのに……。そもそも、このような冷静さを保つことができる人なら、こんな錯覚には陥らないともいえるのだが。
■「割引」より「100円均一」のほうがよく売れる?
我々の消費欲をそそる罠は、まだまだある。表現や見せ方によって、受ける印象や選択するものが変わる現象を「フレーミング効果」という。
例えば、100人のうち、「あるダイエット法でやせた人が40%」といわれるのと、「6割の人が、体重が変わらなかった」といわれるのでは、受ける印象が真逆になる。言っていることは、同じだというのに。
先日、電撃退任したセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文元会長も、自著のなかで「行動経済学をビジネスにとり入れていた」と語っている。例えば、コンビニおにぎりのような少額商品の場合は、「○%引き」という比較表示よりも「100円均一」というセールのほうが売り上げが上がるという。
また、衣料品のセールでよく見る「20%割引」の代わりに「代金の20%をキャッシュバックする」というキャンペーンを行ったところ、大ヒットしたこともあるようだ。
この例は、いずれもフレーミング効果によるものだ。割引の金額は同じでも、表現によって、人はだまされてお金を使ってしまうという好例だろう。この世は、いかに我々に気付かれずに消費させるかという罠に満ちているのだ。
罠は、ほかにもまだまだある。「安い」「トク」「無料」「ポイント倍増」「キャッシュバック」……そんなキーワードを見たら、くれぐれもご用心を。
(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)
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