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英EU離脱選択の日に25%失う、昨年首位の日本CB運用ファンド
伊藤小巻、Kathleen Chu
2016年7月5日 09:22 JST 更新日時 2016年7月5日 13:45 JST
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2015年の日本市場での運用結果で首位の英ストラットン・ストリート・キャピタルのファンドが、国民投票で英国の欧州連合(EU)離脱が選択された日に25%(円建てベース)を失ったことが分かった。転換社債型新株予約権付社債(CB)で運用しており、リスク回避の株価下落が響いた。
ジャパン・シンセティック・ワラント・ファンドを運用するマシュー・ロナガン氏らによると、同ファンドの運用収益は、東証株価指数(TOPIX)が上昇した際はその5−7倍の上昇、低下したときはその3倍程度の下落をもたらす傾向がある。英国民投票の開票結果が判明した6月24日、TOPIXは前日比7.3%下落したのに対し、同ファンドは3.4倍の24.6%急落した。翌週明け以降、一時持ち直したものの、年初来の収益率は円建てでマイナス47%。
同ファンドは購入したCBを社債と新株予約権に分離。少ない元手で投資できるよう社債部分をいったん邦銀などに売却。発行企業の株価が上昇した場合は買い戻し、新株予約権と組み合わせCBとして売却する。
同ファンドを共同で運用するトレバー・スリワースキ氏は、「大きな市場の動きには慣れている」としながらも、6月は長い目で見ても「最悪の月のうちの一つだ」と言う。
6月24日は日本株急落
6月24日は日本株急落 Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
中国人民元切り下げに端を発した昨夏の市場混乱時に、ろうばい売りせず市場反転に備えて追加投資したことが寄与し、昨年は64%の収益を上げた。シンガポールの調査会社ユーリカヘッジによる15年の集計によると、日本に焦点を当てたファンドで首位。同ファンドは両氏のほか、ローワン・チャップリン氏の3人で運用している。
同ファンドの運用額は1340万ドルで、23銘柄(166億円)に投資している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-05/O9RXD26JTSEA01
喉から手が出るデリバティブ決済、EUが英から奪いたい理由
Silla Brush、Will Hadfield
2016年7月5日 13:33 JST
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英国の欧州連合(EU)離脱を支持する国民投票の結果が出て、1日たつかたたないかというタイミングで、ロンドンの金融業界の重要な機能に対する権利を他のEU諸国の当局者が主張し始めた。ユーロ建て取引のクリアリング(清算・決済)拠点をどこに置くかという問題が、英国のEU離脱交渉の火種の一つに浮上している。フランスとドイツの政治家らはクリアリング業務をロンドンから別の場所に移すことができるとの立場で一致し、パリかフランクフルトが新たな拠点になる可能性に言及した。
ロンドンにとってなぜクリアリング業務が重要か?
国際決済銀行(BIS)の2013年からのデータによれば、代表的なデリバティブ(金融派生商品)であるユーロ建ての金利スワップ取引の約70%が英国で行われており、フランスは11%、ドイツは7%にとどまっている。
ロンドンのクリアリングハウス(清算・決済機関)は通常1日当たり9000億ドル(約92兆円)相当を上回る取引を処理しており、約1000人の雇用を生み出すだけでなく、デリバティブ取引や担保管理のためにロンドンで働くおびただしい法律専門家の収入を支えている。金利スワップ決済で世界最大のクリアリングハウス、LCHはロンドンに拠点を置き、ロンドン証券取引所グループ(LSE)が過半数の株式を保有している。
ユーロ建て取引の清算・決済はユーロ圏で行われるべきか?
英国のEU離脱が国民投票で支持される以前の段階で、欧州中央銀行(ECB)はユーロ建て取引の清算・決済をロンドンではなくユーロ圏内で行うことを目指してきたが、英国はこれに反発してECBを提訴。EU司法裁判所は、ECBの主張を退ける判決を下し、欧州の金融の中心地としてロンドンの地位が強化される結果となった。
これから何が起きるか?
英国のEU離脱に向けた交渉は何年もかかる可能性があり、クリアリングの拠点が近い将来にロンドンから他の場所に移転する可能性は低い。それだけではない。EU司法裁判所は、ECBには証券取引のクリアリングに関する監督権限がないという判断を示しており、その権限を得るためには、EU当局による法制化が必要になることも予想される。
原題:QuickTake Q&A: Brexit Puts Financial Clearing Work Up for Grabs(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-05/O9SGCS6KLVRB01
アングル:英離脱に翻弄されたミセスワタナベ、逆張り意欲衰えず
[東京 5日 ロイター] - 英国民投票後の「荒れ相場」に、日本の個人投資家「ミセスワタナベ」も翻弄された。ポンド買い/円売りポジションを膨らませていたため、FX(証拠金取引)で強制ロスカットが急増。ドル/円JPY=EBSの急落にもつながった。ただ、逆張り意欲が衰えたわけではなく、ドルが再び100円を割り込むような場面では、ドル買いに動くとの見方もある。
<ポンドロングは16.5倍>
英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票は、マーケットだけでなく、事前の世論調査やブックメーカー(賭け屋)も残留予想が大勢だった。ミセスワタナベのポンド買いは、得意の「逆張り」ではなく「順張り」だったと言えるかもしれない。
しかし、離脱と残留のどっちに転ぶか分からない英国民投票をめぐる大きな不透明リスクを前にして、そのポンド買いの積み上げぶりは異彩を放っていた。その意味では、得意の「逆張り」と評することもできる。
東京金融取引所のFX「くりっく365」。個人投資家のポンド/円のポジションは、英国民投票が実施された6月23日の直前、売り建て1万3851枚に対し、買い建ては22万8768枚。その比率は16.5倍に達していた。比率に差はあっても、買い建てが売り建てを上回るFX会社は複数あった。
しかし、日本時間6月24日正午前、多数の予想に反して離脱派勝利の報が相次ぐと、ポンド/円GBPJPY=Rは急落。その日の高値160円から、133円まで約27円(約16.7%)下落し、2008年のリーマン・ショック時の約20円を超える下落となった。
<リーマン上回る強制ロスカット>
FXでは、取引通貨が一定程度以上急落し、証拠金が必要額を下回った場合、レバレッジの大きさに応じて証拠金の不足分の入金もしくは反対売買によるポジションの決済を迫る「強制ロスカット」が発生。投資家に大きな損失が発生する可能性が出てくる。
今回、一部のミセスワタナベは、ポンド/円の買い建てを積み上げていたこともあって、FX会社によっては強制ロスカットが急増。「その数はリーマン・ショック時を上回り、昨夏の中国経済減速への懸念に端を発する『チャイナ・ショック』と並ぶほどに膨らんだ」(FX会社)という。
クロス円は対円での流動性が低いことから、ドルを介して取引されることが多い。ポンド/円であれば、強制ロスカットは「ポンド売り・ドル買い」と「ドル売り・円買い」の組み合わせとなり、ドル/円相場にも影響を及ぼす。
ポンド/円が140円を割り込んだ局面では、個人の強制ロスカットを介してドル/円に波及。ドル100円割れの「ダメを押した」(別のFX会社)とみられている。ドル/円はストップロスなども巻き込み、一時99.00円まで急落した。
<超短期売買の個人、大惨事免れた向きも>
「スキャルパー」と呼ばれる、超短期売買を行う個人投資家の一部は、ポンド/円が24日早朝、残留優勢を伝える世論調査で157円付近から160円付近まで上昇した局面で早々に利益確定売りをしたり、その後に形勢不利と見て早々に損切りするなどして「大惨事」を免れたようだ。事前に証拠金を積み増したり、ポジションを調整する投資家もいたという。
一方、中長期投資がメーンのミセスワタナベは、今回の乱高下相場で大きく体力を消耗したとみられている。主要通貨ペアの売り・買いを合わせた総建て玉はおしなべて縮小。「記録的な波乱相場を経て、さすがに個人投資家も疲弊した」(別のFX会社)という。
<ドル100円接近なら再び逆張りか>
ただ、ミセスワタナベが完全に打ちのめされ、逆張り意欲が完全に消えたわけではないようだ。強制ロスカットが生じても、FX会社によっては証拠金以上の損失が出る「未収金」の発生件数は、過去の相場急変動の際に比べて少数にとどまったという。
英投票から週が明けた27日以降、ポンド/円やドル/円の買いポジションが、じわりと膨らんだFX会社もある。相場が持ち直した足元では、戻り待ちの売りでポジションを縮める動きがある一方、打診買いの注文も観測されている。
外為どっとコム総研の調査部長・神田卓也氏は、ドルが99円まで下落した後、ほぼ瞬間的に急反発したことを日本の投資家は目の当たりにし、ドル/円の目先の底堅さを確認したと指摘。「ドル/円が再び100円に接近するようなら、個人投資家はポジションが軽くなった分、買い意欲をまた強めるのではないか」と話している。
*見出しを修正しました。
(平田紀之 佐野日出之 編集:田巻一彦 伊賀大記)
http://jp.reuters.com/article/fx-eu-idJPKCN0ZL04C?sp=true
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